耐性スキルのために100回死んだら、死神になりました   作:暁月 聖人

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 10話を多少修正しました。内容としては1週間のレベリング後にダンジョン探しという流れに変えただけです。


12話

 ハナから言われた実験をこなして、スキル検証した翌日。俺はハナから成果報告したいと言い出したのでログインして噴水広場で待っていた。

 

「お待たせ」

「来たか、ハ……ナ……?」

 

 ハナが来たから声をかけられた方を見ると別の魔法少女コスしたハナがいた。

 まるで花をイメージしたようなヒラヒラした白い衣装だ。赤、青、緑、橙色の宝石がスカート部分にはめられており、ブーツも黒からうす緑に変わっている。

 杖は宝石が付いているものではなく、透明な蝶々に似た羽が付いた木の杖に変わっている。

 何があったんだ、お前!?

 

「ハナ……その装備……」

「お願いです。何も言わないでください……」

 

 あのハナが俺に向けて敬語を使うほどに恥ずかしがっていた。イズにまた変な衣装を渡されたのかと思ったが、何か違うな。

 

「とりあえず、行こうか」

「うん……」

 

 俺達は宿に向かい、一室借りた。

 部屋に入るとしばらく無言になる。何か話さないといけないが如何せん気まずい……。

 

「あー、俺の方から行くぞ」

「わ、分かった」

 

 俺は【格闘術】と【逆境】について話した。

 

「技スキルが内包されてる【格闘術】にHPが少なくなる程にSTR、VIT、AGI、DEX、INTが増していき、スキルの威力も高くなる【逆境】か」

 

 因みに、【逆境】はHPが50%から発動するスキルで、HPが5%減る毎にSTR、VIT、AGI、DEX、INTが5%ずつ増加していき、さらに、HP残量が50%の時はスキルの威力が1.5倍、25%の時は2倍になる。

 そして、HPが1になるとSTR、VIT、AGI、DEX、INTが2.5倍、スキルの威力が3倍になる。【起死回生】との相性が滅茶苦茶いい。だって、今まで受けてきたダメージを6倍になって返せるのだから。

 だが、デメリットも存在する。危なくなって回復したとき、【逆境】によって上がった分がなくなってしまうことだ。回復するタイミングを誤ると余計なダメージを負うかもしれない。

 

「【逆境】は十分凶悪だよね」

「うん。それは俺も思った。かなりチートだよな。でも、ピーキーなスキルとも思う」

「そうだね」

 

 ……俺の報告は終わったわけだが……。

 俺はハナの格好を改めて確認して、一昨日言ってたことを思い出した結果、ある可能性にたどり着いた。

 

「それ、ユニークシリーズか?」

「そう。ダンジョンを攻略した時にね」

 

 ってことは単騎でダンジョン攻略したのか。スゴいな。

 

「占いの館って知ってる?」

「ああ、いつも不在の」

「え?」

「誰がいっても誰もいないってことで有名だぞ」

「私が入ったときは普通にいたけど……」

 

 そうなの? じゃあ、何かしらの条件があったんだろうな。

 

「そこで、ダンジョンについて占うように頼んだのか?」

「うん。でも、占ってくれたわけじゃないんだよね。そもそも、設定的に占えるかどうかも怪しいし……」

「どういうこと?」

 

 俺はハナから占いの館で起こったこと、その後の事も聞いた。

 そうか。クエストが発生するのか。それに、聞いた感じだと出現条件にはステータスが関わってそうだな。下手したら、杖使い限定って可能性もある。

 

「その結果、ダンジョンを見つけ、攻略した、か。しかも、同行者つきで」

 

 つうか、ボスが二撃で倒されるって……威力高すぎだろ!

 

「それで、手に入れたスキルと装備の詳細は?」

「うん。まず、【精霊結晶】はMPを消費して結晶を出現させる。その結晶は自身が唱えた魔法を同時に放ってくれるんだって」

「それはまた……」

 

 消費MPは同じなのに2発同時撃ちするとかチート過ぎだ。

 

「結晶にはHPとかVITとかが設定されてて、HPは1000、VITは30で固定されてるみたい」

「INTは?」

「ない。多分魔法の威力は私が放つ魔法と同等ってことなんだと思う。結晶の動く速度はINTによるらしいから速いかも。使ったことないから分からないけど……」

 

 ヤバいな……。只でさえ【賢者】のせいで高火力なのに……。

 

「装備はスキルを付与するスキルスロットってものがあるみたい」

「だろうな。俺の装備もついてる」

「それもユニークシリーズなんだね。それなら、スキルスロットの説明は不要か。各々にはスキルがついてて、杖には【破壊不可】と【魔力操作】、服とブーツには【破壊再生】、ブーツはそれに加えて【風精霊の衣】が付いてるの」

 

 ……え? 【破壊成長】じゃないの?

 

「【破壊不可】はその名の通りどんな攻撃を受けても破壊される事がなくなるスキルで、メンテとかでいらないみたい」

「へぇー。【破壊再生】は?」

「……【魔力操作】は放った魔法を操ったり、爆発させたりできるスキルで、【風精霊の衣】はAGIを5分間20%上げるスキル」

 

 おー、すげぇな。チート臭いぞ、【魔力操作】。

 

「それで、【破壊再生】は?」

「【破壊再生】は……装備が再生するスキル」

「うん?」

 

 理解できるけど、納得できない。何でだ?

 ハナの説明に違和感がある。というより、【破壊再生】の存在に違和感がある。

 

「何で、全部の装備に【破壊不可】がつけられてないんだ?」

「…………」

 

 何でハナは涙目になって俯いてるの? え? 意味が分からないんだけど?

 

「……ってやる……」

「は?」

「運営に……訴えてやるぅー!!!」

「何でェー!?」

 

 ハナは拳を強く握りしめ、声を荒げて叫んだ。その目には怒りが灯っていた。

 

「だって、【破壊再生】はダメージを負うことで破れるんだよ!? 再生するのは戦闘終了後だし!!」

「いや、普通じゃね? 再生するのは遅いくらいじゃ……」

「違うの!! これを見て!!!」

 

 ハナが俺に見せたのは【破壊再生】の説明ウィンドウだった。

 それを読んだ俺は声が出せず絶句する。

 

 【破壊再生】

 受けた攻撃のダメージ量、残りのHP量に応じて破ける。(尚、破けたところは素肌が見えます(笑))

 戦闘終了後に徐々に再生されていく。

※完全に破けることはありません。胸や局部周辺は靄で隠されるので、安心してください。

 

 これは……うん。訴えてもいいんじゃね?

 運営の悪意が感じ取れる別の意味で凶悪なスキルだ……。つうか、セクハラだよ、これ。よく通ったな。

 それに、説明に何で(笑)が使われてるんだよ。笑えねぇよ。そして、安心もできねぇよ。

 

「だったら、着ないようにすれば? 服には【破壊再生】以外だとスキルスロットくらいしかついてないんだろ?」

「そのスキルスロットが強力じゃない!」

 

 うぐっ。それは確かにな……。

 

「それにね。私今思ったの……当たらなければいいんじゃないかって」

「いやいやいや! それは難しいと思うぞ!?」

 

 ハナの戦い方を見たことあるが、俺と同じように見て動く後手タイプだからいつか当たるぞ! AGI特化型が相手だと避けきれない可能性が高いし! 敵の数が多ければ、囲まれたときにやられるのが目に見える。俺がそうだし。そりゃ、攻撃がよく見えてるからか今のところ攻撃が当たってないけどな……。

 ハナもそれは分かっていた。だから、一発で死なないようにVITを装飾品装備で補ったり、まだ取得していないが、【HP強化小】を手に入れる予定なのだ。

 

「何とかなるよ」

「おい。目に光がないぞ。大丈夫かぁ?」

「ワタシ、コウゲキガアタラナイヨウニガンバルネ」

「落ち着け! ハナァー!」

 

 完全に現実から意識を遠ざけていたハナを俺は肩を揺らすことで正気に戻そうとした。

 正気を戻すのに数分を要したのはここだけの話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その数日後、いつものように登校していると本条さんと白峯から進捗の事を聞かれていた。

 

「……進捗……進捗なぁ」

 

 何て言えばいいんだろうか……。順調でいいとは思うけど、どうもな……。

 

「何よ? うまくいってないの? まあ、多々野の妹はゲーム初心者だから仕方ないと思うけど、あんたがフォローを入れるべきじゃないの?」

「あ! なら、手伝ってあげようか? 一度会ってみたいし!」

「…………初心者……そっか。そうだよな。初心者だからだよな」

 

 俺は本条さんを見ながら小さく呟いた。

 本条さんはVITを極振りして、モンスターを食べて、変なスキルをバンバン獲得する。それは痛いのが嫌だからとか何かスキルが手に入るかもとかそんな理由なのだが、どこか桜と似ているような気がする。

 初心者とベテランは感覚が違うんだろうな。だから、あんな火力が馬鹿にならない高機動魔導士が誕生してしまっているのだろう。

 

「……そ、その遠い目は何?」

「え? うん。初心者って怖いな~と思ってさ」

「? 何で?」

「…………まさか」

 

 白峯は察しがいいな。こんな少ない情報で桜の進捗を理解するなんて。

 

「桜さ。杖を選んだよ」

「ってことは魔法使いかぁ」

「うん。そうそう。魔法使い。でも、本条さん並みかそれ以上の化け物が出来上がってるんだよ。紙装甲なのが弱点ってくらいで」

 

 あり得ないよなぁ。どこのモンスターもほぼワンマジックだぜ? 桜の持つ魔法は範囲魔法ばかりだから質が悪い。

 しかもだ。 魔法を避けられても【魔力操作】で軌道を変えて当てにいってるんだから恐ろしい……。

 

「楓以上!? ちょっと、何したのよ!? 相当おかしいことしてないとそうはならないわよ!?」

「り、理沙? それって遠回しに私がやってることはおかしいって言ってるんじゃ……」

「「いや、だっておかしいし」」

「ハモった!? 私、普通にやってるんだけどな」

「「いやいや。普通じゃないから……」」

 

 俺と白峯が首を横に振って否定する。本条さんは納得がいかず、口を尖らせた。

 

「それで、妹さんは何をしたの?」

「……あー、そうだな。あいつ、俺と本条さんのスキル獲得方法を話したら、スキルポイント振らずにゲームを始めてきたんだよ。スキルが手にはいるからって」

「はあ?」

 

 白峯が目を丸くして驚く。分かるぞ。その気持ちはよく分かる。

 俺はハナの始めてから1週間くらいのことを2人に話した。白峯は唖然とし、本条さんは目をキラキラして聞いていた。

 

「それで、AGIが高く、INTは普通の人よりも倍以上にあるから高機動で超火力魔法使いが誕生していた、と」

「ああ。つい最近、ボスを一撃で倒したから下手したらメイプルを倒す火力を持っていても不思議はない……」

「スゴい!」

「スゴいというか……一周回って笑えてくるわね……」

 

 その気持ち、本当によく分かるわよ。

 

「あー、悔しい! ゲーム初心者に先を越された!」

「は?」

「実はね。理沙もダンジョンを見つけたんだ」

 

 そうなの!? すげぇな……。

 

「慎重に進んでるから仕方ないか。ダンジョンの場所も厄介だし。だって、水中にあるのよ?」

 

 白峯や本条さんが言うには地底湖を潜水探索してる時に横穴を見つけたらしい。その横穴がダンジョンの入り口だったそうだ。

 それで、ダンジョンの探索をしているのだが、如何せん水中ダンジョンだ。スキル【潜水】、【水泳】のレベルを最大まで上げ、初回踏破をするためにレベル上げ、スキル獲得をしまくっているんだそうだ。

 

「あ、そうだ! 理沙がユニーク装備を手に入れたら4人で行動しない?」

「そうだな。二層へ行けてないし……理沙のやっていることが終わったら、二層へ行くためのダンジョンを4人で攻略するか」

「そうね。妹さんへ説明お願いね」

「はいよ」

 

 こうして、俺は白峯がユニークシリーズを手にいれ次第、白峯と本条さん、桜の4人でプレイすることになった。

 ……あれ? 何でかその時、俺は影が薄くなりそうな気がするのは気のせいだろうか……?




 【破壊再生】は色々な意味でギリギリです……。
 魔法少女の服が破壊できないというのは何か違うし、かといって【破壊成長】はやりすぎだし……で、運営が考えたのが【破壊再生】です。中身があれなのは……完全に運営の悪意です。はい。
 いつになったら次のイベントへ行けるのだろうか……?

第二回イベントで主人公はどう参加する?

  • メイプルとサリーと行動(ハナは不在)
  • 兄妹だけで行動
  • メイプル、サリー、ハナの三人と行動
  • ブレイブだけで行動する(ハナは不在)
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