耐性スキルのために100回死んだら、死神になりました   作:暁月 聖人

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14話

 二層に到達したその翌日、ついに、やってきた。そう大規模メンテナンスである。

 メンテが終わり、俺はすぐにログインし、4人でメンテナンス内容を確認した。

 メンテ内容はフィールドモンスターAIの強化とスキル修正だ。

 そして、予想通りの防御貫通スキルの実装である。どうやら、スキルの追加だけでなく、スキル修正により防御貫通スキルに変化したものもあるようだ。

 それに伴い、痛みが軽減。特に、()()()()()()()()()()()()

 局部に関しては俺のせいではないと思う。確かに、ドレッドに股間を蹴り上げた結果、悶絶して動けなくさせたことはあったが、そんなの誰もがやってることだろ? だって、俺もハナにやられたし。

 

「防御貫通スキルは完全にメイプル対策よ。あんたの予想通りの実装ね」

「全くだ。メイプルみたいなやつが何らかの要因で増えたら、マンネリ化するだろうからな……」

「魔法にも防御貫通があるみたいだから助かります」

「私、無敵じゃなくなっちゃった……」

 

 無敵ではなくなったメイプルが落ち込む。こうなることは分かっていたため、フォローすることにした。

 

「いいか、メイプル。イメージしろ」

「イメージ……?」

「これから先、メイプルに対峙=防御貫通スキルと言うのがテンプレになる。だが、それでも尚お前は倒れない。そして、プレイヤーを蹂躙して、恐れられるんだ。どうだ? カッコいいんじゃないか?」

「おぉ!! た、確かに!!」

「……痛い」

「しっ。分かっていても心の中に留めておくのよ」

 

 そこ! うるさいぞ! メイプルの気持ちを上げるためにフォローしたんだから!

 

「まあ、防御貫通スキルはいいとしては問題はスキル修正による弱体化、フィールドモンスターAI強化か」

「AI強化は【絶対防御】と【逆境】の取得防止でしょうね」

「両方とも凶悪ですからね」

「【逆境】に関しては狙おうとしたら難しいんだが、【絶対防御】の方は……スキル内容に対して簡単過ぎるんだよな」

「え? どういうこと?」

 

 メイプルだけが理解できていないようだ。

 

「だって、白兎と1時間遊ぶ……じゃなかった。なにもせずダメージを受けずに耐えきることだろ? ハナがやったように装備で補えばできちまうんだよな」

「その結果、擬似的なメイプルが可能になってしまうってことよ。そうしたら、みんな取っちゃうじゃない」

「そっかぁ」

「それで、スキルの弱体化だけど……」

「う、うぅ……」

「メイプルさんがまた落ち込んでいますが」

 

 防御貫通スキルの実装を知ったときみたいに落ち込むメイプル。サリーはあやすように肩を叩いた。

 

「仕方ないわよ。そういうハナも弱体化されてるんでしょ? そして、ブレイブも」

「まあな」

 

 今回弱体化されたスキルはメイプルが所持する【悪食】、俺が所持する【死への誘い】、【ケルベロス】、ハナが所持する【精霊結晶】が対象である。

 

「つうか、メイプルやハナはいいじゃんか。ただ、1日に回数制限が設けられただけだろ?」

「【悪食】は1日に10回。【精霊結晶】は1日に3回になったんだよね」

「何で、イベントに参加してないハナのスキルが弱体化されてるのかしらね」

「まあ、運営の気持ちがよく分かるぞ。ハナ、【精霊結晶】の怖いところを教えてやれ」

「分かった。いいですか、サリーさん。【精霊結晶】は独立します」

「独立?」

 

 ハナは店で買った【ハナのノート1】というノートとペンのアイテムを出して、サリーに図で説明し始めた。

 

「結晶は私の意思で動かすことができます。そして、結晶だけで魔法を出せることが判明しました」

「それってもはや結晶という形の分身じゃない!?」

「はい。だから、私が遠くで結晶を操作して、私が持つ魔法を結晶が放つことができます。そして、修正前は破壊されてもMPがある限り再召喚できてしまうんですよ」

 

 安全地帯で高みの見物ができてしまうのが【精霊結晶】の恐ろしいところだ。無限に再召喚できたら、悪食と同等くらいに卑怯(チート)だろう。

 後もうひとつ、ハナだからこそ恐ろしい要素がある。それは結晶の速度がINTによって決まることだ。

 恐らくだが、結晶のAGIはハナのINTなのだろう。だから、【賢者】や【強き弱者】によってINTが強化されているから、AGI特化プレイヤーと同等の速度が出てしまうのだ。

 しかも、結晶の大きさは推定80cmくらいなので、当てにくい。素早くて小さくて当てにくくて火力が高いとか本人以上に最悪である。

 

「運営はそれだとまずいと判断したからこの修正だ。というか、誰かが手に入れるとは思わなかったんだろうな」

「なるほどね。それで、あんたの方の弱体化は?」

「【ケルベロス】は2人と同じで回数制限が設けられて、10回までになった。さらに、30分のリキャストタイム……再使用までにかかる時間が設けられた。【死への誘い】は完全に内容の変更だな」

「というと?」

「修正前は全ての攻撃になっていたが、武器と体で攻撃したときになってる。しかも、プレイヤーのレベル差によって発動しないみたいだ」

 

 レベルが同等以上なのは当たり前として、レベル差が5より大きいプレイヤーにしか即死が発動しないようになってるな……。まあ、無理もない。運が良ければ当てるだけで最強プレイヤーを即死できるなんて運営側からしたら面白くない。

 

「だが、部位によって確率が変動するみたいだな。しかも、レベル差が関係なく発動するらしい」

「例えば、どこ?」

「頭、首、胸だな。胸の方は心臓がある中央だけだが」

「え? 心臓って左じゃないの?」

「そう思われがちですが、心臓は中央にあるんです」

「こらこら。そういう雑学は今はいいから。具体的にはどう変動するのよ」

「頭は10%、首と胸は20%に変動するらしい」

 

 とはいうが、当てるのってほぼ無理じゃね? ワンチャン心臓だけど……中央部分のみを貫いたときって限定されてるな。鎌は突くのは向いてないから難しい。

 

「弱体化が激しいけど……即死が付与される時点で凶悪よね」

「私にとって、天敵かも。レベル差あるし」

「即死はVIT(防御力)の高さなんて関係ありませんからね……」

「まあ、俺のスキル弱体化はそんな感じだな。さて、イベントまで1週間あるけど、引き続き4人で動くか?」

「ううん。分かれて行動しましょ? 取りたいスキルはバラバラでしょうし」

「そうですね」

「よーし! 各々でがんばろー!」

「「「おー!!!」」」

 

 俺達はそれを最後に各々分かれて行動することになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 運営の人全員が一仕事終えたかのような顔でお茶をすすっていた。

 実際、メンテナンスという仕事を終えたのだから間違ってない。

 

「今回のメンテは大変だったな」

「防御貫通スキルの実装だもんな」

「メイプルみたいなプレイヤー対策のためにな」

 

 第1回イベントみたいな無敵はこれで避けられただろう。

 

「そういや、ステータスポイントの設定も変えたな」

「【強き弱者】を取らせないための対策としてだろ? 非公開だけど」

 

 その対策というのはゲーム開始前に初期ステータスポイントを最低でも50ポイント振るという設定に変更したことだ。

 ハナのようなプレイヤーは流石にもう現れないとは思うが、念のための処置である。

 

「さて、1週間後にはイベントが始まるな。どうなるか楽しみだ」

「不安な要素はあるけどな」

「メイプルとブレイブ、ハナの3人だろ?」

「掲示板によるとメイプルの友達? と一緒にいたって話だが……」

「げっ!? マジか!?」

 

 運営の何人かがないないと首を振る。だが、事実彼らは4人で行動していたし、イベントでも一緒の予定なのだ。

 

「……第2回イベント、もう少し詰め込むか」

「そうだな……」

 

 メンテが終わったと思ったら今度はイベントの内容製作。運営に仕事は途切れずに続くのだった。




 次回からは第2回イベント編に突入です。予定通り4人で行くつもりなので、よろしくです。

第二回イベントで主人公はどう参加する?

  • メイプルとサリーと行動(ハナは不在)
  • 兄妹だけで行動
  • メイプル、サリー、ハナの三人と行動
  • ブレイブだけで行動する(ハナは不在)
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