耐性スキルのために100回死んだら、死神になりました   作:暁月 聖人

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 ついに、念願の第2回イベント編です。では、どうぞ。


15話

 メンテ明けから1週間が経過した。ついに、イベント開始日である。

 各々でレベリングやスキル獲得を行っていったら、もうイベント当日である。

 俺達4人は会場である二層の広場で周りを見渡していた。

 

「それにしても、たくさん来てるねぇ」

「前回よりも多くないか?」

 

 俺とメイプルは周りを見渡しながら呟く。

 前回から日が開いてる。その分、新規ユーザーは増えてるため、当然の結果と言える。

 

「……なあ」

「何?」

「俺達……いや、俺、注目されてね?」

「あんた、前回イベント2位でしょ? 当然じゃない」

「まあ、そうなんだけどな」

 

 だったら、この突き刺さる視線は何? 聞こえてくる舌打ちは何? 全身から感じ取れる殺意は何!?

 

「いえ、おかしいですよ。だって、ここに3位がいるじゃないですか」

「え? でも、私、そこまで目立ったことはしてないよ?」

「……そうね。確かに、ハナちゃんの言うとおりね。どうしてかしら?」

「あれぇ?」

 

 完全にメイプルの発言をスルーして、サリーは疑問を口にした。

 まあ、俺は薄々感づいてる。どうせ、男の嫉妬だろう。

 こんな美少女(内1名は妹)3人に囲まれているのだ。女に餓えてる男なら嫉妬するだろうな。

 

「よう」

「あ! クロムさん!」

「おう、クロムか」

 

 周りを気にしてるとクロムが話しかけてきた。そして、そっと俺の肩に手を置いた。

 

「頑張れよな」

「え? 何? どういうこと?」

 

 クロムは憐れみを込められた声で励まされる。俺は戸惑っていたが、すぐに何かを察した。

 

「クロム、教えろ。掲示板内で俺はどんな評価なんだ!?」

「し、知らぬが仏って言葉があるぞ……」

 

 視線をそらして答えようとしない。それだけでも、俺の評価がどんなものかある程度察しされた。

 時々、ロリコン神とかタラシ神とか聞こえてくるから聞きたくないくらい最低な評価なのだろう。これ以上クロムに聞くのを止めた。

 あはは。おかしいな。女性プレイヤーと組んでる男性プレイヤーなんてたくさんいるだろ? 俺だけ目の敵にされるなんて……理不尽だ。

 クロムと軽く会話していると前回も登場したヘンテコドラゴンが出てきた。

 

『ガォ~! 今回のイベントは探索ドラ! 目玉は転移先のフィールドに散らばる300枚の銀のメダルドラ! これを10枚集めると金のメダルに、金のメダルはイベント終了後にスキルや装備品に交換できるドラ』

「金のメダル?」

 

 そういえば、第1回イベントでもらったような……。

 そう思っていると金のメダルと銀のメダルの所持枚数のウィンドウが全プレイヤー一斉に表示される。

 俺の思った通り金メダルには1枚所持表示がされていた。

 

『前回イベント10位以内の方は既に金のメダルを一枚持っているドラよ。倒して奪い取るもよし、我関せずと探索に励むもよしドラ!』

 

 全損しても装備品は落とさないがプレイヤーに倒されたらメダルは落ちること。リスボーン地点は転移初期地であること。イベント期間は1週間だが、時間を加速させているため、現実では2時間しか経たないことと説明が続く。

 全ての説明が終わり、俺達はスタート地点に転送された。

 

「草原だな」

 

 俺達が転移したのはちらほらとゴブリンがいる見渡す限りの草原だった。

 

「きれー!」

「本当ね」

「これから1週間4人で活動していくわけですね」

「現実は2時間しか経ってないんだがな」

 

 とりあえず、ゴブリンを倒しつつ草原を探索する。そして、2時間が経過したが一向に成果はない。

 

「……ここ、焼け野原にしましょうよ?」

「ちょっ!? 草原ばっかりでつまらないのは分かるけど、それはなしよ!!」

「そうだよ! こんなに綺麗なのに!」

 

 何かハナの目のハイライトが消えてる。物騒な発言もしてるし!

 

「はぁ。敵はゴブリンばっかだもんなぁ……ん?」

 

 また見えてくるゴブリンにガックリとしているとゴブリンが地面に消えていった。

 

「え? 何が起きた?」

「どうしたの?」

「ご、ゴブリンが地面に消えたんだよ!」

「ブレイブ。頭おかしくなったの?」

 

 さっきまで物騒な発言してたお前にはいわれたくない。

 

「……もしかして……【ウィンドカッター】!」

 

 サリーは何かに気づいたらしく、ゴブリンが消えていったところに向かって魔法を放つ。

 風の魔法がそこに纏っていた何かを吹き飛ばし、階段が現れた。

 

「え!? 何で階段が現れたの!?」

「蜃気楼……そっか。幻で隠れていたんだ。運営め、いやらしいことする……」

 

 ちっとハナが小さく舌打ちをしたが、俺は聞かなかったことにした。最近、ハナの運営に対する評価が低いなぁ。きっと、今つけてる装備が関係してるんだろうなぁ。

 

「兎に角、入るか」

「メダルがあるといいね」

 

 隠し階段を降りてダンジョンへ入る。

 中に入るとゴブリンが徘徊している。草原にいたのはゴブリンだけだったし、ここはゴブリンのダンジョンなのかもな。

 俺達はメダルを手に入れるためにダンジョンを探索する。

 因みに、メイプルには【悪食】を温存してもらうためにいつもとは違う白い盾を使ってもらってる。

 

「ゴブリンばっかりですね」

 

 自前の魔法でゴブリンを倒していくハナがうんざりした調子で言う。

 

「そうみたいね。っと別れ道」

「どっち行く?」

 

 またも出てきた別れ道に俺は3人に聞く。

 

「右!」

「じゃあ、右な」

 

 メイプルから右に行くという提案が元気よく上がり、俺達は右に進む。

 途中で何回もゴブリンに接触したが、その度に俺達4人で何事もなく倒す。

 その時に気づいたが……サリーが恐ろしく強いのだ。

 学校で体育の時間にサリーが難なく運動をこなすところを見てスゲェ運動神経だなぁとか思っていたが……。

 

「サリーさん、何で予知してるかのように避けれるんですか?」

「んー、経験かな」

 

 自分の回避能力をもっと高めたい(主な理由は装備のせいなのだが……)と思っていたハナがサリーに聞く。

 サリーはゴブリンの顔面に短剣で切りつけながら返事する。いや、経験でどうにかなるもんなの!?

 

「そういうあんた達も避けるのうまいじゃない。私の見立てだと……動体視力が高い?」

 

 周りにいたゴブリンがいなくなったところでサリーが俺とハナに向かってニヤリと笑って言う。

 動体視力が高い? 何の話だ?

 

「はい。どうも、私達は他の人達よりも動体視力が優れてるらしいです。遺伝って話を父から聞きました」

「そうなの!?」

 

 ハナの話に俺は目を丸くして驚く。

 俺、初耳なんですが……。

 

「何でブレイブが驚いてるの?」

「いや、俺が動体視力が高いなんて知らないし……」

「自覚がないだけだよ。心当たりない?」

 

 ハナに言われて俺は体育の時間を思い起こすがやっぱり心当たりはない。

 

「……そういえば、バレーはよくボールを取ってたよね?」

「ん? まあな」

「ドッジボールとかよくボールを受け止めてたし、サッカーでゴールキーパーしてる時も全部拾ってたような……」

「そりゃ、そこまで球は速くなかったし……」

 

 ……でも、中にはプロもいるんだよな。そういえば、渾身のシュートを受け止められた!? とかってうちの学校のサッカー部員が泣いてたような……。

 

「……話はそこまで」

「サリーもそれなりに【気配察知】を高めてるみたいでよかったよ」

 

 サリーと俺が警戒を高める。俺達がいる部屋にゴブリンが集まってきてるのだ。

 メイプルやハナも俺とサリーの反応を見て警戒を高める。

 

「この部屋の出入口は2つか」

「ブレイブはメイプルさんと向こうを、私とサリーさんがもう一つを対応します」

「OK」

「うん、分かった」

「じゃ、行くぞ。メイプル、援護よろ!」

 

 俺はこっちに向かってくるゴブリンの群れに向かって駆け出した。

 

「【破拳】!」

 

 俺はゴブリンの腹に正拳突きを入れて、鎌を大きく振るう。

 

「【毒竜(ヒドラ)】!」

 

 ここで、メイプルからの支援の毒魔法が飛んできた。

 三首の竜はゴブリンを襲い、辺りが毒沼状態に。俺じゃなかったら死んでるぞ!

 味方であっても死にかねない毒沼の中で俺は鎌を振るって戦う。と言っても、ものの数分でおわったが。

 

「うぇー……」

 

 改めて戦い跡を見てみると大分酷い……。毒沼にゴブリンが沈んでいた。こんなところで平気な顔で戦っていたんだな……。

 俺はこのとき、【毒無効】を獲得して本当によかったと思った。

 

「やったー!!」

 

 メイプルが敵を倒せたことに笑顔を見せる。とてもこの現状をやってのけたプレイヤーには見えないだろう。何故かあの笑顔に恐怖を覚えた……。

 

「そっちは終わったの……って」

「これは……流石、毒魔法ですね」

 

 向こうも終わったらしくこちらに来たのだが、毒沼を見て軽く引いていた。

 

「この中で戦ったの……?」

「まあ、俺には毒は効かないし……」

「それにしたって……ない」

 

 しかも、俺のことも引く始末だ。なんでこうなるんだよ……。

 

「【ウォーターボール】」

「ぶぉっ!? な、何しやがる!」

「綺麗にしただけ。ほら、しゃがんでよ」

 

 ハナが俺に向けて水魔法をかけて、びしょ濡れにしたと思ったら、いきなりの命令。俺、兄なのに、扱い酷くね?

 

「こんな毒沼に入れないんだから、肩車してよ」

「はいはい……」

「え? どういうこと?」

 

 ハナが言いたいことを理解して仕方なく肩車をしてやる。

 メイプルがハナの言いたいことが分からずに戸惑う。

 

「メイプル、魔法やスキルと言ったものは味方にダメージを与えないけど、それによって出来た地形はダメージを食らうの。あの毒沼みたいに」

「そっかー。じゃあ、サリーもブレイブに抱えて運んでもらわないとね!」

「「は、はい?」」

 

 サリーがメイプルに説明したあと、メイプルが爆弾を投下する。これには俺もサリーも顔を赤くしてしまった。

 

「ちょっ!? な、なんで!?」

「いいじゃないですかー。妹の私が許可を出すので、どうぞブレイブに抱えられてください」

「何でお前まで乗ってくるんだよ!?」

 

 肩車してるから顔はよく分からないが、声のトーンや口調からニヤニヤしてるのだけは分かる。

 

「とりあえず、装備を外しておいたら?」

「いや、あの……」

 

 サリーが戸惑いを見せていたが、メイプルが何やら耳打ちした瞬間、さらに、顔が赤くなる。

 サリーはついに装備を外した。

 

「よ、よろしくお願いします……」

「お、おう……」

 

 え? 何でこうなるの?

 俺も戸惑い、サリーを抱える。ハナが肩車をしている関係上お姫様抱っこである。

 

「た、頼むから茹で蛸のように顔を赤くしないでくれ!」

「し、仕方ないでしょ! 恥ずかしいのよ!!」

 

 だったら、これ以外の手段を考えてくれ!!

 毒沼を突破する間だけとはいえ、俺はハナとサリーを運んだ。

 毒沼を突破したあと、ボス部屋まで難なく進み、ボスもあっさりと倒すのだった。

第二回イベントで主人公はどう参加する?

  • メイプルとサリーと行動(ハナは不在)
  • 兄妹だけで行動
  • メイプル、サリー、ハナの三人と行動
  • ブレイブだけで行動する(ハナは不在)
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