耐性スキルのために100回死んだら、死神になりました   作:暁月 聖人

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 皆さん、お久しぶりです。長らく空けてすみません……。
 少しずつではありますが投稿を再開していこうと思います。これからもこの小説を読んでくださると幸いです。


19話

 魔方陣で転移した場所は廃墟だった。

 場所はちょうどスタート地点から反対に位置していた。

 転移直後は勿論移動中もプレイヤーを警戒した。

 

「プレイヤーがいるな」

「ええ。3人かしら?」

 

 俺とサリーの【気配察知】にプレイヤーが引っ掛かかった。

 

「【ケルベロス】が使えるぞ」

「そういえば、全く使ってなかったわね」

 

 俺はあの戦闘では【ケルベロス】を使ってなかった。というのも、ケルベロスがいるとヘイト管理が面倒だったからだ。

 ケルベロスは派手に暴れてくれるお陰でヘイトを集めてくれる。だが、召喚時間はたったの2分だし、いなくなった後、怪鳥が向けられる矛先のことを考えるとゾッとする。

 

「メイプルさん、【悪食】の残り回数は?」

「1回だよ」

「メイプルに襲ってくることを考えると避けた方が良さそうね」

 

 俺達はプレイヤーとの戦闘を避け、廃墟から森に移動した。

 プレイヤーがうろつく廃墟に対し、森はモンスターが出てくるのだが、あの怪鳥に比べたら雑魚であった。

 だが、歩いてもメダルがありそうな洞窟やら建物やらはなかった。

 

「そういや、あの戦闘でレベル上がった?」

 

 モンスターとエンカウントされないように木の上に上ったところで俺がふとそんなことを3人に聞いた。

 

「当たり前よ! ブレイブは?」

「レベルは上がったけど、ステ振りはしない。貯めてから行うようにしてるから」

「そう。私達はステ振りしましょ」

「うん」

「そうですね」

 

 3人ともステ振りを始めた。と言っても、3人ともどう振るのか決めていたからすぐに終わったが。

 

「さて、これからどうする?」

 

 3人がステ振りを終わらせたところで俺は今後の話をすることにした。

 

「あの森みたいな夜のイベントを探しますか?」

「悪食は12時になったら、回数は回復するし、深夜探索だね!」

「私はそれで問題ないわ。ブレイブは?」

「特に反論はなし」

 

 俺達は日付が変わるまで休憩をとることにする。

 深夜0時を過ぎたところで、木から下り、森探索を開始した。

 探索中は時折梟が襲ってくるが、ダメージがないメイプルを除いて回避して対応した。

 

「あれは……?」

 

 探索してから1時間半、光る何かを発見した。

 

「行きますか?」

「行こう!」

「慎重にね。プレイヤーかもしれないから」

 

 サリーの注意に俺達は頷く。

 俺とサリーは【気配遮断】を使って、忍び足で近づく。そこにあったのは竹林だった。

 

「これは……竹取物語をモチーフにしてんのか?」

「え!? ってことはこれを切ったら、月のお姫様の赤ん坊が!?」

「そんなわけないでしょ」

 

 とサリーは口にしてるが、内心は本当にいたらどうしようと悩んでいるようだ。

 正直、俺も躊躇いがある。メダルだと思うが……それでも、かぐや姫が眠ってる竹に見えてしまうので、中に人がいると思えてしまうのだ。

 

「【ウィンドカッター】」

 

 そんな中、何の躊躇もなしに魔法で竹を割ったのは……ハナだった。それも、中心を水平に割ってみせた。

 

「普通に考えれば、モンスターかメダルに決まってるじゃないですか。何を躊躇してるんですか?」

「お前、本当現実的な頭してるよなぁ……」

 

 もう少し夢というものを持ってほしいよ、兄としては。

 

「な、何はともあれ! メダルゲットぉ!!」

「そうね。でも……そう簡単に終わらないみたいよ」

 

 サリーがそう言うと武器を構える。

 茂みから角兎が現れる。その数は100以上はいるかもしれない。

 

「月の兎が怒ってるってか?」

「数が多いですね。サリーさんはメイプルさんを守ってください。貫通攻撃かもしれません」

「わかった」

「私は?」

「メイプルはサリーを【カバー】で守ってくれ。ようはお互いに守れだな」

 

 メイプルの【毒竜(ヒドラ)】は強力な範囲攻撃だ。だが、毒沼が発生してしまうのが難点だ。俺は問題なくても、サリーとハナはそうはいかない。

 特に、ハナは回避することを意識するためか大振りな回避をすることがある。その際に、毒沼にはまったら大変だ。

 

「今回は俺達に任せてくれ」

「行きますよ」

 

 数はいても、固まって行動しているからか全滅するのに時間はかからなかった。

 

「う、うわぁ……」

「ここら辺、竹林だったのに、荒れ地になってるね」

 

 周りを見てみると竹は殆ど炭になっていたり、バラバラに切られたりしており、茂みはほぼなくなっていた。

 俺とハナがバンバン火の魔法で倒していったのが原因である。竹が邪魔だったから燃やす意味でも使っていたのだ。

 

「まさかとは思うけど、こんなことを他の場所でもしてないわよね?」

「あー……」

「地形が変わったような場所も……あったかもしれませんね」

「……そう」

 

 気持ちは分かるけど、ドン引きするのは止めてくれ!

 大体! 大半はハナの魔法だからな!!

 

 

 

 

 

 

 

 俺達はメダルが見つかったことを区切りにして、見張りを2人で担当しつつ、交代で木の上で眠ることにする。

 日が昇ったところで、探索を再開する。メイプルより森を突っ切ることを提案された。特に問題がないため、森を真っ直ぐに進む。

 その際に何回もプレイヤーにエンカウントするが……メイプルの【パラライズシャウト】で麻痺状態にして、ハナの範囲魔法で一掃していった。奇襲されることもあったが、同様に麻痺らせて、範囲魔法で終わった。

 しかし、気になることがある。奇襲してきたとき、真っ先に俺を狙ってきたのだ。明らかに、俺を見つけて襲いかかってきてた。死神め! 我らSMIが成敗してくれる! とか言ってたが、何なんだろうな?

 サリーから恨みを買ったんじゃないの? と言われたが、心当たりが全くない。いや、本当にないからな? PKなんてイベントでない限りやらなかったし……。

 

 閑話休題

 

 探索を開始して2時間くらい経過した頃、ついに、森の外が見えた。

 

「やっとかぁ……はぁー……」

「長いため息だね」

「無理もないわ。あれだけ狙われたら……ね?」

 

 めっちゃ疲れた……。俺、ほぼ攻撃してないのに、何で一番疲れてんの? あり得ないんですけどぉ……。

 目の前に広がる渓谷。この中にもプレイヤーがおり、俺を狙う輩がいるんだろうなぁ。

 

「さて! 森から出るためにも下りるか!」

「今、絶対現実逃避した」

「情けないですよねぇ」

 

 そこ! うるさいぞ! 心に刺さるから止めてくれ……。

 

「しかし、どう下りたものか……」

「私達は下りれそうな足場を見つけて下りる。で、メイプルは……」

「【カバームーブ】で移動ですね。安定的に下りれそうなサリーさんが移動先にした方が良さそうですね」

「うーんと……え? あ、うん。そうだね!」

 

 俺達が渓谷の下を見ながら相談して、どう下りるかを決めているとメイプルはなにやら画面ウィンドウをいじっていた。

 

「……?」

「どうしたの、ブレイブ?」

「いや、何でもない」

 

 何だ? 悪寒がするぞ……? まさか、襲われるんじゃないだろうな? ……いや、さすがにないか。

 俺達はメイプルを残して崖を降りていく。足場は意外に見つけにくく、気づけば、俺が一番遅れていた。

 やっべ。急ごう……お?

 

「あれは……」

 

 光る何かを下りる途中で見つけた。メダルかもしれない!

 俺は必死にその光へ続く足場を見つけて移動する。ようやくたどり着き、メダルを拾った。やったね!

 その時、俺の背筋に電流走る。ふと上を見上げると……。

 

「え……?」

 

 紫色の球体が俺に向かって転がってきていた。

 

「ちょっ!? まっ!?」

 

 俺と紫色の球体が衝突し、一緒になって下へ転がっていった。

 僅かずつ削られていくHP。全身に少しだが痛みが走る。

 一体何が起こったと言うんだと心の中で叫び、俺は混乱しながら下っていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私は崖を下りきるとメイプルに連絡をとった。メイプルからは少し離れてって連絡が来たけど、何かする気よね……。

 

「ブレイブはまだ降りてますよねぇ。どこでしょう……?」

 

 連絡が取り終えた辺りで降りきったハナちゃんが崖を見上げてブレイブを探していた。私とハナはヒョイヒョイと簡単に降りていたけど、ブレイブは手間取ってしまったみたい。

 私も探してるけどいないわね……ん?

 

「なに、あれ……?」

「紫の物体が上から転がってきてます……何かが巻き込まれてませんか?」

 

 確かに、崖の上から紫色の球体が転がってきている。しかも、ハナちゃんが言うように黒い何かが巻き込まれているみたい。

 まず間違いなくだけど、あの球体はメイプルね。じゃあ、あの巻き込まれてるのは……?

 球体はあちこちでぶつかりながらも私達のところまで転がり降りてきた。

 球体は落下の衝撃で粘つく紫の液体を撒き散らし、中からメイプルが出てきて、巻き込まれていた何かの上に乗った。

 

「うぅ……目が回る……」

「ぅ……ぐ……ぁ……」

「「ブレイブ!?」」

 

 巻き込まれていたのはブレイブだった。みつかないわけね……じゃない!

 

「め、メイプル! 早く降りて!!」

「え……? あっ!?」

「ブレイブ、大丈夫? 死んだ?」

「生きてる……わ。ボケェ……」

 

 メイプルは毒液まみれになって、呻いていたブレイブから降りて、すぐに謝った。

 何がどうなったらこうなるのよ……?

 

「怖かった……。メダルを拾ったと思ったら紫の球体が襲いかかってきて……一緒になって転がされたんだぞ……? 何か毒まみれだし、HPが減ってるし、痛かったし……」

「え? メダル? スゴい」

「ハナ? 称賛の前にさ。慰めてくれない? 全然嬉しくないし、泣けてくるよ?」

「本当にごめん! ごめんなさーい!!」

 

 同情するわ……。あんた、本当災難ね……。

 後で聞いた話だけど、あの球体は【ヴェノムカプセル】というスキルによるものだった。

 相手を毒のカプセルに閉じ込めるというスキルで、自分を対象に向け、カプセルに閉じ籠った状態で崖をおりていったみたい。

 メイプルは毒耐性スキルがないと徐々にHPが減るけど、楽しいよ! とか言っていたけど、私は遠慮願いたいわ……。

 あと、崖を下りる時は先にメイプルを行かせよう。そうしよう。ブレイブのような目には遭いたくないもの。




 因みに、ブレイブのHPが減ったのは転がる【ヴェノムカプセル】に巻き込まれたことにより体が地面に擦れたことが要因です。……減りますよね、HP……?

第二回イベントで主人公はどう参加する?

  • メイプルとサリーと行動(ハナは不在)
  • 兄妹だけで行動
  • メイプル、サリー、ハナの三人と行動
  • ブレイブだけで行動する(ハナは不在)
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