耐性スキルのために100回死んだら、死神になりました 作:暁月 聖人
崖を下りても傾斜は続いていた。厄介なことに濃い霧が広がっており、段差がよく見えなかった。
段差とプレイヤーの奇襲に気を付けながら、濃霧の中を進む。
こういうとき、メイプルのVITの高さが羨ましい。何せ、段差で転んだところでダメージは受けないし、痛みはないからな。
「この霧はどこまで続いてるんだろうな」
「前が見えないよぉ」
「メダルが地面にあったとしても分からないしね」
「風の魔法で吹き飛ばします?」
「ダメよ。この霧は私達の身を隠す役目があるんだから」
「そもそもこの濃さじゃあ、吹き飛ばしきれないよな」
俺達がそんな会話をしていると水音が聞こえてきた。
「近くに水場がある!?」
「あの方向から聞こえてくるな」
俺達は水音を頼りに霧の中を進む。やがて、小さな川が見えてきた。
川に到着すると岩の裂け目も見つけ、そこを拠点とし、休憩を取ることにした。
「卵を確認しよう!」
メイプルがそう言うので、俺を除いた3人が卵を出した。
「これって無くなったりしませんか?」
「2時間放置すると消えるって言うゲームシステムか」
基本的にアイテムはしまうし、【魂の共鳴】で操ってるアイテムは2時間経っても消えないから忘れそうになる。
「だったら、2時間経ったらしまうことにしましょ」
「そうですね」
「えっと……温めないといけないよね。人肌かな?」
メイプルは装備を外して卵を温め始める。それを見て、2人も卵を温め始めた。
そして、その間暇な俺は見張りを行いつつ、メイプルから借りたけん玉で遊んだ。別に、寂しいとか思ってない。決して思ってないんだからな!
「それで、これからどうする?」
俺は飛行機という大技を決めつつ、外を見て言った。
外は未だに霧が立ち込めていた。
「川沿いに探索なんでどうですか?」
「そうね。それなら拠点に戻ってこれるし」
俺達は1時間拠点で休憩すると探索に出掛けた。
上流を目指して探索を開始し、メイプルが進むには困難な地形に出くわすも【カバームーブ】で進むことで解決させた。
そうして開始して1時間で泉に到着した。
「結構深そうね……」
「【水泳】と【潜水】が必要になるわけか」
俺達の中でその2つのスキルを持ってるのは最大レベルまで引き上げたサリーと探索するのに役立つと考えて取得した俺だけだ。
俺とサリーで泉を探索する。俺の方は収穫はなかったが、サリーは杖を手に入れてきた。【水魔法強化】と【火魔法強化】がついている杖で、ハナしか扱えない武器だが……。
「いらない」
「え? でも、付与スキルは結構強いよ?」
「ステータスが低いですし、付与スキルは強いですけど、多属性の魔法を使うので……」
「うーん。でも、ボスの中には特定の属性しか効かないなんてパターンがあるの」
「あー、確かにな」
いるな、その手のボス。スッゲェ厄介で、物理でごり押しすることがあるんだよな。
「一応持っておいて損はないんじゃないか?」
「……そうですね。では」
ハナは杖をもらい、俺達は一旦拠点に戻ることにする。
何かあると思い拠点に戻るまで探してみたが、収穫はなかった。この渓谷は多分外れだな。
拠点につくと再び3人は卵を温める。俺はまたけん玉で遊ぶ。寂しい……。
「どんな子が生まれるんだろうねぇ」
「私のは黄色いですからピカ○ュウです」
「そうだったらここの運営、著作権違反で訴えられるわよ……?」
2時間になりそうなところでインベリトリにしまい、再度出してまた卵を温める。そうして拠点に戻って3時間くらい経過したところでそんな会話が聞こえてきた。
というかハナ、冗談だろうがそれは口にしてはいけない類いのものだからな……。
「はっはっはー。案外サリーのは毒竜だったりしてな。紫色っぽいし」
「私もそれは思った!」
「毒竜かぁ……毒沼まみれになって、身動きとれそうにないから嫌だな」
「実用性の問題かよ……」
そこは可愛くないとかじゃないのか? 流石、ゲーマー……。
「なら、メイプルさんのは何の卵でしょう?」
「緑だから草食の動物かしら?」
「いや、植物だろ。食肉植物。ほら、薔薇の蔓で、牙が生えた花が咲くようなやつ」
「「「それは絶対にあり得ない!!!」」」
ギろっとした怖い顔で否定される。その顔から何てものを例えに出すんだと訴えていることはすぐに分かった。
だが、実際にその手の類いが生まれるかもしれないじゃないか。ハナの言うような著作権には引っ掛からないし。当たったら嬉しくないだろうが……。
「鹿とかじゃないかな?」
「いえ、緑の動物ですよ。ワニとかじゃないですか?」
「食べられるよぉ」
「いや、メイプルの場合食べられるけど、堅いから牙が折れるわね」
「あり得そうです」
「ん? おい。卵にヒビが!?」
「「「え?」」」
俺がふと3つの卵を見るとヒビが入るのが見えて驚きの声をあげる。
そして、ついに3つの卵が孵化して3体の動物が生まれた。
メイプルの卵からは亀。サリーの卵からは狐。そして、ハナの卵からはイタチが出てきた。
3体とも大きさは卵と同じくらい。親と認識した各々の元へトコトコと可愛らしく歩き始めた。
「わぁ! 可愛いね!」
「はい」
「まさか、狐やイタチが出てくるなんて。モンスターだから関係ないのかも」
殻は指輪に変わっており、亀を抱えたメイプルがそれを拾って、『絆の架け橋』という生まれたモンスターと共闘するには必要な装備品らしい。死んでもその指輪で1日休むのだとか。
「死ぬと消えるじゃなくてよかったですね」
「本当にね」
「ステータスが見えます」
そう言ってハナはステータス画面を見る。メイプルやサリーも同様に見始めた。
3匹の名前は共にノーネームとなっており、主が名前をつけないといけないらしく、名付けを始めた。
「シロップ! 私がメイプルだから、合わせてメイプルシロップ!」
「私は……朧でどう?」
もうメイプルとサリーは名前を決めたらしく、名前を気に入ったシロップと朧は主と触れ合う。
残るハナはと言えば……悩んでいるらしい。
しかし、魔法少女でイタチか……。ハナの見た目や格好のせいかとある魔法少女作品のフェレットのキャラクターを思い出した。いや、あれは正確にはフェレットに変身した人間か。
「花の名前……カモミール。私、好きだし。あ、略してカモかな?」
「それは止めとけぇ!?」
ハナがとんでもない名前をチョイスして止めに入る。それにハナが首をかしげた。
「何で?」
「いや、その名前は……。これから先このイタチが変態親父に見えてくるから……」
別の作品に出てくるオコジョにちょうどそんな名前のやつがいる。そいつはいろんな意味で酷かった。
主人公の使い魔ってポジションなのだが、出会い方が下着泥棒戦犯2000件で捕まったところを助けてもらったというものだ。つまるところ、正真正銘の変態である。変態は皆味方という考えがあるくらいだ。
その反面サポート面では優秀とはいえ、そんなやつの名前を付けるなんてこのイタチが可哀想である。
サリーはその作品を知ってるのか苦笑していた。メイプルは当然ハナと同じように首をかしげていた。
「よく分からないけど、変えるよ。なら、ランタナ」
「ランタナ? それも花の名前なの?」
「はい。協力って花言葉があるんですよ。ランタナ、それが君の名前」
そう言うとランタナと名付けられたイタチはハナに頬を擦り寄せた。
その後、3匹は主のステータスと同じ偏りがあったことやシロップがメイプルよりAGIが高かったことが判明し、テイムモンスターと楽しく遊んだ。
そう、3人は各々のテイムモンスターと楽しく遊んでいるのだ。俺? それを眺めてるだけですが?
「……【ケルベロス】」
それを眺めていた俺は疎外感を感じて、耐えられなくなってケルベロスを呼び出した。
「ちょっ!? なに呼んでるのよ!?」
「うっせぇ! お前らだけ羨ましいんだよ! ケルベロスぅ。2分だけでいいから俺を癒してぇ……」
「「「くぅーん?」」」
いきなりの俺の暴挙にサリーが声をあげる。
ケルベロスは状況が分からないで首を傾げていたが、俺に三つ首を差し出してくれた。
「よしよし。お前らは可愛いなぁ」
「頭がおかしくなってます」
「いいなぁ」
「え? そう……?」
モフモフとした感触はないけど、癒されるんだよなぁ。俺のなでなででケルベロスは嬉しそうだし。
召喚時間が終わるとケルベロスは消えてしまった。だが、いい気晴らしになったな。ありがとう、ケルベロス。
因みに、俺がケルベロスの戯れている間、3人はテイムモンスターを育成していたようだ。
やり方は簡単。メイプルがモンスターを麻痺させ、それをテイムモンスターに倒させるというものだ。レベルも上がったらしく、スキルが増えて喜んでいた。
俺もほしいな。テイムモンスター……。
ネタがリ○なのだけだとおもった? いえ、魔法でイタチ系といったらあの子もそうでしょ? 色は白だけども……。
第二回イベントで主人公はどう参加する?
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メイプルとサリーと行動(ハナは不在)
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兄妹だけで行動
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メイプル、サリー、ハナの三人と行動
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ブレイブだけで行動する(ハナは不在)