耐性スキルのために100回死んだら、死神になりました   作:暁月 聖人

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 偽物達の戦いはこれで終わりです。


22話

 俺とサリーの2人は苦戦していた。

 相手は偽物のメイプルとハナのタッグだ。しかも、ボス扱いのせいなのかオリジナルよりも強化してるせいなのか、即死が効かないっぽい。

 時間をかけてメイプルの首やら胸やら頭やらに攻撃しまくって即死にならないからほぼ間違いないと思う。

 

「おい、サリー。これ、どうするよ?」

「ハナちゃんを狙うわよ」

「だが……」

 

 相手の基本スタンスはハナが攻撃でメイプルが守りというものだ。ハナを攻撃しようものならもれなくメイプルの【カバー】がついてくる。

 

「【カバー】してくること前提よ。いい? メイプルの【カバー】は異常な程強力だけど、防御貫通スキルは通るの」

「あ、そうか。なるほど」

 

 俺とサリーは頷いて二手に別れ、ハナへ接近する。

 だが、それを許すハナとメイプルではない。

 

「あははっ!【フレアドライブ】」

「【毒竜(ヒドラ)】」

 

 偽ハナは魔法を俺に向けて【精霊結晶】により数を倍にして放つ。それに対して、偽メイプルはサリーに向けて毒竜を放つ。

 サリーは攻撃を避け、近づくが、俺はそうは行かない。避けようとすると魔法を操作して当ててくる可能性がある。遠くなら避けられるが、近くだと流石に無理がある。なら。

 

「切り捨てる!」

 

 俺は鎌を構え、魔法を切り裂いて接近した。

 

「【ディフェンスブレイク】!」

 

 先に接近していたサリーが偽ハナに向けて剣を振るう。

 

「【カバー】」

 

 それを偽メイプルに防がれるが偽メイプルにダメージが初めて入った。俺も空かさずに攻撃する。

 

「【ブレイカーサイズ】!」

「【カバー】」

「【激雷】」

「あっぶな!?」

 

 偽メイプルに防がれた後ですぐに後退する。その直後に雷が落ちた。当たったら死んでたかも。復活するけど。

 

「【ヒール】」

「うっわ! ハナの魔法でメイプルが完全回復!?」

「本当に最悪よ。絶対またやったら繰り返しね」

「【毒竜(ヒドラ)】」

「【激流】、【操作】」

 

 偽ハナと偽メイプルが攻撃してくる。俺とサリーは避けつつ、どうやって攻略するか思考する。

 

「しかし、おかしいだろ、あのメイプル。何でそんなに【毒竜(ヒドラ)】連発してくんの?」

 

 偽メイプルは撒き散らした毒を吸収し、【毒竜(ヒドラ)】を再度放つことができるらしい。本物のメイプルは次の【毒竜(ヒドラ)】を撃つのに時間を少し要するが、偽メイプルはオリジナルが持っていないそのスキルのお陰でそうではないようだ。

 

「唯一の救いは【パラライズシャウト】を使わないことね」

「だが、どうする? 【悪食】は早々に無くしたが、それ以外は健在。ハナは切り札のあの魔法2つ使ってないぞ?」

 

 俺達は相手の攻撃を躱しながら器用に作戦会議する。

 

「……先にメイプルを倒す」

「速かれ遅かれ倒すことになるだろうし、大きな問題だから分かるが、どうやって?」

 

 防御貫通スキルを使って攻撃したらハナに回復されるのがオチだ。

 

「ブレイブ。あんたが頼りよ。何とかして一撃で【不屈の守護者】を発動させて」

「無茶振り要求!?」

 

 俺にそんなことできると思いですか!? いや、マジの目だ。でも、どうやってだよ……?

 というか、偽メイプルを倒すの俺にぶん投げですかぁ? 無責任すぎません?

 

「メイプル1人ならあたし1人で何とか倒せるの。でも、ハナがいるとお手上げよ。私の体力がなくなるまで泥試合」

「そのハナを倒そうにもメイプルの【カバー】のせいで届かない。防御貫通スキルで攻撃しても即行で回復される。だからこそ、メイプルを先に何とかして倒すと?」

「……ねえ。本当に無理?」

 

 サリーに聞かれ、俺は自分のスキルを思い出して考える。

 ……可能性は無いわけではない。だが、俺の死のリスクが高過ぎる……。

 

「【逆境】、さらに、【暗黒化】で強化。その上で、防御貫通スキルを使う……だが……」

「それってHPが1であることが最低条件よね? しかも、【起死回生】を使うこと前提で」

「いや、うまくすればその必要はない。【暗黒化】のデメリットを逆に利用する」

「あ、そっか……」

 

 どのゲームでもそうだが、HPを代償に使用するスキルというのはHPが1になる場合がある。勿論死ぬゲームもあるが大体はHPが1は必ず残るか残ってなければ使えないように設定されてるかのどちらかだ。

 問題はこのスキルがどちらの仕様なのかということだ。これは賭けでしかない。

 

「無理なら【起死回生】だな」

「せめて一発は当たってもいいようにはしてほしいわ」

 

 だが、これには問題がある。HPを3割以下まで態々減らさないといけないということだ。

 

「あはははっ! 【毒竜(ヒドラ)】!」

「くっ!」

 

 偽メイプルが放ってきた攻撃を俺はわざと受けてみる。HPが半分以下まで削られる。それでも3割を切らない。

 

「何やってんのよ!?」

「【ヒール】。HP調整だ。これなら」

「【エクスプロージョン】」

 

 偽ハナによる爆発が起きる。俺とサリーは大きく後ろへ移動することでそれを回避した。

 

「【ヒール】。俺が【毒竜(ヒドラ)】を食らったら作戦開始だ」

「わかった。メイプルが【不屈の守護者】使用した後は任せて」

「おう。任せた」

 

 俺はサリーにサムズアップすると偽メイプルに接近した。

 

「【毒竜《ヒドラ》】」

「ぐっ。勝負だ。【暗黒化】!!」

 

 俺は自分のHPが3割を切ったところで【暗黒化】を発動させる。すると俺のHPが1になり、全身が黒に染まった。

 

「【超加速】」

 

 さらに、ダメ押しでAGIを強化し、【毒竜(ヒドラ)】を放とうとする偽メイプルへ一瞬で接近した。

 

「【テンペストボール】」

「甘い! 【ブレイカーサイズ】!!」

 

 そんな俺に偽ハナが魔法を放つがAGIを大幅に強化された俺はすぐに切り裂き、偽メイプルの背中に防御貫通スキルを当てる。

 【逆境】+【暗黒化】による5倍ステータス強化。さらに、【逆境】によるスキル威力3倍で、防御貫通スキルだ。何とか【不屈の守護者】を発動させてくれ!

 そう願って偽メイプルのHPを見るとほぼ無くなっていた。つまり、【不屈の守護者】を発動させることができたのだ。

 

「【超加速】! 【ディフェンスブレイク】!!」

 

 そこにサリーによる追撃が入り、偽メイプルは消滅した。

 

「「…………後は……」」

 

 俺達はギロリと偽ハナの方に鋭い視線を送る。

 偽ハナは後退りして、弱腰になっているように見えた。ま、気のせいだろう。

 

「【疾風切り】!」

「【クロスサイズ】!」

 

 俺とサリーは容赦なく偽ハナを切り刻む。ハナに当たった直後……。

 

 ハナの服がビリビリに破けた

 

 あ、忘れた……。

 

「えーっと……」

「は? な、えっ?」

 

 服が破け、肌がところどころ露出された姿で偽ハナは消え去る。それを見たサリーは固まってしまっていた。

 俺は秘密にしていたハナに心の中で土下座しながら謝りつつ、サリーに説明する。

 サリーは顔を真っ赤にして、そんな装備があるなんて……と呟き、運営の悪意に戦慄した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何とか偽メイプルと偽ハナコンビを打倒した俺達は偽物達が落としたメダルを回収して転移魔方陣に乗る。そして、転移した部屋にはメイプルとハナがいた。

 ……偽物じゃないよな?

 

「待ってください。確認しましょうか」

 

 ハナは俺達を見て、手で待ったと表す。確認というのは本物かということだろう。

 

「机の引き出しの一番下の二重底」

「お、おまっ!?」

 

 それ、俺のお宝が眠ってる場所じゃねぇか! 何で知ってるし!? バレないように研究に研究を重ねて、フェイクをたくさん用意して隠してたのに!?

 

「メイプルさん、このブレイブは本物です」

「それより、ハナちゃん。さっきのってなに?」

「メイプル! 気にしなくていいから!!」

 

 メイプルには知ってほしくない本だから! というか、ハナのやつ、何という情報を暴露してくれたし!!

 

「あー、大方想像つくわ。ブレイブも男の子だもんねぇ……ハナちゃん。それらは全部燃やしておいてね」

「了解です」

「やめろー!! 俺のお宝を燃やすとか鬼畜か!?」

「?」

 

 この後、俺のお宝の処分について交渉が行われ……いや、土下座で許しを請いまくるのを交渉とは呼ばないが……。その末、燃やされることが確定された。ぐすっ。お気に入りだったのに……。

 

 

 

 

 

 

 

 偽物達に打ち勝ち、ブレイブ達が合流している中、運営はブレイブ達と偽物の戦闘を見ていた。

 『銀翼』が倒されてから運営はブレイブ達の動向を定期的に確認していたのだ。

 

「ショックだわぁ。ドッペルゲンガーはそれなりに強いんだが」

「この4人はその程度じゃ止められないってことか……」

「その程度って言うけどよ。サリーとブレイブのドッペルゲンガーコンビは兎も角さ。ハナとメイプルのドッペルゲンガーコンビなんて普通は倒せないからな!?」

 

 メイプルにはあらゆる攻撃に対応できる特殊な【カバー】を持っていた。普通は1つの攻撃しか防げないというのに、複数の攻撃を同時に防げるようになっていた。

 そうなると必然的にメイプルを倒さないと絶対にハナを倒すことは不可能だ。だが、防御貫通スキルでダメージを与えようとしてもハナによって回復される。

 そもそも近づくのだって一苦労だ。ハナの即死級の魔法を掻い潜り、メイプルに攻撃しないといけないのだから。

 

「【逆境】が強すぎたんだな。修正を入れるか……」

「あのメイプルを……しかも、強化されたメイプルをワンパンだもんな」

「いや、案外ペインなら……」

「無理だな。攻撃力が足りない。それに、ブレイブが倒せたのは防御貫通スキルを威力3倍にしたり、ステータスを5倍まで引き上げたりしたからだぞ?」

「ステータス5倍って……威力3倍って……おかしくない?」

「HPが1になる状況自体は稀だからこそあの効果にしたんだがな。意図的になることも困難だし……」

 

 HPが1になる状況は大きく分けて2つある。【不屈の守護者】や【起死回生】と言った耐久スキルや蘇生スキルによりHPを1にするか、今回ブレイブがやったようなHPを犠牲にするスキルで無理矢理HP1にするかだ。奇跡的にというのもあるが現実的ではない。

 

「とりあえず、あの問題児達の報告をまた頼む」

「分かりました」

 

 今日も運営は忙しく働く。イベントはまだ4日目である。




 メイプルの倒し方ってこれでよかったのかなぁ? 正直、【逆境】と【暗黒化】を持ってしても強力なスキルで倒せる気がしないんですよねぇ……。これはこれで微妙な気がしますが……。

第二回イベントで主人公はどう参加する?

  • メイプルとサリーと行動(ハナは不在)
  • 兄妹だけで行動
  • メイプル、サリー、ハナの三人と行動
  • ブレイブだけで行動する(ハナは不在)
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