耐性スキルのために100回死んだら、死神になりました   作:暁月 聖人

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23話

 仲間の偽物を倒した俺達は休憩をとった後で転移先にあった螺旋階段を上る。この先には森が広がっていた。

 渓谷の向こう側みたいだ。もうあの霧の中を歩かず済むな。

 だが、森は思っていたよりも小規模で、すぐに森を抜け、今は砂漠にいた。

 

「霧の次は砂漠かよ……。ないわ。本当、ないわ……」

「シャキッとしなさいよ。ここはゲームなんだから暑さはあっても喉の乾きはないでしょ?」

「気持ちの問題だ」

 

 だらしない態度で砂漠を歩く俺をサリーが叱責する。

 確かに、ここはゲームなのだから脱水症状になることはない。とはいえ、どこまでも広がる砂漠を見ているとうんざりしてくるんだよ。

 

「何にもないね。プレイヤーに遭遇しそうなのに、それもない」

「あっても奇襲はないわね。見晴らしがいいからすぐ分かる」

「いや、プレイヤー戦はお腹いっぱいです」

「あんたは何もやってないでしょうが」

 

 うるさいなぁ。それでも、俺しか狙われてない状況はこりごりだっての。

 

「……なにか見えますね。【遠見】」

 

 ハナは遠くを見ることが出きるスキル、【遠見】で遠くを見る。その時、ハナの顔が明らかに変わった。

 今までは無表情だったが、喜びに満ちている顔に変わる。

 

「オアシス!! 【風精霊の衣】!!」

「え!? ハナちゃん!?」

「あいつもなにも言わないだけで不満だったんだな……」

「無表情だったから薄々は気づいてたけどね」

 

 俺達も颯爽と駆けていったハナを追いかけ、オアシスにたどり着いた。

 水を飲んだり、顔を洗ったりして休憩をとる。オアシスだからか涼しくて快適な場所だ。

 

「この砂漠は何にもないね」

「ダンジョンに繋がってなさそうだしなぁ」

「いえ、そうとは限らないかと」

「え? というと?」

「表面上にはなにもありません。ですが、ここはどうでしょうか?」

 

 ハナが地面に指を差し込んで聞く。俺達は意味が分からずに首をかしげた。

 

「どういう意味?」

「地下ダンジョンです」

「地下……? あ、あの草原みたいな隠し階段ってこと?」

「いえ。あの運営のことですからもっと見つけづらい可能性があります。ファンタジー小説だと蟻地獄に巻き込まれたと思ったら地下洞窟だったとかあるじゃないですか」

 

 確かに、そういうのはよく聞く。つまり、ハナはこう言いたいのか?

 

「この広々とした砂漠の中に地下へ続く隠し穴みたいなもんがあるって」

「うん」

「それはもはや運ゲーじゃない……」

 

 冗談じゃない。さっさとこの砂漠から出て次のエリアへ行った方がいいんじゃないか?

 

「……話は終わりです。誰か来ます」

「お? あいつは……」

 

 このオアシスへ向けて誰かが駆けてきた。

 女性ソロプレイヤーで、刀を腰に差した和風な女性だった。

 

「よっす。カスミ」

「ブレイブか。それに、メイプルも……私は運が悪いようだ」

「あ!? この人、第1回イベントで6位だった人!」

「え!? 本当!?」

「マジだぞ。あのイベントでは戦ったことないが、聞いた噂だと崩剣のシンに勝ったんだったか?」

「なんだか知り合いっぽいね、ブレイブ」

「まあな」

 

 実はカスミとは前に面識があった。

 とあるクエストではプレイヤー同士の戦いになることがある。その時の報酬がこの『風の草履』だったりするのだが……今は関係ない話だったな。

 で、その時に対峙したのがカスミだ。

 

「あの時は鎌の扱いに慣れ始めていたときだったから苦戦したな。【起死回生】を使ったくらいだ」

「思い出させないでくれ。油断大敵という言葉をよく味わった勝負だった」

 

 当時は鎌一択の戦闘スタイルだったため、カスミの刀捌きを何とか受け止め、HPを全損してしまうも【起死回生】によるカウンターで何とか倒した強者だ。前回で6位というのは納得の実力がある。

 

「……分があまりにも悪すぎる。ブレイブ。見逃してくれないか?」

「別にいいよ。戦うつもりはない。ハナは?」

「砂漠で歩き疲れたのでパスです」

「私は逃がす気はありませんよ。メイプルは?」

「サリーがやるなら私も頑張る! ブレイブとハナちゃんは見学してて」

 

 ヤル気満々のサリーとメイプル。特に、サリーは戦闘したくてウズウズしてるのか楽しそうな笑みを浮かべていた。

 え? こいつ、戦闘狂なの? 俺が余計なことを言ったからヤル気なの? なんかごめん、カスミ……。

 

「……カスミ。逃げることをおすすめするが、どうする?」

「ふっ。決まっている……【超加速】!」

 

 カスミは全力で逃げることを選択した。それしかないもんな。

 

「逃がすか! 【超加速】!」

 

 サリーは逃走したカスミを逃がすはずもなく同じスキルを使用して追いかけた。

 

「行っちゃったよ。どうする?」

「……私、サリーさんのマジ戦闘見たいです。【超加速】」

「あ! 待ってよー」

 

 ハナは自分の回避技術向上のためにサリーVSカスミの戦闘を見に行った。

 うーん。実は俺も見たいんだよな。サリーってPSが異常だからあのカスミのスキルを初見殺しのものも含めて全部避ける可能性あるし……。

 俺は一生懸命サリー達を追いかけるメイプルに視線を送る。……置いていくのはとても心苦しい……が! サリーVSカスミを是非とも見てみたいです!!

 

「すまん、メイプル!! 【超加速】!」

「ふぇ~!?」

 

 後ろからそんな~という悲痛な叫びが聞こえてきたが聞かなかったことにする。

 ハナがいるところまで移動するとちょうど戦闘が始まるところだった。

 場所はサリーとカスミから少し離れた高所で、戦闘を全体的に見える。

 

「うお。初見殺しを易々と……」

 

 カスミの瞬間移動からの一刀を【蜃気楼】で避けて、反撃すらも行って見せたサリー。ここからでは顔は見えないがカスミはきっと驚いているだろう。

 技の名前は……陽炎だったか? 俺は初見で直撃しちまった。あれは無理だろ。【蜃気楼】を使ったとはいえ、避けたサリーが異常なだけだ。

 

「サリーさん、スゴいよ。また避けた。未来予知でも獲得してるって言われたら私信じるよ」

「それには激しく同意するが、あいつが言うには経験が多いだけらしい」

 

 サリーはまたも陽炎を避けた。余裕の回避である。二度目以降は通じないということなのだろうか? 恐ろしい奴である。

 

「お? もうあれが出るのか?」

「何が起こるの?」

 

 カスミは髪を白くして、刀を構える。あれは俺を死に追いやった連撃スキルだ。

 目にも止まらない速さで刀を振るい、相手を連続で切りつけるスキルで、俺が勘で鎌で防いだり、避けたりしたが、それでも、数切りは食らってしまった。

 

「「お、おぉ~。もう笑うしかない」」

 

 兄妹揃って感嘆の言葉が漏れた。サリーは見えてないはずなのに、全てを避けていた。

 何で避けれてるの? 見きってるの? それとも、何らかの情報で予測してるの? それもう武人じゃん。

 

「……私は無理だけど、ブレイブはサリーを当てられる?」

「えぇー。無理だって。あれは無理。いくらAGIを上げても当てられる自信がないぞ」

 

 俺とハナでサリーの攻略について話していると後ろから何か聞こえてきた。

 

「あああぁぁぁぁ!!!」

「あれってまさか!?」

「メイプルさん……またなの?」

 

 トラウマを思い出させる紫の球体が斜面を転がり落ちてくる。【ヴェノムカプセル】で自分の身を包んだメイプルだ。

 恐らくだが、いい下り斜面を見つけて、【ヴェノムカプセル】を使って転がってきたのだろう。

 俺とハナはメイプルの通る道を開けるように移動する。メイプルは止まらないよぉーと叫びながら俺達を通りすぎ、決着がついた2人へ向けて転がっていった。

 メイプルが2人に気づいて【ヴェノムカプセル】を解除する。そして、2人がいるところへ落ちた。

 その瞬間、砂が揺れ始め、3人は砂に吸い込まれ、地下へ落ちていってしまった。

 

「「…………え?」」

 

 俺とハナはそれを見て、ただ呆然とするだけだった。

 ……どうしよ、これ? 分断されちゃったよ……。




 次回はオリジナルです。兄妹に立ちはだかるのはどんなモンスターなのか、お楽しみに

第二回イベントで主人公はどう参加する?

  • メイプルとサリーと行動(ハナは不在)
  • 兄妹だけで行動
  • メイプル、サリー、ハナの三人と行動
  • ブレイブだけで行動する(ハナは不在)
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