耐性スキルのために100回死んだら、死神になりました   作:暁月 聖人

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6話

 イベントの翌日、俺は装備のメンテをしにイズの店に来た。

 俺の戦闘スタイルのせいで一部の装備の耐久値が大分削られたのだ。

 魔法で遠くの敵を殲滅、近くまで来られたら鎌や手足で攻撃する。それが今の俺の戦闘スタイルだ。荒っぽい? それがいいんじゃないか。

 それにともない、手袋や草履の耐久値が削られていくのだ。イズに怒られるな。でも、仕方ない。この戦闘方法楽しいんだもん。

 

「イズ~。装備のメンテナンスをお願いしたいんだけど……およ?」

「いらっしゃい。来ると思ってたわよ。もう、あんな戦い方をして……装備が可哀想じゃない」

「うん。ごめん。でも、その前に、さ」

 

 イズの店に入ると見たことのあるプレイヤーの姿もあった。だから、イズの叱りの言葉に謝りつつ、そのプレイヤーに視線を向けた。

 プレイヤーの名前はメイプル。イベントで三位入賞したヤバイやつである。掲示板情報だけど、あらゆる攻撃は効かず、盾は魔法も武器もプレイヤーも飲み込んでいったらしい。

 

「えっと……あっ、2位の人!」

 

 メイプルは俺のことを必死に思い出していたらしく、頭を捻らせていたが、ようやく思い出して、俺のことを2位の人と呼んだ。

 

「俺はブレイブ。君、メイプルでいいんだろ?」

「はい!」

 

 まさか、イズの店の常連とはな。多分、誰かに連れて来てもらったのかもしれない……。

 あれ? 何でか掲示板で俺のことをバカにした大盾使いが浮かんだんだが?

 

「メイプルも装備のメンテをしに? それとも、装備の新調か? その盾だと、受けることで手に入る系のスキル手に入らないだろうし」

「スゴい!? エスパー……?」

「いや、エスパーって訳じゃないんだが……」

 

 簡単な推測である。なんでも吸収するということは受け止めることはできないと考えられるからな。

 しかし、何だろう。この天然ほんわかな感じ……やっぱりどこかで見たことがあるぞ。

 

「あ、そうだ。メンテの価格安くするからメイプルちゃんを手伝ってくれないかしら?」

「ん? 手伝い?」

 

 なんの話だ?

 

「メイプルちゃんはブレイブの言う通りスキルを手にいれるために装備を新調しようとしてるの。でもね。その素材がメイプルちゃんにとっては厄介なの」

「というと?」

「白い装備がほしいらしいんだけど、素材が釣りか採掘でしか手に入らないのよ」

「あー……もしかして、VIT極振り?」

「そうだよ! よく分かったね」

「そりゃあな。イベントでの戦闘の様子を聞いていたら、誰だって……」

 

 どんな攻撃もノーダメージなんて、VIT極振りで、VITを上げるスキルやダメージカットスキルを詰みまくらないと無理だろ。

 それにしても、極振りか。なら、釣り、採掘、採取と言った素材集めは難しいだろうな。AGIとDEXが欲しいから。

 

「分かった。手伝うよ。イズ、風の草履を置いていくから、メンテしておいてくれ」

「代金を払ってよね」

「分かってるよ」

 

 俺はイズにメンテ代を支払い、メイプルと店を出た。

 

「ごめんね。手伝ってもらって……」

「プレイヤー同士は助け合いだからな。行こうか」

「おー!」

 

 俺はできるだけゆっくりと歩く。AGIがないのだから、意識的に歩く速度を遅くしないと離れていっちゃうからな。

 

「ま、待って~」

「え?」

 

 だが、途中で結構後ろからメイプルの声が聞こえてくる。俺は振り返るとメイプルが予想よりもずっと遅く俺を追って来るのが見えた。

 まさか、ここまで遅いとはな……。

 

「お、追い付いた……」

 

 メイプルは俺が立ち止まってる間にようやく俺のところに追い付いた。俺が離れていったからかホッと安堵する。

 

「すまん。もうちょっと遅く歩かないといけないな……」

「それだと目的地まで着くのが遅くなる!」

 

 確かに、遅くはなるが……どうしようもないのでは?

 

「だから、おんぶで移動しよ!」

 

 …………はい?

 

「ごめん。もう1回言ってくれる?」

「おんぶで移動だよ! 私が装備を外して軽くなった状態になる。それで、ブレイブが私をおんぶして運ぶ!」

「いや、それは……」

 

 天然にもほどがあるよ、この子!? いや、女の子と触れられるし? 俺得な提案だが……ダメだろ!

 

「君は女の子なんだから、そういうのは……その、ね?」

「?」

 

 何で首をかしげてるのかなぁ!? 普通、恥ずかしくて顔を赤くすると思うんだけど!? ちくしょう、可愛いな!

 

「とりあえず、装備を外すね」

「お、おい!?」

 

 え? やらないといけないの? マジで? この大観衆の中で?

 …………バツゲームデスカ?

 

「いやいやいや! おんぶは止めよう! お願い! 300Gあげるから!!」

「え? なら、お姫様抱っこ?」

 

 何でそうなるのかなぁ!?

 周りから視線が集まってるぅ! 主に嫉妬の視線が俺を突き刺してくるぅ!!

 

「男ならやりなさいよ!」

「みっともないぞ!」

 

 うわ!? ついに、野次が飛んできた!?

 

「ちっ。リア充が」

「氏ね! 爆発しろ!!」

「その位置変われよ!」

 

 嫉妬の罵詈雑言まで飛んできたよ!? あーもう!!

 

「し、失礼するぞ!」

 

 俺は自棄になり、装備をはずした状態のメイプルを抱える。

 その時に、女の子の体の感触が胸に伝わってきて、いい匂いもする気がする。

 はっ!? いかん。いかんぞ! 煩悩退散!!

 

「さあ、レッツゴー!」

「くそ! 人の気も知らないで……あいあいさー!!」

 

 俺は一刻も速くこの場から逃げ出したかったため、疾風のように走り去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 メイプルを抱えた俺は町から出て、草原を駆けていた。

 

「あ、モンスターだよ!」

 

 メイプルが言うように前方に猪がいた。このままだとすぐに接触することになる。

 俺は接触する前に立ち止まり、メイプルに視線を向けた。

 

「メイプル、お前の大盾は当てさえすれば吸収するのか?」

「そうだよ」

「そうか。……すぐに、大盾を出して、俺の体に当ててくれ」

「え? 分かった」

 

 メイプルは黒い大盾を出すと俺の腕に当てた。

 

「【魂の共鳴】」

 

 大盾に向けて【魂の共鳴】を発動させる。しばらくすると大盾に黒い靄がかかった。

 物体に【魂の共鳴】を行う場合、数秒間触れる必要がある。これは相手の武器を操れないようにする処置なのだろう。相手の武器を操れたら相手は戦えなくなるからな。

 

「な、何!?」

「メイプル、大盾から手を離してくれ」

「おぉ!!」

 

 メイプルから離れた大盾はふわりと浮かんでいた。俺が自分の体を回るように念じると大盾はその通りに動いて見せた。

 

「スゴい!」

「これなら立ち止まることなく進めるな」

 

 俺は走ってる間も前に大盾がいるように操り、猪に向けて走り出した。

 猪は俺に気付き、突進してくる。俺は猪に大盾をぶつけさせた。

 大盾は猪にぶつかった瞬間に吸収する。おお、噂には聞いていたが、これはスゴいな。

 

「この調子でどんどん行くぞ」

 

 俺は大盾を使ってどんどんモンスターを吸収しつつ目的地まで駆けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 目的地に到着した俺はメイプルを前に出させて、奥へ進む。

 場所は町から西南に離れた洞窟だ。そこで採れる白結晶がほしいんだそうだ。

 

「あ、そういえば、ブレイブ」

「んー?」

「私達、どこかで会ったことがあったりしない? 私、顔に見覚えがあるような……」

 

 敵を大盾に吸い込ませながらメイプルが俺に聞いてきた。

 メイプルも俺と同じように俺の顔に既視感を感じてるらしい。こりゃ、本格的に知り合ってる可能性があるな。

 

「実は俺もなんだよ。ゲームってことはないはずだから、リアルだろうな」

「現実かぁ……」

 

 俺達はどこで会ったか思い出そうとした。

 家、いきつけの店、たまに出掛けるデパート、そして、学校……学校?

 

「……時に、メイプル。リアルに関する質問はマナー違反だろうけど、学生か?」

「うん。ブレイブも?」

「ああ。高校生だ」

「私も!」

 

 …………まさか……?

 

「メイプルって本名から来てる?」

「え? もしかして、ブレイブもなの? ブレイブってどんな意味か分からないけど」

「勇気って意味だ。お前のは楓でいいんだよな?」

「はい。あれ? 勇気?」

「…………本条さん?」

「……多々野君?」

「「えぇー!?」」

 

 俺達はお互いのリアルについて確信して驚愕の声を上げた。

 本条さんってゲームするんだな……。意外だ。

 

「多々野君ってゲームするんだね」

「意外か? それと、正体が分かってもリアルネームで言わないように」

 

 メイプルが同じことを思っていたらしく、俺をリアルネームで呼んで、頷きながら言った。

 

「私は理沙に誘われたんだ」

「あいつ、ゲーマーだったな」

 

 納得だ。そして、白峯がNWOの面白さを語ってゲームを誘ってくるところが簡単に想像できる。別のゲームでも本条さんを誘ってたからな。

 

「でも、いないよな? 風邪か?」

「成績を上げるまでゲームできないんだって」

「そういや、赤点とりそうになったって言ってたな……」

 

 俺も気を付けないと。白峯と同じようにゲーム禁止を言い渡しされかねない。

 

「着いたな。メイプル、入り口は任せたぞ」

「分かった!」

 

 採掘場に到着する。俺はメイプルにモンスターの退治をお願いし、ピッケルを持って採掘を始めた。

 白結晶、鉄鉱石、ルビライト鉱石など様々なものが採掘できた。

 

「ふぅ。久しぶりにやったけど、楽しいものだな」

 

 白結晶が出てくる確率が高いのか白結晶ばっか出るな。それが目的だからいいんだが……。

 ある程度採掘をするとモンスターを吸収しているメイプルのところに向かった。

 

「メイプル、お疲れ」

「あ、ブレイブ! 終わったの?」

「それなりに集まったぞ。他のも俺には不要だからあげる」

「い、いいの?」

「気にするな」

「ありがとう!」

 

 メイプルはトップレベルのプレイヤーになるはずだ。恩を売って損はない。まあ、クラスメートのよしみってのもあるけど。

 俺はメイプルに別れを言ってログアウトした。

 

「ふぅ……。しかし、まさかだな」

 

 ベッドの上で寝転がりながら、メイプル……本条さんのことを思い出していた。

 ゲームに誘われていた身なのにあそこまで楽しんでいたとはな。意外だった。

 

「お兄ちゃん? よかった。ゲームからこっちに帰ってきてる」

 

 桜が俺の部屋に入ってきた。その手には何故かVR専用ゲーム機を持っていた。

 

「桜、それは……」

「いや、その……お兄ちゃんがあんまりにも楽しそうだったから」

 

 つい買っちゃったのか。珍しいな。桜が俺のやっていることに興味を持つなんて。

 

「それで、どんな風にやればいいか分からなくて……」

「分かったよ。でも、明日な」

「うん。ありがとう、お兄ちゃん」

 

 妹が自分がはまっているゲームに興味を持ってかれたことが嬉しくて頬がつい緩んでしまった。

 

「お兄ちゃん」

「何だ?」

「その笑み、気持ち悪いよ……」

 

 ……何でこう妹ってのは兄に対してとことん冷たいかね……。

 桜の言葉にグサッと突き刺さった俺は俯いて落ち込んでしまうのだった……。

第二回イベントで主人公はどう参加する?

  • メイプルとサリーと行動(ハナは不在)
  • 兄妹だけで行動
  • メイプル、サリー、ハナの三人と行動
  • ブレイブだけで行動する(ハナは不在)
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