耐性スキルのために100回死んだら、死神になりました 作:暁月 聖人
俺は欠伸をしながら通学路を歩いていた。
「桜はどう育っていくかなぁ」
桜のビルド構成について考えていた。
ステータス、武器、魔法、
……メイプルみたいなプレイヤーにならないといいが。痛いのが嫌だからという理由でVITに極振りしたり、ウサギと小一時間遊んでいたり、モンスターを食べたりした結果があれだからな……。
「……メイプル、か」
教室に行けば、リアルのメイプル、本条さんがいるんだよな。
しかも、白峯と一緒にかなり早く登校してきている。教室に着いている頃には談笑していることだろう。いないとしても、トイレに行ってるだけってくらいだ。
「んで、あいつのことだから……」
「あ! 噂をすれば!! 多々野君! こっちこっち!」
俺が教室に入ると本条さんが跳びながら俺を呼んでいた。そのお陰で全員が俺に注目してる。
「こうなるんだよな……」
予想通りの展開に俺はため息を漏らす。
視線に気にすることなく、自分の席について、本条さんと白峯に顔を向けた。
白峯はどこか訝しげだ。半信半疑といった感じだな。
「あんた、ゲームをやってるんですって?」
「言ってなかったけど、俺はそれなりにゲームを嗜んでるんだ。白峯ほどやりこんでないけど」
「知らなかった。喧嘩三昧の日々ってイメージだったから」
ひでぇ……。いくら目付きが悪いからってなんという偏見を抱いてるんだ。
俺は平和主義者だぞ。喧嘩なんてやらないし、売られた喧嘩はゲーム以外では買わない。
「えぇー。それは酷いよ。多々野君、優しいよ? 理沙だって助けられたでしょ?」
「それは……まあ、そうだけど」
助けられたって言っても、大したことした覚えないが?
「ねえ、聞いて! 理沙がゲームできるようになったって!」
「そうなのか。それはよかった。で? どんなプレイヤーを目指すんだ?」
「回避盾よ! メイプルが無敵なら、私は回避して当たらないプレイヤーを目指すの」
「無敵コンビってわけか」
でも、難しいよな。今はまだメイプルは無敵だが、運営が放置するわけない。
「メンテナンス次第だが、メイプルがダメージを負う場面は増えるはずだ」
「何で?」
「本条さんはゲーム初心者だから知らないだろうけど、ゲームによっては防御貫通攻撃っていうものがあるんだ」
「あ、そっかー……」
白峯は俺がいいたいことを察し、頭を抱えてしまった。
「どういうこと?」
「俺の予測だと大規模なメンテがある。それも3日以上かかるメンテだ。俺もやらかしたからな」
「何をやったの? 楓は天然でやったみたいだけど、多々野は真っ当にやってるのよね?」
俺は自分のプレイを2人に話す。本条さんは楽しそうに聞いていたが、白峯は固まってしまっていた。
「ユニークウエポン! カッコいい!!」
「ま、待ちなさい。レベル1の状態で100回死んだ? あらゆる攻撃に即死が付与されるスキル? 出鱈目もいいところよ……」
「俺も少し自覚してる……」
桜にも言われたからな。おかしいって……。
「そうだ! 多々野君、一緒に釣りに行かない? あ、ゲームの中でだよ?」
「えぇー。こいつも連れてくの?」
「こいつって何だ、こいつって」
白峯は本条さんの提案に露骨に嫌そうな顔をする。そこまで嫌か。何が嫌なんだ。目付きか? 終いには泣くぞ。
「理沙はそうやってつんけんするんだから。私が多々野君がゲームやってるって言ったら満更でんぐっ!?」
「な、何を言ってるのかしらぁ? あは、あははは!!」
本条さんが何かを言おうとしたら白峯が口を塞いでしまった。誤魔化しの笑いの上げているから俺に聞かれたくないことなんだろ。
「ぷはっ。もう、本当に素直じゃないよね」
「し、知らないわよ」
「素直じゃないのは仕方ない。白峯ってツンデレだし」
「だーれがツンデレよ!!」
「ぐおっ!?」
白峯が俺の頭にノートの角をぶつけた。マジで痛い! 今、絶対頭がへこんだ!
「大丈夫?」
「大丈夫じゃねぇよ。あ! 何かつむじ部分がへこんでる!?」
「へ!?」
「つむじ部分は元々へこんでるわよ」
そうだった。焦ったわ。
「てか、無理だ。妹がゲームを始めるらしくてな。面倒を見ないといけないんだ」
「妹?」
「妹がいたの?」
「言ってなかったな。桜って言うんだ」
俺はスマホに保管している家族写真を2人に見せた。
「どれが妹さん?」
「この子」
「へぇー。可愛い」
「……目付きが悪くない」
「家族全員、目付きが悪い訳ないだろ」
よく見ろよ。目付きが悪いのは俺と父さんだけだろ?
「桜はゲームなんてやらない子なんだが、俺が楽しくやってるもんだから興味を持ったらしくてな」
「そっかぁ。仕方ないね。あーあ、昨日みたいにお姫様抱っこで抱えてもらってあれをやれば楽なのに」
「……楓? 今、何て言ったの?」
本条さんの言葉に白峯が反応して眉が僅かに動いた。
俺も本条さんの爆弾発言に反応して冷や汗をかきはじめる。
「え? あ、言ってなかったかぁ。私、AGIが低いから多々野君にお姫様抱っこしてもらったの」
「へぇー。お姫様抱っこ。へぇー、そうなの」
白峯の目がどんどん冷たくなっていく。絶対零度の視線で俺の心は一撃で瀕死だ。
本条さんが他にも色々言っているが耳に入ってこない。汗が止まらないぞ!
……待て。周りの嫉妬の視線も加わったこの視線地獄で現実逃避しそうになったけど、おかしいぞ。
「白峯、お前、何でそんなに不機嫌になってるんだ?」
「別に……」
白峯は俺の問に答えずにそっぽを向く。怒られるようなことはしたかもしれないが、白峯が不機嫌になるようなことはしてないぞ。
んー、不機嫌の理由は明らかに本条さんの発言だよな。でも、本条さんに被害がある話で、白峯には関係話だよな。
男連中と同じで女の子をお姫様抱っこしたことに嫉妬? まさか、白峯は百合!?
「ぎゃいん!?」
「今、失礼なこと考えたでしょ!」
白峯に脛を蹴られて変な声を上げてしまった。っつぅ、じんじんするよぉ……。
俺が脛を押さえて痛がっている間に先生が入ってきてHRが始まった。
家に帰ると俺は自室に向かった。桜は帰ってきているのだろうか?
「お兄ちゃん、おかえりなさい」
「もう来てる……」
漫画を読みながら寝転がる桜が俺の部屋にいた。こいつ、兄の部屋をさも自分の部屋のように寛いでるな……。
桜は俺が帰ってきたのを確認すると漫画を適当なところに置いた。
「初期設定があるんだよね? どうやるの?」
「ああ、教えてやるよ」
俺は桜に初期設定について説明する。そのついでにゲームのマナー、ステータス、武器なども説明した。
「で、桜は何を目指すんだ?」
「魔法使いかな。考えて動くタイプな私は遠距離の方がいいと思う」
なるほどな。でも、遠距離攻撃は魔法以外にもある。
「弓とかは?」
「いいと思うけど……折角のVRなら魔法を使いたい」
「あー」
ロマンがあるってやつか。魔法少女に憧れがあるもんな。
「あ、極振りは止めとけよ。成功することは稀だからな」
「極振り?」
「ステータスポイントを一つのステータス一点に集中することだ」
「稀って言ってたけど、成功した人いるの?」
……確かにいる。しかも、身近にいる。
「……成功するとしたら、そいつは相当な天然か頭のネジが飛んでる奴だ」
「? よく分からない」
「いや、それでいいよ。何か聞きたいことは?」
「スキルの獲得条件って何があるの?」
「そうだな。色々ありすぎるが……一番簡単なのは買うことだな」
「買えるの?」
「ああ。他にも……」
俺は桜に獲得方法を教えた。いくつかおかしいのが混じっているが……。
それを聞いて桜は何かを考えていたが、俺にお礼を言って自室に帰った。初期設定をしに行ったのだろう。
俺はベッドに寝転がり、VR専用のハードを被ってNWOにログインした。
第二回イベントで主人公はどう参加する?
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メイプルとサリーと行動(ハナは不在)
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兄妹だけで行動
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メイプル、サリー、ハナの三人と行動
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ブレイブだけで行動する(ハナは不在)