村を出発してから、それなりに時間が経過している。
日が沈むまでにはまだ余裕があるものの、それほど悠長に構えてもいられないだろう。
とある丘の頂上で、騎士団長と花騎士の霊に接触し、彼らの想いに耳を傾けたのち。
いよいよ害虫の出現区域である森へと突き進み、少しずつその奥地へと足を踏みこみつつあった。
――先陣を任せているモミジとイフェイオンの2人が、周囲を警戒しながら後退してきているのが見えた。
もはや目を凝らすまでもない。彼女たちの姿のむこうの木々が、不自然な動きで左右に揺れている。ときおり、その隙間から忌まわしい害虫の姿も次第に見え隠れするようになった。
森の中での遭遇戦。
視界が木々に遮られ、見通しが利かないだけに。正確な相手の戦力が把握しづらい。
ここは
「はあああっ! 蹴散らしてやるっ!」
モミジの裂帛の気合が周囲の音を圧した。適度に味方同士の距離を詰めたところで、害虫と交戦状態に入ったようだ。
出し惜しみのない、モミジの全力の闘気が伝わってくる。むしろ心地よく、こちらの戦意までも高揚させてくれるような気がするほどだ。
彼女のそばにはイフェイオンがいる。モミジがつい熱くなりすぎてしまったとしても、きっとイフェイオンがうまく誘導してくれるはずだ。
「わらわの前に立ちふさがるなど、小癪な奴め!」
つづいて、左右に配置した花騎士のうち、ヒメシャラが声を発したようだ。
右翼を形成する彼女と組んでいるのはアンゼリカだ。2人もまたぞろぞろと姿を現しはじめた小型害虫の群れに、こちらとの連携を念頭に置きつつ果敢に攻撃を始めている。
一匹一匹の能力はともかく、数のほうは思った以上かもしれない。
モミジとイフェイオン、そしてヒメシャラとアンゼリカの二方面からほぼ同時に現れたとなると、反対側もまたおそらく――
「よ~し。つっぶれろー!!」
予想は外れなかった。
キンギョソウとプルモナリアがコンビを組む左翼にもまた、害虫の群れが襲いかかっていた。
個々の害虫は撃破するのに容易い、いわば雑魚でしかないこと。しかしながら数だけは多いということ。この2点については、事前に得ていた情報からわかっていた。
事実、相手はその数的優位をもって、こちらを包囲するような形で迫ってきている。
しかし……それはこちらの狙いどおりだ。
たしかに一匹の脅威はさしたるものでないにせよ、それがぐるりと全方位から一気に襲いかかってこられたのでは危険な圧力となるだろう。さすがの花騎士でも対処しきれずに不覚を取ることにもなりかねない。
しかし、左右に部隊を分け。さらに危急となれば中央の花騎士がすぐに駆けつけられる態勢でいれば、まずそう簡単に包囲されることはない。
森の中ということで完全というほどでないにせよ、ちょうど矢印と同じ形。兵書でいうところの「鋒矢の陣」といった感じの隊形だろうか。
ただ、こちらの人数が少ないこともあり、前述の陣形が得意とするところの突破を目的とはしていない。あくまで攻防のバランスを考えた上での選択だ。
後方を振り返る。
と、こちらの姿を認めたイオノシジウムが、大きく手を振るのが見えた。
「こっちはいつでもオッケーよ、団長さんー!」
退路の安全は確保できているという合図だ。
仮に害虫の圧力が想像以上に強ければ、傘を閉じるような動きでまず左右の圧力をかわす。そして包囲される前に、一気にするりと後退して抜け出せばいい。
その威力や精度だけでなく、イオノシジウムの弓術は複数を一度に相手にできる技が大きな魅力だ。後方からの連射であたかも周囲に他の仲間が隠れているような錯覚を相手に思わせ、追撃の足をひるませることが期待できる。
前衛部隊にもまた、木々を背にして戦うよう、戦術に工夫を施してある。それでいくらかは背後の危険を顧みることなく、正面の敵に集中することができるだろう。
相手が数の力を活かしきれないのなら、
これまでも、さまざまな害虫と死闘を繰り広げてきた。
当然、その中には困難な戦いもあった。あるいは神のごとき圧倒的な力を有する、強大そのものな世界の脅威と対峙し、そしてそれを打ち破ることにも成功してきた。
はっきり言ってしまえば……そのときほどの恐怖を感じない。プレッシャーも危機感も、眼前の戦いは過去に経験したものにはるかに及ばない。
害虫の数こそ多いが、ただそれだけのことだ。
――どの方面も、戦況は優勢に進んでいる。
「……団長さま、イフェイオンさんから合図です。まだ余力あり……さすがモミジさんとイフェイオンさんです」
ムラサキハナナからの報告を聞き、そしてさらに彼女の意見に同意する。
モミジやヒメシャラ、キンギョソウといった花騎士が次々と害虫を両断し、あるいは消滅させ。
イフェイオン、アンゼリカ、プルモナリアの面々がそれぞれ巧みにフォローに回り、また自らも害虫を仕留めていく。
害虫にとっては、さながら三ヶ所で同時発生した嵐のようなものかもしれない。
中にはまるで難を逃れたかのごとく、嵐の中心から抜け出した一部の害虫がこちらを見つけ、あらたな獲物とばかり迫ってくる。
だがしかし、それは彼ら自身が消滅する場所を数メートルほど移動しただけにすぎない。
「……逃がさないっ!」
スノードロップの一撃が数条の光の帯と化し、こちらに近づこうとする害虫の多くを撃ち落とした。
それでもまだ、きわめて幸運の持ち主だけがかろうじて生き残っている。が、これもムラサキハナナとカルミアの鉄壁の防衛陣の前に、ついに全滅を余儀なくされていく。
さらにまた、一方では何匹ほどか、後方に回った害虫もいるようだった。
しかしそれとて、害虫にとってすでにチェック・メイトであることは変わらない。
「ふふ~ん。楽勝楽勝~♪」
後衛を任されているイオノシジウムの弓術を前に、そちらの末路もまた例外のない全滅だ。
まれにせめてもの一撃とばかりにハチ型害虫が口中に隠した鋭い針を飛ばしてくるものの、イオノシジウムの涼しい顔は揺るがない。ひらりと難なくかわしてみせたあと、反撃の一矢で害虫を仕留めていく。
あるときは樹を背にして完全包囲を避け、ここしかないというタイミングで一気に飛び出す。たったそれだけの一瞬の間にも、害虫の数匹は撃破されている。
数の差をものともせずに善戦している三方向の花騎士たちを見ていると、あらためて驚嘆の思いが浮かび上がってくる。頼もしいという以外に、もはや言葉が思いつかないくらいだ。
経験と力量。ともに騎士学校を卒業したばかりの花騎士とは圧倒的なまでに
……さして時間もかからずに、戦いの
すっかり数を減らした害虫は、もはやほとんど攻撃力らしい攻撃力はない。それよりも今は生き延びることに手一杯といった様子で、森のさらに奥へと逃げはじめるようになった。
「だんちゃん、まだ何匹も残ってるデス!」
もちろん追撃するとカルミアに答えて、ムラサキハナナに合図を促す。前衛の6人に同様の指示を伝えるためだ。
「わかりました、団長さま。でも……」
懸念するムラサキハナナに、もちろん承知していると微笑む。
逃げる害虫を追い討つとはいえ、このままで終わるとはかぎらない。これからさらに森の奥へ進むほど、何があるかわからない。油断は禁物だ。
あらためて気を引き締めるよう、ムラサキハナナに重ねて合図を頼んだ。
――どれくらい叩いただろうか。
自分たちが相手にしたのが害虫の全戦力だとするなら、壊滅状態といっていいだろう。
あとは本拠地となっている巣を叩き潰し、それから数回ほど掃討作戦を行って残存勢力を駆逐すれば、まず当分は周辺地域に平和が戻るはずだ。
知らず知らずのうちに、かなり森の奥まで進んできていたようだ。
突如、左右の視界が一気にクリアに広がった。密集するように立ち並んでいた木々が、不意に途切れたのだ。
正面に崖が立ちふさがる、広々とした空間。森の奥地にこんなに開けた場所があったとは、まさに驚きというほかない。
……このあたりが切り上げ時か。
最前線で戦ってくれた花騎士たちをはじめ、みんなそろそろ疲労を覚えてきた頃合いだろう。
害虫の数が数だけに、もとよりただ一度の戦いですべてが片付くとは思っていない。巣の捜索および破壊と、完全なる掃討。全部が終わるには、まだもう少し時間がかかるはずだ。
いずれにせよ、無理を重ねるべきではない。まずはこのあたりで体勢を整え直し、あらためて害虫の残存具合や反撃能力などを探るべきだろう。
「……わたしも団長さまと同じことを考えてました。それでいいと思います」
ムラサキハナナが同意を示し、軍扇を高く掲げて合図を出した。さっそくとばかり、キンギョソウとプルモナリアがこちらに駆け戻ってくるのが見える。
「団長さん団長さん!」
……が、少し様子がおかしい。
息せき切って、そばに来るなり必死な顔でキンギョソウが訴えてくる。
「一度引き返そう! なんかね、すっごくイヤな予感がするんだ……!」
呼吸を弾ませながら早口で説明する彼女の声を聞いた瞬間、ぞくりと背中に冷たいものが走った。
キンギョソウの直感は信用できる。過去に何度も助けられたことで、それは証明ずみだ。
まだ終わっていない。彼女がそう言う以上、何かがあるのは間違いない。
とにかく、闇雲に追撃を重ねるのは中止だ。このまま全員を集合させ、冷静になって様子を見極めてから、次の行動を考えていけば……。
刹那。
巨大な雲が上空を横切ったのか、視界が急に
「団長さんっ!」
キンギョソウが叫ぶ。
上。黒い何か。
頭上から、巨大な害虫が降ってきていた。
明らかにこれまでの雑魚とは違う、その数倍はあろうかという巨体だ。
どこからやって来たのか。崖。そうか。目の前の崖から飛び降りたのか。
散開を命じるまでもない。とっさに皆、ひらりと跳躍して害虫の着地点から逃れるように――
いや、間に合わなかった。
そもそもの位置が悪かったこともあって、自分だけが回避しきれない。
あっという間に、いや、ゆっくりと害虫の巨躯が眼前に迫ってくる。自分ひとりだけが違う空間にいるかのように、時間の進み方が正確に認識できない。
ムカデ型害虫のようだ。しかしこれほどのサイズのものはそうそう見ることがないのではないだろうか……などと、今この瞬間においては意味のないことだけがぼんやりと頭の中を駆け巡った。
スノードロップが武器を構えるも、こちらを巻き込みかねないことに気づいて戸惑っている。モミジやヒメシャラたちが駆け寄ろうとしているのが見えたが、距離がありすぎた。
ガイン!と。
何かがぶつかり合い、大きな衝突音を発するのが聞こえた。
「ぐ……ぬぬぬぬ……ぅぅっ!!」
「カルミアさんっ!」
「お、重い……デスっ!!」
悲鳴にも似たムラサキハナナの声の先。自分のすぐ横に、カルミアの姿があった。
彼女独自の武器であり、愛用している傘。左右の腕でそれを頭上に掲げ、害虫の巨体を防いでいたのだ。
「団長、こっち!」
すかさずプルモナリアに腕を引かれ、転がるようにしながらようやく害虫の着地地点から離脱する。
ミシミシと、その間にもカルミアの傘が悲鳴を上げるのが聞こえた。
「だんちゃん……脱出できたデス? 次はカルミアも……」
「カルミアちゃん!!」
次の瞬間。カルミアの姿が害虫の巨体に押し潰された。
……ように見えたところを、スノードロップがかろうじて救い出していた。
「いたたた……。カルミア、えれがんとにだんちゃんを助けられたデス……?」
脱出するさいに大型害虫の攻撃を受けたのか、手傷を負っているようだ。とはいえ命に関わるといった程度ではなさそうな様子を見て、ほっと安堵する。
圧殺という罠とともに待ち伏せていた大型害虫がこちらを見――にやりと
もちろん、本当にそのような意図があるのかなど、知りようもない。
しかし今回ばかりは……獲物はお前だ、とはっきり語りかけてきている。そんな、確信めいた思いがあった。
目玉ひとつで、人間の頭ほどの大きさ。
かつて文字通り死闘をくり広げた『千の足』の超巨大害虫ほどではないにしても、おそらく下位の極限指定害虫といったあたりだろうか。なるほど、村に駐在する未熟な花騎士たちでは手に負えなかったのも無理はない。
そんな大型害虫が放つ、まるで肌を突き刺してくるような明確な殺意に。
真っ向から受け止めながら、ふんと鼻で笑って一蹴する。
「舐めるなよ……」
プルモナリアの手を借りて脱出したさい、口の中を軽く切った。たいしたことはない。
赤いものの混じった唾を吐き捨てて、再度言い放つ。
「もう一度言う。なめるなよ、本物の花騎士を。自慢の部下たちの力を」
言葉が終わるのを合図としたかのように、巨大なムカデ型害虫が頭部を高く持ち上げ、いくつもの体節から長く伸びた数本の脚を振り上げる。
さすがは多足動物、といったところか。それぞれが鞭のように自在に動く野太い脚のすべてを振り下ろすだけで、連続して襲いかかる多段攻撃になる。はじめの攻撃をかわしても、逃れた先で次々と攻撃が襲いかかってくることになるわけだ。
だが――
それも、すべての脚を攻撃に使うことができれば、だ。
「思惑通りには……させないっ!!」
こちらを狙おうとした害虫の脚が本体から切り離され、高々と宙を舞った。
モミジが駆け寄るや目の覚めるような
いや、一本だけではない。ヒメシャラが、プルモナリアが、ムラサキハナナがそれぞれの攻撃で同様に他の脚に斬りかかり、またキンギョソウ、イフェイオン、アンゼリカがそれぞれの攻撃を叩きこむ。
息の合った同時攻撃に、さしものムカデ型害虫も苦痛の叫びをあげ、その巨体を大きくよじった。
「皆の者、このまま一気に……!」
「待ってください、ヒメシャラさん!」
頭部を天高く掲げた体勢だけに、巨大害虫の腹部が剥き出しのように露わになっている。そこを狙うべく害虫に近接しようとするヒメシャラを、ムラサキハナナが鋭い声で制した。
ムラサキハナナの声で、誰もが機敏に察したようだ。とっさに全員が距離を取った瞬間、まるで頭上から巨大な岩が落下してきたかのように、ムカデ型害虫が自分の頭部を大地に叩きつけた。
もしもあのまま害虫の腹を狙って正面に飛び出していたなら、回避は非常に困難だっただろう。巨躯を有効に利用したその一撃は、獲物を圧殺するに十分すぎるほどのスピードとパワーを有していた。
何本かの脚を切り落としたことで攻撃力をかなり削いだと思ったが、実際は害虫にとって大したダメージになっていないのかもしれない。
となれば、まずはなんらかの方法でその動きを封じたい。本格的な攻撃を加えるのはそれからだ。
「偉い人、大丈夫?」
こちらを案じるプルモナリアに、問題ないと返す。カルミアが身を挺してかばってくれたおかげで、ほんの軽い擦過傷程度ですんでいる。
そのカルミアのそばにはスノードロップが寄り添い、態勢を立て直している。ちらりと後方に目をやればイオノシジウムが早くもこちらの意図を正確に察して、退路をしっかりと確保してくれているようだ。
よし、撤退だ。
……と思った瞬間、まるで示し合わせたかのように、巨大害虫も身を退いて逃走に移った。
「……っ! このまま逃がすかっ!」
「待って、モミジ! 逃げてた他の害虫が集まりだしてる!」
イフェイオンの言葉に視線をむけると、たしかにそれまで散り散りに逃げるだけだったザコ害虫たちがこちらに反転する姿勢を見せ、同時に巨大害虫を迎え入れようとしていた。
やはり、いったんここで仕切り直しとするべきだろう。
次こそが、まさしく殲滅戦となる。そのときは、なるべくならこのムカデ型害虫とは、接近戦の前に遠距離攻撃である程度の動きを鈍らせておきたい。
何本かの脚を失いはしたものの、機敏さはほとんど損なわれているようには見えない。
またカルミアの負傷も気になる。ムカデ型の攻撃に遅効性の毒が含まれていたりでもしたら、一刻でも早い手当てが必要だろう。
親玉は生きているとはいえ、もはや奇襲をかけるためにザコ害虫たちにこちらの意識を集中させるだけの戦力は残っていない。次回は最初から親玉自身が直接ぶつかってくることになるはずだ。
親玉害虫と合流すると、まるで潮が引くように森の奥へと害虫たちは姿を消していった。
完全勝利とまではいかなかったものの、こちらの優勢はもはや揺るぎない。今回はそれで良しとすべきだ。
ただ、危ない場面もあった。迂闊な我が身を反省すると同時に、文字どおり命がけで救ってくれたカルミアには感謝しないといけない。
◇ ◇ ◇ ◇
「……団長さん、ちょっといいー?」
――警戒をつづけながらも、ひとまず各自に呼吸を整え。落ち着きを取り戻させる。
と、同時にムカデ型巨大害虫がいたあたりを調べていたキンギョソウが、気になることでもあったのか、こちらの名を呼んだ。
「これ、なんだろ? というより、どう見ても指輪だよね……?」
「……本当ですね。ひょっとして、あの害虫が身に着けていた……?」
身に着けていたというよりは、どこかで拾って体内に隠し持っていた、といったところではないだろうか。
ムラサキハナナに自分の見解を話しながら、キンギョソウからそれを受け取った。
誰がどう見たところで、指輪そのものだ。
もちろん、害虫用とかそういう話ではない。人間界で使用され、まっとうな価値が与えられているものだ。
光り物に興味を示す害虫はわりと多い。なのでたまたま拾ったムカデ型害虫が気に入り、肌身離さぬように持っていたのだろうか……。
指輪といっても多くの種類があるだろうが、見たところそれなりに値が張るような品物だという気がする。少なくともひと目でわかるような安っぽさはない。
環状の金属部分は害虫が手荒に扱っていたためか傷がついたり曲がったりしているものの、肝心の宝石は奇跡的に無事なようだ。
宝石の素材はクリスタルだろうか。害虫のもとにあった期間はわからないが、その光沢に衰えはないように見える。
しばらく裏返しにしたりまた表に返したりしているうちに――それに気がついた。
ひしゃげた輪の裏に刻まれているもの。読みづらくなっているが、文字だ。
万が一、読み間違いということがあるかもしれない。なのでムラサキハナナに手渡し、彼女にも見てもらった。
「……はい、間違いないと思います。これ……この名前は……」
なにか重大なものを見つけたとでもいったふうに、戦いが終わっていくらか緩みかけていたその表情が、ふたたび厳しいものへと変わる。
帰りを待つ父と弟を残したまま、戦死した花騎士の名前が、そこに記されていた――