男嫌いな軍師の婚約者だった男の話   作:鈴木颯手

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なんかルーキー日間15位になったり経った一日で投稿中のリリなのと同等になったので宣言通り続きを書きました(相も変わらぬ低クオリティー)
恋姫の知識無いせいか桂花の口調が迷子に……。
たくさんの感想ありがとうございます。


桂花視点

「初めまして性を周、名を尽。字を江響と申します」

 

そう言うと周尽、煉は頭を下げた。これが私と煉の最初の出会いだった。当時すでに男嫌いだった私は開口一番こう叫んでいた。

 

「ふん!弱っちそうな猿ね!いいわ、こき使ってあげるから覚悟しなさい!」

 

今思えばもっと優しく言えば良かったんだと思う。それに気付いた今では既に手遅れだったけど。

煉は私の側近として荀家で働く事になった。私は宣言した通り煉をこき使った。毎日の様に大量の仕事を押し付け失敗すれば怒鳴り罵声を浴びせた。煉はひたすら謝っていた。私はただ謝る煉に怒りを覚え更に罵倒してその月の給料を取り上げた。

煉はあまり才能がなかった。文官としても武官としても重要な立場になれる事はない。どんなに頑張っても副官が精々だった。私はそれを煉に罵声と共に教えてあげた。この時の私はとても嬉しかった。私は既に煉に恋していたんだと思う。でも、認められなくて罵声を浴びせた。

煉は婚約者だから離れる事はない。どんなに罵声を浴びせても煉はずっとそばにいてくれる。そう思って私は理不尽な罵声を浴びせ続けた。

そして、それは二年も続いた。奉公人たちが煉に同情の視線を向けているのが分かる。でも誰も煉に話しかけたりはしない。私が許さなかったから。一度一人の奉公人が煉を飲みに誘ったことがあった。それを知った私は怒りのあまりその奉公人を解雇した。それ以来奉公人は煉を避けるようになった。

煉は私の婚約者。だから私だけを見ていればいい。私の指示に従っていればいい。私の為に生きていればいい。そうすれば私は、貴方を傍における。

 

 

 

 

「煉!私曹操様に仕えることになったわ!」

 

一週間ぶりに帰宅した私は母上にも付けずに真っすぐに煉の元に向かった。煉は書類に埋もれながら仕事をしていたけど私を見て仕事を中断して私の方を見る。それだけ私は嬉しくて何時も以上に機嫌が良くなった。

 

「それは……。おめでとうございます」

「そんなわけだから一週間後に曹操様の元に向かうわ」

 

曹操様からは直ぐにでも雇いたいと言われており私は家の準備などを行ってから一度帰宅したのだ。その家は煉と共に住む予定の家。この時の私は煉も一緒に連れていくつもりだった。婚約者なんだから傍にいるのは当たり前。そう思っていた。

 

「当たり前でしょ?貴方みたいな無能な猿は荀家に相応しくないもの。適当にあっちで家を買って過ごしてちょうだい」

「それは……」

「なに?文句あるわけ?使えないあんたが?」

 

そのせいだろうか。私は何時も以上に煉に罵声を浴びせた。本来なら言うつもりのなかったことまで言っていた。

 

「……まぁ、あんたみたいな猿にはそんな事が出来るとは思えないから特別に私の家に住まわせてあげてもいいわ」

「……」

「その代り私の為に一層尽くしなさい。食事洗濯家事掃除は完璧にこなしなさい。それと私は文官として曹操様の近くで働くからお弁当も作りなさい。いいわね?」

「……はい」

「どうせろくに出来ないだろうけど一応私の婚約者だからこき使ってあげるのよ?全く、どうせなら曹操様の様な人と婚約者になりたかったわ。こんな、出来損ないじゃなくて」

「……っ!」

 

この時煉の顔をちゃんと見ていればあんなことにはならなかったのかも知れない。

翌日、煉は時間を過ぎても現れなかった。

 

「まったく!煉は何しているのよ!これから忙しくなるのに……!」

 

私はそう文句を言いながら煉の寝室を開け硬直した。

部屋には誰もおらずきちんと畳まれた布団とその上に一枚の紙が置いてあった。私は震える手でその紙を取り呼んだ。

 

「自分は荀彧の婿としてやっていける自信がなくなりました。今までありがとうございました」

 

私は初めて自分が仕出かした事の重大さを知った。

 

 

 

 

 

「……ただいま」

 

曹操様が最初に統治していた場所にある私の家。月に一度家の掃除の為に訪れる。

 

「……こんなに汚れて」

 

家の中は埃だらけだった。私は掃除用具を使って家を奇麗にする。一人で住むには広すぎる家。本来なら煉と一緒に暮らす予定だった家。

本来なら売り払うべき家だけど私は出来なかった。何時か煉が私を出迎えてくれるのでは?そんな思いから曹操様の本拠地が移った今でもここに戻って来る。

……本当は分かっている。彼がこの家を知る筈がないのに帰ってくるわけがない。それどころか彼が生きているのかさえ分からない。天下が魏、呉、蜀に別れてから私は曹操様に頼み込み魏国中を探したけど見つからなかった。もしかしたら呉や蜀にいるのかも知れないし最悪の場合死んでいるかも知れない。でも、それでも!私は諦められなかった。

 

「早く、早く帰ってきなさいよ。馬鹿……」

 

彼の顔が見たい。声が聞きたい。恥ずかしくて預けられなかった真名を預け呼んでほしい。もう二度と怒鳴ったりしない。罵声を浴びせたりしないから。

 

「お願いよ……、もう一度だけ……」

 

私は暗い家の中でただ静かに泣いた。

 




評価くれたら続き書きます。ランキングに載せさせて(むちゃぶり)
明日は自宅監禁√を投稿します

書いてほしい√

  • 婚約者とのハッピーエンド√
  • 婚約者を殺害√
  • 婚約者と一緒に駆け落ち√
  • 婚約者寝取られ√
  • R18版(書けるとは言ってない)
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