オラリオの防衛者   作:リコルト

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どうも、初めまして!作者のリコルトです!
此度からダンまちとワールドトリガーのクロスオーバー作品を投稿していこうと思います。
学業の関係でなかなかすぐには投稿できないことが多くなりますが、極力投稿していこうと思いますので、拙い作品ではありますが、見ていただけると嬉しいです!

それではプロローグをどうぞ!





プロローグ

 

 

 ───ボーダ―。正式名称は「界境防衛機関」。別世界から侵略してくるネイバーやトリオン兵と呼ばれる者達に対抗する組織で、約600人近い戦闘員のその多くは活動拠点である三門市内の学生によって構成されている。

 

 ボーダーに所属する全隊員はA級、B級、C級とクラスは違えど、日頃からいつ迫ってくるか分からない敵にいつでも対応できるようにと本部で訓練を行っている。そのため、ボーダー本部は普段から活気がある状態なのだが、今日だけはどこか雰囲気が違っていた……

 

 

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「あれっ?荒船先輩と佐鳥先輩だけっすか?」

 

 頭に感情を一切感じられない猫を乗せている猫目の少女、夏目出穂がスナイパー専用の練習室に顔を出すと、そこには普段ならスナイパーの監査役として一度も顔を出さない日が無かった人物がおらず、一瞬驚いてしまう。

 

「本当だ……。あれ?東さんは?」

 

 出穂と共にやってきた彼女の同僚であり、親友でもある雨取千佳は普段ならいるはずであろう人物ーー東春秋を探そうとキョロキョロと周りを見渡すが、その姿を認識することはできない。

 

「おっ。玉狛のおチビちゃん達じゃねぇか」

 

 二人の存在に気付いた荒船と佐鳥は誰かを探している様子だった二人に声をかける。

 

「おやおや~、二人とも誰かを探しているみたいだったけど、ご友人とかでも探していたのかな~?」

 

「いえ、普段ならいつも東さんはいるのに、今日はいない日なんだなと思って。もしかして、体調不良っすか?」

 

 のらりくらりとした佐鳥の質問に出穂が答えると、荒船と佐鳥は一瞬何かに動揺したような雰囲気を醸し出し、お互いに顔を見合わせる。

 

「……東さんは墓参りに行ってるんだ」

 

 そう言って、荒船は自慢の帽子で目元を隠しながら出穂と雨取の二人に説明する。

 

「墓参り……もしかして、親族の?」

 

「いや、親族じゃない。東隊の元ボーダー隊員だった男だ。だが、東さんにとっては息子みたいに誰よりも大切な人だった。俺も佐鳥もそいつとは友人でな……。今でも死んだのが信じられないぐらいだ」

 

「ですね……あの人が死んだと聞いた時、俺も最初は信じられませんでしたもん。木虎とかすごい動揺していたし」

 

 かつての思い出を振り返るように荒船と佐鳥は静かにその場で目を閉じる。その光景を見て、その人物はボーダーの多くの隊員に影響を与えたのだろうと、ボーダーに入ったばかりの雨取と出穂も容易に理解する事ができた。

 

「すごい人……だったんですか?」

 

 雨取の問いに荒船はああ、と言って話を続ける。

 

「あいつは戦闘の腕だけでなく、戦術、エンジニアリング、それに医療の才がずば抜けていてな。間違いなく今のボーダーにいなければいけない存在だった。あいつがもし生きていれば、第二次大規模侵攻の結果も変わっていたかもしれないと思うぐらいにな……」

 

 

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『パーフェクトオールラウンダーの理論を確立させたい?確かに俺は攻撃手、銃手、射手、狙撃手の戦闘は全て出来るが、木崎さんには全く及ばないよ。荒船、そういうのは木崎さんを参考にするのが一番じゃないか?』

 

 

『確かにな。だが、お前には他の戦闘員には見られ無いエンジニアリング、医療に精通しているという長所がある。俺の理論にはそういう所も組み込みたいんだ』

 

 

『へぇ、成る程ね。良いよ、教えてあげる。けど、エンジニアリングと医療には専門用語とか多いよ。果たして体育会系の荒船君に理解できるかな?』

 

 

『うるせぇ、叩き斬るぞ。バカにすんな』

 

 

『はいはい、じゃあ今から東隊の隊室に来なよ。俺がその二つを勉強する際に使ったノートがあるから。体育会系の荒船君でも一年でマスターさせてみせるよ』

 

 

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(今日がその一年だよ………バカ野郎が)

 

 

 荒船はかつて自身の目標であるパーフェクトオールラウンダーの理論化の実現のために尊敬していた友と交わした会話を一字一句忘れること無く覚えている。一年という月日が経過していても、荒船にとってそれは大事な記憶だった。

 

「……おチビちゃん達。もし時間があるなら、そいつの話をもっと詳しく聞いていかないか?」

 

「「えっ!?良いんすか(ですか)?」」

 

「ああ、別に減るもんじゃないからな。それにあいつの話はむしろ参考になることばかりだ。佐鳥も付き合うよな?」

 

「ええっ!?俺もですか!?俺、次の仕事が「ついでに佐鳥の黒歴史も話して…」勿論、付き合います!」

 

 荒船の言葉に佐鳥は目に涙を浮かべながら、うんうんと頷くように承諾する。その様子を見て雨取は何かを察したように苦笑をし、出穂は憐れみの視線を送っていた。

 

 

「じゃあ、話すぜ。旧東隊の5人目と呼ばれ、東さんの全てを受け継いだ男。水谷聡人(みずやときと)の話をな…………」

 

 

 

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 ボーダー本部から少し離れ、警戒区域外にある墓所。高台にあるため、移動には少々不便ではあるものの、そこで眠る者が守りたかったボーダー本部が一望できるその場所で、肩口まで伸びた黒髪と眠たそうな眼と180メートル以上もある長身が特徴的な男ーー東春秋は『水谷聡人』と彫られた墓石を静かに見つめていた。

 

「お前がいなくなってからもう1年か……」

 

 東は返事をしない事を分かっていながらも、いくつもの供え物と花で彩られた墓に語りかける。

 

「水谷とは俺と同じで今のボーダー発足時の付き合いだったな。二宮、加古、三輪はそれぞれ隊を作ったんだが、お前だけは俺に最後まで付いてきてB級の育成に専念したんだよな。奥寺も小荒井も人見も元気だよ。今でもお前が遺した戦術ノートを読み漁るぐらいだ。ボーダーでの用事が終わり次第、会いに来るそうだから彼らの話も聞いてやってくれ」

 

 そう言って、墓石に水と線香を捧げようとすると、新たな来訪者が墓石の前にやってくる。

 

「忍田本部長、それに沢村………」

 

「我々も線香をあげても良いかな?」

 

 忍田の言葉に東はもちろん、どうぞと言い、線香に火を着ける際に使用した火種を二人に貸し出す。

 

「今年も供え物が沢山だな」

 

「ええ。二宮隊、加古隊、三輪隊、それに嵐山隊や影浦隊や荒船隊といった面子が前に来ましたね。これから太刀川隊や鈴鳴第一も来るとか」

 

「そうか」

 

 そう言って忍田と沢村は白い煙を出す線香を墓にあげ、墓の前で黙祷を捧げる。

 

「聡人君……惜しい人物を無くしたものだ」

 

「そうですね……私や東君といった同期メンバーの中で将来性に関しては彼が一番でしたから。けれど、一年前の遠征の際に起きたネイバーによる遠征挺襲撃事件で、彼は襲ってきたネイバーと共に自爆。そのまま行方不明に……」

 

「ああ……けれど、水谷が犠牲になったおかげで遠征挺とそれに乗船していた数十人のメンバーは無事に帰還できたんだ。俺もその内の一人だ」

 

 墓石の前で忍田、沢村、東は彼が亡くなった原因である事件を鮮明に思い出す。特に東は彼が亡くなる直前に彼と話した唯一の人間であった。

 

 

______________

 

 

『東隊長!貴方はこれからのボーダーを支える重要な人物です!東隊長だけは絶対に死なせません!だから、ここは俺がこいつを何とかします!』

 

 

『それはお前も同じだ、水谷!お前が死ねば、悲しむ人物は大勢いる!お前にはまだ後輩に教えることがまだ残っているだろう!』

 

 

『東隊長、俺は貴方という根から生まれた葉や枝みたいなものなんです。植物にとって致命的なのは根を失うこと!根さえ残っていれば、後はどうにかなります!それに後輩にはすでに教えることは全て遺しています。悔いはもうありませんよ』

 

 

『待て!水谷!』

 

 

 

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(水谷……もし生きているなら…………)

 

 

 

…………………………

 

 

 

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「ゲホっ……ゲホっ……ここは?」

 

 

 薄汚れた路地裏のような場所で、見慣れない景色に動揺しながらも紺色のジャージを模した戦闘体をした少年ーー水谷聡人は意識を覚醒させる。

 

「確か……俺はあのネイバーと自爆して……」

 

 右手で頭を押さえつつ水谷は覚えている事を思い出す。

 

 遠征からの帰還の際に謎のネイバーが襲ってきたこと。

 

 そのネイバーと共に自爆特攻したこと。

 

 この辺りが水谷にとって最後の鮮明な記憶だった。

 

 自爆特攻した以降の出来事の記憶は曖昧で、まるで宇宙のような無重力空間に漂う感覚だけは覚えている。そして、気付けば見慣れない場所で目覚めたというわけだ。これだけの出来事を基に水谷はある仮説を立てる。

 

「もしかすると……ここはネイバーフッドか?襲撃されたのは空間転移中だったからな。あの爆発と共に知らない場所に放り投げられたと仮定すれば、俺がここにいるという説明はつく。少なくとも死んでいなければの話だけど」

 

 それを踏まえつつ、水谷はゆっくりと辺りを見渡す。

 

「建物の材質は石材や木材……中世を彷彿とさせるな。そして、この街の中心らしい場所にそびえ立つ塔と街を囲うような壁……ファンタジー小説やゲームとかによくある城塞都市といった所か」

 

 最初は知らない場所で動揺していたものの、彼の何事にも今分かる情報だけで仮説を立てて分析するという性分と見ず知らずのものに対して湧き出す彼の興味により彼は普段の冷静さを取り戻していた。

 

「そう言えば、今は戦闘体だったか……良かった。どうやら、戦闘体には特に影響は無さそうだ。もしかすると、好戦的な国家かもしれないからな」

 

 ネイバーと自爆覚悟で戦った水谷。最初は何故戦闘体のままだったのだろうかと疑問は残ったものの、トリガーは彼の唯一の対抗手段である。この際は全く気にするような問題では無いと切り捨てるように判断した。

 

 激しい戦いの後で何かしらの不調は無いか試しにバッグワームを起動すると、無事彼の背中にグレーのマントが現れ、水谷は安堵する。

 

「ひとまずは散策して情報収集かな。手持ちも応急手当て用の医療セットと自分でカスタマイズするための各種トリガーチップしか持ってないからなぁ。誰か親切な人に会えれば、良いんだけど」

 

 

 そう言って、東隊オールラウンダー水谷聡人は見知らぬ街の雑踏へと飛び出すのだった。

 

 

 

 




プロフィールその1

名前:水谷 聡人(みずや ときと)

所属:東隊

ポジション:オールラウンダー

性別:男

年齢:17歳(もし生還していれば荒船達と同い年で、18歳組の一人だった)

身長:169cm

血液型:B型

星座:つるぎ座

誕生日:7月20日

職業:高校生

好きなもの:東隊長、新人の育成、トリガーのカスタマイズ、医療系に関わる物事、海鮮類

得意なこと:情報収集と分析、仮定を立てること、エンジニアリング、応急手当て

パラメーター

トリオン 10

攻撃 9

防御・援護 11

機動 7

技術 12

射程 8

指揮 9

特殊戦術 8

経歴:第一次大規模侵攻で自分以外の親族を失い、引き取られる形でボーダーに入隊。そのため東春秋や沢村響子とは同期である。その後、旧東隊に配属され、オペレータ兼戦闘員を担当する。旧東隊解散後は隊を作らず、後輩隊員育成のために東春秋に付いていき、現東隊を結成。奥寺、小荒井、人見ともここで知り合うが、しばらくして水谷聡人が例の事件に巻き込まれる形で行方不明に。結成して一年も経たずに5人体制による東隊は崩壊することになった。

その他:普段から彼はトリガーを変えるための各種トリガーチップを所持している。そのため、彼は時間と場所があれば、どこでも自分でトリガー編成を変えることができる。戦闘員でもこれが出来るのは一流のエンジニアやオペレータとして知識を持つ彼しかいない。

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