オラリオの防衛者   作:リコルト

17 / 24
前回の続きです!


【幕間】東隊の追憶②

 

 

「ここは……成る程、俺は西岸に転送されたか」

 

 

 青い光と共に見慣れた東隊の隊室から何処にでもありそうな住宅街へと転送された水谷。辺りを見渡すと、周りには真新しい家屋が広がっていて、遠目からは『河川敷A』というマップの特徴の一つである西岸と東岸を結ぶ一本の橋が目に入る。『河川敷A』というマップに慣れている水谷はマップを確認せずとも、自身が東側にいるか西側にいるかを視界だけの情報で理解することができた。

 

 

(天気は晴れ……やはりボーダーに入隊したばかりの隊員で構成された今の鈴鳴第一には天気の選択までは難しいか。天気の選択は自分の隊の首を絞めかねないからな……)

 

 ランク戦のマップ選択には地形だけでなく、天気や昼・夜の時間帯の選択も可能である。

 

 曇り・雨・曇が一切無い快晴・雪・霧・暴風雨……など幅広く天気を変えることが可能だが、その選択が良い結果に転ぶ時もあれば、時には雨によって自隊の射線が上手く通らないといった悪い結果に転ぶ場合もある。それだけ天気の選択は試合を左右するほど重要なのだ。

 

 何も操作がなければ、此度のランク戦みたく自動的に天気は晴れとなる。マップや隊員にほぼ影響が無い晴れとなった以上、此度のランク戦では転送されたマップでの立ち回り、チームワーク、そして個々の隊員の実力というものが鮮明に試合に表れてくるだろう。

 

「摩子さん。西岸と東岸の隊員の配置を教えて」

 

 右耳に着けた通信機を通して俺はオペレーターの人見に自分以外のメンバーの位置を訊ねる。

 

『水谷君と東隊長が西岸で、奥寺君とコアラが東岸に転送されたわ。同時に西岸で東さんを含む二人、東岸では三人が合流する素振りを見せてそれ以降はバッグワームを使用してレーダー上から姿を消してるわね』

 

「東さん以外にバッグワームを使う隊員が四人か。まず、西側の一人は鈴鳴第一の狙撃手の太一だろう。だったら、東側のもう三人は恐らく全員諏訪隊だ。諏訪隊は奇襲が得意なチームだからな」

 

『じゃあ、水谷先輩。奥寺と合流したら、東岸側の隊員達を倒しても良いっすか?』

 

 俺と摩子の通信に話を聞いていた東岸に転送された小荒井が参入し、俺に訊ねる。

 

「うーん……少しは様子見だな。諏訪隊も過去のランク戦からしてチームの合流を真っ先に優先している。もし接敵すれば、諏訪隊はフルメンバーの可能性が高い。東岸側には諏訪隊だけでなく、鈴鳴第一の誰かが一人いる筈だ。そいつを狙うのもありだし、そいつを諏訪隊と引き合わせて漁夫の利を狙うのもありだというのが自分の意見だ」

 

 もし東岸にいる鈴鳴第一が村上だったら、東さんの援護無しでは小荒井達が負けてしまうが、来馬さんだったら二人で点数を取れる筈だ。何せ援護が厄介な鈴鳴第一の狙撃手は俺がいる西岸にいるんのだから、向こうは村上がいない限り来馬さんは孤立無援の状態だろう。

 

『水谷先輩と東さんはどうするんですか?』

 

 奥寺が通信内で確認するように訊ねると、それに対してうちの隊の隊長である東さんが答える。

 

『ひと先ずは水谷と二人で西岸側にいる他の隊の連中を片付けてから奥寺達がいる東岸側に移動するつもりだが、水谷はどうしたい?』

 

「…………俺の援護は大丈夫なんで、東さんは先に橋の方へ向かって下さい。すぐに追い付きますから……」

 

 そう言い残して俺は自分の前の街角からヌルリと姿を現すシルエットに目を向ける。

 

 現れたのは緑色のジャージ姿の男。右手には攻撃手用トリガーの弧月、左手には機動隊の盾のように上下に細長い黄色いシールドで作られた攻撃手トリガーのレイガストが握られていた。誰かを守る騎士のような攻守を兼ね備えたトリガーの組み合わせをする攻撃手はボーダーでも俺が知る限り彼一人しかいない。

 

 

「こちら村上……水谷と接敵しました。太一、俺が削るまで狙撃は絶対にするなよ」

 

 緑色のジャージの男は耳に付けられた通信機で仲間に俺と接触したことを伝える。

 

「水谷、お前とは個人戦以来だったな。ランク戦でお前と戦えるとは思っていなかったよ」

 

「俺も久しぶりのランク戦の初めての相手が村上だとは……生憎うちの後輩が向こうで待っているんだ。お前を速攻で倒して早めに行かせてもらう」

 

 

…………………

 

 

 

………………………………………

 

 

 

…………………………………………………………………

 

 

『さぁ!マップにランダムで隊員の転送が終了しました!マップ配置を見てみましょう!』

 

 実況席に座る三上が観覧席のモニターを操作すると、モニターに今回のマップと隊員達が何処に転送されたかが分かりやすく映される。

 

『東岸側にいるのは諏訪隊の三人、鈴鳴第一の来馬隊長、東隊の奥寺隊員と小荒井隊員。一方、西岸側には東隊の東隊長と水谷隊員、鈴鳴第一の村上隊員と別役隊員が転送された模様!解説の二人はこの配置についてどう思われますか?』

 

『一番良いのは諏訪隊かしら。一番狙われやすい橋を渡らずに東岸で全員が合流できるもの』

 

『ああ。その次に東隊、鈴鳴第一といったところか。来馬一人の実力であの東岸を生き残るのは難しい。早く西岸にいる仲間が駆けつけないと真っ先にやられるのは孤立無援の来馬だろう』

 

『成る程……鈴鳴第一はマップ選択権を得ましたが、確かに今回は運悪く転送位置により自分の首を絞めたような苦しい状況ですね。おっと!ここで接敵!接敵したのは………』

 

 再び三上がモニターを操作すると、今度はモニターに住宅街で向かい合っている水谷と村上が映しだされる。

 

 

『ぶつかったのは鈴鳴第一のエース攻撃手である村上隊員!そして元A級部隊にも所属し、万能手でありながら射手No.2の実力という異色の経歴を持つ水谷隊員です!』

 

『あら、いきなり面白い展開ね』

 

 そう言って加古が面白そうに口元に笑みを浮かべる。その顔はまるで物事に興味津々な子供のそれであった。

 

『加古さんと風間さんはこの二人の戦いどちらが勝つと予想されていますか?』

 

『水谷君には悪いけど、今の段階では村上君ね。鈴鳴第一には水谷君を仕留めるために狙撃手が待機してるけど、東隊の東さんは橋側に移動しているわ。恐らく、対岸にいる奥寺君達の援護に回ったのだと思うけど、これだと水谷君に援護が望めない。……()()段階ではね』

 

『えっ?』

 

 含みがある加古の言い方に三上が首を傾げて訊ね、それに自隊の隊長である風間が答える。

 

『確かに加古の言う通り水谷は援護が望めず、普通に考えれば水谷が劣勢だと思うが、水谷にはその盤面を覆す実力がある。鍵を握るのは万能手である水谷のトリガー構成。水谷は俺や加古と違って毎回トリガー構成を変えるからな』

 

『成る程……水谷隊員のトリガー構成に注目ですね。おっと!ここで村上隊員と水谷隊員が交戦!鍵を握ると言われている水谷隊員のトリガー構成は……!?』

 

『あら、水谷君が()()を使わないなんて珍しいわね』

 

()()()()()()()()()()か……』

 

 

………………………

 

 

 

……………………………………………

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

「ぐっ……!」

 

 右手に握られた片手剣ー攻撃手用トリガーのスコーピオンで村上を強襲するが、相手の村上は防御に特化したレイガストを所持している。なかなか上手く決定打にならない。

 

「珍しいな……水谷がスコーピオンを使うなんて。てっきり、俺は使い慣れた弧月を使うと思っていたんだが」

 

 戦闘中にも関わらず、村上はレイガストの盾で俺の攻撃を余裕そうにガードしながら俺に話しかける。

 

「当たり前だろっ!村上にはサイドエフェクトがある!同じ戦い方で挑む馬鹿なんてゴリ押しの太刀川さんぐらいしかいないって!」

 

 村上には『強化睡眠記憶』という恐ろしいサイドエフェクトを所持している。これは人間の誰もが持つ睡眠時の記憶の整理・定着の能力が異常に強化されたもので、学習の効率が常人よりはるかに高いというものだ。 私生活においては勉学や身体操作の学習能力の高さ、戦闘面においては技の短期習得や特定の敵・技への対応など利便性が高い。

 

 一度、村上とは荒船に紹介された関係で個人戦をしたことがあった。その時は俺が弧月でギリギリ勝ち越したが、次同じコンディションで勝てるかと言われたら、勝てない方が可能性としつ高い。何故なら、村上が俺が弧月を使って戦った経験をサイドエフェクトの力ですでに100%自分の力にしてるからだ。あまり使わないスコーピオンを今回選んだのもそれが理由だ。

 

「ちっ…………」

 

 村上の弧月による一撃が俺の腹を掠め、切れた部分から緑色のトリオンが泡のようにシュワシュワと漏出していく。

 

 スコーピオンは軽量化と(ブレード)の形を自由に変えられ、身体のどの部分から出せるというメリットがある。だが、(ブレード)は耐久力が弱く、耐久性が良い弧月とぶつかり合えば先に砕けるのはスコーピオンである。

 

「スラスター!」

 

 ここで村上はレイガスト専用オプショントリガー『スラスター』を発動。トリオンを推進力に変え、レイガストという大きな盾を利用した重い突撃攻撃(チャージアタック)が腹をやられた俺に襲いかかってくる。

 

 だが、そう簡単にやられるわけにはいかない。俺は空いていた左手をこの場で初めて解禁する。

 

「パイパー!」

 

「っ!?」

 

 左手から放たれる変化弾(パイパー)を見た村上は即座にスラスターの推進方向を変える。

 

 それもそのはず。放たれたパイパーが俺を守るように周囲を螺旋状に回っていたからだ。このまま俺に突撃すれば、俺を円の中心に見立て守る螺旋状に回転するバイパーに横から襲われる。喰らえば、緊急離脱(ベイルアウト)をする程ではないが、身体からトリオンが漏れ出すのは避けられないだろう。

 

「水谷式変化弾(パイパー)……渦潮(ボルテクス)か。厄介だな」

 

「ボロ負けしても恨むなよ、村上」

 

 

………………………………

 

 

 

………………………………………………

 

 

 

……………………………………………………………

 

 

『おっと!水谷隊員!お得意のバイパーを利用して村上隊員の攻撃を回避!バイパー使い最強の技が光ります!』

 

渦潮(ボルテクス)パイパーだな。あれは接近戦を得意とする攻撃手だったら、初見は避けられないだろう。村上もスラスターが無かったら、やられていたな』

 

『風間さん、渦潮(ボルテクス)パイパーとは?』

 

 そう言って三上が風間に訊ねる。

 

渦潮(ボルテクス)パイパーは水谷が生み出したオリジナルの変化弾(パイパー)だ。水谷は多彩なトリガーを使う代わりにシールドやエスクードをあまりセットしない。それは水谷がほとんどの攻撃をパイパーで迎撃、最悪自分のサイドエフェクトである【強化視覚支援】による強化された動体視力で回避できるからだ。あのバイパーは迎撃用の物だな』

 

『成る程……要は水谷隊員にとってシールドのような相手からの攻撃を守るものなんですね』

 

『そうね。シールドというよりは結界に近いかしら。あのバイパーは自分を円の中心と仮定して、バイパーを自分の周りに螺旋状に弾道を引いているのよ。今は自分の周りにしか弾道を引いていないけど、その気になれば射程を延ばして建物一つを囲うことも容易ね。全く……何処にあんな発想力があるのかしら』

 

 射手である加古が水谷のオリジナルバイパーの解説をするが、何処か羨ましいそうな表情を見せる。同じ射手としてあれ程弾を自由自在に操る実力と発想力があればその才を羨み、欲するのは当然だろう。

 

『加えて水谷はボーダー内でもリアルタイムに弾道を引くことが出来る。それがあの自由な発想のバイパーを可能にしているんだ。射手の中でバイパーを使わせれば、水谷は誰にも負けないだろう。水谷式のバイパーに村上が何処まで対応できるかがこの戦いの肝だな』

 

 

………………………………

 

 

 

……………………………………………………

 

 

 

…………………………………………………………………………

 

 

「どうした、村上!攻めてこいよ!」

 

 

「くっ……弾道が複雑……すぎる!」

 

 

 立場は一転。今度は水谷が村上を攻める展開となっていた。水谷が追いかけるように放つバイパーをレイガストと弧月で防ぐが、水谷のバイパーの軌道を利用した全方位攻撃に村上は後退せざるを得ない状態だった。

 

 さらに…………

 

「ちっ……こいつはもぐら爪(モールクロー)!?」

 

 足から地面や厚い壁に刃を潜行させて離れた敵の死角をつくスコーピオンの応用技であるモールクローが村上の真下から襲いかかる。全方位からのバイパー、死角である真下からのスコーピオンと余裕の無い組み合わせに負け無しのエース攻撃手と呼ばれていた村上が苦戦を強いられていた。

 

 この展開は村上の実力を知る者、彼による敗北を知る者なら誰もが驚くだろう。何せあの村上がタイマン勝負で押されているのだ。村上を複数人で倒すのもやっとなのに、一人で水谷は渡り合うどころか彼を押している。

 

 だが、水谷の独壇場はまだ終わらない。

 

(あれは……グラスホッパー!)

 

 水谷の右手に現れたのは青い光を放つ球体。それは機動戦用オプショントリガー『グラスホッパー』。空中や地面に足場を作ることが出来るジャンプ台トリガーである。

 

 水谷はそれを発動させると、青い球体は四角い形となり、村上の周囲を塞ぐように複数出現する。

 

(しかも……こいつは乱反射(ピンボール)か!)

 

 水谷が仕掛けたのはグラスホッパーの応用戦術である『乱反射(ピンボール)』。周囲にグラスホッパーを多数配置し、三次元的に高速で移動して惑わす技で、最近B級になったばかりにも関わらず、優秀な腕を持っているとスカウトされてA級にスピード出世を果たした中学生の緑川が考案したものである。

 

 村上の読み通り水谷はグラスホッパを多数展開すると、その一つに乗って村上の周りを縦横無尽に駆け回る。けれども、元々機動戦はあまり長けていない水谷にとってオリジナルの緑川のような素早さを出すことは叶わなかった。

 

(動きが緑川と比べると遅い……なら、水谷が攻撃を仕掛けて接近した際に反撃(カウンター)をするまでだ)

 

 縦横無尽に駆け回るが、攻撃を与えるためには村上に接近する必要がある。そう考えた村上は弧月を握り締め、水谷が最も近付いた所を狙おうとする。

 

 だが、この時村上は重大な推測ミスをしていた。オリジナルの緑川は攻撃手であるためスコーピオンを使用するが、水谷がそのまま緑川の模倣をするだろうか?なぜ、水谷はグラスホッパーというオプショントリガーを(メイン)トリガーである()()にセットしたのだろうか?

 

 それは水谷の左手にある変化弾(パイパー)が全てを語っていた。

 

「なっ、なに……!?」

 

 ピンボールで素早く駆け回る水谷は村上に接近すること無く、変化弾(パイパー)を次々と射出していく。

 

 射出されたバイパーは縦横無尽に全方位から村上を襲うが、その主がグラスホッパーで縦横無尽に駆け回っているため、縦横無尽×縦横無尽というその軌道すらも正確に把握するのは困難な普段よりもさらに複雑な弾へと昇華する。

 

「水谷式変化弾(パイパー)……迷宮(ラビリンス)!」

 

 変化弾(パイパー)とグラスホッパー。誰もが思い付かない異色の組み合わせが炸裂し、複雑さが増した弾は村上の両肩とお腹を貫き、緑色のトリオンを漏出させる。

 

「がはっ……まだだ!スラスター!」

 

 バイパーを食らって吹き飛ばされたことで、弾の迷宮から皮肉にも脱出することに成功した村上。だが、このままやられっぱなしではいかない。その強い思いを秘めた村上は弧月とレイガストを再度握り締めて水谷にすさまじい勢いで突撃する。

 

 だが、水谷はその攻撃に対して動揺する素振りも見せない。むしろ、その攻撃は想定の範囲内だと言わんばかりに余裕そうな笑みをこぼすだけだった。

 

 

「すまんな、村上。チェックメイトだ」

 

 

「なっ……にっ!?これは…………」

 

 

 突如、地面から現れたパイパーが天へと昇るように垂直に射出され、村上の頭部を首から貫き、脳を貫通する。

 

(地面……まさか、さっきのスコーピオンによるモールクローで出来た穴か!?スコーピオンを何度も地面から仕掛けてきたのは弾の軌道を確保するためか!)

 

「流石元A級……桁違いの実力だな」

 

『戦闘体活動限界!緊急離脱(ベイルアウト)!』

 

 水谷という元A級隊員の実力を体感し、賛辞を言い残した村上の身体はトリオン伝達脳を貫かれた事で、緑色の光と共に爆発し、空中へと飛んでいくのだった。

 

 

………………………

 

 

 

………………………………………

 

 

 

………………………………………………………

 

 

『試合開始早々最初の緊急離脱(ベイルアウト)!やられたのは鈴鳴第一のエース攻撃手村上隊員!』

 

 ボーダー内でもトップクラスの攻撃手の実力を持つ村上がランク戦初めての脱落で観戦席が一斉にざわつく。ざわつく理由として村上という実力者が脱落したのもあるが、それよりも一番目に脱落したこと、一対一で敗北したことの方が大きいだろう。

 

『これは予想外の展開となりました!解説の二人はこの戦いの結果と勝敗をどうお考えでしょうか?』

 

『元同じ隊の私からすれば、水谷君に対しては流石の一言に尽きるわ。で、勝敗についてはやはり今回の戦いも水谷君のトリガー構成が鍵を握っていたわね。あのグラスホッパーとバイパーの組み合わせを喰らってから村上君の勝敗が決まったと言っても過言じゃないかしら。私もあれは初見だと厳しいわね』

 

『確かにあの攻撃は村上隊員を上手く崩しましたよね。あれは水谷隊員以外でも出来るものでしょうか?』

 

『あんなの射手の私や二宮君にも出来ないわね。グラスホッパーをしながらあんなに縦横無尽に弾を飛ばせば、自分にも被弾しかねないわ。あれは水谷君の【強化視覚支援】による強化された動体視力と瞬時に弾が当たらないように自分の理想の弾道を引くことが出来る水谷君にしか出来ない芸当よ』

 

 水谷が生み出した変化弾……迷宮(ラビリンス)は加古の言う通りそう簡単な物ではない。何故なら、その発動時に弾に複雑さを加えるために従来の弾道形成とグラスホッパーの飛ぶ軌道を瞬時に決めなければならないからだ。加えてあの複雑な弾を自分に当てないようにする。これだけの条件をクリアできるのはサイドエフェクトを持ち、分析や予測を得意とする水谷ただ一人だろう。

 

『確かにそれは凄いですね…………風間さんはどうですか?』

 

『確かに加古の言うようにあの水谷式変化弾(パイパー)が今回の勝敗を分けたが、俺からすれば水谷のスコーピオンの扱いも勝敗を分けたんじゃないかと考えている。グラスホッパーを見せることでスコーピオンを使うぞという(ブラフ)、村上を仕留めた弾道の確保……最初は何故あまり使わないスコーピオンを水谷が使うのかと疑問に思っていたが、今回の立役者は間違いなくスコーピオンだろうな』

 

 A級の中でもスコーピオンの扱いに関してはトップクラスの風間が水谷のスコーピオンの扱いについて素晴らしいと大絶賛する。自分が使い慣れた武器で水谷が鮮やかに勝利したことが同じ古株同士自分のことのように嬉しいのだろう。

 

『ちなみに、風間さん。村上隊員を仕留めた最後の一撃についてあれはどういった仕組みで……?』

 

『あれはスコーピオンによる【もぐら爪(モールクロー)】で作った地面の穴に時間差で射手が得意な置弾を設置したトラップだな。もぐら爪(モールクロー)は元々奇襲の為に使用するから何度も使用するのはあまり効果的じゃないんだが、最後の一撃を見てあのスコーピオンは地面に穴を掘っていたからだと確信することが出来た。後はバレないようにバイパーを置弾として穴に潜りこませ、好きな時に時間差で発射するだけだ』

 

『成る程……!流石は元A級!開始早々波乱の展開になりましたが、まだ試合は序盤!他の隊員達の動向、そして村上隊員を仕留めた水谷隊員の次の標的に注目です!』

 

 

………………………

 

 

 

…………………………………………

 

 

 

………………………………………………………

 

 

「さてと……次は撃たなかった狙撃手を狩りに行くか』

 

 

【水谷 聡人:1PT獲得】

 

 

【メイントリガー】

 

:スコーピオン

 

:グラスホッパー

 

:バイパー

 

:???

 

 

【サブトリガー】

 

:バイパー

 

:???

 

:???

 

:???

 

 

 




本編に出てきたアストレアファミリアのホームを守った水谷の弾の詳しい正体が明らかになりましたね。
次回は久しぶりに本編を書こうと思います!
このままだと、原作がダンまちからワールドトリガーに変わりかねませんから笑。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。