水谷がファミリアの主神であるアストレアとステータス更新をしている一方で、その他のアストレアファミリアの乙女達11名は何をしていたのかというと、ホーム内で最も広いリビングルームの机とソファ-を独占するように使用した女子会のような小さな宴を催していた。
「なぁ……ミズヤのこと皆はどう思っている?」
そう言って空になったグラスに
「私は今ではミズヤの事は同じファミリアの良き仲間だと思っています。先日の戦いの際に彼と共闘したのですが、チームワークや援護も完璧で非常に戦いやすかったです」
「私もリオンと同じね!ミズヤはもう私達と志を同じとするかけがえのない仲間の一人よ!加えるなら、すでにアストレアファミリアの期待のエース!いや、救世主ね☆!!」
「前回の遠征からずっとファミリアの財政は赤字だったからな。今回の掃討戦の成果でようやく黒字になったし……」
ライラの問いかけに果実のジュースが注がれたコップを飲みながら冷静にリューは答え、ライラのお酒を調子に乗って飲んでしまったせいで若干酔い気味のアリーゼもハイテンションな様子でリューに賛同する。
そんな酔い気味のアリーゼを介抱しながら、彼女の意見にファミリアの経済事情を踏まえたツッコミを入れるのは干し肉をおつまみ感覚で噛る真面目な性格の獣人であるネーゼであった。
「そういう意味じゃねぇよ。団長、リオン」
「???どういう意味ですか、ライラ?」
二人の答えに対して違うといった表情と言葉を発するライラにリューだけでなく、他のファミリアの面々も一斉にライラの方へ興味津々な視線を向ける。
そんな空気の中でライラは焦らすように問いかけの真の意味を改めて問いとして伝えるのだった。
「要はここにいる皆はミズヤを
『『『っ!!?』』』
ライラの問いかけを聞いていたファミリアの面々はプラズマが走ったような衝撃を覚え、表情が一気に覚醒する。
「男?ミズヤは男ですが……それが何か?」
ただ一名、最年少のポンコツエルフはライラの言葉の真の意味を理解していなかったとか…………
「エスカとかマリューはどうなんだ?二人はミズヤとお洒落や料理関連で結構会話するだろ?」
まず、ライラはファミリアでも穏健派であり、水谷と仲良く話していたエスカとマリューに話をふってみる。
「えっ!?う、う~ん……ミズヤはスタイルも良いし、何でも出来るからオラリオでも有数の優良物件だと思うぜ。わ、私はまだミズヤとは趣味を話す仲が良いし……恋人と思うにはまだ全然早いような気が…………」
「わ、わ、私もまだそういうの早い気がするなぁ~!それにミズヤさん……料理も丁寧に教えてくれるし、お兄ちゃんみたいな感じがするんだよね。ラ、ライラはどうなのよ!?」
話をふられた被害者であるエスカとマリューは顔を赤くしながら、話題を逸らそうと問いかけた張本人であるライラに反撃するように意見を求める。
「アタシか?アタシはフィン一筋だぜ!ミズヤも悪くない男だとは思うが、アレは……恋人にはしたくないけど、ずっと親友でいたいタイプの人間だな、うん」
『『『こ、こいつっ!?』』』
そう、この問いかけは圧倒的にライラが有利なのだ。
何故なら、ライラには周りにもバレバレで公認扱いされている片想いの相手がいる。
つまり、ライラは一方的にファミリアの他の仲間達に意見が聞ける立場に座っているのだ。それを瞬時に理解したライラとまだ状況を理解していないリューを除く乙女達はやられたと言わんばかりに動揺した様子を見せる。
「そう!二人が言っていたようにミズヤはオラリオでも類を見ない優良物件だ!スタイルが良い!何でも出来る!冒険者として将来有望!次の神会でミズヤの存在が二つ名と共に公になるわけだが、もし公になったらどうなるか……?」
「確実にミズヤは狙われるに違いないな…………女性冒険者達だけでなく、他の女神達からも」
「その通り!流石ネーゼだ!」
ネーゼの指摘にライラはビシッと指を突き付けながら、彼女はそのままの勢いで話を続ける。
「オラリオの女性冒険者……いや、女神も執着心が強いからな。ミズヤの事が知られれば、多くのスカウトが来るに違いねぇ。もしミズヤがその気になれば、他のファミリアに改宗するのも可能性とは低くない話だ。そうなれば、ミズヤとは
『『『ご、ごくりっ………』』』
ニヤニヤとした笑みを浮かべながら、ライラは固唾を飲むように謎の動揺と焦りを感じている仲間達の姿を見て面白そうにしているが、彼女の言葉に一人の乙女が反論する。
「悪戯はその辺にしろ、
「そ、そうだよ!輝夜の言う通り!ミズヤが私達を放って他のファミリアに行くわけないから!」
ライラの言葉に反論したのは極東産の米酒をお猪口に注ぎながらそれを上品に口へと運ぶ少し不機嫌そうな様子を見せる輝夜であった。だが、上品そうに見えるのは彼女の腹から上を見た姿で、足は不機嫌だからか女性としての品性の欠片も無く胡座をかいており、彼女が着ている着物からは程良い肉付きの腿が丸見えであった。
そんな不機嫌そうな輝夜の言葉を団長であるアリーゼがオブラートに包もうとフォローに入る。
「おーおー、やっぱり言う事は違うなぁ。
「優勝候補?ライラは何を「リオン、それ以上言ったら、この小人族諸共刀の錆にするからな?」は、はいっ………」
ライラの挑発に輝夜はピクンッと反応し、口にしていたお猪口を静かに机に置く。リューはライラの言っている言葉が理解できないためその意味を訊ねるのだが、輝夜の殺意が少し混じった言葉に思わず萎縮してしまうのだった。
「私はミズヤのことは実力、そして思想と共に気が合う仲間……それだけだ。それこそ、先程お前が言ったずっと親友でいたいタイプの男だな」
「いやいや、優勝候補だろ?ミズヤと会話する回数もこの中で一番多いし、ミズヤと話す時がここ最近で一番イキイキしてるじゃねぇか?」
「ち、違うぞ!私とミズヤは極東の文化を語れる唯一の仲だからだ。好きで何回も話しているわけでは……」
輝夜はライラの言葉に反駁を繰り返す、が………
『(あれは嘘だね)』
『(嘘だな。動揺も微かに見えたし……)』
『(ライラの言う通り確かに最近の輝夜って妙にイキイキしていたかも。掃討戦の時もミズヤに増援として呼ばれて一番嬉しそうだったから……)』
黙って見守る仲間達は輝夜の言葉を静かに嘘だと隠すように理解し、団長であるアリーゼも最近の輝夜の変化に思い当たる節があるような素振りを静かに見せるのだった。
「とにかく……これ以上は私の詮索をするなよ。私は少し外の風に当たってくる」
そう言い残すように輝夜は立ち上がり、ホームから出ようとする。すると輝夜の目の前に…………
「おっ、輝夜か。今から散歩に行くのか?」
輝夜と入れ違えるようにステータス更新を終えてリビングルームに入って来た水谷と主神であるアストレアが立ち塞がるのだった。
「うっ……ま、まぁ、そんな所だ」
先程の話題を引きずられたくはないと、輝夜は一刻も早く外に出ようとするが、アストレアの細い腕が彼女の動きを止めようと彼女の腕を掴み取る。
「ア、アストレア様?これは……?」
「ねぇ、輝夜?明日の予定は大丈夫かしら?」
そう言って女神アストレアは輝夜に訊ねる。
「えっ……大丈夫ですが……一体何の用でしょう?」
普段のアストレアらしからぬ強行な手段で止めに来た事に輝夜は目をパチクリとさせながら驚いた様子を見せるが、続けてアストレアは笑顔で彼女にあるお願いをするのだった。
「じゃあ、決まりね。明日、聡人と神会の後で開かれる宴で着る彼専用の衣装の買い物とロキファミリアから貰った刀の調整に付き合ってくれないかしら?ただの買い物だし、
「え…あ…あっ、アストレア様……それは……」
「そうか。フィンさんが言っていたように刀に関して言えば、輝夜が一番詳しいから心強いな」
言い辛そうに輝夜が硬直している脇で、水谷とアストレアによって明日の予定がどんどん決められていく。
その光景を見たアストレアファミリアの面々は……
『『『(アストレア様が一番確信犯だ)』』』
主神全面協力の元で