オラリオの防衛者   作:リコルト

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ようやく……終わりが見えてきました。
そして、感想と好評価をくれた読者の皆様。本当にありがとうございます。
久しぶりに見たら、バーの色が黄色でびっくりしました笑
まだまだ不定期更新が続きますが、完成次第出していきますので……


ファミリア入団と神の恩恵

 

 

 

「さ~て!ミズヤのアストレアファミリア入団が決まった事だし、早速神の恩恵(ファルナ)刻んで、ステータスお披露目会を開こうと思いま~す!」

 

 

『『『お~!!!』』』

 

 

 アリーゼ達の説得によりファミリアメンバー全員(一人は渋々)が水谷のことを信用し、彼の入団を快く歓迎するために再び彼女達の拠点『星屑の庭』に全11人のファミリアメンバーと主神であるアストレアが揃った所で、アリーゼが音頭をとって謎のテンションで宣言する。

 

 それに数名の他のファミリアメンバーも呼応するが、当事者の水谷はまだそれが何かをよく理解していなかった。

 

 

神の恩恵(ファルナ)ってなんだ?」

 

「神の恩恵っていうのは言葉通り神様が授ける恩恵のことだ。神の恩恵を授かるというのはその者が恩恵を授けた神のファミリアに眷属として所属を意味する。加えて、神の恩恵を授かった者は岩をも砕く怪力、瞬間移動を可能とするスキル、炎を巧みに自由に操る魔法など一般人の枠から外れた力を持つ。それが私達『冒険者』だ」

 

 なるほど、この世界でいうトリガーのような異質な能力は神様から授かっているのか。輝夜の説明に水谷は納得する。

 

「さっき輝夜が言っていた怪力やスキルや魔法といったものはその神の恩恵を授けられた全員が使えるのか?」

 

「そこは努力と才能次第だな。魔法やスキルの才能が無ければ、生涯覚える機会も全く無いし、鍛練や戦闘経験を積まなければ、神の恩恵によって与えられる個人のステータスも成長しない。神から与えられた力だけで最強になれるとは大間違いだ。ミズヤもそっち側の人間か?」

 

 そっち側の人間……神から力を与えられただけでバカみたいに喜び、努力や鍛練を怠る人間というわけね。

 

「そんなわけ無いだろ。事実、俺も最初から強かったわけじゃない。色々な人から戦う術を学び、それを最大限に生かそうと努力してきた。何もせずに最強になれるとか神になれるとかこれっぽっちも思ったことは無い。……逆にそんな夢みたいな考えを持っている奴程弱いし、戦場ではすぐに死ぬ」

 

 

 水谷はそれをボーダーの後輩隊員らをよく観察した上で、よく理解していた。

 

 ボーダーの後輩隊員、主にC級隊員には輝夜が言っていたような者達が少なからず存在していた。

 

 トリガーという武器を得ただけで、英雄とかになれると勘違いしている奴。訓練なんかせず、理想ばかりを述べている奴。中には格好いいからと言うだけの奴もいて、ボーダーの中でもネイバーに対して異常な殺意を持つ三輪の方が数千倍まともな動機と考えを持っている。事実、その殺意を糧にして必死に努力し、最年少のA級部隊長になったのだから。

 

 そして、そういう奴等はいつか越えられない壁にぶつかり、越えられず、廃れていく。まるで趣味に飽きたように簡単にボーダーを辞めていくのだ。そういう点でボーダー時代、水谷は少ないトリオン量という才能の差という壁にぶち当たっても工夫と努力で乗り越えた木虎に目をひかれ、弟子にしたというエピソードがある。嵐山隊に彼女を強く推薦したのも誰であろう水谷であった。

 

 木虎以外にも数名の隊員が水谷に声をかけられて、弟子になった経歴を持っているが、いずれもA級やB級中位以上の地位をおさめている。そして、いずれの隊員も共通点としてまず挙げられたのが、才能に自惚れず、努力を惜しまない者達だった。これには彼の師である東も『水谷の人を見る目は本当に確かだな』と絶賛していたぐらいである。

 

 

「ふっ……確かにな。ミズヤの言う通りだ。理想が悪いとは言わない。だが、それだけを語る者は弱く、そして心が脆い。だからこそ、私達はその理想に近づこうと自ら努力し、現実を見るんだ……」

 

 そう言って、ミズヤの考えに自分の考えが共鳴した輝夜は上機嫌に笑みを浮かべていた。

 

「ふふふ。私達、やはり似た者同士気が合うらしい。これ程機嫌が良いのは久しぶりだ……惚れそうなぐらいにな」

 

「ははっ。生まれてから一度も異世界の住人からも自分の世界の住人からも告白されたことは無い俺にはキツイ冗談だ。数時間前まで他人だった人に告白は流石に不用意だぞ。もう少し、自分の気持ちに慎重になるべきだ」

 

「…………冗談か。まぁ、良いわ。ほれ、アリーゼとアストレア様の元に行け。ミズヤを待っているぞ」

 

「おい、押すなって………!?」

 

 溜め息交じりに機嫌を落とした輝夜が話題を逸らすように強引に水谷をアリーゼ達の元へ連れていくために押し出そうとする。主役の登場にアリーゼ達ステータス興味津々組は待ち望んだように目をキラキラとさせていたが、この時ファミリアの中で一人ピンク髪のパルゥムであるライラは輝夜の僅かな感情の機微を察知して『フラれたか……照れ隠しめ』と輝夜を見て面白そうにニヤニヤしているのだった。

 

 

「じゃあ、ミズヤ。上半身裸になってアストレア様に背中を見せてくれるかな?」

 

 アリーゼの話を聞くと、神の恩恵は背中を通して授けられるものらしく、授けられると背中にタトゥーのような紋章が浮かび上がるとか。この時、アリーゼが自慢気に実物を見せようと素で上半身の服を脱ごうとして水谷を含めた他のメンバーに止められたのは秘密のお話である。

 

「分かった。あ、その前に……トリガー・オフ!」

 

 腰から取り出したトリガーを握り、戦闘体の解除を宣言する。すると、戦闘服であった紺色のジャージが粒子状に消滅し、水谷のお気に入りの私服である紺色のフード付きのパーカーが現れる。

 

「生身の姿の方が良いよな?」

 

 先程、アリーゼ達に自身が持つトリガーとトリオンで構成されたトリオン体について説明したので、彼女達も最初の頃よりそこまで驚きはしない。彼女達は興奮を抑えながら静かに水谷が神の恩恵を刻まれるのを待ち続ける。

 

「オーケーです、アストレア様」

 

 紺色のパーカーを脱ぎ、その下にあった黒いインナーも全て脱ぎ捨て素肌を露にする。無駄な脂肪が一切無く、逆にそこまで筋肉があるわけではない。そんな女性受けの高そうな体型を女性しかいないこの空間に解き放ちつつ、水谷は部屋にあったソファーベットに寝っ転がり、背中をアストレアに見せる。

 

「じゃあ……やるわね」

 

 小さな道具箱から先端が尖った裁縫針のようなものを取り出し、アストレアはそれを自身の指先に予防接種のようにチクッと突き刺す。

 

 すると、突き刺した部分から膨れるように少し赤い血が吹き出る。傷付けたのなら、当然の結果である。そして、傷付けた痛みに対して何事もなく、アストレアは淡々とそのまま指から吹き出る血を水谷の背中に滴り落とした。

 

 滴り落ちた血が水谷の背中に落ちると、背中に水の波紋のようなものと共に黒いエンブレムが現れる。中心に位置する一本の剣、そしてその両脇から生える翼。アストレアファミリアを象徴とする正義のエンブレムだ。

 

「お~、これが……」

 

 無事アストレアから神の恩恵を授かり、水谷は部屋にあった姿見で自分の背中に刻まれたエンブレムを確認する。

 

「これで聡人さん……いえ、聡人も私の眷属ね」

 

「はい、よろしくお願いします。アストレア様」

 

「ええ、こちらこそ。ちなみに、聡人のステータスを紙に写したのだけれど、見てみる?」

 

 そう言ってアストレアは黒い文字が記された一枚の羊皮紙を水谷に渡す。

 

 

 だが………

 

 

「…………すいません、文字が読めないです」

 

 

 かろうじて所々に散らばる数字は見慣れているため理解できる。けれど、文字だけは異世界(オラリオ)に来たばかりの水谷にとって未知との遭遇に等しいぐらいの代物であったのだ。

 

 

「なら、アタシ達が読んでやるぜ!」

 

「なっ!?おいっ!?」

 

 そんな困った様子の一瞬の隙を突いて、盗賊のような素早い動きでライラが水谷の右手からステータスの書かれた羊皮紙を奪う。

 

 

『『『『『どれどれ………………』』』』』

 

 

 奪ったライラと水谷のステータスに興味を持っていたアリーゼ達数名のファミリアのメンバーが水谷のステータスをじっくりと上から下へと文字を読んでいく。

 

 

 

「え……嘘……何これ……?」

 

 

「おいおい……マジかよ。レベル2の冒険者を難なく倒せるからある程度覚悟していたがこいつは……」

 

 上から下へと楽しむように興味津々な様子で読み続けていたアリーゼ達の顔が徐々に口を開けるように驚愕した様子を見せ、彼女達を驚かせるステータスを持つ目の前の半裸の男にチラッと目をやる。

 

 

「アリーゼ、そこの人間(ヒューマン)がどうしたのです?」

 

 

「団長もライラも一体何にそこまで驚いている?」

 

 

 彼女から発せられる雰囲気と表情がガラッと変わり、心配になったリューと輝夜はアリーゼ達に訊ねる。それに対してアリーゼは手に握られた水谷のステータスの書かれた羊皮紙を黙って渡し、リューや輝夜達残りのアストレアファミリアのメンバーがそのステータスに目を通す。

 

 

「何ですか!?このステータスはっ!?ありえない!」

 

 

「っ!?……本当に興味が尽かない男だな、ミズヤは」

 

 

 これにはリューが大きな声をあげ、輝夜は一瞬驚きつつも面白そうな笑みを浮かべ水谷を見る。

 

 

「いや……あの、全員が全員驚いているところ悪いんだが、そのステータスについて教えてくれない?」

 

 

「えっ?あ、うん……えっとね………」

 

 

 本来なら文字が読めない水谷のために口頭で説明するのが一番の目的だったのだが、驚いている様子の彼女達についていけない水谷が気まずそうに話しかけ、思い出したように代表してアリーゼがそのステータスについて口で説明する。

 

 

 

 簡単にステータスの内容を説明すると…………

 

 

 

水谷聡人(みずやときと)

 

 LV:2

 

 力:I0

 

 耐久:I0

 

 器用:I0

 

 敏捷:I0

 

 魔力:D500

 

 神秘:I

 

 医療:I

 

 魔法:【トリガー・オン】

   

 ・速攻魔法

 ・自身のトリオンを精神力として換算。専用の道具トリガーを握り詠唱することで、戦闘体になることができる。

 ・精神力を消費することでトリガーに登録されたトリガーチップの能力・武器を生み出せる。

 ・戦闘体で受けた外傷は生身の身体に殆ど影響しない

 ・解除詠唱【トリガー・オフ】

 

 

 スキル:防衛者の誇り(ボーダーズ・プライド)

 

 ・早熟する。誰かを守ろうとする防衛者の意志がある限りその効果は継続。誰かを助けるために自らの力を行使した際、手に入る経験値にボーナスが入る。

 

    :幅広く身に付ける者(ダイバーシティ)

 

 ・発展アビリティのスロット個数の制限解放。何かを学ぼうとすればする程、それに適した発展アビリティがレベルアップ時に複数具現化する時がある。

 

 

    :強化視覚支援

 

 ・水谷聡人のサイドエフェクト。視力の強化、暗視効果に補正。他人と一時的に目を通して視覚を共有できる。

 

 

「えっと……これ……もしかして、弱い?」

 

 

 

『いやいや、強いから!ウチの即戦力だから!』

 

 

 水谷の問いにアストレアファミリアの乙女達が声を張り上げてハモるように強く反論する。これで弱いと言われたら、レベル2がまだ数人しかいない彼女達も堪ったものではないだろう。

 

 

 その後、無事アストレアファミリアに入団した水谷を歓迎する夕食会が開かれたのだが、彼女達にステータスについて根掘り葉堀り聞かれたのは言うまでもない。

 

 

 




次回は詳しいステータスの話?ですかね笑。
いきなりレベル2とか水谷も意外とチートなのかな?レベルアップ時に必要な偉業も次の話で明らかになるかと………
それと気付いた方もいると思いますが、水谷聡人実はサイドエフェクト持ちです笑。きくっちーの目バージョンだと思って下さい笑。
ちなみに、この強化視覚支援……ワールドトリガー本編だとB級ランク戦の村上と空閑の水中戦闘で暗視能力として出てきています。どうやら汎用されているようですが、詳しい関連性が有りそうですね。彼、トリガーを作るエンジニアの才能もありますし笑。

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