オラリオの防衛者   作:リコルト

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ステータスと歓迎会

 

 

 無事正式に水谷のファミリア入団が決まり、ファミリアメンバーである彼女達が気になっていた水谷のステータスもファミリア内で公になった所で夕食を兼ねた水谷の入団歓迎会が催される。

 

 食卓に並ぶたくさんの彩り溢れる料理。料理が得意なファミリアメンバー達数人で調理されたもので、男性という異端者がいない空間で調理された料理らは量よりも質に拘ったような女子力が高いものばかりであった。まぁ、主神や水谷を含めると総勢13人でそれを賄う以上元々の量は多いのだが。

 

 

「どう?お口に合わなかったかしら?」

 

 

「いえ、とても美味しいです」

 

 

「そう、良かったわ」

 

 

 異世界から来た水谷に対してこちら側の世界の料理が水谷の口に合うか心配だったアストレアと調理組だったが、ラタトゥイユのような野菜料理や魚介が沢山入ったスープを美味しそうに食べる水谷の様子を見てホッと一安心して、嬉しそうに微笑む。

 

 男子1人に対して女性12人(1人は女神)という圧倒的な女子会のような雰囲気で始まった歓迎会だが、歓迎会の話題は未だ熱が冷めない水谷のステータスについて盛り上がる。

 

「それにしてもいきなりレベル2か~。レベル2なんて私と輝夜しかいないのに~」

 

「レベル2ってそんなにすごいものなのか?」

 

 

 アリーゼに話を聞くと、レベル2の冒険者というのはオラリオでは上級冒険者と呼ばれ、冒険者としては一流の地位を持ち、オラリオの冒険者の半分ぐらいしかいないとか。

 

 レベルアップには基本アビリティをただ上げるだけではなく、【偉業】というものも達成しなければならないらしく、それがかなり難しいらしい。

 

 命懸けの冒険、生死を分ける程の戦闘の勝利、文明の発展、など人それぞれで【偉業】となりうるものがあるが、俺の場合はあのネイバーとの戦闘がそれに値するだろう。実際、死を覚悟するような戦闘だったし。

 

「そう言えば、さっきライラやアリーゼが興奮していた発展アビリティってどういうものなんだ?」

 

「発展アビリティっていうのはね、レベルアップ時に基本アビリティとは別に発現する特別なアビリティのことよ。発展アビリティの種類は私達神様も全てを知らない程無数にあるのだけれど、主に【調合】といった専門職的な能力や【耐異常】といった個人の肉体や精神に反映される能力に分かれていて、どういった発展アビリティが目覚めるかは個人の趣味や個性に関係している事が多いわね」

 

「加えて、本当なら発展アビリティはレベルアップ時に1個しか獲得することが出来ない。だが、ミズヤの場合は【幅広く身に付ける者(ダイバーシティ)】というレアスキルのおかげで発展アビリティの獲得に制限がない。まったく……早熟スキルといい、冒険者の誰もが羨むレアスキルばかりではないか」

 

 なるほど、発展アビリティとはそういう個性的なものなのか。アストレアと輝夜の説明を聞いて水谷は納得する。

 

 しかも、発現した早熟スキルや発展アビリティ無制限のスキルはオラリオでも類を見ないレアスキルらしいとか。スキルの能力も価値が分かる冒険者にとっては羨まざるを得ないもので、冒険者である彼女達が興奮したような声を上げるのも十分によく理解できた。

 

「ミズヤはここに来る前、趣味で何かやっていたのか?」

 

 異世界から来た水谷に対して友好的で彼のファミリア入団にも強く賛成していたアストレアファミリア所属の獣人ネーゼが水谷に問いかける。

 

「趣味……薬品の調合とか怪我の応急手当とか医療系の物事にはハマっていたし、得意だったな。後はエンジニアリング……簡単に言えば、物作りも得意だな」

 

 いや、この状況で趣味を話すとか合コンかよ。というか、合コンだとしても男女比がおかしいだろとツッコミたい気持ちを内心で抑えつつも簡単な自分の趣味や得意な事を説明する。すると、彼女達から『お~!!』という歓声が同時に沸き起こる。

 

「いや~、うちらのファミリア【調合】とか製作タイプの回復系の発展アビリティを持っている人が丁度欲しかったんだよな!しかも、レベル2はミズヤとアリーゼと輝夜の三人しかいないからそもそも【発展アビリティ】を持っている人も少ないんだ。だから、回復スキルを持つミズヤの存在は非常にありがたくて!【医療】は回復ポーションの製造・強化だけでなく、他人の状態異常も知る事が出来る医療系ファミリアが喉から手が出る程欲しい発展アビリティなんだぜ!」

 

 ネーゼに話を聞くと、どうやら輝夜とアリーゼは【耐異常】という状態異常に適応できるアビリティを持っているからまだしも、他のメンバーは持っていないため、ダンジョンのモンスターが繰り出す状態異常攻撃に悩まされていたらしい。しかし、【医療】は材料さえあれば、そういった状態回復や傷を治す回復薬も作れるので、自分はまさしくそれを解決するような存在だったとか。

 

「物づくりか~……確かにそれは【神秘】が出ても当然かな~。アスフィとも気が合いそうなタイプだし」

 

【医療】の話をしている一方で、アリーゼとライラは自分が最も知りたかった話題の一つに触れていた。そうそう、すごい気になってたんだよ、それ。

 

「なあ、さっきから話しているその【神秘】ってアビリティは一体どういうものなんだ?」

 

【医療】とか【調合】は想像することが出来るが、【神秘】って言われてどういうものか想像するのは難しい。何か幸運になるみたいなアビリティなのだろうか?

 

「【神秘】っていうアビリティはオラリオでも5人未満の人しか持たないレアアビリティで、私も持っている人は有名な一人しか知らないぐらいなんだ。それでね……ライラが「アタシが一番欲しいアビリティなんだよな!!」……なのよ」

 

 えっ、そんなに【神秘】持ちって少ないのか。オラリオの人口で万単位なのにその内の数名とか宝くじに当たったのとほぼ変わらない確率だぞ。

 

「ちなみにどういったアビリティなんだ?」

 

「神の十八番である『奇跡』を発動させることが出来て、魔法に匹敵する能力を持つ魔道具を制作することが可能になるんだ。物作りが好きな人は誰もが憧れるアビリティだね」

 

 そう言ってアリーゼは隣で悔しがりつつも、羨ましそうにこちらを見てくるアストレアファミリアの技術屋であるライラに視線を送る。なるほど、要はドラ○モンの秘密道具を製作できるというわけか。力を失った神様の力を使用できる点も踏まえて、これはとんでもないアビリティだな。

 

「……技術屋は二人もいらないよな?」

 

「いや、早まるな。俺もこの世界に来たばかりだから、何を作ろうにしてもライラの知識が無いと難しそうだ。それに技術系は多い方が効率は良いし、ライラもいつかアビリティが出るかもしれないぞ」

 

「おっ、そうだよな!良いこと言うじゃねぇか、ミズヤ!早くアタシもレベルを上げて自分だけのオリジナル魔道具を作ってみたいぜ!」

 

 何とかフォローをして、退団願いをするまで落ち込んでいたライラが元気を取り戻した所で歓迎会は再び盛り上がるが、ここで俺に対して不信感を抱いていたエルフのリューがこちらを睨み……

 

「あまり自惚れない方が良い。レアスキルとレアアビリティが出たから何だと言うのです。私はまだ貴方を認めたわけではありませんから………ご馳走さまでした」

 

 そう言い残して、リューは席を離れ、自分の武器を腰に添えて屋外へと出ていく。

 

「あ~あ、あのバカエルフ……ダンジョンに行ったな」

 

 そう言って、いつもの日常風景だと言わんばかりに輝夜はまるで彼女の動向を分かっているような口振りをする。

 

「追いかけなくて良いのか?」

 

「ああ、ダンジョンで汗を流したら、勝手に戻ってくる。それにあのエルフの行動の燃料はミズヤに対する嫉妬だ。ファミリアに入ってきた順としては後輩なのに、全てで負けている自分が許せないのだろう。相変わらず無駄にプライドが高い奴め。一年前に入ってきたばかりのレベル1の小童が先輩面をするなど百年早いわ」

 

「ごめんね、ミズヤ。リューが……」

 

「気にすることはない、アリーゼ。誰だって一度は嫉妬することはあるから」

 

 リューは俺に認めて無いと言っていた。だが、嫉妬を感じて行動している以上、俺の才能を認めて劣等感を感じているため彼女の言葉は矛盾を生んでいる。

 

 レベル、スキル、戦闘、そしてアビリティ。先程ネーゼが回復担当はいないような口振りをしていたが、回復魔法を覚えているリューがその回復担当だったそうだ。けれど、効率が悪く、あまりに使えないため回復とは呼べないものだったらしい。劣等感を抱くのみならず、立場的にも俺の存在が気に食わなかったのだろう。

 

 ただ、彼女は不器用なだけで俺のことを認めている傾向はある。さっきのコトバも最初よりはそこまでキツい言い方じゃなかったし。いつか彼女が表立って認めてくれるようになってくれると良いんだが………

 

 

………………………………

 

 

…………………………………………………

 

 

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「ここがミズヤの部屋だよ」

 

 

「すまないな、本当に自室まで用意してくれて」

 

 

 歓迎会という名の夕食会が終わり、それぞれ風呂も済ませた後、俺はアリーゼに連れられてファミリアの自分の部屋へと案内されていた。

 

 部屋の中にはベッドと机と椅子の三つだけ。まだ物寂しい雰囲気は漂っているが、基本的な生活が出来る3種の神器は揃っていて、後は自分が手を加えれば、簡単に雰囲気を変えられる。これだけで十分だ。

 

「じゃあ、明日の朝はパトロールを兼ねて、ミズヤにオラリオを案内するから!明日の朝にパトロールが出来る装備を整えて、ホームの玄関前で集合ね!何か困った事があったら、ミズヤの真向かいの部屋の輝夜が対応してくれるから!」

 

「ああ、分かった」

 

「それじゃ、ミズヤ。おやすみ~!」

 

 そう言い残して、部屋を案内してくれたアリーゼは役目を終えて彼女自身の部屋へと戻っていった。基本の家具しか置かれてない部屋で水谷は数時間ぶりに一人になる。

 

 

「パトロールか……あっちの頃とは変わらないな」

 

 かつて、自分がいた世界で現ボーダーの古参メンバーとして色々な先輩、後輩、親友と街の平和のために駆け抜けた日を思い出して、フッと笑みをこぼす。

 

「何処の異世界に行っても、平和な世界っていうのは実現しないものだな……」

 

 それなら、自身のやるべきことはただ一つ。どんな世界でも、組織は違えど、平和の為に尽くすだけだ。かつての仲間がいないというだけで頓挫するわけにはいかない。

 

 構成員の年齢も全員が自分より幼く、組織としての規模も小さい。もし、培った経験が役に立つのならば、彼女達の助けになりたいし、反映させたい。同じ平和を愛し、正義を貫く者として。

 

 

「……まだ寝るまで時間はあるな。トリガーチップを変えておくか。持ってた他の奴が使えるかまだ分からないし」

 

 

 そう言って水谷は机に自身のトリガーを置いて、他のトリガーのデータが詰まったトリガーチップとカスタマイズ用の工具を機材と工具を懐から取り出す。

 

 

 カタカタという機材の音とカチカチというトリガーを弄る工具音と共に水谷の異世界での初日は幕を下ろすのだった。

 

 

 

 

 

 




勝手なこちらの都合ですが、水谷のサイドエフェクトの話は幕間のような短編の形で近い内に出そうと思います笑。やっぱり一話にまとめるのは難しい!
それとすでに気付いた方もいるかもしれませんが、水谷がいる年代はリューが入団してから一年後……つまり、原作の九年前です!ということは二年後に……ザワザワ……。
それとダンメモのキャラステータスを参考にしたのですが、アリーゼとライラはこの時14才、輝夜は15才ですね!水谷まさかの幹部を差し置いてファミリアの最年長笑。
ちなみに、問い合わせが非常に多かったのですが、輝夜をヒロインにするかはまだ未定です笑。自分としてはそれもありなんですけどね、推しキャラだし笑。

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