オラリオの防衛者   作:リコルト

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バーの色がオレンジに……好評価を付けてくれた方には本当に感謝しかありません。ありがとうございます。

まだ課題はありますが、完成次第投稿していきますよ!





【幕間】水谷のサイドエフェクト

 

 

「なぁなぁ、ミズヤ」

 

 

「ん?どうした、ライラ?」

 

 

 歓迎会という名の夕食会で新たなファミリアのメンバーになった水谷のステータスの話題で盛り上がっている中、ライラが水谷にある事について訊ねる。

 

「ミズヤの最後のスキルの所に【強化視覚支援】って書いてあるけど、ここの説明文に書かれている『サイドエフェクト』って一体何なんだ?」

 

 聞き慣れない言葉にライラは首をかしげ、他のメンバーもそれを知りたそうに水谷の方を見る。

 

「サイドエフェクトっていうのは俺の世界でいうスキルみたいなものだ。ただ、俺が所属していた組織でもそれを持っているのは数えられるぐらいしかいなくて、聴覚が人より優れているとか、人の心が読めるとか、未来を視ることができるとか色々な効果を持つサイドエフェクトがあったな」

 

「未来が分かるって最強だろ………」

 

「ああ、俺も勝てる気がしない……」

 

 水谷は思い出す。沢村さんに普段からセクハラをするぼんち揚げが大好きな(自称)実力派エリートを。ノーマルトリガーでもA級No.1アタッカーと互角の実力を持っていて、彼が所有する黒トリガー『風刃』は彼の未来を視るサイドエフェクトと非常に相性が良い。もし敵だったら、現ボーダーでも彼を倒せるのは忍田本部長ぐらいだろう。

 

「ちなみにステータスの説明欄には他人と共有が出来るって書いてあるけど、それってアタシ達でも出来るのか?」 

 

「ああ、少々難しい作業は必要だけど出来ないことはない。実際、俺が前いた組織では俺のサイドエフェクトを他人でも使えるようにする実験をしたことがあるからな」

 

 そう言って、ファミリアの中でも技術者としての才があるライラと水谷が専門的な技術関係の話で華を咲かせていた。そんな中、水谷は語り出す。自分のサイドエフェクトのちょっとしたエピソードを………

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

……………………………………………………………

 

 

 

 

…………………………………………………………………………

 

 

 

「えっ?俺のサイドエフェクトを他の隊員達が使えるようにする実験をしたい……ですか?」

 

 

「うむ。その通りだ」

 

 

 現ボーダーが設立して3年近くが経ち、隊員や設備も充実してきた頃。まだ旧東隊に籍を置いていた水谷は名指しで自分を呼んだ恰幅の良い男性ー鬼怒田本吉開発室長によってボーダー本部内に存在する技術者の拠点ーラボに実験の概要を聞かされながら連れていかれていた。

 

 元々、エンジニアの才もあり、ラボにも顔を出していた水谷にとってノーマルトリガーの量産などボーダーの活動の要である技術に携わっていた鬼怒田開発室長は憧れの的であり、技術関係にまつわる良い話し相手で、一方で鬼怒田も十代前半ながらもエンジニアの才を持つ水谷に対して非常に関心しており、若者からの意見も取り入れようとよく水谷に相談する比較的良好な仲であった。

 

「今、正隊員のトリガーには三つの機能がある。トリオンを用いた戦闘体への変換、緊急脱出(ベイルアウト)機能、そしてレーダー。我々技術開発室は今そこに新たにサイドエフェクトの機能も組み込ませて汎用化出来ないか挑戦している。そこで名が挙がったのが水谷、お前だ!」

 

「はぁ…なるほど?」

 

 ビシッと期待されるように指を差されるが、あまりピンと来ていない様子の水谷。サイドエフェクトを導入するなら他にもいると思うが……と訊ね返すが、水谷が選ばれたのにもしっかりとした理由と前例があったからであった。

 

 まず、迅さんの未来視や影浦の【感情受信体質】これらは全て実験済みで汎用化させるには今の技術では難しいとのこと。まぁ、あんなチート能力の集団が出来たら、防衛任務も苦労しないし、ボーダーに限らず国家権力並の軍隊がすでに出来上がっているに違いない。夢みたいな内容ではあるが、いざ現実になると非常に恐ろしい内容だ。

 

 次に風間隊の要である菊っちー。彼は【強化聴覚】いうサイドエフェクトの持ち主で、迅さん達のサイドエフェクトよりは比較的汎用化が出来そうなものである。

 

 しかし、いきなりの6倍近くの聴覚に耐えきれない者が続出し、これを知った菊っちー自身と隊長の風間さんが菊っちーを気遣ってこの実験は中止。同時に強化聴覚を用いたステルス戦闘は風間隊の永久特許扱いとなった。  

 

 そこで最後の希望として名が挙がったのが水谷だった。水谷のサイドエフェクトである【強化視覚支援】は視力強化と暗視のオンオフが意識的に可能だし、加えて影浦や菊っちーみたいな使用者にとって健康被害に近いデメリットも存在しない。

 

「確かにそう言われたら、俺のサイドエフェクトが適任だとは思いますが、全部が汎用化できるかどうかは……」

 

「それでも構わん。結果が出なければ出ないでこの実験はお蔵入りで、次の開発に移るまでだ。ほれ、このデバイスを頭から被れ。実験を始めるぞ」

 

 鬼怒田はVRのようなヘルメット型デバイスを水谷に渡し、水谷はそれを頭に付ける。

 

 

 こうして、実験は順調に進み………

 

 

…………………………

 

 

……………………………………

 

 

…………………………………………………

 

 

「これで実験は終わりだ。ご苦労だったな」

 

 

「ふぅー…………」

 

 

 一時間以上も頭に付けていたヘルメット型デバイスを外しながら、水谷は一息つく。流石に頭に一時間も窮屈なヘルメットを付けているのはキツかっただろう。その気遣いにとラボの技術スタッフがドリンクを水谷へと渡す。

 

「それで、汎用化はどうですか……?」

 

 受け取ったドリンクを丁寧に飲みながら、水谷は実験の結果について訊ねた。

 

「うむ……視力の増強、視覚情報の共有は体質的な問題で汎用化は難しいだろう。だが、暗視についてこちらの汎用化はどうにかなりそうだ」

 

「ははは……すいません。力になれなくて」

 

「何を言っておる。暗視だけでも十分な収穫だ。これが汎用化すれば、水谷がいなくても暗い場所といった視界が悪い場所でも活動が出来る」

 

 鬼怒田の言う通り暗視についてはボーダー隊員の活動で解決すべき点であった。実際、深夜間での活動で視界が暗いといった苦情が数件出ていて、こんな状況でも問題なく活動できたのが水谷のいるA級一位東隊であったのだ。都合良く視界が悪い日だけを全て東隊に任せるという真似はできないだろう。

 

「では、これからワシらは水谷のデータを基に暗視の視界支援の作成に移る。データと技術さえあれば、一週間ぐらいで作ってやるわい。楽しみにしておけよ」

 

「ええ、楽しみに待ってます」

 

 

 

 その後、鬼怒田の言う通り暗視の視覚支援の汎用化に僅か一週間で成功し、正隊員達のトリガーにそれが導入されていった。その恩恵はすさまじく、特に夜間の防衛任務に務める者達からは絶大な評価を受けていた。

 

 

 これを期にラボへの開発予算が倍以上に増え、ラボの技術スタッフ達は水谷を英雄扱いし、彼がラボを訪れた際はVIP対応をするのが通例になったのは別のお話である。

 

 

 

 




 すいません、前回水谷の発展アビリティについて説明しましたが、【医療】について分かりにくいという方もいましたので、ここで改めてまとめてみようと思います。

【医療】
 :ポーション等の薬剤を作成する時、品質を高めることが出来る【調合】という発展アビリティの効果に加え、触れただけで相手の状態異常や何処を怪我しているのかを知ることが出来るという医療系ファミリアが喉から手が出るほど欲しいレアアビリティ。また、このアビリティを持つ者と行動することで、回復魔法や【調合】といったアビリティが顕現しやすくなるという副効果がある。

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