異世界ライフの楽しみ方・異聞『連邦の魔術師』   作:呑兵衛和尚

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これは『異世界ライフの楽しみ方』という小説のアウトストーリーです。
 そちらを読まないと内容はさっぱりですので、そちらを読むこともお勧めしますが、あくまでも私が楽しむために書いているだけですので、あまりツッコミは無しの方向でお願いします


アレックス破壊命令

UC0079、8月12日、北米。

 

 その日、ジオン公国軍地球方面師団、第171機動降下部隊は最終作戦地点に対してのミーティングを行なっていた。

 

「はい皆さん傾注。私がこの度の機動降下部隊の指揮を取るアバオ大尉である。今回の作戦目標は一つ、連邦の北米オーガスタ基地において開発を開始するMS計画、これを叩き潰すことにあります」

 

──ピッ

 正面モニターには、既に偵察部隊によって撮影された、オーガスタ基地に搬入が始まった大量の資材コンテナが映し出されている。

 

「このオーガスタ基地では、今後の連邦軍の対ジオン反抗作戦において要となるMSの開発計画がある。それが発令するのは明日、なので、明日の正午にオーガスタ基地を三機のガウ攻撃空母により爆撃、のちザク及び新型MSによる三個小隊でオーガスタ基地を制圧。連邦軍のMS開発計画を奪い取る‼︎」

 

 拳を振り上げて熱弁するアバオ大尉。

 その正体は異世界からやってきた創造神、『信楽焼のアバ王』本人である。

 彼がこの世界にやってきて、まず最初に行ったことはジオンは軍の戦力増強、MS開発計画に対しての意見である。

 まあ、科学技術についてはさっぱりであったので、あくまでもアドバイスとしてさまざまな案を提供した。

 その後、アバ王はやってはいけないことを実行する。

 連邦軍の隠された拠点についての説明、そこの戦力などを次々と告知、ジオン公国上層部は最初はアバオの言葉など信じてはいなかったのだが、彼の語る作戦は全て的を得ており、まるで見てきたかのように連邦軍の動きを察知していた。

 

 結果、僅かな期間にアバオは上層部からの信頼を得て、情報部預かりとなった。

 そこからのアバオの活躍は目を見張るものであり、彼の立案した計画により地球連邦は次々と拠点を失うこととなった。

 

 なお、アバオはそれら全てが自分の持っていた知識からの推測を基にした作戦であったのだが、彼の意図を覆すかのように、それらは全て『正史』と同じ結末を迎えることとなった。

 結果、アバオがもたらした作戦であったにもかかわらず、歴史は同じながらに沿って進んでいる。

 

…….

.…

 

 

『おかしい。歴史の持つ修正力としてもおかしい。いや、俺が出した作戦にも一切の隙はない。にも関わらず、なぜ同じ歴史を歩む?』

 

 

 そう考えたアバオであるが、実は、一番最初に行った『シャア・アズナブル暗殺計画』から失敗していたのである。

 

 アバオはシャアが嫌いである。

 寧ろ黒い三連星やランバ・ラルが大好きであり、シーマ様に至っては敬愛を超えた何かを感じている。

 そんなアバオがシャアの到来を黙って見ているはずがない。

 

 歴史上オリジンで行われた『キャスバルとシャアの入れ替わり』のことも理解している。

 故に、キャスバルがシャアと入れ替わり、シャアに扮したキャスバルの搭乗していたスペースシャトルが『偶然の流れ弾』で爆破された時は思わず両手をあげて喜びたくなった。

 

 だが、歴史は非常である。

 この入れ替わりは、実は行われていなかった事を、アバオは知らなかった。

 キャスバルもジオンの士官学校に合格していた。

 共にサイド3にあるジオン士官学校に入学するために空港に向かったのだが、何かの手違いでシャアの搭乗登録が一便遅れてしまっていた。

 

 だが、いち早くサイド3に向かい、歴史上シャアとキャスバルが入れ替わる事を知っていたアバオは、すぐに情報部に指示を出した。

 先に出発する『キャスバルと入れ替わったシャア』の乗っていたシャトルではなく、後から出発する『シャアと入れ替わったキャスバル』の乗っていた便を破壊するように指示をした。

 史実では、これで本来なら入れ替わっているシャアは先にシャトルで出発しているため、あとから入れ替わったキャスバルが乗っていたシャトルが破壊されたことになる。

 

 だが、歴史は非常である。

 キャスバルは幸運にも生き残り、シャアは死んだ。

 偶然かもしれないが、シャアとキャスバルの手荷物が偶然入れ替わっており、キャスバルのもとには『シャア』名義のジオン士官学校の書類が残されていた。

 

 結果としてキャスバルはシャア・アズナブルを名乗りジオン士官学校に入学するのだが、アバオは彼が本物のシャアであり、キャスバルはもうこの世にいないと思い込んでいたのである。

 

………

……

 

「アバオ大尉、我々の元にはオーガスタ基地に連邦のモビルスーツがあると言う情報は届いておりませんが」

「うむ、確かにその通りだ。だからこそ、この作戦は成立する。連邦でも、あの基地でモビルスーツの開発をしているという情報は極秘扱いである。連邦軍のV作戦についての詳細はまだ解析されてはいないが、あの基地でRX78NT01、通称アレックスが開発されているのは事実である」

 

 まるで議連の演説のように叫ぶアバオ。

 だからこそ、彼の部下であるガイア、オルテガ、マッシュ、黒い三連星も彼を信じてついてきた。

 まあ、宇宙方面軍には、彼らが毛嫌いするシャア・アズナブルがいるので、この地球圏でのんびりとしたいという部分もある。

 

「今回の計画については、オルテガ達には新型MSのテストも行ってもらう予定だ。ツィマッド社にねじ込んで試作型MSを三機、ガウにのせてあるかるな」

 

 YMS09-ドム試作型。

 アバオがツィマッド社に大尉権限で乗り込み開発を進めた機体。

 本来の史実のドムと違う点は、背部スラスターの強化、脚部装甲の強化および運動性能の向上。

 今回の作戦が完了次第、データをツィマッド社に送ってMS09-ドムの完成を早める。

 

 史実で黒い三連星がアムロに負けた敗因は、全てマチルダの存在である。

 ならば、マチルダが干渉出来ない第一戦でガンダムを破壊すればいい。

 ならば、今の時点から黒い三連星にはドムに慣れてもらう。

 

「まあ、此処での開発よりも、サイド7で行われているはずのRX78を叩くのが早いのだけれど、残念ながらその尻尾を掴むとは出来ていない。迂闊にコロニーに侵入して戦闘になると民間人も巻き込んでしまう恐れがある」

「大尉殿、これは戦争ですぜ。そんなところにいた奴らが悪いです終わりじゃねーですか」

「だが、世論がそれを許さない。いいか、いくら物量的に優勢であろうとも、世論は絶大な力を持っているからな。では、ブリーフィングはこれで終わる。あとは各部隊ごとに作戦内容を吟味し、開始時間まで待機だ」

 

──ザッ‼︎

 全員が敬礼する。

 それにうなすいて敬礼を返すと、アバオは速やかに士官室へと戻っていった。

 

 史実には、明日の時点でのオーガスタ基地への強襲はない。

 今度こそ歴史を変えられる、アバオはそう信じて疑わなかった。

 

 

 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯

 

 

 UC0079、8月13日。

 ミッドウェー海戦が始まる。

 地球連邦軍はハワイ本島にある軍事拠点奪回の為に作戦を開始するが、これもアバオ大尉からの警告が届いていた為に開始から半日足らずで疲弊し切った連邦軍は撤退を余儀なくされる。

 

 同日正午、アバオ率いるガウ攻撃空母三機によるオーガスタ基地襲撃作戦が開始されたが。

 

 

──ドッゴォォォォォォン

 基地手前3km地点で、ガウ攻撃空母の一機が突然の対地攻撃により撃墜される。

 

「は、はぁ? なんだ今のは、戦艦級のビーム砲だと? 各機に通達、回避行動開始、および地上に対しての索敵を開始しろ、モビルスーツ隊は準備が出来次第降下、ターゲットを確認次第か破壊しろ‼︎

 

 ブリッジで叫ぶアバオの声が部隊全てに通達される。

 そしてアバオもすぐにモビルスーツデッキに向かうと、自分用に用意された『地上型ズダ』の準備をする。

 

 そして降下準備に入った時、アバオは見た。

 地上から飛んでくる、一機の青いモビルスーツを。

 肩には『地球をバックにした、翼を広げた天使』のマークが書き込まれており、アバオはその機体を見て絶句した。

 

「い、いや、なんで連邦軍がこいつを開発したんだ? 此処で作っていたのはアレックスだろ? なんで……ガンダムエクシアが、正史に出てくるんだよぉぉぉぉぉ」

 

 絶句しつつもガウから降下するアバオ。

 だが、すぐさま機体を回避行動に切り替えると地上を観察する。

 もしも、あれがOガンダムであるなら、空中に浮いているのは危険である。

 何故なら、地上にはあれがいるはずだから。

 

──ドッゴォォォォォォン

 先程ガウを破壊したビームキャノンが地上から飛んでくる。

 だが、それはくることがわかっていたアバオはすぐにビームの直撃をかわす。

 

「ち、ちっくしょぉぉぉ、デュナメスまでいやがるのかよ‼︎ なんで刹那もロックオンも此処にいるんだよ、お前たちは正史には存在してはいけない奴らだろうが‼︎」

 

 アバオは叫びつつビームライフルを連射する。

 これもアバオがツィマッド社に発注した武器であり、エネルギー負荷が高く連射性はないものの、小型化だけは成功した代物である。

 結果、背部追加ジェネレーターから有線でエネルギを供給しないとならないものの、ヅダの機動性があればペナルティーはかわせると踏んだのである。

 だが、今、自分を狙っているのはそんなものではない。

GNスナイパーライフル、ガンダムデュナメスの標準装備。

 その気になれば、大気圏外まで到達可能なビーム兵器である。

 

──ブォン!

 ヅダのビームが地上に向けられるが、巧妙に移動しているらしく動きが追えない。

 

──ザーザザッ

 必死にデュナメスを追いかけるアバオ、その頭上ではエクシアによってガウが次々と破壊されている。

 

『地球で生まれ育ったすべての人類に報告させていただきます。……私たちはソレスタルビーイング。機動兵器ガンダムを所有する私設武装組織です。』

 

 アバオのコクピットに、突然無線が届く。

 しかも、それはソレスタルビーイングのイオリア・シュヘンベルグの演説である。

 

「な、何故だ、お前たち、どこから来た‼︎」

『いや、どこからと言われてもなぁ。私たちソレスタルビーイングの活動は、この世界から正史を覆す活動を始めたアバオの存在を根絶することにありますがなにか?』

「な、なにが正史を覆すだ‼︎お前達こそ正史を変える元凶の機体を持ちこみやがって‼︎ そうかわかったぞ、お前らあれだろ?始祖神の使徒だろ‼︎ あれ。止める為に、この世界は干渉したのかよ‼︎」

 

 コクピット越しに叫ぶアバオだが、返答はない。

 

「ちっくしょぉぉぉ、なにが正史だ、ジオンが敗北する歴史なんて俺は信じない‼︎ ジオン公国こそが世界を導く、連邦の腐った官僚共に、地球の重力に魂を引かれた人間如きに世界平和を語らせることはできない‼︎」

 

 これ以上、此処にいると危険である。

 すでにガウは存在しない、地上にいるMS隊こそ無事のようなので、アバオは全軍に対して撤退命令を出す。

 ここで虎の子の黒い三連星を失うことはできないと考えたが、そこでアバオはあることに気がついた。

 

「正史を変えないのなら……それなら、ここで黒い三連星は死なない‼︎」

 

 安心するアバオは地上に降り立つと、すぐさまズダを捨てる。

 あとはガイア達に連絡して回収して貰えばいい。

 いや、このままオーガスタ基地に対してMSによる奇襲をかけても、彼らは黒い三連星には攻撃しないのではないか?

 

 そう考えた時、突然寒気がした。

 もし、彼らの目的が俺を止めるためではなく『ガンダム正史』を守るためならば、連邦軍が勝利する事実だけを守るのならば、ここで黒い三連星を潰す方が得策ではないのか?

 そうすればマチルダは死なずに済む。

 そしてウッディ大尉も散ることはなく、第三独立部隊は連邦軍の一部隊としてもっと高待遇になるだろう。

 それは即ち指揮に繋がる。

 いや、それどころか、エクシアやデュナメスに搭載しているGNドライブが連邦軍に渡ったら。

 

 最悪、Zガンダム以降の歴史は消滅し、連邦軍がガンダム世界を制圧するだろう。

 

「て、撤退だ……まだ手はある、ここでの敗北は次の勝利に繋がるべきだ」

 

 アバオはやむなく撤退する。

 それを見送ってから、マチュアの乗るデュナメスもどきとストームの乗るエクシアもどきもその場を離れることにした。




まず初めに。
 これは『異世界ライフの楽しみ方』というオリジナル異世界転移小説のアウトストーリーです。
 登場する世界観は機動戦士ガンダムの世界をモチーフにしておりますが、せっていじょうは『いくつか存在するガンダム世界の一つであり、パラレルワールド』ですので、正史や設定についてのツッコミは全て無用です。
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