異世界ライフの楽しみ方・異聞『連邦の魔術師』 作:呑兵衛和尚
そちらを読まないと内容はさっぱりですので、そちらを読むこともお勧めしますが、あくまでも私が楽しむために書いているだけですので、あまりツッコミは無しの方向でお願いします
UC0079、9月17日早朝。
──サイド7宙域、シーマ艦隊アバオ専用ムサイ
「間も無く、サイド7に連邦軍の最新鋭戦艦・ホワイトベースが入港する。その目的は?サイド内で開発した最新型MS、RX78ガンダム及びガンキャノン、ガンタンクの受領にある」
アバオはまたしても議連の演説よろしく、待機しているモビルスーツ隊に向かって熱弁を奮っている。
「我らはその最新型MSを奪取し、可能であればホワイトベースを破壊する。幸いなことに、連邦軍は宇宙空間での対MS戦のノウハウをあまり理解していない。そこに、この最新型の高機動型ザクを使って奇襲攻撃を掛ければ、我らが敗北する理由など何処にもない」
熱く、とにかく熱く語る。
そうすることで、アバオの持つ神威がより高まり、演説を聞いている兵士たちの士気が上がっていく。
「第一目標であるホワイトベースには、サカザキ少尉以下二個小隊が当たるよう。私は一個小隊を率いてサイド内に侵入、ガンダム及びガンキャノンを奪取する、以上だ‼︎」
──ザッ‼︎
全員が一斉に敬礼をして、モビルスーツに搭乗する。
これで全ては終わる。
ただ、懸念事項があるとすれば、あのエセソレスタルビーイングの存在。
連邦軍でもその状態を掴んでいないことはアバオの耳にも届いている、そうなると、あんな大質量のモビルスーツを宇宙にあげることなどできるはずがない。
「コロニー公社に潜り込ませた工作員の話では、モビルスーツらしきコンテナが地球から打ち上げられた形跡はない。となると、この作戦には奴らは出てこない筈だ」
ヅダⅡのコクピットでほくそ笑むアバオ。
今度こそ勝った、ガンダムを奪いついでにアムロ以下ホワイトベースに合流すること奴らは全て排除する。
「あ、セイラさんは別と言うことで……オマリー、サイド7の住民名簿を手に入れて、セイラ・マスという女が何処にいるのか確認しておけ。その女は後々、我々にとって大切なキーワードになるからな」
『了解しました大尉』
「よし、それではいくぞ‼︎」
◯ ◯ ◯ ◯ ◯
同日、サイド7後方、工業ブロック付近
「あー、あれがそうだなぁ。マチュア、ガンダムをみつけたぞ」
電子双眼鏡で土手の上から工場区を見ているストーム。その視界内には、大型モビルスーツキャリアーに載せられているガンダムらしき姿が見えている。
「そんじゃどうする? 計算ではあと数時間でシャアが来るぞ?」
「そのタイミングに合わせて、アバ王も来るだろうさ。計算では、シャアの部下として紛れ込んで突入して、アムロを暗殺するんだろ?」
「多分ね。それ以外の方法で来るとは思えないし、さて、どうしたものか」
──ドゴォッ
遠くから聞こえる爆発音。
普通の人間にはわからないが、コロニーの作業用外部ハッチが破壊される音がマチュアとストームの耳には聞こえてきた。
素早く時計を確認するが、まだ早朝、7時過ぎ。
ホワイトベースはまだコロニー宙域までやってきていない筈。
そして、シャアが奇襲をかけるには、まだ二時間も早い。
「ちっ、別働隊としてきたのかよ。いきなり歴史を歪めにきたな」
「細かい部分なら後でどうとでもできる?アムロを守ってガンダムを破壊されなければいい、いくか」
「当然だね……ハッチの音はあっちからだから……狙撃すっか」
眼下では連邦軍の兵士も見えている。そんなところでMMS01メイガスを出すのは歪みが出る。
それならば、人の手で始末するのが早い。
「気分的にはメロウリンクだな。人間による対MS戦術かよ」
「グレータードラゴン相手に剣と盾で勝てるあんたが、今更モビルスーツにビビるなよ?」
「まさか。それでマチュアはどうする?」
「そりゃあもう、魔法で行きますよ……そんじゃやりますか、深淵の書庫アーカイブ起動、広範囲探知、対象は神威を持つもの」
──ピッ
マチュアの周囲に球形の魔法陣が展開する。
その中にコロニー内部の地図が広がると、工業ブロックの外れにある区画から、神威反応が一つ出た。
「ターゲット補足したぞ、いくよ」
「応‼︎」
一瞬で着替えて変装し素早くエレカーに飛び乗ると、マチュアは目標地点まで制限速度無視で走り出した‼︎
………
……
…
工業ブロック外れ、丘陵地
森に囲まれて下からはあまりよく見えない死角。
そこに三機のザクとヅダⅡをカモフラージュして隠すと、アバオは電子双眼鏡で工場を眺める。
先程マチュアたちと見た光景、角度が違うのでアバオ達からはしっかりと並んでいる大型トレーラーの姿も見えている。
「アバオ大尉、あれが連邦の新型でありますか?」
「そうだ。乗り手を選ぶジャジャ馬な機体だが、あれに搭載されているビーム兵器は、戦艦並みだぞ? まあ、コロニー内では打つことはないだろうからザクで一気に制圧できる……いくぞ」
電子双眼鏡を下ろしてヅダに向かおうとするアバオだが、オマリー軍曹が何かを見つけた。
「アバオ大尉、民間のエレカーがこちらに向かってきます、どうしますか?」
「ん? どんな奴だ?」
「鉢巻を締めて赤いマフラーを巻いたザンバラ髪の若い男と、紫色の服を着た三つ編みの老人です」
はて?
ガンダム史ではそんな奴はいなかったなぁ。
一年戦争史でも、サイド7の歴史にもいないし、そもそもアニメや設定資料でもそんなモブキャラやモブ軍人はいなかった筈。
「面倒だ、狙撃しろ」
「了解です」
──ガチャッ
ライフルを構えるオマリー。
そして走るエレカーの後ろに乗っているバンダナ男に向かって照準を合わせると、すぐさまトリガーを引いた。
──ドムッ
銃声と共に射出される弾丸。
だが、それはバンダナ男の目前で、彼が手にしたバンダナで弾き飛ばされた‼︎
「なっ‼︎ そんな馬鹿な‼︎」
すぐさま二射目を撃つが、やはり弾き飛ばされる。
「あ、アバオ大尉、彼らはライフルを弾き返します」
「そんな馬鹿なことがあるか‼︎ 弾き飛ばしたのはどっちだ」
「バンダナ男です。バンダナで銃弾を弾き返しました」
「そんな常識知らずな……いや、待て、まさか?」
慌ててアバオは電子双眼鏡で確認する。
すると、そこには『いてはいけないチートキャラ』が二人、笑いながら走ってくる姿がある。
「な、なんで? ソレスタルビーイングの次はドモンと東方不敗だと? やばい、それはヤバいぞ‼︎ 全員MSに搭乗、迎撃準備をしろ、連邦軍に見つかっても構わない、あの二人を蜂の巣にしろ‼︎」
まさか民間人相手にザクマシンガンで制圧しろと言われるとは、誰も思っていなかった。
ただ、オマリーだけは冷静にザクマシンガンを構えると、見つかるのを覚悟で一斉射した。
──brooooooom‼︎
空薬莢が音を立てて飛び落ち、走ってきたエレカーは爆発した。
だが、その遥か前方を、ドモンに扮したストームと東方不敗に扮したマチュアが走っている。
「う、うわ、うわぁぁぁぁ、なんだあの二人は化け物かよ」
「構わん、撃て‼︎ レベッカは俺についてこい、作戦を前朝倒ししてガンダムを奪取する‼︎」
「了解です大尉」
レベッカのザクとアバオのヅダⅡが丘陵地を駆け下りる。だが、ストームとマチュアはその方向に軌道を変える。
そしてアバオは見た。
ドモンが叫びながら指パッチンする姿を。
その直後に、彼の前にガンダムエクシアが姿を表すところを。
「は……ははは。まさかモビルトレーサーを搭載したアクシア? お前ら! 歴史を曲げるきなのかよ‼︎」
自分の事は棚に上げて絶叫するアバオだが、突然エクシアの姿が消えたかと思うと、ヅダⅡの正面に姿を現した。
『えーっと、ヅダのコクピットも同じ場所なからなぁ』
そう呟きつつ、エクシアの右ハイキックが炸裂。一撃で頭部が吹き飛び機体がよろける。
「い、いや、ちょっと待て、それ、モビルスーツの可動域じゃねーから?アニメでもそんな動きしないから、質量とか金属の歪みや強度を無視するなよ」
慌てて機体を立て直し、コクピットハッチを開く。
正面には右拳を開いて掌底の構えをするエクシア、その背後では見るも無残に破壊されたレベッカのザクと、足元で笑っている東方不敗の姿があった。
「う、嘘だろ、俺の目論見が、ジオンの勝利が、こんな所で潰えるのかよ‼︎」
『あ〜すまんなアバ王。始祖神さまからの依頼でお前を拘束するからな』
外部スピーカーを通して聞こえてきた声。
それでアバオは全てを悟った。
こいつらも、俺と同じ創造神の一人だと。
「そ、そうか、これで終わりかよ。でもな、お前達のモビルスーツが連邦軍にも見つかったぞ、歴史は大きく変わるだろうさ」
『いや、ダミーバルーンをあとから放置する。残骸は全て空間収納チェストに入れて回収する。それで終わりだ、こちとら『ファンタジー世界の創造神だからな、何があっても『魔法でどうにでもできる』んだよ」
「こ、このチート創造神がぁぁぁぉぉぁ」
──ガシャッ
ヅダⅡのコクピットに掌底が打ち付けられる。
そしてアバ王を掴んで引き抜くと、ストームはすぐさま手にした魔晶石にアバ王を封印した。
『さて、マチュアや、ミッションコンプリートだ。この区画から移動して、とっとと元の世界は帰るぞ』
『せやね。ここの動きを見てシャア達も動いたようだし、あとはここの世界の歴史に任せましょ』
すぐさまエクシアを消してマチュアの元に向かうと、二人は魔法陣でその場からスッと消えた。
………
……
…
同時刻、サイド7工業ブロック外
「何? シーマ隊のMSが潜入していると?」
『はっ。どうやら独断先行で連邦のモビルスーツの情報を入手したようです。ただ、連邦軍らしき奴らに抵抗されて後退を開始したようですな』
「それなら都合がいい。彼らにはお取りになってもらうとしよう。デニム、ジーン、いくぞ」
ゆっくりとサイド7に侵入する三機のザク。
歴史はほんの少しだけ歪み、この歪みはやがて0083に大きな歪みとなることを、今はまだ誰も知らない。
◯ ◯ ◯ ◯ ◯
カリス・マレス世界、神域エーリュシオン。
創造神の間。
アルバトミーノ世界から戻って来たマチュアとストーム。
ほっと一休みしてから、目の前に置かれている二つの書簡を見る。
「次に向かう世界は何処だと思う?」
「ガンダムが来たから? 次はマクロスじゃね?」
「俺もそんな気がする。で、どっちを開く」
「右」
「奇遇だな、俺も右だ」
「という事は左が正解だね」
そう笑いながらマチュアが手紙を手に取り開く。
そして記されている始祖神の指令に、ワナワナと震えている。
「次は何処だ?」
「……ファーロ……」
「え? いまなんて言った?」
「イルファーロだよ。まさか、あの世界は存在していたのかよ」
「まあ、様々な創造神がいるからなぁ。あの世界が存在していても問題はないわな。それでミッション内容は?」
「イルファーロ世界はすでに創造神から捨てられた世界らしいな。そこに辿り着いたどっかの創造神がさ、残留していた魂を再生して世界を作り直そうとしているんだよ。自分が王になって」
ふむ。
特に悪いところはないかと思うが?
何処が悪いの?
「世界の再生なら問題はないと思うが、何処が問題なんだ?」
「問題はここから。再生した世界は、災禍の渦を拡大して他世界に接続し、侵攻を開始するらしい」
「メイルシュトロームかよ。つーことは、今回のターゲットの創造神はゲートキーパーか?」
「いや、『歪んだ愛(ロッテ)』って言う人工生命体だってさ。創造神は、その人工生命体に殺されたのか封印されたかしたらしくて消息不明。キーワードはロッテちゃんだ、はいストーム案件な」
うわぁ。
よりによってロッテちゃん攻略戦とは、始祖神もタチが悪すぎる。
しかもマチュアは女性なのでロッテの対象外だから、余計達が悪すぎる。
「……代役を立てたい気分だよ。全く……」
「まあ、後方支援してやるから心配するな、そんじゃいくか」
始祖神から受けたミッション。
一つ目のアルバトミーノにおけるガンダム正史の改編については、無事にこれを阻止することに成功した。
そして次は異世界イルファーロ。
マチュアとストームに明日はあるのか?
まず初めに。
これは『異世界ライフの楽しみ方』というオリジナル異世界転移小説のアウトストーリーです。
登場する世界観は機動戦士ガンダムの世界をモチーフにしておりますが、設定上は『いくつか存在するガンダム世界の一つであり、パラレルワールド』ですので、正史や設定についてのツッコミは全て無用です。