平和国家召喚   作:アンモナイト

3 / 10
基本コメディーをやってるつもりですが、今回は胸糞展開があるので注意してください。


ロデニウス事変②

中央暦1639年4月の中頃、ロデニウス大陸にあるもう一つの国家、ロウリア王国がクワ・トイネ公国とクイラ王国に宣戦布告、当日のうちにクワ・トイネ公国との国境付近にある町、ギムが奪われた。

ロウリア王国は、人族至上主義の国家で、ロデニウス大陸から亜人の放逐すべく、亜人の多いクワ・トイネ公国とクイラ王国に攻め入ったのだ。

 

要塞エジェイは何とか持ちこたえていたが、圧倒的な物量を持つ敵を前に陥落は時間の問題だった。

 

どうやら、ロウリア王国には第三文明圏の列強パーパルディア皇国軍から支援を受けているらしく、その軍事力は圧倒的だった。

ここでクワ・トイネ公国は、自国だけではどうにもならないと考えて、緑茶国に援軍を要請したが、緑茶国は軍を持たない。よって送れる援軍などない。

無い袖は振れないのだ。

 

しばらくしてエジェイが陥落すると、ロウリア王国軍は破竹の勢いで進撃し、クワ・トイネ公国が亡国となりかけている時に、その隣国、クイラ王国ではある決断が下されつつあった。

 

それは国内にいるドワーフや獣人の国民、クワ・トイネ公国から逃れてきたエルフ難民を船に乗せて他国へと亡命させようというものだった。

クイラ王国は緑茶国より食糧自給率低く、ロウリア王国がクワ・トイネ公国を攻略すれば、干上がるしかない貧国であった。

 

クワ・トイネ公国艦隊がロデニウス沖海戦で撃破され、マイハークが落とされたことにより、食糧危機が発生しており、ロウリア王国に征服されるのは時間の問題だ。

そして、そうなれば自国内の亜人たちは容赦なく虐殺され、滅ぼされるだろう。

 

 

緑茶国と国交を結んでからも、食糧自給率が低いことに変わりはなかったが、自国内に存在する地下資源開発の見返りとして、かなりの富を得ていた。

 

そのためクイラ王国は、その富を使って緑茶国だけでなくパンドーラ大魔法公国やパーパルディア皇国、リーム王国等の第三文明圏の船をチャーターし、国民を国外へと脱出させようとしていた。

どうせ負けるのなら、死者は少ない方がいい。それがクイラ王の言葉だった。

脱出民の中にはクイラ王国の王族や貴族も含まれていた。それは王国の終焉を意味していた。

 

クイラ王国が降伏文書に調印する前日、クイラ王は責任をとって王宮で自害した。

 

クワ・トイネ公国が落ちクイラ王国が戦わずして降伏したため、ロデニウス大陸はロウリア王国1国に支配され、地図が見やすくなった。

 

 

 

その後すぐ、ロウリア王国はある国家と国交を結んだ。

 

緑茶国である。

 

 

 

緑茶国はロウリア王国がロデニウス大陸で戦争をしている間、クワ・トイネ公国からの食糧輸入が途絶えており、クイラ王国ほどではないが深刻な食糧危機に陥っていた。

 

幸いにもクワ・トイネ公国と国交を締結した後の食料を過剰気味に輸入していたので、しばらくは大丈夫だろうと考えられていたが、かつてのような大量消費は到底望めなかったので、食料が配給体制となった。

ロデニウス大陸での戦争が長引くにつれ、配給の量は減り闇市での食糧の値段も右肩上がりになるばかりで、国内で十数万人の餓死者が発生していた。

 

この状態が長く続くのは、到底受け止められなかったので、緑茶国はクイラ王国に国民を早々に国外へと脱出させるよう説得し、船を貸し出して犠牲者を減らし、ロデニウス戦争を一日でも早く終わらせようと頑張っていた。

 

 

緑茶国は、本来は異世界の国家である。そのため亜人がそもそもおらず、国民は皆人族だ。

そのため人族至上主義のロウリア王国と対立することもなく、ロウリア王国が緑茶国の技術を知ったこともあって友好関係を築いた。

 

緑茶国では、餓死者の発生だけでなく、配給体制の下で多くの商店が打撃を受けて廃業に追い込まれていたりしたので、この国交締結は国民に歓迎の声で受け止められた。

 

 

 

 

 

 

ロウリア王国クワ・トイネ州リーン・ノウの森

 

 

ここにはエルフの神が住まうという伝説があり、旧クワ・トイネ公国では聖地と呼ばれていた場所で、ハイエルフと呼ばれるエルフの中でも純血に近い種族が守護者として管理していた。

 

同地はエルフの神である緑の神の加護がはたらいていて、溢れ出る魔素はハイエルフの元々強力な魔法をさらに強力なものへと変えるので、ロウリア王国がクワ・トイネ公国を占領したとしても、ここだけは落とせ無かったと思われていた。

 

・・・・思われていた、のだ。

 

 

いま、リーン・ノウの森の状況を表す言葉としては、地獄絵図が適当だ。

 

 

 

ありとあらゆるものがが炎に包まれ、ロウリア王国兵が乗った馬無し馬車が木々の合間を縫って駆け回り、手には光魔法を宿した魔法の杖を持っている。

馬無し馬車の荷台に乗った、ロウリア王国兵が魔法の杖を使うと、魔法に優れるはずのハイエルフたちは次々と倒れていった。

 

ロウリア王国軍も、多くの馬無し馬車が破壊され、かなりの被害が出ていたが、軍団を率いているのは恐怖の副将アデムである。

多少の被害などお構いなしだ。

 

そして今、ハイエルフのウォルは、同じくハイエルフのミーナと共に、濃密な死の予感が漂うこの地から逃げようとしていた。

だが、後ろから大きな土煙をあげて、ロウリア王国軍の馬無し馬車が迫ってくる。

馬無し馬車は、馬がいないのに馬より早く走り、それに乗ったロウリア王国の魔術師が魔法の杖を振るうとウォルの足に激痛が走る。

 

 

 

アデム「ひっひっひ・・・・あのハイエルフこうなると恐るるにたらないな、弱すぎる」

 

馬無し馬車から降りてきたアデムが二人を嘲う。

 

ウォル「なぜ僕達ハイエルフが人間族に・・・それもこのリーン・ノウの森で負ける!?」

 

 

アデム「ひひ・・察しが悪いな、これは魔法ではない。この銃と車は我らの友好国、緑茶国から渡来したものだ」

 

 

ロウリア王国は、クワ・トイネ公国より交渉に長けており、食糧や石油といったものの輸出引き換えに、緑茶国から自動車やアサルトライフルを輸入していた。

緑茶国政府は、ジンギスカン地方側の兵器輸出を、この世界での圧倒的な技術格差を理由に禁止しているため(本音は召喚前から快く思っていなかった兵器の輸出をこれ見よがしにやめさせたかった)ので、同地では不満が貯まっている。

 

 

アデム「流石のハイエルフも科学とやらで動く武器の前には無力のようですねぇ?

さて、後で君たちは魔獣の餌にしてあげよう。

私の役に立てるのです。光栄に思いなさい」

 

 

こうして、ロデニウス大陸からは亜人は一人残らず消え去ることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この森には、以前緑茶国の軍隊が召喚された折に使用されたジーク戦闘機が残されており、火災の被害からも免れていたが、後に観光で同地を訪れた緑茶国人により、悪しき帝国主義の象徴として破壊されてしまった。

 

 




アデムにとってはハッピーエンド。

緑茶国の輸出できるもの
AFV×
航空機×
艦船×
アサルトライフル○
テクニカル○
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。