「さて、これからどうする? 皆」
ピンクは本拠地に戻って早々このようなことを言い出した。やることは当然各エリアのボスを討伐してダークマインドを再び倒すことである。しかし言うは易く行うは難し。敵も強化されており簡単に行かないことは先程の戦いでよく味わった。
「次は……キャベッジキャーバンのモーリィかな? でもキングほどバカじゃないだろうしね~」
「相手が相手だ。しっかりと対策を立てる必要があるな」
「でも折角なら前と同じ順番で倒したいよな!」
「その……モーリィ? という相手はそんなに強かったんですか?」
妖夢は皆にモーリィという敵について尋ねた。話から察するに随分と実力を買われているようなので妖夢も少し身構えた。
「ああ。モグラみたいな相手で攻撃が全然当たらなくて厄介だったんだ」
以前はモグラのようなフォルムからモグラ叩きをイメージしてハンマーをコピーして挑んだ。しかし接近戦では素早い動きに追いつくことができずに地中に潜り込まれた。ヤケクソで投げたハンマーが反射してマグレで後頭部に当たり一撃で倒すことは出来た。以前よりも素早さが上がっているとしたら無策で行っても返り討ちに遭うことは目に見えていた。
「モグラ……さっき戦った相手も地面に潜るタイプでしたね」
運のいいことに先程キングゴーレム戦で地中相手とのバトルはシミュレーションができている。なので多少自信はついていたがそれでも足りないものがあった。
「油断はできない相手だな。なんとかコピー素を確保しないと……」
「あ、じゃあ私の弾幕コピーしておきますか?」
「いいね! ちょっとボクたちに技見せてよ~」
「わ。分かりました」
キングゴーレムを倒せたのも妖夢のスペカのおかげであり、他にもいくつかの弾幕を使うことができる。どんなコピーができるのか確かめておく必要があった。持っている全ての技をコピーしてもらったが案の定どれもソードのコピーだった。妖夢は剣術指南役であり使える技も剣に則した技ばかりだからだ。
「やっぱりか。まあそりゃそうだよな」
「す、すみません」
「いやいや、十分ありがたいよ! 確実にソードは使えるんだからね」
落ち込む妖夢をピンクが慰めた。すっぴん状態よりは確実にマシだったからだ。
「でも確かにバラエティに富んでいた方がいいよね……あっ!」
ピンクは何かを思い出したようで遠くに駆けていった。何事だろうかと皆しばらく待っていると再び戻ってきた。その顔には笑みがこぼれており、希望に溢れていた。
「おい! いつの間にかコピー部屋が復活しているぞ!」
「何だって!? よっしゃあ! これでもう大丈夫だぜ」
コピー部屋というのはカービィたちがコピーできる全ての能力がある部屋である。燭台みたいなものにタッチするだけでコピーできるというとても便利なものである。マスターハンド&クレイジーハンドを撃破したときに突如として現れた部屋であり今までたくさんお世話になってきた。訪れたのが随分前なので皆この部屋の存在を忘れてしまっていた。
「そんな便利な部屋があるんですね」
「これでもうダークマインドも楽勝だよ~!」
「……ん? ちょっとおかしく」
皆が浮足立つ中グリーンだけが懐疑的な顔をしていた。疑問を呈そうとする間もなく三人は一目散に走りだしていた。ハッとしたグリーンは皆を追いかけて止めさせようとしていた。その様子を傍で見ていた妖夢もグリーンの後を追いかけてた。
「ね、ねえちょっと。いきなりどうしたんですか?」
訳も分からず妖夢はグリーンに話を聞いてみた。グリーンは顔を青くしながらも自身の頭の中を整理するためにも妖夢に答えた。
「あの部屋はこの世界の全ての鏡の部屋を開通させないと出てこなかったんだ。それなのにこのタイミングで出てくるなんて少し不自然だなって」
「で、でもさっきのボスを倒したから出てきたんじゃ?」
「……その楽観的な考えが当たればいいんだが」
つまりはこれは自分たちを誘い込むための罠だと。本気でダークマインドが復讐しに来ているならばあり得ない話ではなかった。もちろん妖夢の言う通り鏡が1/8個集まったから部屋が復活した可能性もあった。どちらにせよ向かってみなければ真実は分からなかった。
妖夢たちはレッドたちの向かった方向に進んでいった。そこにはこの世界に失われた鏡の部屋は……あった。
「あ、あれ?」
十中八九罠だと思っていたが予想外にもそこにコピー部屋は存在していた。以前はここから便利だったり好きなコピー能力を持って行ってギミックを攻略していた。それほどお世話になったこの部屋の中には既に到着していた三人がおり、各々がファイアやアイス、ボムなどに変身していた。
「すごい、皆可愛い帽子被ってるんですね」
カービィたちがこれほど多種多様にコピーできることを間近で見た妖夢はその見た目の変化に驚いていた。
「まあとりあえずこれで不安材料はなくなったな。じゃあ俺も……」
グリーンも何かしらコピー能力を手にしようと鏡に入ろうとしたその瞬間、今まで何の素振りも見せていなかった鏡が突如パキンと粉々に砕け散った。
「!? おい、ちょっと!? ピンク、レッド、イエロー!?」
目を見開いたグリーンは割れた破片を手に持って仲間を呼んだ。しかし返事はなく鏡面には冷や汗タラタラのグリーンの顔しか映っていなかった。
「ど、どうしましょう。このままじゃ皆が向こうに……」
コピー部屋はコピーの素しか置いていない空間でありそれ以外は何もない。あちらとこちらの空間を繋ぐ唯一の連絡手段があの鏡でありそれが途絶えては何も打つ手がない。もちろん向こうのたくさんのコピー能力をもってしてもどうしようもない。
「……あれ? 何か暗くなってないですか?」
マスターソードの置かれているはずのこの空間は全ての影響を受けない神聖なる空間である。外敵、外気、天気などとは無縁のはずだが何故か辺りが暗くなってきた。妖夢は狼狽していたがグリーンには心当たりがあった。こんな芸当ができるのは一人しかいなかったからだ。
「あ……ああ!」
グリーンは妖夢の後ろを指さして固まっていた。背後に何かあるのだろうが恐ろしくて振り向きたくなかったが恐る恐る首を後ろへと回してみた。
「ギ、ギャァアアアアーー!!」
悲鳴を上げたそこには宙に浮かぶ巨大な太陽みたいな者がいた。中央には目玉がついておりその周りには鏡が八つ取り囲んでいた。どう考えても只者ではなく強さだけなら主人の幽々子にも劣らないほどの実力者であることを妖夢は直感で分かった。
「ガッハッハ。久しぶりじゃなカービィよ。いや、今はグリーンカービィだけなんじゃったな」
口もないのに目の前の球体は高らかに笑い始めた。グリーンカービィは急に現れたラスボスに腰を抜かしてしまった。グリーンカービィはカービィの不安部分の側面が表に出た存在。怖気づいてしまって口を開けなかった。
「それにしても異分子が入ったもんじゃな。なあ小娘よ」
ダークマインドは妖夢に巨大な目玉を向けた。グリーンよりもビビり散らかしていた妖夢だったので逆に強気に質問してみた。
「さ、三人をどうするんですか!」
「んん? ああこいつらか。貴様らを分断させるために永遠に隔離させてやったのじゃ」
やはりグリーンの目論見通り罠であった。今の自分たちが何を一番欲しているのかをちゃんと理解していたダークマインドが一枚上手だった。
「ひ、ひどい……」
「ワシの大事な部下を奪った貴様らよりはマシじゃと思うがの」
見せつけるようにダークマインドは鏡の一枚をアップにした。よく見ると漂う鏡は一枚だけひび割れてくすんでおり、光沢のある鋼っぽい材質でできていた。枚数的に見てもおそらくあの中にそれぞれのボスが入っており、キングゴーレムのことだろう。
「それで……俺たちをどうする気だ」
グリーンは何とか立ち上がって口を開いた。ダークマインドはニヤついて喋り始めた。
「ワシの目的は貴様らへの復讐じゃ。ボコボコにされるのをただ見たいだけなんじゃからの。だからワシの部下たちと戦え。それで一人ずつ解放してやろう」
「……嘘じゃないだろうな」
「信じても信じなくても構わん。どちらにせよ貴様らに選択肢がないのも事実じゃろう」
確かにダークマインドの言う通りこちらとしては戦うしかない。もしも一人も解放されなかったとしても鏡を集めてダークマインドを討つのが使命である。
「分かりました! あなたたちを倒せばいいんですね。それで皆を救いますとも」
「ほぅ、いい顔をしておるな。妖夢と言ったか、覚えておこう」
妖夢は心の中で鉢巻を巻いてダークマインドに宣言した。部外者である妖夢だがダークマインドは怪訝にはしていなかった。
「貴様たちの望み通り次はモーリィが相手をしよう。キャベッジキャーバンへ来い。モーリィが相手になってやる」
そう言い残すとダークマインドは姿を消した。明るくはなったが行く先は真っ暗だ。
「……妖夢」
「どうしました、グリーンさん」
二人の言いたいことは同じだった。
「必ず皆助け出しましょうね」
「ああ、力を貸してくれ」
四つに分裂させた償いというわけではない。この世界を何としても救ってみたいという強い思いが妖夢に芽生え始めていた。
えーっと……一年四か月ぶりです。覚えている人はいなかったでしょうね(笑)。ぶっちゃけ失踪させるつもりでしたがとあるニュースが流れてきました。星のカービィディスカバリーの発表です。新作のカービィ見てスイッチ持っていない自分でも欲しくなるほど楽しそうに見えました。
なので今の段階ではその新作の小説を書くためにこの鏡の大迷宮を書き終えたいと思っています。もちろん適当に書くつもりはありませんがなんとしてもディスカバリーの方を実際にプレイしてみて小説書いてみたいです。まだ話とかは何も決まっていませんがね。