妖夢と鏡の大迷宮   作:海老の尻尾

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第五話 vs新モーリィ

 ダークマインドに啖呵を切った妖夢とグリーンは誘われるようにキャベッジキャーバンへと降り立った。道は既に覚えておりスムーズにボスのいる部屋まで進むことができる。以前来たときは長い道のりだと感じたはずだが敵キャラがいないとこうもあっさりであった。

 

「この次の部屋にモーリィがいるはずだが……準備は大丈夫か?」

 

 グリーンは妖夢の方を見て何回も確認をした。かなりの心配症でありここに来るまで何回もチェックを行っていた。

 

「はい、大丈夫ですよ。体力も問題ありませんしグリーンさんのソードのコピー能力も大丈夫です」

 

 素早いモーリィ相手ならば近距離攻撃のソードよりもボムやUFOなど遠距離から攻撃できる方が好ましい。しかし今は贅沢を言える状況ではなく、今あるソードで対処するしかない。一応ファイナルソードという飛び道具は持っていることだし。

 

「じゃあ今一度確認だ。相手は地中から攻撃するのが得意なモグラだ。むやみやたらに攻撃しても当たらないことは覚悟しておいてほしい」

 

 地中を潜る相手と対峙したことのない妖夢にとっては初めての経験だった。多方向から攻撃を仕掛けてくると思われるが妖夢は多対一の状況は不得手であった。だからこそ入念にシミュレーションをして臨んでいた。二人は呼吸を整えていざ部屋の扉を開いた。

 

「モーリィはいますか! いざ尋常に……うっ⁉」

 

 妖夢が道場破りかの如く大きな声で問いかけるもそこで見た光景は驚愕のものだった。周りが何も見えなかったのである。

 

「お、来たね。待っていたよ」

 

 モーリィの軽い声が辺りから聞こえた。洞窟という暗いはずの空間が何故かここだけ異様なほど光っており眩しかった。理由は周辺の鉱石だった。発光性の高い鉱石に囲まれているため相手の姿のみならず自分の姿さえも上手く視認できない。瞼を開けるとチカチカして戦いにならない。

 

「そこの女の子は初めてだね。じゃあ一応自己紹介するね。僕はモーリィ。ダークマインド様の下僕だよ」

 

 目は見えないため声でしか確認できないが、敵キャラとは思えないほどフランクに話しかけてきた。しかしあくまでも敵キャラ。しかも屈指の実力者らしい。妖夢はカービィたちの以前の言葉を思い出して油断しないように努めた。

 

「ええ、存じております。あなたを倒して鏡の欠片を頂きます!」

「仲間は返してもらうぞ!」

 

 目をつぶりながらも妖夢とグリーンは剣をモーリィに向かって構えた。ソードのコピー能力を携えたカービィと5ボスという実力を備えている妖夢。後れをとる要素はなかった。

 

「どっちを向いてるの?」

 

 しかし前後不覚のため二人は明後日の方向を向いていた。これが大きなハンデとなることは容易に想像できてしまった。一抹の不安を感じながらも退くわけにはいかなかった。

 

「まあいいや。復活したてで体が鈍っているかもしれないから……」

 

 土に埋まっている下半身を地上に引っ張り上げると、大きな巨体の落下音がズシンと洞窟に鳴り響いた。

 

「ちょっと付き合ってもらうよ」

 

 喋り終えるやいなやモーリィはすぐさまグリーンに向かって突撃した。モーリィの鋭い爪がキラリと輝いて襲い掛かる。当然向かっていることなど分からないグリーンはガードすることなどできず攻撃をモロに喰らってしまった。

 

「ぐぁああ!!」

「グリーンさん⁉」

 

 グリーンの悲鳴に妖夢は驚愕の声を出してしまった。グリーンの肩からは切り傷でドクドクと流血している。相手も本気で命を取りに来ているのが目に見えた。

 

「今のは小手調べでわざと急所は外したからね。次は仕留められるよ」

 

 急所を外したのは強がりではなく本当にわざとだったのが感じ取れた。それほど的確にこちらの姿は見られていた。グリーンは本気で危険だということが分かり冷や汗と脂汗もドクドクと流れ出ていた。

 

「じゃあ次は……」

「! まずい妖夢。ガードしろ!」

「は、はい!」

 

 妖夢は自身の周辺にドーム状に弾幕を張った。全体を覆ったのはどこから攻撃が来るか分からないためである。弾幕と爪が擦れる音が妖夢の正面から聞こえた。目の前に迫って来ていても気付くことができないほど眩しいステージであった。

 

「大丈夫か⁉」

「はい、問題ありません」

「随分と強いガードだね。まあ僕があんまり攻撃力が高くないのもあるけど」

 

 モーリィは自分の爪をチラリと見て自虐気味に呟いた。決して手を抜いたわけではない。実際以前のカービィとの戦いでも一発あたりの攻撃は大したことなかったことは覚えていた。では何故今目の前のグリーンは深手を負っているのか。それはモーリィ自身の武器に秘密があった。

 

「な、何でお前はそんなにも機敏に動けるんだ……?」

 

 考えてみれば妙な話である。モグラは本来光が苦手なはずだから暗い地中に引きこもっているはずの存在である。妖夢やグリーン以上にこの環境の影響を受けて然るべきはずだった。しかし完全にこちらの姿を視認できているようでグリーンは問いかけてみた。

 

「グリーンさん。そんなこと教えてくれるわけが……」

「ああ、このサングラスのおかげだよ」

「え、ええ?」

「ダークマインド様が作ってくれてね。どんな光も抑えてくれるんだよ」

 

 随分あっさりと教えてくれて呆気にとられた。自分の手の内を明かしてしまうのは間抜けなのかそれとも自信に満ち溢れているからなのかは分からなかった。

 

「馬鹿者め。ペラペラと喋るんじゃない」

「「!? この声は!?」」

 

 背後から聞こえる邪悪な声。こちらの気分をドス黒く染め上げるような声色を用いてこのステージに介入してきた。姿は見えないが確実に言える。そこにダークマインドがいることを。実際にはそこに居たわけではなく、鏡を用いてこちらの様子を不敵に覗き込んでいただけだが。

 

「あー、ごめんなさいダークマインド様。テヘヘ」

「何しに来たんですか!?」

 

 妖夢が邪悪な気配を頼りに弾幕を飛ばした。しかしイメージ映像のようなものなので一切のダメージはなかった。ダークマインドはゆらゆらと揺らめきながら妖夢の問いに答えた。

 

「モーリィが余計な事を言ったからな。あとそろそろくたばっている頃かと思って様子を見に来たぞ」

「な、何ですって!」

「違うか? 現に貴様は負傷済みではないか」

「くっ……」

 

 モーリィから喰らった一撃がじんじんと痛む。流血は止まったもののまだ思うようには動けない。グリーンはダークマインドの言葉に反論できずただ言葉を飲み込むしかできなかった。

 

「ワシを倒すとか聞いたような気がしたが……気のせいじゃったかの、ワッハッハ!」

 

 狭い洞窟なので癇に障る高笑いが余計に響く。安易な挑発だと分かってはいてもネガティブな考えが拭えない。本当に自分が救えるのか? ピンクやイエロー、レッドに比べてパワーもスピードもない自分にそんな大層なことができるのか? 末端の部下にすら手も足も出ないこんな状況を見ても自信を持って言えるのか?

 

「そ、それは……」

 

 

 バギャアァン!

 

 

 だがグリーンの言葉を遮ったのはもう一人のグリーン、妖夢だった。妖夢は楼観剣を勢いよく振り下ろして斬撃を放った。邪悪な気配は分かるのでダークマインドの方向目掛けて爆音と共に一直線に亀裂が走った。それが収まると妖夢は口を開いた。

 

「いいえ、ダークマインド。気のせいなんかじゃありません。必ずあなたを倒して見せます。ちょっと待っていてくださいね」

 

 妖夢は笑っていた。絶望的な状況のはずなのに笑みを浮かべられていたのは覚悟があったからだろう。倒すべき相手を目の前にして目標が明確になった。その姿を見てグリーンも覚悟を決めた。自分の頭でできることは不安を増すことではない。どうすれば解決できるかの糸口を探すことだった。

 

「ふ……それはモーリィを倒してからだな」

「あ、話終わった? じゃあ……そろそろ行くよ!」

 

 再びモーリィは攻撃を繰り出し始めた。先程同様妖夢はガードしているがこれもいつまでも続くわけではない。徐々に弾幕のガードが薄くなっている。早々に対策をとらなければならなかった。

 

「せめて居場所が分かれば……」

「こんなピカピカしているところじゃ……ん? 待てよ……」

 

 グリーンは何かを閃いた。見えない場所で居場所の分かるモノがあればよい。そういう考えを基に一つの作戦を思いついた。しかしこれを遂行するための前提条件は自分には判断が付けられなかった。知っているのは今隣にいる少女だった。

 

「なあ妖夢、少し聞きたいんだが……」

 

 グリーンは妖夢に耳打ちをした。作戦の根幹に関わる部分だから手短に伝えた。

 

「ええ。私なら分かりますけど……それが何か?」

 

 グリーンはニヤリと口角を上げた。勝利を確信した顔をしており、持っていたコピー能力であるソードの剣を上空高く突き上げた。




 読んで頂きありがとうございます! モーリィ編は次回でラストです。新モーリィのイメージはアニメ星のカービィ70話(トッコリ卿の伝説の回)のモグラの魔獣です。あんな感じでモーリィが立ち上がった感じですね。性格はのんびりしているけどボスに従順です。強さも折り紙付きで割とダークマインドも多めに見ています。

 ちなみに私はアニメカービィ信者ですのでちょくちょくアニメネタが出るかもしれませんのでご了承ください。


アニメ二期永遠に待ってます
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