幼女が魔改造されたクマに乗って時獄と天獄を生き抜く話   作:アキ山

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おのれ、フロンタル!!

奴の所為で本編が進まぬ!!

どうしてこうなった!?(自業自得)

というわけで、本編はもう少しおまちくだしあ


幼女とあいとゆうきのおとぎばなし -07

 巨大戦艦はるかぜ。

 

 そのなかでは豊芦原瑞穂国に駐留する日米両軍が新たな戦いの準備に勤しんでいた。

 

 しかし忙しい最中でも帝国海軍の人間が足を止めるのは、モニターに映る豊芦原の新造艦ヤマトの姿だ。

 

「大和か。教本で飽きる程見たあの艦の星海を行く姿を見る事になるとはなぁ」

 

 オーブ製タケミカズチ級の戦術機空母・龍鳳を任された緒方という老提督は、その姿に感慨深げに息を吐く。

 

「感慨深いのは私も同様です。ウチの連中もアレを見た時は大騒ぎでしたよ、なにせ名前まで同じ『ヤマト』ですからね」

 

 そんな緒方の言葉に、今回の救援で軍の指揮を任されている島津准将は苦笑いでペットボトルに入った緑茶を煽る。

 

 階級的には島津の方が高いが、緒方は60になっても一線で戦う大ベテラン。

 

 島津の口調も自然に敬語となるというものだ。

 

「そういえば司令は海軍の出でしたな。まあ、帝国の軍艦乗りでアレを見て血が騒がん者はおらんでしょう」

 

「件の艦をデザインしたのはミウ姫だそうですよ。それを聞くと、やはり彼女達にも我々と同じ日本人の血が流れているのを実感しますな」

 

 もしもあの艦が日本帝国軍人の戦意高揚を目的としているなら、それは大成功だ。

 

 現にヤマトを見た者の中には乗艦を希望する声も多数ある。

 

 驚異の科学力を誇る豊芦原瑞穂国、その最新鋭の戦艦というだけで地球の軍人には魅力的なのだ。

 

 それが自国で伝説となっている艦をモデルとしていれば、そう願うのは当然だろう。

 

 大戦を前にした小さな談笑だが、それも長くは続かなかった。

 

『コレヨリ本艦ハ大気圏突入シーケンス二入ル。搭乗者各員ハ衝撃二備エヨ!!』

 

「いよいよか。島津司令、我々の動きは事前に通達があった通りでよいのですな?」

 

「ええ。東シナ海で空母と護衛艦、そして潜水艦は全て降ろします。それからはベンガル湾とインド洋に陣取ってインド亜大陸から迫るBETAを迎撃してください」

 

「了解した」

 

「はるかぜは戦術機甲部隊を始めとする迎撃部隊を降ろした後、インドネシアの各島に残っている避難民を回収しつつ砲撃援護を行う移動陣地として動きます。おひいさま達から本作戦に限り、この艦の運営を任されていますからね」

 

 島津准将がこの救援作戦に駆り出された理由がこれだった。 

 

 ミユもミウも実戦経験は豊富だが、大部隊の指揮管理などやった事がない。

 

 そこで日米の豊芦原駐留部隊が参加するとなった際に、島津司令と幕僚達に部隊指揮とインドネシアを防衛している大東亜連合との折衝などを頼んだのだ。

 

 島津達も突然舞い込んできたこの話には大いに驚いた。

 

 しかし豊芦原の駐留軍はかつては命を救われた側の人間であり、参戦を希望したのは自分の部下達である。

 

 どうして我関せずを貫けようか。

 

 だからこそ、日米ともに受領した新兵器の実証実験という名目を本国から取り付けてはせ参じたのだ。

 

「では、インドとインドネシアん民を救うちでに九州でん借りを返すとすっと」

 

「おう。利子を付けちょったっぷりとね」

 

 過日の九州防衛戦には地の利を考えて同地方出身者が多く参加していた。

 

 島津はもちろん緒方も同様だ。

 

 そして九州男児は血の気が多い。

 

 手痛い目に遭わせた敵に殴り返す機会を逃す者はいないのである。 

 

 

 

 インドネシア・スマトラ島東北部にあるスウォンド空軍基地。

 

「第八防衛隊、通信途絶!!」

 

「BETAはバリ島、コモド島に上陸!! 侵攻を止められません!!」

 

「ぐっ! 地域住民の避難は!?」

 

「使用できる艦艇が足りず、まだ60%に留まっています!!」

 

「全ての弾薬を吐き出しても構わん!! 海軍の各艦はなんとしても上陸した敵の足を止めるように指示を出せ!! 戦術機用の補給コンテナも前線への射出を急がせろ!! 住民の避難は光線級の照射範囲下を移動可能なヘリなども使用して優先させるのだ」

 

 そこでは国連から駆け付けたパウル・ラダビノッド准将が泥を噛むような苦境の中で藻掻いていた。

 

 インド亜大陸にあるH13:ボパールハイヴから押し寄せるBETAの大軍団、それは今から半日前にインド洋の海底を踏破してインドネシアの島々へと襲いかかった。

 

「敵はどの程度まで浸透している?」

 

「前線を下げながら対処していますが、島と島との間を移動するのは難しい兵科もあり、戦車を始めとする機甲部隊や砲撃隊に多くの被害が出ております!!」

 

「このまま乱戦になればフレンドリーファイヤで砲撃が封じられてしまう! そうなっては数の差を覆すことは……!!」

 

 次々と耳に入る凶報にラダビノットは歯を食いしばる。

 

 現状において、インドネシア・インド連合軍は保有戦力の3割を喪失している。

 

 それも要塞級の上陸を許し光線級を吐き出されてからは、戦術機や虎の子の軍艦にまで被害が出始めている為に損耗度は加速する一方だ。

 

 ここまで一方的に押し込まれてはいるが、インドネシア軍も何もしなかったわけではない。

 

 この想定外の奇襲に対して、機雷や海洋ブイに仕込んだセンサーなどで災厄の接近を察知した彼等は迎撃を行っていたのだ。

 

 しかし侵攻してくるBETAは一国を飲み込むほどの大勢力であり、インドネシア国軍単体では食い止めるのは難しかった。

 

 虎の子の海軍と戦術機で構築した防衛線はあっさりと破られ、住民の避難も完了しない内に国土たる島々への上陸を許してしまう。

 

 ラダビノットに防衛隊の指揮が任されたのは、このタイミングだった。

 

 インド壊滅の際、地獄の様相を呈していた彼の国でBETAの猛攻を最後まで遅滞させて多くの避難民や兵士の命を救い上げた猛将。

 

 そんなラダビノットはインドネシア亡命後は国連軍へ所属し、故郷の悲劇を繰り返さぬように各国の軍と国連軍の連携を円滑にするように努めてきた。

 

 今回インドネシアへ帰ってきていたのもその一環だった。

 

 最悪な事にそのタイミングでBETAの大規模侵攻に出くわした彼は、かつての功績からインドネシア・インド両軍の上層部から現場指揮を任された……否。

 

 将校達が伝手を使って大東亜連合加盟の国へ亡命を始めている事を考えれば、貧乏くじを押し付けられたと言うべきだろう。

 

 それでもラダビノットは必死に忍び寄る破滅に抗った。

 

 鬼気迫る指揮で戦線を維持しつつ大東亜連合や国連へ応援要請を繰り返していたのだ。

 

 しかし東南アジア諸国の連合体である大東亜連合は、ポーパルハイヴが動いた事で近隣のマンダレーハイヴも活動を開始するのではと警戒し、軍を動かせなかった。

 

 一方の国連軍も急な大規模侵攻によって加盟国との折り合いが付かず、派兵はどう考えても間に合わない状態だ。

 

『このままでは塗炭の苦しみの中を生き抜いてきた同胞たちを、国を失った自分達を受け入れてくれた恩人を地獄へ叩き込むことになってしまう!……どうすればいい!!』

 

 必死に回避策を探すが、悪化の一途をたどる現状では暗中模索でしかない。

 

 だがそんな彼の苦悩を切り払う者は天から舞い降りた。

 

 始まりは突然空軍基地が地震に遭ったかのようにグラリと揺れた事だった。

 

「なにがあった!?」

 

「これは……砲撃です! 上空からの大規模砲撃によって、スマトラ島に上陸しようとしていたBETAが消失しました!」

 

「なんだと?」

 

「防空レーダーが接近する飛行物体を感知! 数は2! 大きさは……え!?」

 

「どうした! 報告はしっかり行え!」

 

「し…失礼しました! 大きさは一つは全長3km! もう一つは700m! 対象物をカメラに出します!!」

 

 管制官の操作で主モニターに映し出されたのは天翔ける二隻の船。

 

 そんな物を持つ存在の心当たりなど、ラダビノットは一つしかない。

 

「まさか……あのコロニー国家だというのか?」

 

 呆然としたまま零れ落ちた独白に応えるように、応えるようにスマトラ島の海岸線を更なる爆炎が襲う。

 

「司令! 船団です! ムンタワイ海峡付近に船団が現れました! 数は戦術機空母4、護衛艦6!!」

 

「海底探査ブイからも反応アリ! これは……潜水艦と水中用戦術機がBETA群に水雷戦を仕掛けているようです!!」

 

 矢継ぎ早に報告される事態の変化に頭が追い付かないでいると、モニターに通信用のウインドウが開いた。

 

 そこには精悍な40代の日本人士官が映っている。

 

『豊芦原瑞穂国・日本駐留部隊の島津義信准将です。これより貴国を援護いたします』

 

「インドネシア・インド連合軍のパウル・ラダビノットだ。日本駐留部隊と言ったが、君達の行動は帝国の意志によるものかね?」

 

『いえ、豊芦原瑞穂国の所有者であるミユ姫の意向です。地球の為に戦う戦士を見捨てる事は出来ない、と』

 

 島津准将の言葉にラダビノットは目を閉じる。

 

 地球の為に戦う戦士。

 

 それはラダビノットが目指したものでもあった。

 

 祖国壊滅の激戦の中で、彼は一国でBETAに対抗するのは無謀だと骨身に染みている。

 

 この星を侵す化け物を駆逐するには、人類が一丸となって当たらねば勝ち目はないのだと。

 

 その為にラダビノットは国連軍を人類の盾たる精強な軍隊へくみ上げようと必死に動いてきた。

 

 しかし、国家とは国の利益を最優先とする機構だ。

 

 常に互いが互いを疑い、他者より多く得をしようと目を光らせている。

 

 そんな者達が集まる国連では、真の意味で人類が一つになる事は無かった。

 

 各国家の手先である大使達は、ラダビノットの意見具申を敗残国の将の戯言と一笑に付したのだ。

 

 だからこそ、島津司令の言葉はラダビノットにとって殺し文句となった。

 

「すまない。牙無き人々を守る為に君達の力を貸してくれ」

 

 インドが誇る猛将はモニターへ向かって頭を下げるのだった。

 

 

 

 

 インド・インドネシア連合軍からの支援受け入れは『はるかぜ』から日米豊芦原駐留部隊全てへ即座に共有された。

 

『ハンター小隊は潜水部隊と連携し、バリ島に上陸したBETAの迎撃をお願いします。なお、支援砲撃は蒼龍HQへ要請してください』

 

『了解した』 

 

 戦術機空母・蒼龍の格納庫では、ハンター1ことアルフレッド・ウォーケン中佐のR・イーグルが着々と出撃準備を行っていた。

 

 作戦確認を行う間にイーグルの背面にある兵装担架用接続部へ、天井から生えた作業用アームが巨大な可翔翼を取り付ける。

 

『ハンター1へジェットストライカー・パック接続完了。ユー・ハブ・コントロール』 

 

『アイ・ハブ・コントロール。計器はすべて正常に動作している、問題はない』

 

 これは佐渡島防衛戦へ向けて開発されたR・イーグルや烈震用の強化装備で、名をストライカーパックという。

 

 ストライカーパックはその機体の役目に応じて様々な種類があり、ウォーケン中佐などの腕利きは機動力と火力が向上するジェットストライカーを好んで使用していた。

 

『ハンター3からハンター6。どうした、ジェットなんか付けて。『おしめ』じゃなくて大丈夫なのか?』

 

『何時までもヒヨッコ扱いはやめてくださいよ、中尉。俺だって九州を生き抜いたんですから』

 

 自他とモノに認めるお調子者のハンター3の九州戦役では初陣だったハンター6へ向けた軽口、それを聞いたウォーケンは軽くため息をつく。

 

 ちなみにハンター3の言った『おしめ』とは、ストライカーパックの一種であるディフェンダー・ストライカーの事だ。

 

 件のパックに備わっているのは推力の担保となる大型スラスターと、4本のサブアームのそれぞれに備わった巨大なシールドのみという防御に特化したものだ。

 

 供給元の豊芦原からも衛士の生存を主眼に置いた装備と明言されている。

 

 それ故にディフェンダー・ストライカーは経験の足りない初心者向けと衛士達から理解され、口さがない者の中には『おしめ』の俗称で呼ぶこともある。

 

『お前達、出撃前だぞ。その辺にしておけ』

 

『了解』

 

『りょ、了解です』

 

『ハンター6、久々の実戦だが固くなることはない。あの地獄を生きて潜り抜けたお前は一人前の衛士だ。胸を張って任務に当たれ』

 

『……ッ! 了解!!』

 

 部下達へフォローを入れていると、カタパルトの脇に備わったシグナルが青に変わる。

 

『カタパルト準備完了! ウォーケン中佐、発進どうぞ!』

 

『了解だ。ハンター1、出るぞ!!』

 

 海上に陣取る戦術機空母から次々に飛び立つR・イーグルと烈震達。

 

『あれはなんだ?』

 

『米軍の新型か?』

 

 最前線にいて世俗に疎いインド・インドネシア軍の衛士達は、背部に巨大なスラスターユニットを背負った既存の戦術機とは明らかに一線を画す姿に思わず手を止める。

 

『ハンター1から各機! 俺は要塞級を殺る! お前達は突撃級を食い尽くせ!!』

 

『宇宙生まれな最新ファッションのお披露目だ! 気合入れていくぞ!!』

 

『浮かれすぎるなよ、ハンター3! 各機散開!!』

 

 ウォーケン中佐の指事によって新生した荒鷹達は各々の獲物目掛けて襲いかかる。

 

『まずはクソッタレなBETA共に再会のプレゼントをしなくちゃね! ハンター4、フォックス1!!』 

 

 女性衛士であるハンター4の威勢のいい掛け声とともに、ウォーケンを除くハンター小隊はジェット・ストライカーの翼の下部に備わったロケット弾を放つ。

 

 硝煙の軌跡を引いて低空で飛んだロケット弾は、突撃級へ食らいつくと肉と甲殻の破片をまき散らして獲物を爆炎へと飲み込んだ。

 

『やったか! ……というのはフラグなんだっけ?』 

 

『そうですよ! 最前列は潰しましたけど、後ろからゾロゾロ来てます!!』

 

 ハンター3の軽口にハンター6がツッコむのと、爆炎を突っ切って突撃級の第二陣が姿を現すのは同時だった。

 

『OK! それじゃあプリンセスから貰ったオモチャで、奴等ごと世界の度肝をブチ抜くわよ!!』

 

 それに対して5機のR・イーグル達は手にした突撃砲を構える。

 

『アイツ等なにやってんだ!?』

 

『突撃級は背後を取るのが基本だろうが! そんな事も知らないルーキーだってのか!?』

 

 それを見た現地守備隊の残存衛士達は怒りと絶望が綯交ぜになった声を上げる。

 

 しかし彼等の思いは杞憂に終わることになる。

 

『なっ!?』

 

『ば…馬鹿なっ!!』

 

 何故なら突撃級に食らいついた弾丸はその甲殻を食い破って、真正面から奴等を打倒したからだ。

 

『おお! すげぇ! すげぇ!!』 

 

『コロニーでの演習で威力が分かっていたけど、本当に真正面から倒せるなんて……』

 

 ハンター小隊の衛士達も、実戦で初めて見るその光景にテンションを上げる。

 

『これでわざわざ奴等のケツを取る必要はなくなったわね。よし! この調子でガンガン行くわよ!!』

 

 ハンター小隊を始めとする救援部隊が上陸を試みるBETA達へルナチタニウム製の90mm弾の洗礼を浴びせている頃、ウォーケンも要塞級相手に単騎で奮闘していた。

 

 今までの機体とは格段の機動性を以て襲い来るウォーケン機、それに対して要塞級は尾節に備わった触手を放つ。

 

 この触手は先端にかぎ爪状の衝角を備えており、それが獲物へ触れると同時に強力な溶解液を分泌する為に一撃必殺の武器と化している。

 

『間合いが甘い!!』

 

 しかし、空を裂いて迫るかぎ爪は空を舞う鷹を捉えることはない。

 

 通常の戦術機でも回避が可能なのだ、ジェットストライカーで機動力と運動性が上がったR・イーグルなら間合いを詰めながらでも躱すのは容易い。

 

『沈めェェェェ!!』

 

 そして裂帛の気合と共に放たれる突撃砲の斉射。

 

 放たれた弾丸は要塞級の顔へ正面から食らいつき、その強固な表皮を穿つと内部組織をズタズタに食い破った。

 

『まさか演習通りに突撃砲で要塞級を倒せるとはな。……いや、呆けている暇は無いか。ハンター1から各機へ! 攻撃を続行! 片っ端から平らげるぞ!!』

 

『了解!』

 

 

 アメリカ駐留軍が現地の衛士達の度肝を抜いていた頃、日本帝国も別の意味で驚愕を与えていた。

 

『ブレイド1から各機! 抜剣せよ!!』

 

『了解!!』

 

 編隊を組む先頭の烈震からの指事で、小隊の戦術機たちはスライドした兵装担架に備わった柄に手を掛ける。

 

 そうして引き抜かれたのは、戦術機の身の丈ほどの長さを持つ分厚い大太刀だった。

 

『構えぃ!!』 

 

『『『応!!』』』』

 

 小隊長の指事で烈震達は刀を構える。

 

 全員構えは同じ、示現流の蜻蛉である。

 

『掛かれェェェェい!!』

 

『『『『チェェェェェェストォォォォっ!!!』』』』』

 

 そして小隊長が発した裂帛の気合と共に、鋼の剣風がBETA達へ襲いかかった。

 

 まず小隊長の一の太刀が要塞級の頭から胴の半ばを唐竹に両断すると、他の烈震達も突撃級を正面から真っ二つにしたり要撃級が掲げた防御の触腕ごと叩き切るなど猛威を振るう。

 

 一刀の撃ち終わりを狙った要撃級もいたが肩当てから飛び出したビーム・ブーメランによって感覚器を切り飛ばされ、遠距離にいた突撃級も日本帝国軍人から『ワッパ』と呼ばれているロケットアンカーによって捕まり、横一文字に両断される事となった。

 

 これこそが第三のストライカーパック・ソードストライカーである。

 

 主武装はレーザー発振による刃で戦艦すら叩き切る15.78mレーザー対艦刀。

 

 それを専用のパワーシリンダーで力を大幅に強化した腕部で縦横無尽に振り回す近接専用の武装である。

 

 発表当初、ソードストライカーは米軍から『プリンセスの小粋なジョーク』とネタ扱いされていた。

 

 現代戦において射撃を捨てて剣戟特化な武装を出したのだ、当然の反応だろう。

 

 しかし、日本帝国の衛士達からは喝采を以て迎えられる事となった。

 

 九州防衛戦に参加していたのは、その多くが地元出身の九州男達。

 

 示現流やタイ捨流を修めた彼等にとって、この装備は酷く魅力的に見えたのだ。

 

 それに加えて、既存の物から大幅に進化した烈震のCPUに自身が練り上げた剣術をモーションデータとして登録・使用できるとなれば猶更だ。

 

『ひとぉつっ!!』

 

『手柄首じゃ! 手柄首置いてけぇっ!!』

 

『BETAは根切ぞ! 一匹残らず刀ん錆じゃ!!』

 

 こうして現代に蘇った防人達は、そりゃあもう生き生きとBETA達の首と思われる部分を千切りまくっているのである。

 

 もちろん、この蛮族っぷりは他国から見れば異様に映るわけで……

 

『く…クレイジー……』

 

『イカレてやがる……日本人は化け物か!』

 

 米軍やインド・インドネシアの衛士達からドン引きされる事となったのだ。

 

 地上で戦術機部隊が猛威を振るうのに先駆けて、正確に言えば島津司令の交渉が終わるより早くBETAに牙を突き立てた気の早い者達もいた。

 

 それが『帝国軍水泳部』こと潜水艦部隊である。

 

『海底へ潜行してくるBETAの一団を感知!!』

 

『よし! 各艦は再度水雷戦を行う!! 戦術機部隊は魚雷命中を確認後、敵残存勢力の掃討に当たれ!!』

 

『野郎ども! 大陸からお代わりが来たぞ!! 残さず平らげろよ!!』

 

『了解!!』

 

 4隻のユーコンを引き連れて暗い海底を行くマッドアングラー。

 

 海を自在に泳ぎ回る彼等からすれば、その底をノタノタと歩くBETAなどカモでしかない。

 

『標的、射程内!!』

 

『よし! 魚雷発射!!』

 

 白い気泡の尾を引いてBETAの群れへ襲いかかる数十の高速魚雷。 

 

 それは獲物へ食らいつくと同時に炸裂し、海水の中に異星生物達の穢れた血肉をまき散らす。

 

 血と深海の砂煙で濁った場所へ第二の矢として襲いかかるのが随伴するグラブロと水中用MSだ。

 

『要塞級は俺がいただく! お前等は他のクソ共を平らげろ!!』

 

『『『『『応ッ!!』』』』』

 

 一番槍のグラブロは付きだした両手のカギ爪を突撃の勢いのままに、要塞級の弱点とされる三胴構造各部の結合部へ突き刺す。

 

『光栄に思えやぁ! テメエはグラブロの記念すべき最初の獲物だぁ!!』

 

 そしてMSも解体できる怪腕で三等分に引き千切ったのだ。

 

『よっしゃあ! 食い放題だ!!』 

 

『全部ぶっ殺せぇ!!』

 

 グラブロに続いてBETAの直上を取った6機のグーンが両手の533mm7連装魚雷発射管から魚雷の雨を叩き込み、それで損傷した要撃級や突撃級をゾノやアッシュがダメ押しのフォノンメーザー砲を叩き込む。

 

 そうして海上の空母や艦隊と共に大陸から渡ってくるBETAの群れが一時途切れた時だ。

 

『こちらアングラー・マム。海岸線から救難信号をキャッチした。インドネシア守備隊の戦術機が擱座したようだな。誰か救援に行けるか?』

 

『シャーク1、了解。シャーク3、行けるか?』

 

『行けますけど、ここを空けて大丈夫ですか?』

 

 隊長の指名にシャーク3こと佐竹中尉は少し困惑した表情を浮かべる。

 

 そんな彼の背中を押したのはグラブロのパイロットだ。

 

『俺がお前の分まで支えてやるから心配すんな。』 

 

『そうそう。単独で救援とか、お前にぴったりじゃないか。なあ、不死身の佐竹』

 

『その呼び名やめろよ!!』

 

 他の隊員にからかわれた佐竹中尉はコクピットの中で抗議の声を上げる。

 

 彼は九州戦役の際は陽炎に乗っており、激戦の中で高度を上げ過ぎた事から光線級に撃ち落とされたのだ。

 

 レーザーの当たった場所が跳躍ユニットだった為に空中で散華する事は免れたが、片翼をもがれた彼の機体は戦車級が蠢く地上へと落下する事になる。

 

 しかし彼の不幸はここからが本番だった。 

 

 なんと落下途中に脱出装置が誤作動を起こした為に、高度30mの空に吐き出されてしまったのだ。

 

 管制ユニット周りに胞状展開したエアクッションでなんとか墜落死は免れたものの、強化外骨格を起動して外に出れば、待っていたのは戦車級の群れだ。

 

 通常の衛士ならジ・エンドなのだが、ここで佐竹の悪運が火を噴いた。

 

 管制ユニットに備わった射出用のロケットモーターがまだ生きており、佐竹が外へ出たとたんに息を吹き返したのだ。

 

 即席ロケット弾と化した管制ユニットは、佐竹を喰おうとしていた戦車級に突き刺さるとそのまま爆散。

 

 その隙に逃げ出した佐竹は、その後何度も九死に一生を得る事になった。

 

 例えば背後からの射撃を受けて瀕死だった突撃級の前を通ろうとしたら当のBETAが息を吹き返し、さらには持ち上げた甲殻の先端に強化外骨格のパーツが引っ掛かって引き摺りまわされたり。

 

 かと思えば、逃げ惑っていたところに断ち切られた要撃級の腕が落ちてきて、掠めた強化外骨格がゾリっと削られたり。

 

 さらに言えば闘士級に首を引っこ抜かれそうになったところで、撃墜された戦術機の破片が件の闘士級を直撃した事もあった。

 

 他にも一か八かで向かってくる兵士級の群れに強化外骨格に備わった手りゅう弾を投げれば、擱座したジープから漏れていたガソリンに爆炎が引火して大爆発を起こすなど。 

 

 修羅場と死地を反復横跳びした末に、佐竹は精魂尽き果てたところでミユの放ったハロビットに救助されたのだった。

 

 その後、はるかぜの艦内で上官を始めとする佐竹を見た面々は、当人が生きているのを見て幽霊だと勘違いした。

 

 それもそのはず、その時の佐竹は簡易ヘルメットこそ無事だったモノの強化装備はボロボロの腰ミノ状態。

 

 さらには全身傷だらけと、どう見ても落ち武者にしか見えなかったからだ。

 

 そんな彼に日本帝国の面々が一斉に『南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏、迷わず成仏』とお経を唱えたのは日米駐留軍では有名な話である。

 

 といった経緯で佐竹中尉に着いた異名が『不死身の佐竹』という訳だ。

 

『騒いでないでとっとと行け。それで、お前の悪運を哀れな救助者に分け与えて来い』

 

『了解』

 

 隊長機の言葉を受けて、佐竹の操るアッシュは水上へと上がっていく。

 

 救難信号を出していた機体は海岸に上がるとすぐに見つかった。

 

『あれか……ってやべぇ!!』

 

 砂浜の上にうつ伏せに倒れたファントム、それを見つけた時にはすぐ近くまで要撃級が迫っていたからだ。

 

 佐竹は背部に背負ったバーニアを全開にしてアッシュを加速させた。

 

 そしてBETAが振り上げた触腕をファントムに放つより早く、右手に備わったビームクローでその顔面をぶち抜いたのだ。

 

『危なかったぁ。こちら日本帝国豊芦原駐留部隊の佐竹中尉だ。ファントムのパイロット、無事か?』

 

『は…はい、ありがとうございます。私、アニサ少尉といいます』

 

 通信機はかろうじて生きているらしく、相手の顔は出ないが声でのやり取りは可能だった。

 

『それじゃあ、怖いだろうが機体から出てきてくれ。潜水艦で保護する事になるから、ファントムは持っていけん』

 

 そう言いながら、佐竹は擱座したファントムを起こしてやる。

 

 幸い、ハッチの開閉装置は無事だったようで強化服を身にまとった黒髪に褐色の肌が特徴な15歳の女の子が出てきた。

 

『あの……本当にそれが戦術機なんですか?』

 

『ああ、コロニー産の新型さ』

 

 佐竹の言葉を肯定するかのように、手を伸ばしたアッシュはグポンとそのモノアイを光らせるのだった。

 

 

 

 

 どうも、人生で初めての東南アジアなのに、来た理由がキモい生き物との戦争で少し悲しい幼女です。

 

 現地に着いてすぐにヤマトからハロで発進した私は、ミウの乗る3ちゃんと共にぷかぷかと空へ浮いております。

 

 え、3ちゃんが飛べるのかって?

 

 スーパーロボットなら、このサイズでもマッハ超えで飛び回る機体はいっぱいいるから。

 

『こちらシャーク3、要救助者の回収完了した!!』 

 

『よくやった! シャーク3はそのまま艦へ帰還しろ』

 

『了解!』

 

『ところでビームクロー使ったんだろ? 具合はどうよ』

 

『最高だ! BETA野郎が豆腐みたいにぶった切れた!! というか周りから要撃級やら戦車級が寄ってきてる! 誰か援護射撃くれ!!』

 

『任せろ! お前はBETAん中に置き去りにしても心配ないが、隣の嬢ちゃんは死なせるには惜しい!! 対地ミサイル全弾発射!!』

 

『おまっ!? それどうやって躱すんだ!!』

 

『一発目の着弾で包囲に穴が開いたら全力で海に飛び込め!! お前ならなんとでもなる筈だ!!』

 

『やってみせろよ、佐竹!』

 

『無茶ぶりだと!?』

 

 潜水艦部隊の皆から元気な声が通信機から入ってくる。

 

『なんだか余裕っぽいね』

 

『海底を移動中のBETAは殴りたい放題ですもの。そんなの相手にしていたら、気も緩みますわ』

 

「……ん。たのしくガンバってるならいい」

 

 ひーちゃんや妹からすると思うところがあるかもだけど、幼女としては怪我無く無事でいてくれるだけで十分です。

 

『おひいさま、基地司令のラダビノット准将から正式な形で救援要請を受けました。しかし現状ではBETAが防衛線へかなり浸透しており、乱戦の様相を呈しています。この状態で機甲部隊などを降ろすのは難しいですね』

 

『……だいじょぶ。ミユがやる』

 

 島津司令からの報告を受けた私はハロの中で集中する。

 

 すると、サイコフレームを通して放たれた意識の糸は足元でインドネシアの軍と戦っているBETAの位置を明確に浮かび上がらせる。

 

『……いって、みんな』

 

 私の指事にハロの耳みたいな装甲が開き、そこから無数のハロビットが飛び出して行く。

 

 各地に散ったビット達は光線級から吐き出されるレーザーをある物は躱し、またある物はラムダドライバやナノ・ラミネート装甲を使って弾くと口の中に備わったメガ粒子砲でBETA達を次々と撃ち抜いていく。

 

 あの子達が狙いを外すことはない。

 

 たとえ戦術機と接近戦をしている時でも、BETAだけを着実に刈り取っていくのだ。

 

 そうして1分も満たない間で、はるかぜとヤマトの下にはBETAの死体がゴロゴロと転がる事になった。

 

『……これでいい?』

 

『は…はい、大丈夫です。それでは機甲部隊を展開します』

 

 あれ? 島津司令がちょっと引いているみたいだぞ?

 

「……しれー、こわがってる。なんで?」

 

『うーん、この世界ってオールレンジ攻撃できる技術ないからね。その威力にビビったんじゃないかな?』

 

 首をかしげる私にひーちゃんが答えを返してくれる。

 

 なるほど、多元世界だとポピュラーな武装だから気が付かなかった。

 

『それにミーちゃん、割とエゲツない事しているからねぇ。戦術機と切り結んでる最中の敵を狙撃とか、普通なら無理だよ』

 

「……アムロたいい、できる」

 

 鬼畜天パ流の門下生としては、このくらいはやってのけて当然だと思うの。

 

 マスターの教えが『背中だけだと足りないから、足の裏と頭の先にも目を付けろ』だからね。

 

 そんな事をしている間にも、戦況はしっかりと動いている。

 

『ウルフ1から各車へ! 姫さんが場所を開けてくれたんだ、遅れるんじゃねえぞ!!』

 

『ハウンド小隊も出るぞ! 下にいるのは小型種だけだ! 邪魔者は踏みつぶしていけ!!』

 

『了解!!』

 

 ソンネンのおじちゃんと西住少佐の激が飛ぶと、地表スレスレまで降下したはるかぜの後部ハッチから巨大な戦車を先頭に二つの大砲を備えた戦車が次々に飛び出して来る。

 

 あれが新しい戦車隊の機体でダブル砲台を61式、そしておっきいのは『フェンリル』という。

 

 61式は連邦軍が正式採用した傑作戦車で、二つの砲で150ミリ砲弾を連続や同時に撃てる。

 

 さらに動力もハイパーバッテリーによる電気駆動で、90kmも速度が出せるらしい。

 

 フェンリルはジオン軍が1年戦争で作った『ヒルドルブ』ってモビルタンクを改造した機体だ。

 

 元々はガンタンクみたいに戦車とMSが合わさったみたいな機体だったんだけど、ひーちゃんが『これってMS部分いらないよね』って言ったことから、腕や胴体を全部取っ払って完全な戦車にしちゃったんだ。

  

 けど、そのお陰で砲も30cmから倍の60cmへ強化できたし、各所に小型級や戦車級対策の30mmバルカンもつける事ができた。

 

 装甲も厚みを増した上にフェイズシフトに変更、煙幕発射装置も空中地雷とかロケット砲を撃てるマルチディスチャージャーに改良したのだ。

 

 そんな事もあって名前も『戦の狼』という意味のヒルドルブよりも強そうな『神喰いの狼』という意味のフェンリルへ変えたのである。

 

 さて、そんな鋼鉄の狼達は大地を踏みしめると早速獲物へ牙を突き立てる。

 

『それじゃああいさつ代わりに一匹デカブツを狩るか! APFSDS弾、装填!!』

 

『こちらも装弾筒付翼安定徹甲弾を用意!』

 

『装填完了!』

 

『『てぇっ!!』』

 

 ソンネンのおじちゃんと西住少佐が放つ裂帛の気合と共に、二匹のフェンリルが轟音というべき咆哮を上げる。

 

 そしてその効果は間を置かずに現れた。

 

 海上から姿を見せたばかりの要塞級が二匹、その顔のような部分に大穴が空くと次の瞬間には胴体が粉々に粉砕されたのだ。

 

『第一射命中! イイ感じだぜ』

 

『ハウンド1から各車へ! 砲撃を開始せよ!! 面で攻撃して奴等に頭を上げさせるな!!』

 

 ソンネンのおじさんの歓声のすぐあとで西住少佐の指事が飛ぶ。

 

 それが呼び寄せるのは、ずらりと横並びになった61式が放つ砲弾の雨あられだ。 

 

『さすがは戦車戦のスペシャリストたち、射撃の腕も指揮も素晴らしいですわ』

 

「……ん」

 

『フェンリルおよび61式各車と軍事衛星のデータリンク問題なし。はるかぜやヤマトとも共有しているから、砲撃支援なんかは彼等に任せておけばOKだね』

 

『それは結構。それでは私たちも少しは働くと致しましょう』

 

 そう言うとミウは3ちゃんを前に出す。

 

 地上へ降りた3ちゃんは大きく足を踏ん張り、両腕を腰だめにして胸を張った。

 

 彼の動力源である縮退炉が生み出すエネルギー、それはみぞおちの部分に設置された大きな砲門に集中する。

 

『前方に味方の反応無し。塵芥のように消え去りなさい、ハイメガキャノン発射っ!!』 

 

 ミウの気合と共に超高速で伸びる光の舌。

 

 それが舐め取るのは海からスマトラ島の海岸へと姿を現した哀れなBETA達だ。

 

 50メガワットという超高出力のメガ粒子砲に耐えられるBETAはいなかったみたいで、種別の差なくその悉くが蒸発してしまった。

 

『花道は用意しましたわよ。存分に暴れてきてくださいな』

 

 ミウの言葉に応えたのは、ヤマトの艦載機発進口から飛び出した金色の閃光だった。

 

『よくってよ、ミウ姫様。麿と百士貴の初舞台の幕落としとして申し分ない演出だわ!!』

 

 それは雷蝶夫人が駆る百士貴、それについていくのはお供の人達が乗った黒い烈震だった。

 

『気合を入れなさい、お前たち。私達、豊芦原瑞穂国正規軍の精強さを世の中にたっぷりと知らしめるのよ!!』

 

『『『応!!』』』

 

 全速力で突撃する彼等はあっという間に小さくなる。 

 

 よし、これからが本番だ。

 

 皆怪我無く帰れるように、一人でも多くの人を助けられるように気合を入れよう!!

 

 

 

 

 ミユ達がインドシナ戦線へ介入した頃、豊芦原でも一つの動きがあった。

 

『トットト歩ケ!!』

 

「く……無念」

 

「俺の最高傑作が」

 

「我が欲望、成就ならずか。世の中ままならぬものよ」

 

 無数のソルジャーハロに囲まれて歩く五人の男。

 

 それはコロニー内で逃亡を続けていた変態五人衆だった。

 

 治安維持用のハロ達の執拗な追跡を何度も躱して欲望の限りを尽くしていた彼等も、難民達にその愚行を知らしめられた上で指名手配されては逃げ切るのは不可能だった。

 

 命の恩人、それも年端のいかない女の子に汚らわしい獣欲をむけていたのだ。

 

 それを知った避難民たちは激怒した。

 

 とくに欧米は児童福祉に関して高い認識がある為に、在日米軍やその家族達は蛇蝎の如く男達を嫌う始末だった。

 

 そして帝国臣民はもっと深刻だ。

 

 自分の国からこんな下種が出るなど、まさに末代までの恥である。

 

 ロリコン死すべしを掲げるアメリカ人、そして己が民族の不名誉を雪ぐために修羅とかした帝国臣民。

 

 これによって官民総出の徹底的な人間狩りが行われ、さしもの超人じみた身体能力を持つ変態達もお縄と相成ったのだ。

 

「おい、我々をどこへ連れていくのだ?」

 

 他の四人と同様に両手を背中で拘束され、爆弾付きの首輪をハメられた比留間が先頭を行くハロへ問いかける。

 

 ハロは比留間の問いに答える事無く、通路の突き当りに現れた機械仕掛けの扉を開けた。

 

「……っ!?」

 

「こ……これは!?」

 

 扉の先にあったのは広大な格納庫、しかし五人の変態の目を奪ったのはそれではなかった。

 

 彼等の視線を釘付けにしたのは、そこに並ぶ異様な戦術機だった。

 

 上半身はなく、さりとて下半身は男ならむしゃぶりつきたくなるようなグンバツな生足。

 

 しかし魅惑の脚線美を嘗め回すように見上げると、その先にあるのは男なら戦慄を禁じ得ないモノだ。

 

 なにせ隆々と聳え立っているのは先端が鋭利なドリルとなった穢れたバベルの塔なのだから。

 

『貴様等ハコレカラ懲罰部隊トシテ、地球ノBETA戦線デ戦ッテモラウ。ソシテ、コレガ貴様等ノ乗ル懲罰機体!!』

 

『ドクターウエスト謹製! 量産型簡易ゲッター2改メ、生足ドリルチ●ポロボ・Gデアル!!』

 




ゲッペラー様「ファッ!?」
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