幼女が魔改造されたクマに乗って時獄と天獄を生き抜く話   作:アキ山

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 日間ランキング1位ありがとうございます。

 嬉しさのあまりまたしても筆が進みました。

 これからも剣キチ共々頑張って執筆したいと思います。


幼女のクマさんは少し怪しい

 皆さん、こんにちわ。

 

 クマさんのオーナーな幼女、ミユです。

 

 ネオ・ジオンの遭遇戦から船に帰ってみると、大人たち総出で怒られました。

 

 やはり私一人でザクモドキ達を相手にしたのは拙かったようです。

 

 お説教を受けたあと人気の無い廊下で粗相したパンツを脱いでいると、オードリーお姉さんとバナージお兄さんに会った。

 

 むこうはユニコーンとやらを奪って船を脱走しようとか揉めていたようだけど、クマさんスーツを脱いでパンツを下げた私の半ケツを見て硬直。

 

 幼女特有の羞恥心の無さでテキパキとパンツを脱ぎ去ると、こちらの様子に焦ったオードリーお姉さんは『バナージ、見てはいけません!』と勢い余ってバナージお兄さんに目潰しを敢行した。

 

 『ぬがぁっ!? 目が…目がぁ……っ!』とのたうち回るバナージお兄さんを尻目に、私に淑女の何たるかを説教するオードリーお姉さん。

 

 傍から見たらとてつもなくシュールな光景だったのではなかろうか。

 

 思わぬ悲劇を誘発させてしまったが、その辺は幼女の裸を見た代償という事でバナージお兄さんには納得してもらおう。

 

 話は変わって私の処遇だけど、あの変態仮面に狙われている事やニュータイプである事を鑑みてロンド・ベル隊で保護されることになりました。

 

 考えてみれば戸籍も何もない私は社会的に存在しない人間だ。

 

 ならばこの身に何をしたところで、現場を押さえられなければ罪には問われない。

 

 私の特殊性を考えれば、下手な場所に預けられるとロクでもない未来が待っていること請け合いである。

 

 そう考えたら鶴の一声でこの処遇を決めたブライト艦長には足を向けて眠れない。

 

 今度肩でも叩いてあげよう。

 

 さて、お股もスッキリしたところで私はパイロット達が集まるブリーフィング室に来ている。

 

 理由は先ほど合流したアムロ大尉に用があるからだ。

 

 ヒビキさんを始め色んな人が集まる中をすり抜けた私は、アムロ大尉の袖をクイクイと引っ張った。

 

 幼女ボディの喉は泣くとき以外は大きい声を出せないのですよ。

 

「うん、君は……」

 

「アムロ……おにいさん。きかいいじり、とくい?」

 

 危うく呼び捨てになるところを何とか『お兄さん』を付けて、私は質問を投げかける。

 

 あの時感じたイメージが本当なら、彼はかなり機械に精通しているはずなのだが……

 

「ああ、機械いじりが趣味だからね。それがどうしたんだ?」

 

「……クマさんをみてほしい」

 

「クマさんというのは、君が乗っていたマシンのことか。何故俺に見てほしいのかな?」

 

「……あたらしいきのうがふえた」

 

 そう、今回の戦闘でクマさんの中の何かが溜まったのか、新たな機能が解放されたのだ。

 

 いつも通りの総ひらがなの説明を読んだのだが、背中のリボンを別のパーツに取り換えられる以外よくわからなかった。

 

 そこで餅は餅屋という諺に従って、専門家に見てもらおうというワケだ。

 

 本当ならメカニックさんに診てもらうべきなんだろうけど、ゴッツイ軍人さんに声を掛けるのは幼女にはハードルが高すぎて無理でした。

 

「わかった、行こう」 

 

「……シンにいも」

 

「俺もか?」

 

 驚くシン兄に小さく頷くと私は二人を引き連れて格納庫へ向かった。

 

 何故かタクヤというお兄さんも付いて来たけど、メカニック志望だというし別に構わないだろう。

 

 最初は先頭を歩いていたのに足の長さの差からあっという間に最後尾になってしまった事はさて置き、クマさんの前に着いた私はコクピットの中からクマさんの顔を模ったタブレットを引っ張り出した。

 

 これは外部からの接触を一切遮断するクマさんに唯一アクセスできるメンテナンスキットなのだ。

 

 もちろんこれにも生態認証がされており、私が触らないと電源が入りません。

 

 つーかどれだけ秘密主義なの、このクマさん。

 

 すべり台で降りてきた私はキットの電源を入れると、新機能が書かれた項目を表示してアムロ大尉に手渡した。

 

「これがこのMSの新機能かい?」

 

「……ん。いけん、ちょうだい」

 

 はてさて本職の軍人さんから見て、この機能は使えるのかねぇ?

 

 

 

 

 なんとも可愛らしい意匠のタブレットを手渡されたアムロは、少し戸惑いつつも画面へと目を落とす。

 

 彼自身、あのクマ型MSには強い興味を持っていた。

  

 ネェル・アーガマ隊に合流した時に感じた無垢な心を持つ幼子が乗っていると言うのなら尚更だ。

 

(いい機会だ。この機体の安全性も確かめてやろう)

 

 アムロはミユに感謝していた。

 

 自分を惑わしていた赤い機体がシャア・アズナブルの物でないと確信をくれたからだ。

 

 カミーユも戦闘中は混乱で混同してしまったが、冷静に考えると間違いなく違うと同意してくれた。

 

 というかシャアが全裸で六歳児を狙うような男なら、どんな手を使ってでも叩き潰している。

 

 ロリコンのド変態がライバルなど死んでもゴメンである。

 

 なのでその恩を返すならば、機体をチェックなどお安い御用なのだ。

 

 気持ちを入れ替えてタブレットが表示するデータを読み込んでいく。

 

 情報を見るに新機能とは機体のバックパックを交換する事で、様々な戦況に対応するというモノのようだ。

 

「シン、コレを見てくれ」

 

「これって……シルエットシステムじゃないか!」

  

 データを見せるとシンもまた驚きの声を上げた。

 

 件の新機能は彼が駆っていたかつての愛機、インパルスガンダムに搭載されていたシルエットシステムとよく似ているからだ。

 

「お前もそう思うか。この新機能はインパルスに使われたシステムとよく似ている。───まずはこれだ」

 

「リボンストライカー、これは今装備されているモノですね」

 

「説明では機動力強化を念頭に置いたバックパックで、大推力のスラスターと複数のバーニアスラスターが装備されているそうだ」

 

「インパルスでいう所のフォースシルエットですね。ただ武器は付属されてないみたいですけど」

 

「次はこれだ」

 

「ランドセルストライカー。……なんか気の抜けるデザインですね、これ」

 

「そこは仕方がない。あのクマにデカい大砲を背負わせても似合わないだろう」

 

 溜息を吐くシンに気持ちは分かると苦笑いを浮かべるアムロ。

 

「コイツに装備されてるのは6連ミサイルランチャーとビーム縦笛?」

 

「どうもクマが笛を吹くと先からビームが発射されるらしいな」

 

「また無茶苦茶な……。けどコイツは少し火力の足りないブラストシルエットって感じですね」

 

「最後はチェアーストライカーだ」

 

 アムロが画面をスライドさせると、現れたのは椅子に座ったクマのミニチュアだった。

 

「……なんですか、これ」

 

 予想外に過ぎる代物に顔を引きつらせるシン。

 

 さもありなんと思いながらもアムロは説明を続ける。

 

「ニュータイプ専用の装備で、このコグマがビットモビルスーツになるらしい」

 

「つまりクマ型のドラグーン……じゃなかった、ファンネルって事ですか?」

 

「そうなるな」

 

 追加された3つのシルエットパックモドキに目を通したシンは深々とため息を吐いた。

 

 リボンはともかく後の二つは初心者のミユに荷が勝ちすぎる。

 

 まずランドセルの方は火力が微妙なので機動性を犠牲にしてまで換装するには旨味が足りない。

 

 クマに射撃武器が搭載されていないなら標準装備にしてもいいかもしれないが、そもそもシンには妹分に兵器を撃たせる気などサラサラ無い。

 

 チェアーの方も不安は残る。

 

 ニュータイプであるミユならビットモビルスーツを使う事はできるだろうが、クマの操縦も儘ならない現状では足かせにしかならないだろう。

 

「リボンのままでいいと思いますよ。あとの二つはミユにはまだ早い」

 

「そうだな。彼女がコイツに乗るときは戦いじゃなく、敵から逃走する時だ」

 

 ミユへの説明をシンに任せたアムロは、彼女に気取られないようにタブレットを操作する。

 

 画面へ導き出すのは付属物ではなくクマそのものの詳細だ。   

 

「───なんだこれは」 

 

 何度か画面をフリックする事で現れたデータにアムロは戦慄した。

 

型式番号 KUMA-03G

 

全高  26.0m

 

重量  30.0t

 

主動力  エイハブリアクター×2

     プラズマ圧縮炉

 

装甲材質 ガンダニュウム合金 ナノ・ラミネートスキン複合材

 

フレーム ガンダニュウム合金製フルサイコフレーム

 

ジェネレーター出力 31,650kw

 

スラスター総推力 174,000kg

 

武装

 

高出力ビームソード

 

腕部ビーム発射口から形成されるビーム刃

出力1.00メガワット~10メガワットまで調整可能

 

口部メガ粒子砲

 

口部内発射装置から射出される高出力ビーム砲

出力50メガワット~250メガワットまで調整可能

 

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 はっきり言ってスペックがデタラメ過ぎる。

 

 ここまで高出力のジェネレーターや武装を積んだモビルスーツをアムロは聞いたことがなかった。

 

 コロニーレーザー並の粒子砲など、サイコガンダムが可愛く見えるレベルである。

 

 そんな一撃で艦隊やコロニーを破壊できる代物を幼児が所有している。

 

 どう考えても正気の沙汰ではない。 

 

「この機体は危険すぎる。ミユのような子供を乗せるなどもっての外だ。しかしこの文字化けした部分はなんだ?」

 

 何か手掛かりは無いかと画面をスクロールさせようとした時、アムロは自分に向けられた視線を感じた。

 

 タブレットから顔を上げれば、無人のハズのクマが赤い瞳でこちらを見下ろしているではないか。

 

「なっ!?」

 

 驚きで思わず声を上げようとしたアムロだが、それよりも先に合わせた視線から強烈なイメージが送り込まれた。

 

 脳裏に浮かぶのは赤黒く燃える宇宙

 

『我等は可能性の種子を護る為───』 

 

 その中心にあるのは引き裂かれ地に伏した天使を思わせる純白の機体と、引き千切った羽を手にそれを踏みつける血に塗れた影。 

 

『あまねく世界の全てを束ね────』

 

 双眸から放つ毒々しい深紅の光を放つその影は、禍々しく歪められたもののアムロが良く知る顔だった。

 

「ガンダムだと!?」

 

『いつの日か、殺戮の天使を討ち果たさん───』 

 

 羽を握りつぶし宇宙の天元へと上げるガンダムタイプの咆哮を最後にイメージは終わりを迎えた。

 

 全身に嫌な汗を掻きながら、深く息を吐くアムロ。 

 

「俺は…いったいなにを……」 

 

「……だいじょうぶ?」

 

 鈴を転がすような声に視線を下げれば、ミユが心配そうにこちらを見上げている。

 

 アムロは不安げな表情を浮かべる幼子の頭を撫でながら、安心させるために笑みを浮かべる。

 

「大丈夫だよ。あと機体の方も()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 そう言いながらタブレットを幼女へと返すアムロ。

 

 何の憂いを感じた様子もなくロンド・ベルのトップエースが格納庫を後にすると、クマの目に宿った赤い光もその姿を消した。

 

 

 

 どうも、新機能が使えないと言われて地味にへこんでいるミユです

 

 私はブライト艦長の船であるラー・カイラムに乗ってL3コロニー群宙域にあるX18999コロニーというところに来ている。

 

 予定ではここでコロニー軍と地球軍の合同演習が行われるはずだったのだけど、私達が着いた頃には何故かコロニー対地球に分かれてガチ戦闘の真っ最中だった。

 

 間に挟まれた演習の責任者である『幸せのマネキン』さんが頑張って止めようとしているけど、両者ともに聞く耳を持たずに現場はしっちゃかめっちゃか。

 

 こうなったら双方無力化させて止めるしかないという事で、マネキンさんに加えてプリベンター・ライトニングと名乗る青いロボットの人と共にシン兄たちも参戦してエライ事になっている。

 

 ちなみに私はというと、今回はお留守番を命じられてしまった。

 

 というか、前回も前々回も巻き込まれただけで別に戦おうと思っていたわけではないので大歓迎なんだが。

 

 あとバナージお兄さんが真っ白いロボットに乗って戦いに出ていた。 

 

 なんでもアレを作った会社のアルバイトになったんだって。

 

 学生なのにデータ取りで戦いに出なきゃならないなんて大変だなぁ。

 

 そういえばヒビキさんやヒイロさん達の姿が見えないけれど、何処へ行ったのだろうか?

 

 ヒビキさんはともかく、ヒイロさんとはほとんど話をしていない。

 

 ムッツリしてて人当たりがきつそうだけど、あの人ってば本当は優しいって直感が言ってるんだよねぇ。

 

 まあ私じゃあるまいし、迷子になってるなんてことはないだろう。

 

 ここはどっしり構えて帰ってくるのを待とうじゃないか。

 

 そんな事を考えている内にヒャッハーになった軍人さんはシン兄達に鎮圧されました。

 

「君は演習の現場責任者であるパトリック・マネキン中尉だな。知る限りの状況を話してくれ」

 

 ブライト艦長の問いかけにマネキンさんが事情を話し始める。

 

『自分にも理解できないんです……』

 

「ふむ」

 

『たしかにアイツ等は腹の中ではいがみ合っていたと思います。ですが、軍人の責務までは忘れちゃいませんでした。感情は感情、責務は責務でちゃんと割り切って演習を熟す筈だったのに……』

 

 無念そうに言葉を切るマネキンさんにブライト艦長は顎に手を当てて考えている。

 

「他のケースと同じですね」

 

「つまり手掛かりは無しという事か」 

 

 副長のメランというおじさんの言葉に重いため息を吐くブライト艦長。

 

 どうやら兵隊さん達が羽目を外した原因を探っているようだ。

 

 艦長から感じる焦りや落胆の感情もかなりのものだし、ここは幼女が一肌脱ぐとしましょう。

 

 実はコロニーの近くに来てから直感センサーが妙な声を感じてたんだよね。

 

 あれは嫉妬……なのかな?

 

 なんか物凄くドロドロとした感情が籠った、まるで呪いみたいな『いがみ合え』という言葉。

 

 私達が来た時はかなり薄くなってたソレが辺り一面に漂ってたんだよ。

 

 多分これが原因だと思うんだけどさ、問題はそれをどう伝えるかなんだよねぇ。

 

 幼女変換されたらまた誤解されそうだし……

 

 ここはさっきみたいにイメージを伝えるのがベターかな?

 

「……かんちょ」

 

「どうした、ミユ」

 

 艦長席に近づいて裾を引っ張るとブライト艦長はこっちを見てくれた。

 

「……これのせい」

 

 相変わらず圧倒的な言葉足らず!? しかしこれを埋める方法はすでに習得済みよ!

 

 というワケで唸れ、私のニュータイプパワー!! 

 

「呪い……だと? こんな非科学的なモノが騒乱の原因だと言うのか!?」

 

「……ん」

 

 上手く伝わったみたいだけど、ブライト艦長はイマイチ信じられないみたい。

 

 まあ、普通に考えれば当然か。

 

 となれば、もう少し具体的な手がかりが必要だ。

 

 この残留思念って負の感情てんこ盛りだから本当はあまり探りたくないんだけど、ここは恩返しの為にも頑張るとしましょう。

 

 目を閉じて生臭い……? これは酒臭いか。

 

 ともかく嫌な臭いのする泥みたいな念を掻き分けていくと、ぼんやりとした輪郭でしか無いけど感情の持ち主の姿が浮かんでくる。

 

 伝わるイメージは───

 

「……ヒビキさんににてる…おじさん…よっぱらい…だめにんげん…ふたござ…まけいぬ」

 

 私に追えるイメージはここまでだった。

 

 集中を解いて息を吐くと、全身から汗がどっと流れ出てくる。

 

「大丈夫かね?」   

 

 よろめいてしまった私をメランのおじさんが支えてくれた。

 

 このまま倒れたら後頭部からゴンッと行ってたので感謝です。

 

「今のが犯人の特徴なんだな?」

 

 真剣な顔で問いかけるブライト艦長に私はしっかりと頷いて見せる。

 

「よくやった、ありがとう」 

 

 ブライト艦長からねぎらいのセリフを受けて少しは恩返しできたとホッとしていると、計器を見ていたクルーのお兄さんが鋭い声を上げた。

 

「コロニーから熱源反応多数! これは……モビルスーツです!!」

 

 報告に顔を上げると、コロニーから次々とロボットが飛び出してくるのが見えた。

 

 手に大きなガトリングガンを付けて四角い目をしたゴツいロボット。

 

 一見するとクマさんより強そうだ。

 

『聞こえますか、ロンド・ベルのみなさん』

 

「司令、シャトルからの通信です!」

 

「この声…まだ子供だぞ……」

 

 スピーカーから聞こえる私より少し年上っぽい子供の声に戸惑うブライト艦長。

 

 けど、この声から感じるのは凄く空っぽなイメージだ。

 

 というか、このニュータイプパワーってどうなってるの?

 

 使えば使うほど色んなものを読み取っちゃうんだけど……

 

 そんな事を考えている間も向こうの子供は色々と喋っていたみたい。

 

 けど残念な事に何を言ってるかほとんど理解できないや。

 

 子供の名前がマリーメイアだって聞き取るのが精いっぱいでした。

 

『地球連邦に対して宣戦布告をいたします』

 

 …………なんですと?  




KUMA『ベアッガイⅢが刻む! 偽りの記憶を!!』(若本ヴォイス)

アムロさん『やめろぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?』
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