幼女が魔改造されたクマに乗って時獄と天獄を生き抜く話   作:アキ山

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 クマさんヤベェコールが響いてますが、幼女が生きているのはスパロボという修羅地獄です。

 この程度の能力では、まだまだ下から数えた方が早い強さですよ。

 今のクマさんだと酔っ払いとタイマン張ったらボロ負けしますし。

 それを思えば生存戦略でUGセルを使うのなんて軽い軽い!

 


幼女、地球で兄の仲間に出会う

 どうも、今生で初めて地球の大地を踏んだミユです。

 

 マリーメイア軍の動乱が一段落した後、私は約束通りにブライト艦長からお説教を受けた。

 

 艦長の意見を要約すると、『君の想いは理解できるが、やはり子供が戦場に出るべきではない』というモノだ。

 

 むこうは私の身体は勿論のこと、心も心配してくれていた。

 

 殺し殺されるという戦場は未成熟な子供の心には荷が重すぎる代物だ。

 

 ましてや私は他人の想いを敏感に察知してしまうニュータイプ。

 

 不要な感情をシャットアウトする術は手に入れたけど、至近距離から強烈な思念を浴びせられたらどうなるかわからない。

 

 実際にアムロ大尉やカミーユさんも戦場で死者の念に引きずられかけた事があるらしく、そういった面でも私の事が心配だったのだろう。

 

 ううむ……自分の浅慮には恥じ入るばかりである。

 

 でも、ちゃんと『ごめんなさい』したから許してね?

 

 でもって、お説教が終わった後でブライト艦長たちとネェル・アーガマ隊が別れる事を知った私は、恩返しの為に艦長の肩たたきをしてあげた。

 

 ブライト艦長って何と言うか『お父さん』って感じなんだよねぇ。

 

 責任を色々と背負ってるしリーダーシップがあって頼れる。

 

 何よりあの父性の強さは半端ないと思う。

 

 私も肩たたきの時に『きもちいい、パパ?』なんて口を滑らせちゃったし。

 

 艦長も『ウチの子になるか?』というイケメンな返しをしてきたから、答えに困っちゃったじゃないか。

 

 ブリッジのみんなも凄く生温かい視線を向けてくるので、メッチャ恥ずかしかった。

 

 というかですね、こんな幼女に構うよりも艦長はハサウェイさんを気に掛けるべきだと思う。

 

 あのお兄さんって、恋愛関係をこじらせたあげく破滅に垂直落下するイメージがあるよ。

 

 まあ、失礼だから口には出さなかったけどさ。

 

 あと、マリーメイアが傀儡じゃないかって感じた事は艦長たちに話しておきました。

 

 これに関しては新しく仲間になったゼクスっていうイケメンのお兄さんが、マリーメイアを操っているのは『デキム・バートン』っていうお爺さんの可能性が高いって情報をくれた。

 

 なんでもデキムはADWでコロニーが企てた地球反抗の主導者の一人なんだって。

 

 あのお爺さんは最初はコロニーを地球に落して、連邦政府が混乱している内に軍隊で制圧しようと考えていたらしい。

 

 だけど、それだとあまりに被害が大きすぎるっていう事で、ヒイロさんを始めとする5機のガンダムで攻め込む事になったとか。

 

 素人考えで悪いんだけど、どっちも正気の沙汰じゃないと思うのは私だけだろうか?

 

 コロニー落としはもちろん論外だけど、かといって5機のロボットで世界を相手にするのは無謀に過ぎると思う。

 

 そんな事を考えてるとデュオお兄さんから『ガンダム4機と戦艦一つで戦争根絶の為に世界に喧嘩を売ったテロリストがいる』って言われた。

 

 なんで私の頭の中が分かったのかと聞けば、知らない間にイメージが漏れていたらしい。

 

 やはり私はニュータイプとして、まだまだ修行が足りないようだ。

 

 これからも精進せねば!

 

 あと五飛さんから感じたADWの兵隊さん達の悲哀と、彼が報われない兵隊さん達の為に戦っていることも言っておいたよ。

 

 それを聞いた時、ゼクスさんはもの凄く複雑そうな顔をしていた。

 

 彼の傍にいたノインってお姉さんの話だと、兵隊さん達のリストラを決めた一人であるリリーナ・ドーリアンはゼクスさんの妹なんだって。

 

 妹さんがやった事が巡り巡ってこんな事件を起こったんだから、色々と思うところがあるんだろうなぁ。

 

 ヒイロさんは『それでも奴は止めねばならない』って言ってたけど、彼の方にもかなり迷いがあるみたいに見えた。

 

 もしかしたら、この事は教えない方が良かったのかもしれない。

 

 ちょっとモヤモヤを残した感じで会議は終了し、私はネェル・アーガマに乗り換えて地球の日本へと降りたワケだ。

 

 というか、この世界は『日本』と『新日本』っていう二つの日本列島があるんだねぇ。

 

 最初に『新日本』って聞いた時は何かの団体か会社かと思っちゃった。

 

 さて日本にあるクラッシャー隊本部という場所に着いた私達は、地上で戦っていたシン兄の仲間と合流する事になった。

 

 そんなワケで現在私は集合場所であるマクロス・クォーターって船の格納庫にいる。

 

 格納庫に居並ぶ色々なロボットは圧巻の一言。

 

 でも、これだけあるにも拘わらずガンダム以外に私の知ってるロボットはない。

 

 当たり前と言えば当たり前なんだけど少し寂しく感じてしまう。

 

 そんな事を考えながらフラフラと歩いていると、見覚えのあるロボットに遭遇した。

 

 そう、元祖スーパーロボット『マジンガーZ』である。

 

 ロケットパーンチって腕が飛ぶくらいしか知らないけど、他のロボットみたいに知識ZEROよりは全然マシだと思う。

 

「……おお」

 

 下から見上げるとなんというかすっごくゴツい。

 

 私が知るマジンガーはもう少し寸胴だったような気がするんだけど、もしかして新型なのかな?

 

 そんな事を考えながら見上げていると、何故かマジンガーもこちらを見ている気がした。

 

「……かみさま」 

 

 我知らずこんな言葉が口をついて出る。

 

 そのくらいにマジンガーは機械なのにどこか神々しく、どこか禍々しいのだ。

 

 ボーッとマジンガーを見上げていると、誰かが後ろから頭の上にポンと手を置いた。

 

 振り返るとワイルドな髪形をした男前のお兄さんが笑顔で私の頭を撫でている。

 

「お嬢ちゃん、マジンガーに興味があるのかい?」

 

「……だれ?」

 

「俺は兜甲児。マジンガーZのパイロットだ」

 

 おお、この人がマジンガーのパイロットなのか。

 

「……ミユ」

 

「ミユちゃんか。君はマジンガーが気に入ったのかな」

 

「……かみさま」 

 

 甲児さんの問いかけにもう一度口を付く神様という言葉。

 

 それを聞いた甲児さんは少し驚いた表情を浮かべた。

 

「そうだな。マジンガーは光の神ゼウスから光子力エネルギーを受け継ぐロボットだ。そういう意味なら神様って言えるかもしれない」

 

 そう笑う甲児さんだけど、その顔から感じたのは寂しさと不安だった。

 

 もしかしてマジンガーの調子が悪いのだろうかと再び視線を向けると、何故か黒鉄の巨体は先ほどよりも迫力が増したような気がした。

 

「……だいじょうぶ。かみさまはげんきになるよ」

 

「そうか……そうだな。ありがとう、ミユちゃん」

 

 私の言葉に先ほどとは違う憂いを感じさせない笑みを浮かべる甲児さん。

 

「ミユー! 合流した人たちに紹介するからこっちに来てくれーー!」

 

「……ん」 

 

 シン兄の呼ぶ声に、私は甲児さんを置いてマジンガーを後にした。

 

◆ 

 

 さてシン兄の仲間との顔合わせをしたのだけど、その人数はそうとうに多かった。

 

 みんな私みたいな幼女がここにいる事に疑問を持ってたみたいだけど、私は次元漂流者で身内がいないことやニュータイプ能力の事をシン兄から聞いたら納得してくれた。

 

 そんなワケで挨拶が始まったのだが、これがまた随分と時間が掛かった。

 

 まずは明神タケルさんとコスモクラッシャー隊。

 

 ゴッドマーズというロボットのパイロットであるタケルさんと挨拶した時は本当に焦った。

 

「俺はゴッドマーズのパイロットをしている明神タケルっていうんだ。よろしく」

 

「……よろしく、マーズ」

 

 こんな具合に久々の幼女変換が炸裂して彼を謎の名前で呼んでしまったのだ。

 

 黒髪爽やか系のイケメンさんなのに、めっちゃビックリさせてしまったじゃないか。

 

 あとで聞いたらそっちも彼の名前だそうなので、間違えてなかった事にホッと胸を撫で下ろした。

 

 この手のミスは子供でもアウトなので本当に止めてほしい。

 

 一緒に挨拶したコスモクラッシャー隊も隊長の飛鳥ケンジさんをはじめ、皆いい人のようだ。

 

 何かあった時には是非とも頼りにさせてもらおう。

 

 二番手は相良宗介さんにメリッサ・マオさん、そしてクルツ・ウェーバーさん。

 

 三人は『ミスリル』という組織に属する傭兵さんらしい。

 

 マオ姐さんとクルツさんは明るいお兄さんとお姉さんだったんだけど、宗介さんはなんというか『軍人さん』って感じだった。

 

 自己紹介の時も『自分は相良宗介軍曹だ。よろしく頼む』っていわれたので、思わずシン兄に「……ミユ、かいきゅうある?」とアホな質問を投げかけてしまった。

 

 ちなみに私の階級は『扶養家族』だそうな。

 

 三番手はマクロス・クォーターの持ち主であるS.M.Sって民間軍事会社の面々。

 

 スカル小隊隊長のオズマ・リーさんにカナリア・ベルシュタインさん。

 

 そして早乙女アルトさんにミハエル・ブランさん、ルカ・アンジェローニさん。

 

 あとはピクシー小隊の隊長をしているクラン・クランさんだ。

 

 なんとオズマさんとカナリアさんを除く4人は学生で、クランさんにいたってはメルトランディという宇宙人の末裔らしい。

 

「戦闘に出る時、私は大きくなるんだぞ!」

 

「……ミユもおっきくなれる?」 

 

「はっはっはっ! さすがにそれは無理だな」

 

 クランさん曰くメルトランディは巨人族なのだが、それだと人間社会では不都合なのでサイズを合わせているらしい。

 

 機械で大きくなると聞いたので脱幼女のチャンスかと思ったのに……無念。

 

 あとオズマさんが妙に子供の相手に慣れていたので、子供がいるのかと尋ねたところ『子供はまだいないが妹はいるぞ』と笑われた。

 

 妹さんは有名な歌手らしいので機会があったら会ってみたいものだ。

 

 四番手はエヴァンゲリオンという人造人間に乗るお兄さんとお姉さん。

 

 葛城ミサトさんという20代のお姉さんが指揮官で、パイロットの碇シンジさんと綾波レイさんは中学生なんだってさ。

 

 ミサトさんはちょっとノリが軽いけど明るいお姉さんで、シンジさんは大人しめの優しい男の子。

 

 レイさんは寡黙な不思議ちゃん系って感じだ。

 

 それとシンジさんと握手した時に『ここは自分がいていい場所なのか? 自分を必要としてくれるのか?』という感じの不安を感じた。

 

 表に出さないようにかなり無理してるみたいだけど、それが却ってシンジさんを苦しめてるみたい。

 

 あとでメンタルケアをしてもらえるように誰かに言っておこうと思う。

 

 最後にレイさんなんだけど……あの人は多分人間じゃない。

 

 じゃあ何なのかと聞かれたら困るけど、少なくとも人間じゃない何かが混じってるのは確かだと思う。

 

 まあ、生まれが真っ当じゃないのは私も一緒だから気にはしないんだけどね。

 

 五番手はキリコ・キュービィさんにル・シャッコさん。

 

 二人共寡黙な性格みたいで

 

「……キリコだ」

 

「ル・シャッコだ」

 

「……ミユ」

 

 自己紹介はこれで終わってしまった。

 

 私は二人とは初対面だし、キリコさん達も戦場暮らしが長いので子供と接する事が殆どなかったらしい。

 

 双方共に何をしゃべっていいのか分からないのでは会話が続くわけがないよね。 

 

 六番手は流竜馬さんと弓さやかさん、あとボスさんと子分のムチャさんとヌケさん。

 

 竜馬さんはブラックゲッターのパイロット。

 

 さやかさんはビューナスA、ボスさんはボスボロットのパイロットなんだって。

 

 さやかさんとボスさん達は甲児さんのパートナーらしくて、彼がいない事を謝ってきた。

 

 なのでマジンガーの前で顔合わせを済ませた事を伝えると安心してくれた。

 

 竜馬さんは顔が怖かったけど、私の頭をわしわし撫でながら『わざわざこんな所に来なくていいだろ。安全なところで普通に暮らせ』って言ってくれた。

 

 撫で方はちょっと乱暴だったけど本当は優しい人なんだと思う。

 

 ところでボスさん達の本当の名前ってなんていうんだろう?

 

 いくら念じても読み取れなかったんだけど……

 

 七番目はダンクーガってロボットを操縦する飛鷹葵さん、館華くららさん、加門朔哉さん、ジョニー・バーネットさん、エイーダ・ロッサさん5人の『チームD』

 

 悪い人ではないんだけど、私はちょっぴりこの人たちが苦手かもしれない。

 

 なんというか、向き合っていると野生の獣に牙を剥かれているような感じがして落ち着かないのだ。

 

 握手の時に思いっきり腰が引けてしまったので、仕方なく白状するとみんなは目を丸くしていた。

 

「へぇ。アンタ、私達の中にある野生を感じ取ったんだ」

 

 なんて葵さんは笑ったけど、そういう雰囲気が怖いんだってば!!

 

 こうなったらとクマさん直伝の両手を上げて自分を大きく見せる威嚇のポーズで対抗したら、くららさんやエイーダさんに抱っこされまくってしまった。

 

 ───解せぬ。 

 

 八番目は21世紀警備保障のみなさん。

 

 彼等は『ダイ・ガード』というロボットを使ってお仕事をしているそうで、此処にいるのはクラッシャー隊に協力する依頼を受けたからだそうな。

 

 赤木駿介さん、桃井いぶきさん、青山圭一郎さんがパイロットで、他の人達は後方担当なんだって。

 

 赤木さんは待っている間にマリーメイア軍と戦った時の私のやらかしを聞いていた様で

 

「戦場に出た事はダメだけど、みんなの『いつも』を守りたいって思いは間違ってない。その心を大事にしてくれよな!」と頭を撫でられた。

 

 あの時の行動は独りよがりだったかもって思いが心の隅にあったから、こうして褒めてもらえるのは素直に嬉しい。

 

 その後は広報二課の皆さんから『可愛い可愛い』と頭を撫でられまくった。

 

 構ってくれるのは嬉しいけど、正直禿げるかと思った。

 

 九番目は竹尾ゼネラルカンパニーのみんなと金田正太郎君。

 

 ワッ太君はトライダーG7のパイロットをしながら竹尾ゼネラルカンパニーの社長をこなし、正太郎君は鉄人28号の操縦者にしてICPOの特別捜査官だという。

 

 なんというスーパー小学生達だろうか。

 

 正直、自分のニュータイプ能力なんてショボく感じてしまう。

 

「一人っきりでこの世界に流されたなんて、サチ子より小さいのに大変だな。困った事があるなら何でも言ってくれよ」

 

「うん、僕達に出来る事があるなら何でもするからね」

 

「……ん」

 

 ワッ太君達からは何だか知らないがもの凄く心配されてしまった。

 

 いや、シン兄がいるから天涯孤独ってワケじゃないんだよ?

 

 血縁上はちゃんと兄妹だしさ。

 

 あと、竹尾ゼネラルカンパニーの経理主任をやってる砂原郁絵さんが手作りドーナツをくれました。

 

 普通に美味しかったです。

 

 そして最後に顔合わせをしたのは、緑の髪が神秘的なC.C.お姉さん。

 

 自己紹介をした時に『お前もずいぶんと難儀なモノを背負っているな』とこっちを見透かしたようなことを言われた。

 

 その所為なのか、私も少し口を滑らせてしまった。

 

 彼女から読み取ったイメージの中に中世や近代のヨーロッパを生きている風景や、自分は何百年も生きているという本人の証言が読み取ってしまった事から『……しーつーおばあちゃん』と呼んでしまったのだ。

 

 その結果、『誰がお婆ちゃんだ?』とほっぺたをむにむに引っ張られてしまった。

 

 まったくなんて酷い事をするんだ。

 

 いつかきっと仕返ししてやるんだから、あのピザ女!

 

◆ 

 

 波乱の自己紹介の翌日、ネェル・アーガマの格納庫で私はクマさんに乗ってシミュレーター訓練をしていた。

 

 これは戦闘に参加する為ではなく、ネェル・アーガマにもしもの事があった時にちゃんと逃げられるようにする為だ。

 

 毎日一時間は訓練するようにシン兄やアムロ大尉から言われているので、こうして幼女はしっかりと頑張っている。

 

 二日前まではあっちへフラフラ、停止位置を間違って宇宙に浮かぶ岩を頭突きで砕いたりと散々だったのだが、今日の画面に浮かぶクマさんは見違えるような動きを見せている。

 

 考えただけでここまでスムーズに動かせるなんて、本当にクマスーツの尾っぽに付いたケーブルは有能だ。

 

 こうして一時間の訓練を終えて額の汗を拭っていると、ネェル・アーガマが移動を開始した。

 

『第二新東京市郊外に所属不明機多数出現。現在はジェニオン単機で迎撃に当たっている模様。本艦はマクロス・クォーターと共に現場へと急行中』

 

 そんな事が起こっていたのか。

 

 ヒビキさん一人で敵と戦っていると聞いた時は加勢に行こうかと思ったが、私はこの日本の地理がまったく分からない。

 

 焦って飛び出しても迷子になった挙句、みんなへ迷惑を掛けるのがオチだろう。

 

 前の無茶もあるからとクマさんを降りようとしたところ、私の直感センサーが覚えのある感覚を捉えた。

 

 この鼻に付くすえた匂いとドロリとした感情……『いがみ合え』の呪いを使うダメ人間が近くにいる!

 

 私は頭の中でオットー艦長を思い浮かべると、こちらの思考を読み取ったクマさんがすぐにブリッジへ通信を繋げてくれた。

 

『何事だ? 今はスクランブル中だから構ってやる時間は無いぞ』

 

「……『いがみあえ』のはんにん、ちかくにいる」

 

『なんだとッ!?』

   

 ブライト艦長に連絡を受けていたのだろう。

 

 私の言葉にオットー艦長は艦長席を立ちあがるほど驚いていた。

 

「……ミユもクマさんでさがす」

 

『馬鹿を言うな! お前が出なくても他の者が探せば───』

 

「……はんにんをいちばんかんじとれるのはミユ。ほかのみんながいるならだいじょうぶ」

 

 オットー艦長の制止を半ばで断ち切って、私はカタパルトデッキに乗った。

 

 何度も勝手な行動をして悪いとは思う。

 

 けれど犯人を捕まえる事ができたら、世界のあちこちで起こっている不可解な揉め事も治まるかもしれない。

 

 そうして宇宙と地球の軋轢が解消されれば、シン兄やブライトさん達も危ない目に遭わずに済む。

 

「……いってきます」

 

 手動でカタパルトを動かした私は、その勢いのまま外へと飛び出した。

  


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