幼女が魔改造されたクマに乗って時獄と天獄を生き抜く話   作:アキ山

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【急募】幼女を悪い魔神から守る方法

クマさん『たいへんだ、ボクのご主人様が悪い魔神に目を付けられちゃった! なんとかして魔神をやっつける方法を教えてほしいんだ!!』

このクマさんを信じますか?

Yes

No 


幼女、お兄さんを励ます

 どうも、初のパイルダーオン(される側)を味わったミユです。

 

 前回の戦いのあと、地球へ降下している間に割と色々な事があった。

 

 まずはグレンラガンのパイロットであるシモンさんとヴィラルさんと顔合わせをしたこと。

 

 シモンさんは『こんな小っちゃいのにオックスを放さなかったのか。やるな、お前』と頭を撫でてくれた。

 

 シモンさんってもの凄く頼りがいを感じる人で、シン兄が『お兄ちゃん』ならシモンさんは『兄貴』って感じだ。

 

 そんな事を考えていると幼女ボディが勝手に『……あにき』と漏らしてしまい、『アニキか、悪くねぇな!』とまたワシワシと頭を撫でられることに。

 

 そんなワケでシモンさんの事はこれから『シモンのアニキ』と呼ぶようになってしまった。

 

 シン兄がイジケないか心配である。

 

 次にヴィラルさんだけど、獣人という種族だそうでとっても野性味を感じる人だった。

 

 そして何より驚いたのは、私の「いかく」をちゃんと認識してくれたのだ。

 

 『そんな小さいナリで一人前のつもりか?』とニヤリと笑われた時はギザギザの歯がとっても怖かったけど、いかくが通じたのは少しうれしかった。 

 

 あと、シモンさんの後輩でスペースガンマールのパイロットをしているギミーお兄さんとダリーお姉さんにも会った。

 

 私の歳で戦場に出ている事に驚いていた二人だけど、お兄さんお姉さん呼びをすると凄く喜んでくれた。

 

 なんでもシモンさんが率いる大グレン団では彼等は最年少だったらしく、こういう風に呼ばれた事は無かったんだって。

 

 とりあえず喜んでくれるならこの呼び方を続けてもいいけど、ダリーお姉さんは私の事をぬいぐるみ扱いしないようにお願いしたい。

 

 格納庫での新規メンバーとの顔合わせが済めば、次に待っていたのはクォーターのブリッジスタッフによる無断出撃に関する追及である。

 

 といっても、今回は私も気付けばクマさんの中という状況だった。

 

 なので聞かれても何が起こったのかなど答える事は出来ませぬ。

 

 というか、事情が分かるのならこっちが聞きたいくらいである。

 

 しかしジェフリー艦長から聞いたブリッジを出る際の私の態度は明らかにおかしい。

 

 そのうえキャシーさんにもケガをさせる所だったというし、これは知らぬ存ぜぬで済ませられるほど軽い問題ではない。

 

 独立部隊兼地球の守護者という『Z-BLUE』の立ち位置を思えば、多くの地球の敵と戦う事になるのは明白だ。

 

 なのに強大な敵が出る度に、私がアッパッパーになって外に飛び出しては迷惑な事このうえない。

 

 せっかく置いてくれているのだから、皆の足を引っ張らないよう努力する必要があるだろう。

 

 そう考えてニュータイプの大先輩であるアムロ大尉に相談したところ、『相手の思念に呑まれないように、気をしっかり持てばいい』とアドバイスを貰った。

 

 要するに気合と根性でどうにかしろと言うことですね、わかります。

 

 そんなワケでその日は眠くなるまで竜馬さんとにらめっこをして気力を鍛えてみた。

 

 最初は泣きそうになるくらい怖かったけど、最後にはジッと竜馬さんの顔を見れるようになった。

 

 あの強面相手に踏ん張れるようになったのなら、きっと私の肝も大きくなったことだろう。 

 

 身体が無意識にいかくのポーズを取っていたのはご愛嬌という事で。

 

 あとその様子を見ていた人たちから『幼女と野獣』だの『ゲッター線に汚染される』だの『ミユちゃんを食べちゃダメ』なんてヤジが飛んでいたけれど、竜馬さんは面倒見のいい優しい人なのでそういう事は言わないでいただきたい。

 

 本人も陰でヘコんでたんだからな!

 

 さて、昨日までに起こった出来事は以上である。

 

 次に今朝に起こった珍妙な出来事について語ろうと思う。

 

 本日、目を覚ますと目の前にちっちゃいパイルダーがいた。

 

 なに、意味が分からない?

 

 大丈夫、私も最初は分からなかったから。

 

 パイルダーの大きさはだいたいマグカップくらいで、そんな身体でも立派に左右のホバーで空を飛んでいたのだ。

 

 最初はマジンガー繋がりから甲児お兄さんのモノかと思っていたのだが、チビパイルダーがホバーを畳んで私の頭にチョコンと乗っかった時に違うと判明した。

 

 そう、パイルダーが発していた気配はマジンガーの中に鎮座まします『かみさま』のモノだったのだ。

 

 感じる思念からするとこの子は『かみさま』の使いで、いつの間にやら信者扱いされている私のお守り役として派遣されたらしい。

 

 信者うんぬんは置いとくとして、この幼女ボディになってから今までのトラブルを思えば加護の一つくらいは必要かと思う。

 

 私が受けることで『Z-BLUE』全体に御利益が行き届けば一石二鳥だ。

 

 ちなみに頭にチビパイルダーを乗せた私を見たシン兄は『パイルダーオンされちゃったな』と笑ってた。

 

 聞き慣れない言葉に首を傾げると、マジンガーの頭にパイルダーが乗る状態をそう言うのだと教えてくれた。

 

 シン兄はチビの事をオモチャだと思っているらしく、重くないかと心配までしてくれた。

 

 全然重くはないし安定感もあるので私的には帽子か髪飾り感覚だったりする。

 

 そんな朝の出来事が終わり、私は今ドラゴンズハイヴの格納庫を歩いている。

 

 クォーターからこっちに来たのは先日の宇宙魔王の思念の影響が残ってないか、心理カウンセラーのルウさんに確かめてもらうためだ。

 

 結果はトラウマも精神制御の痕跡もなく健康そのもの。

 

 付き添ってくれた、さやかお姉さんは心底ホッてしていた。

 

 いやはや、心配かけてすみませぬ。

 

 さやかお姉さんと別れた私がここへ来たのは『かみさま』へチビパイルダーのお礼を言う為だ。

 

 命を救ってくれたのに加えてお守りまで付けてくれるとは、本当に頭が上がらない。

 

「……あお、なかよくしないとメ」

 

 そんな事を考えながらも、私はさっきから周りをクルクルと回っている青カブトを抱っこして、彼に言い聞かせる。

 

 いったい何が気に入らないのか知らないが、この子は私の頭からチビを落とそうとするのだ。

 

 双方とも私の事を守ってくれるんだから、仲良くしてくれるとありがたいんだけどなぁ。

 

 小さくため息を吐きながら通路をチョコチョコ進んでいると、赤木さん達ダイガードチームにヒビキさんと甲児お兄さん、あとアクエリオン組のカイエンさんとアンディさんがたむろしていた。

 

 何の話をしてるんだろうと思っていると不意に頭が軽くなった。

 

 見れば私の頭から舞い上がったチビがホバー音も高らかに、甲児お兄さんの後頭部へ突っ込んでしまったではないか。

 

「いってぇっ!?」

 

 ガンッと痛そうな音が格納庫に響くと同時に頭を押さえて蹲る甲児お兄さん。

 

 そして、彼の様子とは裏腹に悠々と私の頭上を旋回するチビ。

 

 言うまでもなく私の頭の中は完全にパニックである。

 

「ミユちゃん!?」

 

「いったい何のつもりだ?」

 

 突然の事に驚く赤木さんとヒビキさん。

 

 ゴメンよ、チビの行動には私もビックリだ!

 

 慌てて甲児お兄さんに謝ろうとすると、それより先にチビの思念が流れてくる。

 

 ……え、『かみさま』が怒ってるの? 

 

 ゼウスっていうのに甲児お兄さんが頼っている事が不甲斐ないって?

 

 でもゼウスってマジンガーにエネルギーを与えてる存在じゃなかったっけ?

 

 今はもう違う?

 

 『あんな小物の影響など排除した』ってどういう事なんだろう?

 

 頭の中は疑問符だらけだけど、『かみさま』からのメッセージなんだから伝えた方がいいよね。

 

「……こうじおにいさん。かみさま、おこってる」

 

「怒ってるって、ゼウスがか?」

 

 チビが当たった後頭部をさすりながら立ち上がった甲児お兄さんに私は否と首を横に振る。

 

「……おこってるのはマジンガー。おにいさんがふがいないって」

 

「俺が不甲斐ないってどういう事だ? それにその小さいパイルダーは一体なんだ」

 

 甲児お兄さんの当然の問いにまるで威嚇するかのように私の周りを飛び回るチビ。

 

 そしてそれを叩き落そうとする青カブト。

 

 うん、君達は少し大人しくしようか。

 

「……ミユのおもりにかみさまがくれた」

 

「えっ!? じゃあそれってマジンガーが作ったって事?」

 

 いぶきさんの驚きの声に『……たぶん』と返すと、私は甲児お兄さんへ向き直る。

 

「こうじおにいさん、マジンガーはさいきょうのスーパーロボット?」

 

「───ああ。お爺ちゃんがくれたマジンガーは『神にも悪魔にもなれる』最強のスーパーロボットだ」

 

 いきなりこんな事を聞いてくるとは思わなかったのだろう。

 

 少し戸惑いながらも力強く頷く甲児お兄さん。

 

「でも、かみさまいってる。マジンガーだけじゃあ、さいきょうじゃないって」

 

「え?」

 

 意外そうな顔をする甲児お兄さん達に私はチビから送られてくる思念通りに言葉を紡ぐ。

 

 ……ねえ、本当にこれでいいんだよね?

 

「……マジンガーZは、かぶとこうじがいてはじめてさいきょう。だから、こうじおにいさんも『さいきょうのかぶとこうじ』になれって」

 

「最強の兜甲児……」

 

「甲児、何処へ行くんだ?」

 

「もう一度、ジェミニアと一戦やってみる」

 

 私の言葉に思う所でもあったのか、ヒビキさんにそう言うと甲児お兄さんは格納庫の奥へ行ってしまった。

 

「なあ、ミユちゃん。君のいう神様って何なんだ?」 

 

 青山さんの問いかけに私も考えを巡らせてみる。

 

 私の直感センサーが感じてるのはマジンガーの中にいる『かみさま』だ。

 

 最初にマジンガーを見た時は黄金の巨人だったんだけど、今の『かみさま』は漆黒の巨体を持つ神としか言いようのないナニカである。

 

 彼はいったい何なのだろうと思っていると、チビの方から『な ん だ と 思 う ?』というイメージが。

 

 ムッときたので下から手を伸ばしてみたが、やっぱり低身長の幼女ボディでは空飛ぶチビには届かない。

 

 おのれ……

 

「……かみさまはかみさま」 

 

 チビのいじわるはともかくとして、私には青山さんの質問に返せる答えはない。

 

 『かみさま』のことは何一つ分かっていない私が、彼を語るのは礼を失する事になる。

 

 それは人様に対してやっていいことじゃない。

 

 だから、私はそれだけ言うと彼等から踵を返した。

 

 甲児お兄さんがシミュレーターをしているという事はマジンガーも忙しいに違いない。

 

 お礼は次の機会にするとしよう。

 

 

◆ 

 

 

「───まるで託宣を告げる巫女だな」

 

 ミニパイルダーとプチッガイを連れて去っていった幼い少女にヒビキはポツリと呟いた。

 

「巫女って神社のか?」 

 

「いいえ、俺が言いたいのは古代に神に仕えた神官の事です。言い伝えによると彼女達は類稀なる感応能力で神と交信し、予言や神託を受け取ったとされています」 

 

「言われてみれば、ニュータイプなミユちゃんにはピッタリね」

 

 苦笑いを浮かべながら赤木の言葉を否定するヒビキに、いぶきはなるほどと頷く。

 

「では、お前はあの娘の言うようにマジンガーZに神が宿っていると言うのか?」

 

「神かどうかは分からないが、何らかの意思が宿っていてもおかしくないと俺は思う」

 

 カイエンの言葉にヒビキがそう答えると、今度は同じアクエリオン組のアンディが食いついて来る。

 

「どういう事だよヒビキ?」

 

「日本では付喪神といって長い年月の間、大切にされてきた道具には精霊や霊魂が宿ると信じられているんだ。聞けばマジンガーは古代ミケーネの遺物を兜博士が改造してできたそうじゃないか。なら、意志の一つくらい宿ってもおかしくないと思う」

 

「だったら、俺達のダイガードにも意志があるのかもな」

 

「おいおい、赤木。さすがにそれは」 

 

「コイツは俺が子供の頃から平和を守って来たんだ。今だって俺達と一緒に戦ってる。意志が宿ってもおかしくないさ」

 

「ふーん。だったらアクエリオンにも意志が宿ったりするのかな?」

 

「下らん」

 

 キラキラとした笑顔でダイガードを見る赤木に釣られたアンディの意見を切って捨てるカイエン。

 

 彼にすれば機動兵器は全て戦うための術にすぎない。

 

 戦場に妙なセンチメンタルを持ち込まれて、自分の足を引っ張られては堪らないのだ。

 

「おーい! おまたせ!」

 

 一端会話が途切れたところで、場を離れていたアマタが帰ってくる。

 

「よし! アマタも戻って来たし、都市部戦闘のシミュレーション訓練を始めるぞ!」

 

 こうしてドラゴンズハイヴに集まったスーパーロボットのパイロットたちは、日本への帰路の間シミュレーターで汗を流すのだった。

 

 

◆ 

 

 

「シンジ君、大丈夫かな?」 

 

 不安そうに俯くミコノお姉さんの言葉に私は言葉を返さない。

 

 私達が日本のクラッシャー基地へ帰ってすぐ、第三新東京市へ使徒の襲撃があった。

 

 迎撃はエヴァのアップデートの為、一足先に帰還していたシンジお兄さんが担当したのだけど、結果は出撃したところを相手の高出力ビームをくらって敗北。

 

 シンジお兄さんは一時は心臓が停止するほどのダメージを負ったらしい。

 

 その後、ミサトお姉さん主導で使徒のビーム射程の外から狙撃する作戦が立案されたんだけど、その砲手として病み上がりのシンジお兄さんが選ばれてしまった。

 

 とはいえ、シンジお兄さんは戦いには向かない優しく大人しい性格だ。

 

 死にかけて一日も経たない内に負けた相手の前に出るのは心身共に心配である。

 

 なので作戦前で忙しい他の『Z-BLUE』のメンバーに代わって、手隙の私達がシンジお兄さんへの激励の品々と共に陣中見舞いに向かっているワケだ。

 

 皆の気持ちは分かるけど、正直言って私はこの激励には気が乗らない。

 

 作戦が狙撃と言うなら、クルツさんやミシェルさんのようなプロフェッショナルがいるじゃないか。

 

 砲台だって組み上がってるんだし、二人の機体だと大きさが足りないのならセンサーやトリガースイッチをコクピットに繋げて、遠隔で撃てるようにすればいい。

 

 わざわざシンジお兄さんを引っ張り出す必要はどこにも無いはずなのだ。 

 

 ミサトお姉さんや艦長たちから感じた思念からすると、使徒殲滅を目的としているネルフという組織のメンツやら建前やらといった大人の事情が絡んでいるようだが、そんなモノに子供が巻き込まれると言うのは何とも気分が悪い。

 

 内心でイライラしながら歩いていると、仮設の待機所でベンチの上に座るプラグスーツ姿のシンジお兄さんを見つけた。

 

「あの……」

 

「ミコノさん……それにミユちゃんまで」

 

「作戦前にごめんね。みんなから伝言を頼まれちゃって」 

 

 そう言うとミコノお姉さんはクルツさんとミシェルさんが用意した『狙撃の虎の巻』をはじめ、『Z-BLUE』の皆から渡されたモノを並べていく。

 

 それを見るシンジお兄さんの表情はやはり暗い。

 

 こちらが激励のつもりで持ってきたモノが重圧になっているのが丸分かりだ。

 

「それでね、えっと……」

 

 それを察したミコノお姉さんが何か言うとしたが、シンジさんの様子に言葉を飲み込んでしまう。

 

 正直に言えば『逃げていいよ』と言いたい。

 

 だって、今のシンジお兄さんは敵や皆の期待に応えられなかったらという恐怖で圧し潰されそうになってるんだもの。

 

 でもそれは許されない。

 

 『Z-BLUE』のみんなだって、好き好んで病み上がりのシンジお兄さんを戦場に出すワケじゃない。

 

 きっとみんな納得いかない部分を噛み殺して彼に全てを託してるハズだ。

 

 それにシンジお兄さんは優しい人だから、自分の抜けた穴を私とクマさんで埋めるつもりだと知ったら、余計に逃げられなくなるだろう。

 

 そんな形で出てしまっては、皆にもシンジお兄さんにも迷惑がかかるにちがいない。

 

「すごいんだね、シンジ君は……」

 

「え……」

 

 ミコノお姉さんが告げた言葉に、うつむいていたシンジお兄さんが顔を上げる。

 

「だって、こんなに多くの人達に応援されて、期待されて、信じられて」 

 

 どこか寂しそうな目でシンジお兄さんに羨望の眼差しを向けるミコノお姉さん。

 

 そう言えばミコノお姉さんはネオディーバの中で唯一エレメント能力が開花していないと聞く。

 

 それもあってこの頃は自室でふさぎ込みがちになっているとも。

 

 彼女からしてみれば、どういう経緯であれ『Z-BLUE』の期待を一身に背負うシンジお兄さんは羨ましいのかもしれない。

 

「そんな事…ないですよ……」

 

「シンジ君は私なんかと全然違う。いつも一生懸命で、今日だって……」

 

「そんな事はありません。僕はZ-BLUEのみんながいるから戦えるんです。───ミコノさんだってきっと同じです」

 

「え……」

 

「アマタさんやカイエンさん、エレメントのみんな、それにZ-BLUEの皆がきっとミコノさんの事を助けてくれます。だから、ミコノさんも一緒に戦いましょう」

 

 とうとう俯いてしまったミコノお姉さんに励ましの言葉を掛けるシンジお兄さん。

 

 こういう場面で他人を気遣えるのは本当に優しい証拠だと思う。

 

 とはいえ激励としては完全にグダグダになってしまっている。

 

 メインのハズのミコノお姉さんが沈んでしまった以上、ここは私がシメるしかあるまい。

 

 だが幼女ボディの口数では、雄弁さでどうにかするなど夢のまた夢だ。

 

 ならば取る方法は一つ。

 

 そう覚悟を決めると、私は二人の間に立つと顏をにゅっと差し出した。

 

「……ふたりとも、がんばってる。だから、ほっぺツンツンしていい」

 

 それは私自身がご褒美になる事だ!

 

 噂によればシェリルさんの歌すら興味を示さなかったという無関心少女のレイお姉さんすら虜にした魅了のほっぺ、思うがまま堪能するがいい!

 

 そんな私の思いが届いたのか、二人は苦笑しながらもほっぺをツンツンしてくれた。

 

 そうしてほっぺをつつかれること数分、満足したのかシンジお兄さんがベンチから立ち上がった。

 

「……もういいの?」

 

「うん」

 

 頷くシンジさんの顏は、少しだけど悲壮感は薄れているように見えた。

 

「ありがとう、ミユちゃん。逃げていいって思ってくれて。それを口にしないでくれて」

 

 …………おや? 

 

「ミユちゃんは何も言ってないけど気持ちは伝わってきた。これがニュータイプの力なんだね」

 

 またしても思考が漏洩していたというのか!?

 

 な……なんてこった!

   

「もし……皆の励ましを聞く前に逃げていいって言われたら、僕はその言葉に飛びついてたと思う。そうしたら後できっと僕は自分が許せなくなってた。自分を今よりもっと嫌いになってた。不思議だね、一番欲しい言葉だったハズなのに……言われてみたらこんなに従いたくない」

 

「シンジ君……」 

 

「ありがとう、二人共。二人の優しさが逃げようとしていた僕の足を止めてくれた、みんなの励ましが僕の背中を押してくれた。───どこまでやれるか分からないけど僕は全力を尽くそうと思う」

 

 そう決意を語るシンジお兄さんの顔には、もう憂いの影は見えなかった。

 

 これならきっと作戦を成功させてくれるだろう。

 

 ミコノお姉さんと顔を合わせてもう大丈夫だと確信を得た私達が帰ろうとすると、後ろから一人の男性が歩いて来るのが見えた。

 

「どうやら俺の出る幕はないようだな」

 

 シンジさんに目を向けながら悠然と歩を進める男の人。

 

 黒い制服を着たブルネットの髪に紫の瞳をしたもの凄い美人さんだけど、纏っている雰囲気が一般人のそれとはまったく違う。

 

 あれはなんて言うのだろう……貴族? ううん、それよりもっと上の───

 

「……まおう」

 

「……皇帝ルルーシュ」

 

 幼女ボディとシンジさんが同時に発した呟きに悪い笑みを浮かべる青年。

 

 皇帝? この若さで? ウソやん。

 

「すまないが君達は席を外してくれないか? 彼と二人で話がしたい」

 

 どうやらルルーシュ皇帝様はシンジお兄さんと知り合いらしい。

 

 というか言葉は頼み事に聞こえるけど、込められた圧が強すぎて完全に強制なんですが!

 

「ミユちゃん」

 

「……いこ」

 

 シンジお兄さんに頭を下げた後、戸惑うミコノお姉さんを連れて私はその場を離れた。

 

「ミユちゃん、シンジ君大丈夫なのかな?」

 

「……だいじょうぶ」

 

 心配そうに背後を振り返るミコノお姉さんに私はそう断言する。

 

 事実あの皇帝様からは悪意は感じられなかったし、少なくともシンジお兄さんが何かされるという事は無いだろう。

 

 しかし、彼から感じた変な仮面にマントを付けた全身タイツの男が『合衆国ニッポン!!』と両手を上げている光景は何だったのだろうか?

 

 あんな美人さんが変態チックな恰好なんて……するはずないよね! 




スキル(魔神の巫女)

マジンガーZに対する援護攻撃・援護防御の回数制限解除。

マジンガーZからの援護攻撃の攻撃力30%UP・援護防御の際、ダメージ30%カット。

存在に因果の鎖が繋がれた事により、彼女を起点としてグレートマジンガー・マジンカイザー・グレンダイザー・マジンエンペラーGの召喚を阻害する結界が形成される。



 
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