幼女が魔改造されたクマに乗って時獄と天獄を生き抜く話   作:アキ山

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 クソコテ様の行動に対する反響が素晴らしい件。

 ぶっちゃけ、あれくらいは平常運転だとおもんだけどどうか?

 多分原作よりは丸くなってる筈だから、彼の事は長~~~~い目で見て下さい。

 まあ、それまで地球が残っていたらの話ですけどね!


幼女、スカウトされる

 初号機にむけて胴体にある大きな扇風機から風を吹きつけようとする三つ首の機械獣。

 

『させるか! 無限パァァァァァァンチ!!』

 

 だけど、それが届くより早く初号機の後方にいたアクエリオンの伸びーーーるパンチが機械獣に炸裂。

 

 甲高い金属音を残して、その奇妙な身体を大きく後方へと吹き飛ばしていく。

 

 ホッとするのもつかの間、間髪を容れずに今度は石像型の機械獣の投石が次々と襲ってくる。

 

「……くまさん、アシラ」

 

 私はクォーターの格納庫から呼び出したアシラと共に、それが落着する前に空中で次々と機械獣に向けて投げ返す。

 

『ヒビキ君!』

 

『分かってます! はああぁぁぁぁっ!!』

 

 自分達の放った岩石をくらってヨロめく石像達。

 

 その一瞬のスキをついて奴等の懐に飛び込んだジェニオンが手にした両刃の薙刀で次々斬り伏せていく。

 

『ああもう! これじゃあキリがないよ!!』

 

『他のメンバーもこちらへの侵攻を必死に押さえているようだが、アブダクターと機械獣を相手取った状況ではどうしても手が足りん!』

 

 ゼシカお姉さんのうんざりした声に苦々しく吐き捨てるカイエンさん。

 

 二人の言う通り、アブダクターはMSとヴァルキリーを中心とする高機動の機体が、機械獣はパワーに優れたスーパーロボット達が抑えに回ってくれている。

 

 けれど、それでもみんなが敷いた防衛線を突破してくる敵が後を絶たない。

 

 みんなが敵を防ぎきれないのは、第三新東京市内での戦闘なので高火力の殲滅兵器を十全に使えない事に加え───

 

『使徒からの速射射撃、来ます!!』

 

『各機、警戒しろ!!』

 

 ミヒロさんの警告と共に放たれる薄紫色のビーム。

 

 オズマ隊長の指示と共に高機動の機体達は何とか回避に成功するが───

 

『ああもう! うっとおしいな、コレ!!』

 

『落ち着いて、ワッ太。でもダメージは大したことないとはいえ、肝心なところでリズムを崩されるのは痛い。何とかしないと……!』

 

 槍を手に機械獣に止めを刺そうとしていたワッ太君のトライダー、そしてパンチで機械獣を吹き飛ばした直後の鉄人はそのビームで体勢を崩してしまう。

 

 こんな風に使徒が攻防の要所要所で邪魔してくるから、みんなは戦況を覆す一手を打てずにいるのだ。

 

 こうなったら、どちらかに加勢して流れを変えるしかないか。   

 

「……ヒビキさん」

 

「どうした、ミユ」

 

「こうじおにいさんたちのおてつだい、いきたい。ここ、だいじょうぶ?」

 

「ああ。ここは俺とアマタ達がいれば何とかなるが……大丈夫なのか?」

 

「……ん、まかせて」

 

 私はそう言い残すと、アシラをその場に置いてリボンストライカーのスラスターを全開にした。

 

 一気に加速したクマさんはタロス人形の頭上を通り過ぎ、機械獣を指揮しているあしゅら男爵へと突っ込んでいく。

 

「む、器の小娘か!」

 

「……トリスタンとイゾルデ、じゃま」

 

 至近距離まで近づくとあしゅら男爵は気付いたが、だがそのときには奴の乗る機械獣は私の射程に入っている。

 

「……くまぱーんち」

 

 加速の勢いのままに振りかぶったクマさんの右拳を叩きつけようとした瞬間、私の脳裏に強烈な思念が駆け抜けた。

 

 それは無念の声だった。

 

 自分はまだ戦える。

 

 ミケーネの民を護り、信ずる神々の敵を打ち倒す。

 

 その為に肉の身を捨て去り、鋼の巨体を手に入れた。

 

 自分は神々の祝福を受けた勇者、それ故に敗北は許されない。

 

 たとえ相手が暗黒の支配者、堕天使、そして神をも超える御使いであろうと。

 

 だからこそ動け、我が体!

 

 我が魂はまだ屈してなどいないのだから!! 

 

「……っ!?」

 

 暴風のようにこちらへ叩きつけられた、あまりに血生臭く鮮烈な意志。

 

 その剥き出しの闘志と殺気は背筋に悪寒が走るけど、私はそれを噛み潰してクマさんの拳を突き出した。

 

 だがモビルスーツも一撃でバラバラにする自慢の一撃は……

 

『ふふふ……なかなかの拳だ。目覚めの気付けにはちょうどいいわ』  

 

 機械獣のブ厚い手に受け止められていた。

 

『ウソでしょ、機械獣が……』

 

『しゃ…しゃべってやがる』

 

 驚きで動きを止めてしまったさやかお姉さんと甲児お兄さん。

 

 その間にも機械獣はまるでゴミでも投げるかのように、クマさんを放り投げてしまう。

 

「……わわ」

 

 くるくると回るコクピットの中で慌てていると、ゴッドマーズがクマさんを受け止めてくれた。

 

『大丈夫か、ミユちゃん』

 

「……ありがと」

 

 地面に降ろしてもらったので機械獣の方を向くと、奴は肩に乗ったあしゅら男爵と話をしていた。

 

「……あの御方のお力無しに、機械獣の中で眠っていたミケーネ戦士の魂が目覚めようとはな。これも器の小娘の才覚ゆえか」

 

『久しいな神子トリスタン、イゾルデ。その姿はどうした?』

 

「気にするな、ゴウキューン殿。そなたが眠りに就いている間、色々とあったのだ」

 

『貴様がそう言うならば敢えて問うまい。ところで、あ奴等は我等に仇成す者で違いないな?』

 

「左様。だが、あのクマだけは生け捕りにしてほしい」

 

『……何故だ?』

 

「其方を目覚めさせたのはアレに乗っている娘の力だ。上手くすれば私の後釜になるかもしれん」

 

『いいだろう。我等には神々の託宣を降ろす巫女が必要だ』

 

 なんかトンデモない事を言ってるのが聞こえてしまった。

 

 もしかしなくても、あのゴウキューンとかいうのがしゃべる様になったのは私の所為なの?

 

『気合入れろよお前等! あの野郎、かなりできるぞ!!』

 

 竜馬さんの警告と共にゴウキューンは左腕に備わった弓を展開して、その弦に矢をつがえる。

 

 その動きは思わず息を呑むほどなめらかで、立ち姿には一部の隙も見当たらない。

 

『全員、散開しろ!』 

 

 ヴィラルさんの言葉と背筋を走った悪寒に、私は無我夢中でクマさんを横っ飛びに移動させた。

 

 次の瞬間、私の目に飛び込んできたのは閃光だった。

 

 ビームや光線なんかじゃない。

 

 あれは信じられないほどの高速で矢を放っているのだ。 

 

 ゴウキューンが放ったのは三射。

 

 なんとか当たらずに済んだ事に胸を撫で下ろしながら周辺を見回して、私は思わず息を呑んだ。

 

 何故ならマジンガーZの左肩に深々と矢が突き刺さっていたからだ。

 

 スーパーロボットの中でも破格の防御力を誇るマジンガーを易々と撃ち抜く剛弓、他の特機のパイロット達に戦慄が走るのが分かる。

 

「こうじおにいちゃん!」

 

「……大丈夫だ。マジンガーはまだ戦える!!」

 

 乱暴に矢を引き抜いてファイティングポーズを取るマジンガー。

 

 だけど奴が放った矢の被害はこれだけではない。

 

 戦闘用じゃない機体で回避は無理があったのだろう、竹尾ゼネラルカンパニーの専務さん達が乗るシャトルも左の羽の部分を大きくえぐり取られている。

 

『大丈夫かい、専務!』

 

『社員全員無事ですじゃ、社長!』

 

『だが、シャトルはエンジンの片方をまるまる吹っ飛ばされている。これ以上の戦闘は無理だ!』

 

『分かったよ! みんなはクォーターに戻ってくれ!!』

 

 柿小路専務と厚井常務の報告に撤退指示を出すワッ太君。

 

 その間にもスーパーロボット達は動き出している。

 

『あの射撃は危険だ! みんな、近距離戦に持ち込むぞ!!』

 

『なら支援は任せて! Zカッター! 光子力ビーム!!』

 

 ビューナスAが両腕からカッターと耳のアンテナからビームを放つと、それに合わせるようにダンクーガが一気に距離を詰める。

 

『もらった! 断空剣!!』

 

『甘いわぁ!!』

 

 しかしゴウキューンは左手の弓を使ってダンクーガの打ち下ろしの刃をいなすと、頭と肩を持って払い腰のように地面へ叩きつけてしまう。

 

『くうぅっ!?』    

 

『女だてらに突っ込んで来るとは、その意気やよし! 一思いに首を刎ねてやろう!』

 

 ダンクーガの上に馬乗りになって鋭い刃になった弓を振り上げるゴウキューン。

 

『させるかぁぁぁぁぁぁっ!!』

 

 しかし、赤木さんの気合の声と共に寸でのところでダイガードがショルダータックルを叩き込む。

 

『ぐっ!? その程度!!』

 

 その衝撃にダンクーガの上から転げ落ちたゴウキューンだが、なんと奴は倒れる寸前で手を突いて宙返りをすると空中から矢を放ったのだ。

 

『ぐあぁっ!? ───このヤロウ!!』

 

 右肩と脇腹の端に矢を受けて大きく後退するダイガード。

 

 だけど、赤木さんは攻撃を食らいながらもゴウキューンに向けて何かを放り投げている。

 

 ダイガードの手から離れた黒い円盤がゴウキューンの足元に落ちると、激しい振動と共にヤツが立っていた地面がドロドロの沼のように変化した。

 

『ぬぅっ!? これは!!』

 

『どうだ、振動地雷の味は! ダイガードはただじゃやられないんだよ!!』

 

『みんな、今だ!!』

 

 してやったりと言った感じの赤木さんの叫びに続いて青山さんの声が皆に飛ぶ。

 

「いかん! タロス像たちよ、ゴウキューン殿を護れ!!」

 

 あしゅら男爵の指示によって私達に襲い掛かってくる生き残りの石像たち。

 

『そうはさせるか! みんな、タロス像を押さえるんだ!!』

 

 タケルさんの号令で、スーパーロボット達は石像を迎撃する為に動き出す。

 

『マーズフラッシュ!』

 

 ゴッドマーズが横薙ぎに振るった大剣で石像の胴を薙げば───

 

『トライダージャベリン!!』

 

 トライダーが柿小路専務の仇とばかりに長槍で二体同時に串刺しにする。

 

『フルドリライズ! ぶち抜けぇぇぇっ!!』

 

 グレンラガンが全身から無数のドリルを伸ばして周りの石像達を撃ち抜き、

 

『鉄人! フライングキックだ!!』

 

 鋼の嵐から難を逃れた者に鉄人の飛び蹴りが突き刺さる。 

 

 やはり通常の機械獣では『Z-BLUE』のスーパーロボットの相手にならないようで、このままゴウキューンへ攻撃が通ると思った時だ。

 

 私の直感がまたしても使徒の敵意がこちらに向いているのを感じ取った。

 

 奴の狙いはゴウキューンへと迫るブラックゲッターとマジンガー。

 

 今はあの強敵を倒す千載一遇のチャンスなのだ、邪魔をさせるわけにはいかない!

 

「……アシラ!」  

 

 私達が空へと飛びあがるのと同時に使徒からもビームが降り注ぐ。

 

 二機の死角から降り注ぐ青みかかった光の鉾、それが彼等を穿つ事は無かった。

 

 何故ならアシラがブラックゲッターの、そして私とクマさんがマジンガーの盾になったからだ。

 

『……くうぅ!?』

 

 モニターが閃光で埋め尽くされるのと同時にコクピットを襲う激しい衝撃と振動。

 

 それでも機体コンディションには異常は見られない。

 

 それはアシラも同様だ。

 

 宇宙でクマさんの装甲が高いビーム耐性を持っている事を知った事と、使徒のビームが速射式だとMSも一撃で沈められないからこそ出来た無茶だけど、実際に受けるとやっぱり肝が冷える。

 

『ミユちゃん!?』

 

『馬鹿野郎、なんて無茶しやがる!』

 

「……きかいじゅうがつよくなったのはミユのせい、このくらいあたりまえ! だからいって!!」

 

 私は出せる精一杯の声で竜馬さん達を叱咤する。

 

『───わかった。あとは任せろ!!』 

 

『まったく、肝のすわったガキだぜ。その心意気に免じて無茶やった説教は軽めにしてやる!』

 

 理不尽だよ!?

 

 私の心の叫びには見向きもせずに速度を上げる2体のスーパーロボット。

 

『俺から仕掛ける! トドメは任せるぞ、甲児!!』

 

『はいッ!』

 

 竜馬さんがそう言うとブラックゲッターは身体にマントを巻き付けて一気に加速する。

 

『くらえっ! ゲッタービィィィムッ!!』

 

『ぬおおおっ!?』

 

 マントの穴から漏れ出たビームが散弾のように次々と機械獣へ突き刺さる。

 

 拡散している分、さっき使徒に撃ったモノよりも威力は落ちるけど、それでも液状化した地面に奴を釘付けにするには十分な威力だ。

 

『見せてやるぜ! 生まれ変わったジェットスクランダーの奥の手を!!』

 

 そして機械獣が怯んだ隙に相手の頭上を取るマジンガー。

 

 両手を腰だめにして胸を張ると、赤い胸部放熱板と肩の上に来るように稼働した翼に蓄積された熱量が大気を歪ませる。

 

『くらえ、ダイナミック・ファイヤァァァァッ!!』

 

 甲児お兄さんの叫びと共に、三つの熱線は一つになって機械獣へと降り注いだ。

 

『ぐわあああああああっ!?』

 

 膨大な熱量によって赤熱化した身体が溶け崩れると、断末魔の悲鳴を残して機械獣は爆散した。

 

『ゴウキューン殿!? ───安らかに眠るがいい。其方の奮戦は必ずや御方へと伝えよう』

 

 仲間を悼む声に目を向けると、ビルの上で胸に手を当てて黙祷を行っているあしゅら男爵が見えた。

 

「……トリスタン、イゾルデ」

 

「器の娘よ、私と共に来るがいい」

 

 あしゅら男爵から掛けられた思わぬ言葉に私は思わずポカンと口を開けてしまった。

  

「……どうして?」

 

「お前には私達を遥かに超える巫女としての才覚がある。それを潰えさせるのは惜しい」

 

「ふざけるな! そうやってミユちゃんの事を利用するつもりなんだろう!!」

 

「そうだそうだ! こっちはお前のやる事なんてお見通しなんだからな!!」

 

 私達の間に割って入った鉄人とトライダーの言葉に、あしゅら男爵が浮かべたのは嘲りだった。 

 

「利用するか。フフフ……本当にその娘をいい様に使っているのは、果たして誰なのだろうな」

 

「どういう意味だ、あしゅら?」

 

「兜甲児、貴様に教える事など何もない。せいぜい自分で考えるがいい」

 

 この場に戻ってきたマジンガーにそう言い残すと、あしゅら男爵は人とは思えない速度で撤退していった。 

 

「あしゅら……お前はいったい何を知っているんだ」

 

 甲児お兄さんの呟きには同意するけど、今はそんな事を考えている場合じゃない。

 

 私は二度三度頭を振って、あしゅら男爵の言葉とゴウキューンの変化に後ろ髪を引かれる思いを引っ込める。

 

 機械獣は全滅し、MSとヴァルキリーの混成部隊がアブダクターを倒したのだから邪魔者はもういない。

 

 なら、あとはヤシマ作戦を成功させるだけだ。

 

 ……あと全部終わったらアクエリオンに抗議もしなきゃ。

 

 戦闘中だから必死に我慢したけど、不意打ちで気持ち良くするのはダメだってば!

 

『第六の使徒を除き、障害は全て排除されました!』

 

『再充填も間もなく完了します!』

 

『照準、再調整開始!』

 

『シンジ君!』

 

『任せて下さい、次は外しません!!』

 

 矢継ぎ早に上がってくるネルフ職員の報告のあと、ミサトお姉さんの確認の声にシンジお兄さんは力強く答える。

 

 多分この作戦に三度目の正直はない。

 

 ここで決めないと。

 

 私は頭にこびりつく嫌な予感にクマさんを初号機の近くへと移動させる。

 

『使徒からも高エネルギー反応!』

 

 初号機達のいる場所まで半分ほどの距離に来た時点で告げられた報告に私は思わず舌打ちを漏らす。

 

 機械獣たちとの戦闘でバカスカ撃ってたのに、いくらなんでもチャージが早すぎるだろう!

 

『初号機と撃ち合いになる!?』 

 

 違う、きっと使徒の方が早い!

 

「……だめ!」

 

 思考に加えて思い切りペダルを踏み込むけど、無情にも使徒から光線が発射された。

 

 先ほどまでの速射式とは桁違いのエネルギーの奔流は私達の隣を通り過ぎて初号機へと牙を剥く。

 

『うわっ!?』 

 

 シンジお兄さんの悲鳴に私は思わず目を閉じてしまったけど───

 

『碇君は死なせない、私が守るもの』

 

 間を置かず強烈な意志に瞼をこじ開けられてしまった。

 

 再び役目に勤しみ始めた視界に映るのは、盾を構えて光線から初号機を護る零号機の姿だった。

 

『綾波ぃっ!?』

 

 襲い来る熱量に徐々に盾が溶けていく光景にシンジお兄さんの必死な声が響く。

 

『照準調整は!?』

 

『ダメです! 使徒の光線の余波が邪魔して、MAGIが狙いを絞り込めてません!!』

 

 ネルフ本部から響く最悪の知らせに私は、ここから全力で『くまびーむ』を叩き込む事を決断した。

 

 アシラであれだけのビームが撃てるのだから、クマさんで使えば街に相当な被害が出るだろう。

 

 けど、そんなのレイお姉さんの命には代えられない!

 

 こちらの意思を汲んでクマさんがチャージを始めた瞬間、私の直感センサーが強烈な殺意を感じ取った。

 

 その出所はなんとシンジお兄さん。

 

 初号機が構えたライフルの銃口から伸びた息を呑むほどに鋭い殺意は、寸分違わずに使徒の中枢を射抜いている。

 

『撃て、シンジ!』

 

『その感覚なら絶対に当たる! 自分を信じろ!!』

 

『うわああああああああああっ!!』

 

 ミシェルさんとクルツさんの叫びが響くと同時に初号機のライフルからビームが放たれる。

 

 夜闇を白く焼きながら疾走する光の槍は瞬く間に使徒の中央を穿ち、一瞬の間を置いて水晶の身体は自身の吐き出した血の海に沈んだ。

 

『よっしゃあっ!』

 

『やったな、シンジ!!』

 

 ミサトお姉さんの女性の上げるべきじゃない歓声と赤木さんのねぎらいの声が響く中、私は零号機のある場所へとクマさんを走らせる。

 

 私が到着した頃には、先にいたシンジお兄さんが取り出したコクピットからレイお姉さんを助け出していた。

 

「……シンジおにいさん、レイおねえさん。おつかれさま」

 

 クマさんから降りてねぎらいの言葉を掛けると、シンジお兄さんの肩を借りていたレイお姉さんが私の方へ近づいて来た。

 

 そして無言で私の頬をツンツンとつつき始めたではないか。  

 

「うー、うー!」

 

「ふふ……綾波も頑張ったからご褒美だね」

 

 抗議の声を上げようとしたところで、そう言って笑うシンジさん。

 

 むむ……そのことを持ち出されたら断れないじゃないか。

 

 結局、私は『Z-BLUE』の皆が迎えに来るまでレイお姉さんの思うがままにほっぺをオモチャにされるのだった。

 




 今回登場したミケーネ戦士の魂はLv45

 『なんじゃこりゃ!?』と恐れおののくのがSRPG初心者。

 『あー、負けイベントかな』とタカを括って詰むのがスパロボ初心者。

 『必ず攻略する手があるはずだ!』と闘志を燃やすのがSRPG熟練者。

 『ミケーネブートキャンプ、キター!』と経験値と撃墜報酬金30000を狙って、もう一匹の機械獣も覚醒させたうえに全滅プレイを繰り返すのがスパロボ熟練者。

 貴方はどれですかな?


インフォメーション

・『魔神の巫女』ルートが解放されました

【確定条件】『第44話・神と悪魔と人』までに兜甲児のレベルが30以下で、なおかつマジンガーZの撃墜回数3回以上。

 条件を満たすとマジンガーZはマジンガーZEROへと変化し、兜甲児は生体パーツとして取り込まれ、ミユはZEROに仕える巫女としてZ-BULEと袂を分かつ。

・『神子の後継者』ルートの条件を一つクリアしました。

  

 

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