幼女が魔改造されたクマに乗って時獄と天獄を生き抜く話   作:アキ山

34 / 84
幼女の優雅な日常

 どうも。

 

 マリーメイア軍の兵隊さん達が重い刑が課せられないらしいと聞いて、ホッとしているミユです。

 

 彼等のやった事はなんだかんだ言っても内乱罪か国家転覆罪なんで重刑に処されるのが普通なんだろうけど、その辺は政治家さん達の高度な判断があったのだろう。

 

 幼女が立ち入る領域じゃないので、ここは素直に結果だけを喜んでいようと思います。

 

 クーデター騒ぎが終結を見た後、私は勝手にシェルターへ乗り込んだ事をしこたま怒られた。

 

 後先考えずに突撃した私も悪かったけど、ヒイロさんが心配だったんだから仕方ないじゃないか!

 

 まあ、お前が行く必要はないと言われては返す言葉無いのだが、その辺は仲間を想っての行動という事で大目に見てほしかった。

 

 説教の最後に行われたカレンお姉さんによる公開尻たたきに関しては幼女は激しく抗議させてもらう次第である。

 

 というか、初対面のブルーフィクサーとゴッドシグマチームは目が点になってたじゃないか!?

 

 さて、久方ぶりのガチ泣きでお仕置きが終了した後、私は新たに参加したスーパーロボットのパイロット達と顔合わせをした。

 

 まずは青のロボット・バルディオスを駆るブルーフィクサーであるマリンさんとオリバーさん、そして雷太さん。

 

 マリンさんは青い髪のイケメンでオリバーさんは『ボンバヘッ!』と言わんばかりの金のアフロが印象的なお兄さん。

 

 雷太さんは角刈りに太い眉、そしてガッチリした体格の日本人のおじさんだった。

 

 事前にこの上ない醜態を見られてしまったのでむこうも声を掛け辛そうだったのだが、結局は『危ない事はしない様に』と無難な注意を掛けられて終わってしまった。

 

 うん、お尻丸出しでピーピー泣いたばかりの女の子と話すとか難しいよね、ゴメンよ。

 

 次はゴッドシグマチームの闘志也さんとジュリィさん、そしてキラケンさんだった。

 

 闘志也さんは意志の強そうな熱血漢でジュリィさんは科学者だけあって眼鏡を掛けたインテリタイプ。

 

 そしてキラケンさんは容姿も声も雷太さんそっくりだった。

 

 思わず兄弟かと聞きそうになったのだが、事前に察知したジュリィさんが違うよと教えてくれた。

 

 こっちは散々怒られた事を考慮してくれたのか、例の『おはなしフィールド』の事とかを褒めてくれた。

 

 特にキラケンさんはテンションが高く、私の事を高々と抱っこする始末。

 

 きっと私を慰めるためにワザと大げさなリアクションをしてくれたのだろう。

 

 新しい仲間も優しい人達みたいで幼女は一安心である。 

 

 さて、マリーメイアのクーデターも止める事が出来たし心配事も解決したという事で、私は再びクマさんシミュレーターに入り浸る日々を続けている。

 

 ジェミニアへリベンジは済んでいないし、たとえ出撃が許可されていなくても操縦技術を上げるのはきっと無駄にはならないはずだ。

 

 そんな訳でクマさんに乗り込んで仮想空間の宇宙にいるわけだが……

 

「……いじめ」

 

 そう、今私は『フィン・ファンネル』というコの字に曲がった移動砲台に囲まれて集中砲火を受けているのだ。

 

 相変わらずジェミニアに連戦連敗を重ねているところ、アムロ大尉に誘われたから気分転換に模擬戦をしたらこれだよ!

 

『ファンネルの反応はハマーンか、それ以上だ! これが新しいνガンダムの力か!?』

 

 ZⅡに乗ったカミーユさんの悲鳴が響く中、私は直感センサーを全開にして周りを乱舞するファンネルが吐き出すビームを必死に避けている。

 

 ちなみにこの模擬戦、最初は4対1だったりする。

 

 もっとも開始30秒でカツさんのZⅡ2号機が落とされ、それから間を置かずにバナージお兄さんのユニコーンも頭・胴体と順番で吹っ飛ばされてリタイア。

 

 結果、私とカミーユさんはアムロ大尉の操るファンネルによって『踊れ、オラァ!』とばかりに翻弄されているのだ。

 

『クッ! ビーム・コンフューズ!!』

 

 気合と共にカミーユさんのZⅡはビームサーベルを投げると、それに向けてライフルを撃つ。

 

 回転する赤い刀身に当たった光弾が弾けて、辺りに散弾のようにビームがまき散らされる。

 

 なるほど、ああしてファンネルを迎撃しようという作戦か!

 

 これでこの袋叩きな状況も好転する……そう思っていた時期もありました。

 

 なんとファンネルたちはバカみたいな変態機動を取って、散弾を全て躱して見せたのだ。

 

『な……ッ!?』

 

 これにはカミーユさんも度肝を抜かれたようで、その一瞬のスキを突かれて撃墜されてしまった。

 

「……ようしゃない」

 

 幼女ボディからも思わず文句が漏れるが、愚痴を言ったところで始まらない。

 

 とりあえずはアムロ大尉の姿を捉えない事にはどうにもならないので、何とかしてこの包囲を抜け出さないといけないのだが……

 

 直感センサーでアムロさんの敵意を感じながらフィン・ファンネルの猛攻を凌いでいた私は、こちらを閉じ込めているファンネルの檻にほころびがある事に気付いた。

 

 アムロ大尉にあるまじきミス!

 

 きっとファンネルの操作は私が思う以上に負担を強いるのだろう。

 

 頭上・背面・股下の三方向から放たれたビームを間一髪で躱した私は、一気にリボンストライカーのバーニアを吹かせる。

 

 一気にファンネルたちを引き離そうとしたその時、私は見てしまった。

 

 ファンネルに紛れる形で宇宙空間に浮かびながら、こちらに銃口を向けるバズーカの姿を。

 

「ありがとう、みんな。実機はまだ無いけど、Hiーνガンダムのいいデータが取れたよ」

 

 笑顔でそう言って去っていくアムロ大尉の後ろ姿を見送る私達の顔がチベスナにそっくりだっただろう。

 

「姿も見せずにファンネルだけで落とすとかナイワー」

 

 死んだ目でそう言うカツさん。

 

 そうだね、これが始まる前は『僕がガンダムに乗っているところをアムロさんに見てもらうんだ!』って凄く嬉しそうだったもんね。

 

「本当にそうですよね。でもカミーユさんはともかくミユちゃんも躱してたのを考えると、俺達立つ瀬がないですよ……」

 

 落ち込まないで、バナージお兄さん。

 

 お兄さんはバイトを始めて間がないんだから仕方がないよ

 

「そう落ち込むな二人共。アムロさんは対ニュータイプ戦のエキスパートなんだ。しかもむこうは新型のνガンダムだったんだからガンダムに乗った程度じゃ勝てないさ」

 

 そうだよね。

 

 ファンネルで散々自分の敵意や攻撃パターンを見せつけといて、自動発射装置付きのバズーカを紛れ込ませてるんだもん。

 

 あれって敵意を感じ取るニュータイプの戦い方を完全に逆手に取ってるじゃんか。

 

 あのバカみたいなファンネルの猛攻がフェイントだなんて普通なら絶対に気付かないよ。

 

「……きちくテンパ」

 

 幼女ボディから思わず毒舌が漏れる。

 

 初めて会った時に感じた印象はどうやら間違っていなかったらしい。

 

 

 

 

 さて気分転換どころか疲れるだけの模擬戦を終えた私は、クマさんの元に戻る途中でマジンガーZの前を通りかかった。

 

「……かみさま」

 

 マジンガーの雄姿を見上げていると脳裏に閃く物があった。

 

 情けない話だがジェミニア攻略に関しては全くと言っていいほどに策が無い。

 

 奴は遠近双方において私とクマさんよりも上なのだ。

 

 他の人にアドバイスを聞こうにも、一対一でジェミニアに勝利した人はまだいない。

 

 自分も仲間も頼れない状況なら、一つ神様に頼ってみるという手段もあるのではないだろうか?

 

 昔の人だって『苦しい時の神頼み』と言っていたのだ、やってみる価値はあるだろう。

 

 そんなワケでポンポンと柏手を打って祈ってみると、頭上を旋回していたチビを介して頭の中にあるイメージが浮かび上がって来た。

 

『さらばだ、ガドライト・メオンサム!』

 

『う、うわあああああああっ!?』

 

 それは謎の銀色の巨人がジェミニアを蹴り飛ばしている光景だった。

 

 あのジェミニアが蹴りで破壊されたのもさることながら、なにより目を引いたのは全身でYの字を形どった巨人の見事なまでのドロップキックだろう。

 

 爆発の中に消え去ったジェミニアを最後にイメージは終わったが、あの光景は私に強烈な印象を刻みつけた。

 

 あのジェミニアを打ち倒す程の蹴りなのだ、ただのドロップキックなワケが無い。

 

 そして巨人の声、あれはシュバルツさんそっくりだった。

 

 もしあれの操縦者が彼だったとすれば、あの蹴りはゲルマン流忍術に違いない。

 

 つまり、ジェミニア打倒のカギはゲルマン流にあるという事だ。

 

「……ありがと、かみさま」

 

 私は素晴らしいヒントをくれた神様にペコリと頭を下げると、はやる心を押さえて格納庫を駆ける。

 

 クマさんに乗り込んでシミュレーターを起動させれば、目の前には宇宙空間に仁王立ちするジェミニアが現れる。

 

 攻略の糸口を掴んだからといって、すぐさま効果が表れるかと言えばそうではない。

 

 かみさまのビジョンでジェミニアを倒した蹴りはきっと奥義の類だ。

 

 素人の私に容易く扱えるものではない。

 

 ならば、入門編として他の技にチャレンジするべきだろう。

 

 そして私が知るゲルマン流忍法は一つしかない。

 

 先制パンチとなるジェミニアの拳を躱した私は、記憶をたどりながらその技を再現を試みる。

 

「……ここらでいんどーをわたしてくれるわ」

 

 まずは口上、これでこちらのテンションを上げるのだ!

 

 次に私はクマさんの手を前に出しながら回転を始める。

 

 ぐるぐる

 

 よし、行くぞ!

 

「すちゅるむ・うんちょ・どらんきゅー!」

 

 慣れない言葉でめっちゃ噛んでしまったが、そこは気にしたら負けだ。

 

 思い返すにあの技の命はきっと回転にある。

 

 そんなワケでクマさん大回転である。

 

 ぐるぐるぐるぐる

 

 シュバルツさんがやったような顔だけ残して大回転は無理でも、回るだけならクマさんと私でもできるはず。 

 

 ぐるぐるぐるぐるぐるぐる

 

 頑張って回っているが回転が足りない気がする。

 

 そんなワケでスピードアップ 

 

 ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる

 

 …………ヤバい、なんだか気持ち悪くなってきた。

 

 ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる

 

 あ、だめ……

 

 ぐるぐる……ポテ。 

 

『てやーーー!』

 

「にゃーーーーー!?」

 

 …………なんという事だろうか。

 

 かつてない程に情けない負け方をしてしまった。

 

 ゲルマン流の技を使うには私の三半規管はまだまだ未熟だったらしい。

 

 忍の道は長く険しいという事か……

 

 あと、クマさんから降りてみるとカレンお姉さんとC.C.オババさまが大爆笑していた。

 

 なぜ私のシミュレーターをモニタリングしているのか。

 

 おのれ……

 

 

 

 

 さて、成果はどうあれ訓練の後はシャワーが鉄板である。

 

 幼女ボディでもしっかり使えるように調整してくれた整備班の人達には感謝の一言だ。

 

 クマさんスポンジとお子ちゃまボディソープで汗を流した私は、髪の水滴を絞ったタオルで拭きながら出口へ向かっていた。

 

 私の髪は背中の中頃まで伸びているので、お手入れが色々と大変なのだ。

 

 短くしようと思ってもくららさんやカレンお姉さんのようなショートヘアーな人達から反対されるから切れないんだよねぇ。

 

 そんな事を考えながらぺたぺたとシャワー室を進んでいると出口付近でレイお姉さんとエンカウントした。

 

 彼女も訓練の後だったようで、ほのかに血の匂いが漂っていた。

 

 シンジお兄さんが言うにはエヴァってコクピットに特殊な薬液を入れられるそうだから、ちょっと乗っただけでもシャワーは必須なんだってさ。

 

 無言で私を見つめるレイお姉さんと彼女の赤い目を見上げる私。

 

 共に口数が少ないので、こういう無言の間はデフォなのだ。

 

 そうしているとレイお姉さんの手が私のほっぺじゃなくてお腹に伸びた。

 

 ぷにぷにと私のお腹を優しく触るレイお姉さんの手。

 

 少しくすぐったいが、これが彼女のスキンシップなのでされるがままにしておく。

 

 とはいえ、私も触られるだけでは手持無沙汰である。

 

 ここはお返しに私もレイお姉さんのお腹を触る事にしよう。

 

 頑張って手を伸ばして触れた白いお腹はキュっと締まってスベスベだった。

 

 ……なんという理想のウエスト。

 

 ポッコリ幼女ボディではどう頑張っても不可能なナイスボディである。

 

「……すべすべ」

 

「……ぷにぷに」

 

 私が感想を口にするとレイお姉さんもそれに倣ってくれた。

 

「……すべすべ」

 

「……ぷにぷに」

  

「……すべすべ」

 

「……ぷにぷに」

 

「……すべすべ」

 

「……ぷにぷに」

 

 ひとしきりお互いのお腹を堪能したあと、私はレイお姉さんに問いを投げてみた。

 

「……たのしい?」

 

「わからない。……でもポカポカする」

 

 それはここがシャワー室だからじゃないかなぁ。

 

 けれど、私もお姉さんのお腹を触ってちょっとぽかぽかするのも事実。

 

 なら、こう言うべきだろう。

 

「……ぽかぽか」

 

「……ポカポカ」

  

「……ぽかぽか」

 

「……ポカポカ」

 

「貴方達、なにをやってるの?」

 

 いつの間にか来ていた葵お姉さんや伊吹さんにもの凄く微妙な顔をされてしまった。

 

 ちなみに今回の事で味を占めたのか、これ以降レイお姉さんは私と会うたびにほっぺじゃなくてお腹を触るようになった。

 

 別にいいんだけど、幼女としてはお腹を撫でるのはお風呂だけにしていただきたいと思う。

 

 

 

 

 どうも、昨日の醜態をおねむでリセットしたミユでございます。

 

 本日は7時半に起床したのですが、その際にちょっとした事件がありました。

 

 この幼女ボディは人肌の温かさがないと安眠できないようで今までずっとシン兄の寝床に同衾していたのだが、今日は寝起きのおつむの稼働率が悪かったようで無意識にシン兄を『にぃに』と呼んでいたらしい。 

 

 それを聞いたシン兄は何故か瞳孔が開き切っていたのだが大丈夫だろうか?

 

 本人はむしろ調子がいいと言っていたが、それはそれで心配である。

 

 さて、ブリュッセルから極東支部に帰って来たZ-BLUEだが、聖天使学園からエレメントの補充があるという事でアクエリア市へ立ち寄る事になった。

 

 基本的にエレメントはアマタさんをはじめとして変じ……個性的な人たちが多いので仲良くできるか不安なのだが……

 

 そんな事を考えながら日課のシミュレーターをやる為に格納庫へ向かっていると、緑の髪の見慣れない人を見つけた。

 

 長い前髪が目の下まで覆っているので顏はあまり判別できないが、気配からして会ったことがないのは確実だ。

 

「なっ!? こんな小さい子までいるのか!」

 

 私の姿に驚く彼を見ていると、その思念を通して妙なビジョンが流れ込んできた。

 

 鉄に覆われた赤茶けた星と絶えてしまった女の人。

 

 そして例のクモロボとそれを率いる獣ロボや金色のロボット。

 

 あとは長髪の威厳があるオジサンの後ろにあるカプセルに納められた女の人。

 

「アルテア…ジン・ムソウ……」

 

 思わず口をついた単語を聞いた瞬間、前髪に隠れた男の人の視線に危険な色が宿るのが分かった。

 

「クソッ! こんな簡単に見破られるなんて…この娘、思念察知型のエレメントか!?」

 

 そう吐き捨てながら私に手を伸ばそうとした彼は───

 

「ぐはぁっ!?」

 

 チビパイルダーの突撃を顔面に受けた後、間髪を容れずに放たれた青カブトのパンチに脇腹を抉られてその場に崩れ落ちた。

 

 ……なんという事でしょう、敵のスパイを見つけてしまった。  

 




ジン・ムソウの現状

ジン『こちらジン。敵部隊の母艦への潜入に成功 任務を開始する』

幼女「!! だれ?」

青「!! (招かれざる客が来たようだ)」

クソコテ『!! (我が目を掻い潜ろうとは笑止)』

クマさん「!!(新たな素材ゲットのチャンス)」

GAME OVER

イズモ『ジン、応答しろ! ジン、ジィィィィン!!』
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。