幼女が魔改造されたクマに乗って時獄と天獄を生き抜く話   作:アキ山

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リクエストがすこしあったので、供養アップ。

本編は7割ほど完成してるので、もう少し待ってくだされ。


エイプリルフール没ネタ供養(ちょっとだけ続き)

 ドライストレーガーが連邦の秘密研究所から被検体だった双子を保護してから半月ほどが経った。

 

 艦長であるミツバの意志に賛同する者も徐々に増えて『ドライクロイツ』という部隊名を得た彼等であったが、彼女達部隊も地球の環境も前途は洋々とは言い難い。

 

 ザンスカール帝国の侵攻にウルガルやポセイダルと言う全容も知れない外宇宙からの侵略者。

 

 地球の内部でも復活した機械獣にネオジオンの残党、更には超AIを狙うロボット犯罪者や暗躍する謎の組織など平和を脅かす勢力には事欠かない。 

 

 なのでドライクロイツは敵勢力の暴虐を阻止し、地球の各地にいる平和を愛する同士と手を取り合う為に東奔西走を続けているのだ。

 

 日々結束を深めていく彼等だが、一つ部隊の中に小さな問題を抱えていた。

 

「あ!」

 

 ドライストレーガーが次の目的地へ航行する中、談話室で休憩中だったリアン・アンバードは保護した双子が廊下を歩いているのを見つけた。

 

「えっと…あの……」 

 

 お茶に誘おうとしたリアンだが、その勢いはみるみる内に萎んでしまう。

 

 何故なら呼びかけようにも双子には名前が無いからだ。

 

 話は彼女達を保護した翌日に遡る。

 

 戦闘中に意識を失った姉が目を覚ましたと聞いたドライストレーガーの面々は、顔合わせも兼ねて見舞いへ訪れた。

 

 しかし、そんな彼女達を迎えたのは怯える妹と警戒心丸出しでこちらを睨む姉だった。

 

 点滴の管も抜かないままに、妹を背に庇う姿はあまりにも痛々しい。

 

 緊迫する空気の中、雰囲気を変えようと名前を聞けば……

 

「……NTS-45032」

 

「NTS-45033」

 

 返ってきたのは製品番号のようなコードネームのみ。

 

「えっと……なにか愛称みたいなのはないのか? みっちゃんみたいなさ」

 

 お通夜のような空気の中、なんとかコミュニケーションを取ろうと踏ん張る甲児。

 

「……クソガキ、バケモノ、モルモット」

 

「あの…どれでもすきによんでいいよ」

 

 しかし、双子が放った他者を拒絶するような声音と言葉の内容には撃沈するしかなかった。

 

 その時の事を思い出してリアンがため息をついていると、彼女の前に一人の少女が現れた。

 

「マスターになにか?」

 

 長い紫の髪と黒を基調にしたゴスロリ衣装が特徴の少女は、その青い瞳に何の感情も込めずにリアンへ問いかける。

 

「う…ううん! なんでもないの!」

 

 そんな彼女の問いに慌てたようにリアンは首を横に振る。

 

 眼前に立つ少女の瞳は得体の知れない恐怖を感じて苦手なのだ。

 

 その答えに満足したのか、少女は彼女を待っているであろう双子の下へと去っていく。

 

 その姿を見送ったリアンは再び深々とため息をつく。

 

 ドライクロイツの面々が今まで双子と交流を深められない理由の一つが、姉の方を『マスター』と呼び従う少女・エセルドレーダの存在だ。

 

 双子を保護した時、彼女はサイコガンダムには乗っていなかった。

 

 なのに、見舞いへ行った時にはすでにエセルドレーダは双子達の傍にいた。

 

 連邦のデータベースで身元を洗っても彼女についての情報は無く、最新鋭の戦艦であるドライストレーガーへどうやって侵入したかも分からない。

 

 だというのに、誰もエセルドレーダへに追及や尋問を行おうとはしなかった。

 

 まるで少女に関する事を言及するのは禁忌であるかのように、ドライストレーガーの面々は口をつぐんでいるのだ。

 

 双子の他者を拒絶する態度とエセルドレーダの不気味さ、その二つによってドライクロイツの人間は彼女達へ腫物に近い扱いを余儀なくされていた。

 

 もちろん、このままでは駄目だという思いは誰もが持っている。

 

 南原コネクションのネオジオン残党による襲撃時から今まで、双子は修復されたサイコガンダムMKⅡでドライクロイツの一員として戦っているのだ。

 

 大人として、なにより共に同じ釜の飯を食う仲間として歩み寄るべきなのだが、その切っ掛けが掴めないのが現状だ。

 

「どうしたの、リアン。暗い顔して」

 

 一人落ち込み机に突っ伏していたところリアンは、掛けられた声に顔を上げる。

 

 そこには食事が載ったトレーを持つ南原ちずるとコンバトラーチームの姿があった。

 

「さっき双子ちゃんをお茶に誘おうと思ったんだけどねぇ」

 

「その様子から見るに、また失敗したんやな」

 

「うん」

 

 呆れた口調の浪花十三の言葉に肩を落とすリアン。

 

 そんなリアンに口を開いたのは豹馬だった。

 

「今のアイツ等に何を言っても無駄だよ、ほっとけ」

 

「ほっとけって、豹馬さん」

 

 窘めようとする小介を無視して豹馬は言葉を続ける。

 

「児童福祉施設にいた時に、ああいう目をした奴は何度も見た。そういうガキは親戚や施設をたらい回しにされて、周りの人間全員を敵だと思っているんだ。だから無理に踏み込もうとしても警戒させるだけさ」

 

「なら、どげんしたらよかばい?」

 

「時間を置くしかねえ。この船で一緒に暮らして、少しづつ会話や触れ合う機会を増やして、俺達が敵じゃねえって証明するしかないんだ。───言葉じゃなく態度でな」

 

 チームメイトの西川大作の問いかけに、豹馬はミニコロッケを口へ放り込みながら答える。

 

「アイツ等に何があったかは知らないけどな、大人に失望した子供の信用を取り戻すのは並大抵の事じゃねえんだよ」

 

 そう呟く豹馬の言葉には、経験した人間しか出せない重みがあった。

 

 

 

 

 今日も今日とて兜甲児がウザい。

 

 いくらとと様の友人だからって無理に絡まなくていいのに。

 

 まあ、私達の事を気遣っているのは本当みたいだし、邪心は無いみたいなので話くらいは付き合っているけどさ。

 

 あとグリッドマン同盟とかいう集まりの赤髪の奴、あれは駄目だ。

 

 一目見て分かったけど、アイツは人間じゃない。

 

 外見は普通の少年でも中身は完全に別物だ。

 

 その薄気味悪さから私はあの響裕太を見ると全力で逃げてきたし、戦場でもグリッドマンには近寄らないようにしている。

 

 それと最近また面倒な奴が部隊へ入ってきた。

 

「ねえしゃま、ねっとりってかんじにみられてた。きもちわるいよぉ」

 

「……シャア」

 

 部屋に帰ってくるなり、こう言って抱き着いてくるミウ。

 

 私は小さく震えて涙する妹の頭を優しく撫でる。

 

 私も食堂で兜甲児の話を聞いていた時に視線を感じていたけど、あの男はどんな気持ちで私達を見ているのだろうか?

 

 隕石落としの大量虐殺未遂犯。

 

 なにやらアナハイムエレクトロニクスと大人の取引があったみたいだけど、よくもそんな人間を置いて置けるものだ。

 

 その所為でミウが怯えっぱなしだ。

 

 やっぱり何時ものようにエセルにご飯を部屋まで持ってきてもらえばよかった。

 

 ブライト・ノアと合流したから少しは見直したのに、あんな男を仲間にするなんて……

 

 やっぱり人間なんて何時裏切るかわかったものじゃない。

 

 私達を研究所へ売ったクソ女みたいに、血がつながった親だって他人を利用するのが人間の本質なんだ。

 

 これからも気を緩めないで警戒を密にしないと。

 

「……エセル」

 

「はい、マスター」

 

「……おふね。つぎ、どこいくの?」

 

「北米にあるシャイアン基地と聞いています」

 

「……シャイアンきち」

 

 こちらの問いかけにエセルが口にした場所、シャイアン基地は私達にとって因縁の地だ。

 

 10年前、あそこで自暴自棄になっていたとと様はクソ女と私達を作った。

 

 今更そこへ行くという事は……!

 

「……ととさま、いる?」

 

「はい。シャア・アズナブルが部隊との合流の際、そう言っていました」

 

 エセルの答えを聞いて、私は小さく息を付く。

 

 ついに、とと様と会う事になる。

 

 果たして彼は私達を受け入れてくれるだろうか? 

 

「……ねえしゃま、パパがいるの?」

 

 私達の会話を聞いたミウは、私のお腹に埋めていた顔を上げて涙にぬれた目をこちらへ向けてくる。

 

「……ん」

 

「じゃ…じゃあ、あいにいこ! パパ、ミウたちのことまってる!!」 

 

 ……少し無茶だけど、それもいいかもしれない。

 

「……わかった」

 

 エセルが言うにはシャイアン基地まで船だと2時間は掛からないらしい。

 

 だったら、MKⅡで先行してもいいだろう。

 

「マスター」

 

「……ん」

 

 エセルの声に差し出された手を取ると、私の身体がまばゆい光を放つ。

 

 次の瞬間には部屋着はゴスロリ調のドレスへと変わり、髪も同様に薄い紫へとその色を変える。

 

 エセルが言うのは、この姿はマギウス・スタイルというものらしい。

 

 魔術の使用が容易になったり超人的な力が振るえるらしいんだけど、今のところはパイロットスーツ代わりが主な用途だ。

 

 ちなみにミウも同様の姿になっている。

 

 これは防護術式を応用して衣装にしたものなんだってさ。

 

 私達に合うパイロットスーツが無いから大助かりだ。

 

「では、参りましょう」

 

「……ん」

 

 三等身の小さな妖精のようになったエセルを肩に乗せ、ミウを背負った私はマギウス・スタイルの力を借りて格納庫までの廊下を飛ぶ。

 

 普通に歩いてもいいんだけど、この辺は魔術の訓練も兼ねての事だ。

 

 それに誰かに止められても面倒だしね、

 

 そのまま格納庫に収められたMKⅡの頭まで飛ぶと3人でコクピットへ入る。

 

 下で整備の人達が何か言っているけど気にしない。

 

 エセルが言うには、もう少し私の魔術が上達したらこの子は自己修復・自己進化が可能なメンテナンスフリー機体になるそうだし。

 

「……リンク・サイコミュきどうかくにん」

 

「うん。ちゃんとつながってるよ、ねえしゃま。そうさはまかせて」

 

「各魔術式も問題ありません。全システム、オールグリーン」

 

 そうしたら船から逃げて傭兵でもやろうかな。

 

『貴方達、いったいどこに行く気ですか!?』

 

「……ととさま、むかえにいく」

 

 そう返すと通信を入れてきたミツバ艦長は息をのむ。

 

「……パパいるんでしょ? パパにあうの!」

 

『ちょ…ちょっと待って!』

 

 艦長が止めようとしていたが、私達は構わず機体を発進させる。

 

 今は大人の都合に付き合っていられないのだ。

 

 ドライストレーガーを発進すると、すぐにMKⅡは長距離巡行用のモビル・フォートレス形態へ変形する。

 

 本来ならこの形態でもそこまでスピードは出ないんだけど、魔力噴出と加速術式で通常より遥かに速い速度で飛べるのだ。

 

 エセルの言うとおりにジャロウデクの幻晶騎士をバラして、奪った魔力転換炉を取り込んだ甲斐があった。

 

「……マスター、目的地付近で戦闘が行われているようです。この反応は、機械獣ですね」

 

 エセルの報告と同時に私達もある気配を感じ取っていた。

 

 アクシズ落下の日に遥か宇宙で感じた温かい感じ……間違いない、とと様だ!

 

「ねえしゃま! パパ! パパがいる!!」

 

「……ん。ととさま、たすける」

 

 魔術障壁で風の抵抗を遮ったMKⅡは音を置き去りにする速度で空を駆ける。

 

 そして、基地とそこを争うとする機械獣のシルエットが見えた瞬間、私はサイコミュを経由してトリガーを引く。

 

 自己進化の過程で己の骨格をサイコフレームへと差し替えたMKⅡ。

 

 腹部から放たれた大口径のメガ粒子砲は発射と同時に拡散すると、基地へ入ろうとしていた二体の機械獣をハチの巣にする。

 

「ねえしゃま、あれ!」

 

「……ととさま」

 

 そうしてシャイアン基地の敷地へ入った私達がモニター越しに見たモノは、機械獣へビームライフルを構えるファーストガンダムの姿だった。

 

 手の先が斧になっている量産型機械獣が、ガンダムに向けて刃の形をしたエネルギー波を放つ。

 

 けれど、それをとと様は前に出ながら躱すと、相手の打ち終わりに合わせるようにビームライフルの引き金を引いた。

 

 銃口から放たれた紅色の光は機械獣の膝、少し曲がっている為に顔を覗かせた装甲の隙間へ飛び込んだ。

 

 そして内部機構を食い破ると内側で爆発を誘発して、足を膝からもぎ取る事に成功する。

 

 次に横合いから殴りかかってきた一体に対しては頭のバルカンを目の部分に集中させ、動きが鈍ったところをビームサーベルを一閃させて首を落とす。

 

 さらには後ろを完全に向くことなく、背面撃ちで襲いかかろうとしていた機械獣の胴に付いた砲口を射抜いた。

 

 一瞬で3体を行動不能にするその手腕は、『連邦の白い流星』と言われたエースパイロットだけある。

 

 でも機械獣相手だとMS、しかも旧式のガンダムではパワーが足りない。

 

 現にとと様も撃墜じゃなくて行動不能を主眼に置いて動いている。

 

 このままだと何処かで手詰まりになるのは明白だ。

 

「……ミウ、エセル」

 

「うん、じめんにおりるついでに、いっぴきふんじゃえ!」

 

「マスター、術式の負荷軽減の準備は完了しています」

 

「……ん。ん・がいのやみよ!!」

 

 空中でMS形態に変形したMKⅡは重力に引かれるままに落ちる。

 

 とはいえ、ただ墜落しているわけじゃない。

 

 この子の全身に付いた砲門からはメガ粒子砲を、そして前面に突き出した手からは魔術が生み出したマイクロブラックホール弾をまき散らしながらだ。

 

 通常のモビルスーツよりもはるかに大きいMKⅡのストンピングにはさすがに耐えられなかったのだろう、下敷きになった機械獣はベキベキと音を立てて圧し潰された。

 

 同時に放ったビームと黒弾は回りにいる機械獣たちの身体を抉り取る。

 

『この感じ……君達はアクシズで俺を助けてくれた子か』

 

「パ───」

 

「……えんごする」

 

 とと様からの呼びかけにミウがお父さんと呼ぼうとしたけど、私はそれを遮った。

 

 そしてこちらからの映像を遮断した状態で要件を伝えると、すぐに通信を切る。

 

「ねえしゃま、どうして……」

 

「……まだ、ととさまになってくれるか、わからない。いまはダメ」

 

 私はあえて心を鬼にして縋ってくるミウに苦言を呈す。

 

 ここは戦場なんだ。

 

 もし、とと様と呼んで拒絶されたらショックで戦えなくなるかもしれない。

 

 どういう結果になるとしても、安全が確保されていなければ。

 

「わかりまちた」

 

 リンク・サイコミュで私の意図をくみ取ったミウ。

 

 彼女はMKⅡを機械獣へ疾らせると迎撃で首を薙ごうとする相手の斧型の手を躱し、右手のビームソードで相手の腹を貫いた。

 

 そして大型MS特有のパワーで相手を宙へ投げ捨てると、右手の五指に付いた粒子砲でハチの巣にする。

 

 妹はあの夢から機体操作においては私以上の腕を持つようになった。

 

 そして初めて実戦に出た時と違って、エセルがいるお陰で魔術使用際に起きる反動や外道の知識による悪意の逆流もほぼ0と言えるレベルまで軽減されている。

 

 だからこそ、封印しているリンク・サイコミュだって使えるようになったのだ。

 

 もちろん私だって妹に負けてはいない。 

 

 機械獣を投げるのと同時に射出していたリフレクタービットで哀れな犠牲者を貫いた五条の光を反射し、それで基地の中に残っている機械獣の頭を貫いた。

 

 これでシャイアン基地を襲っていた機械獣たちはすべて倒した。

 

 それを確認して緊張を解こうとしたその時、私達双子の背中を冷たいものが過った。

 

 この纏わりつくような悪意は……!

 

「ねえしゃま、てきがくる!」 

 

「……ネオジオン、くるよ」 

 

「君達も感じていたか。俺の事はいい、君達は後ろに下がるんだ!」

 

 先ほどと違って相手が人間だからか、敵襲の予兆を伝えると、とと様はこう返して来る。

 

 流石に私も今の状態では、とと様の前で人殺しはしたくない。

 

 どうしたものかと思い悩んでいる間にも、基地の前にはネオジオンの残党が駆るギラドーガが14体ほど現れる。

 

『あの子達の言ったとおりだな! ネオジオン、それもシャアに付き従っていた者たちか!』

 

『ガンダム……! まさか1年戦争の白い悪魔を再び見る事になるとはな……。その機体のパイロットはアムロ・レイか?』

 

 とと様が現れたネオ・ジオンの機体に戦意を向けていると、一団の隊長機から通信が入った。

 

『そうだったらどうする? アクシズでの借りを返すというのか』

 

『いいや、我等は過去を振り返る事はない。───だが未来の為、新たなジオンの為には総帥が必要だ』

 

『次は誰を担ぎ上げるつもりだ?』

 

『我等を侮るな! 我々が忠誠を捧げるのはシャア・アズナブルのみ!! 貴様が生きているのなら、大佐もまた存命の筈だ』

 

『まだあの男に縋っているのか!』

 

『その為には貴様の存在が邪魔だ! 消えて……』

 

『消えるのはテメエ等だぁ!!』

 

 とと様と言い争っていた隊長機、その言葉を断ち切ったのはMSの身の丈ほどもある巨大な戦斧だった。

 

『ぐわぁああああああっ!?』

 

『隊長!!』

 

 ギラドーガを頭の先から真っ二つにしたのは、流竜馬が駆る真・ゲッタードラゴンの一撃だった。

 

『あれはゲッター! ということは竜馬か!』 

 

『久しぶりだな、アムロ! ガキ共も生きているか!』

 

 ゲッタートマホークを肩に担ぎ、幾何学的な軌道で飛んでとと様の隣に陣取る真ドラゴン。

 

「……ん」

 

 無視しようかとも思ったけど、ここは戦場だ。

 

 最低限のかかわりを見せておいた方がいいだろう。

 

『こちらは地球連邦軍独立部隊ドライクロイツだ』

 

『ブライト!』

 

『アムロ、無事なんだな』

 

『よりにもよってガンダムに乗っているなんてな。懐かしい気分にさせてくれるじゃないか』

 

『甲児! お前もいるのか!!』

 

 ブライト大佐や兜甲児と再会して、喜色を浮かべるとと様。

 

『再会を喜ぶのは後にしろ。ブライト、嬢ちゃん達は下げるぞ』

 

『ええ。アムロの前で人と戦わせられませんからね』 

 

『そういう訳だ。二人とも、あとはワシ等に任せて下がるんだ』

 

 ネロのじぃじがブライトさん達を引き締めると、エルドラソウルからの通信でホセのじぃじがこう言ってきた。

 

「マスター、どうしますか?」

 

「……じぃじのいうこと、きく」

 

「じゃあ、ドライストレーガーにもどるね」

 

 私はエセルにそう応えると、後の事は任せて戦場を後にする。

 

 腐っても地球圏最強を目指す部隊、皆がそろっているのならネオジオンの残党なんかには負けないだろう。

 

 

 

 

 私の予想通り、戦闘は半刻ほどで終わった。

 

 シャイアン基地にはミツバ艦長とブライト艦長が話を通し、とと様とチェーンという技術少尉がドライクロイツに参加する事になった。

 

 今、私とミウは格納庫でとと様の事を待っている。

 

 正直言って凄く怖い。

 

 何故なら、とと様には私達を受け入れる理由がないと分かってしまうからだ。

 

 知らない間に一夜を共にしただけの娼婦が産んだ娘、男にとってはお荷物以外の何者でもないだろう。

 

 でも…それでも私達は受け入れてほしいと、父親になってほしいと願わずにはいられない。

 

 でないと私達はただの道具として生み出されたと決まってしまう!

 

 誰にも祝福されない命になってしまう!!

 

 そんなの、あまりにも悲しすぎるじゃないか……。

 

「心配するな」

 

 最悪の未来を想像してうつむいていると、ゴツゴツしているけど暖かい手が私の頭を撫でた。

 

「アムロはひねくれ者だが人の痛みが分かる奴じゃ。お前達を邪険にはせんわい」

 

 手の主は私達を心配で残ってくれているネロのじぃじだ。

 

 見ればミウもバリヨのじぃじから頭を撫でられている。

 

 うん、少し落ち着いた。

 

 ネロのじぃじ達は何時も本心で向き合ってくれるから大好きだ。

 

 もし、とと様がダメだったらネロじぃじ達と暮らすのも悪くないかもしれない。

 

 そんな事を考えている内にガンダムがハンガーに入ってきた。

 

 コックピットが開くと、白いパイロットスーツを着たとと様が下りてくる。

 

「アムロ!」

 

「あらためてお久しぶりです、ネロさん。エルドラチームの皆さんも」

 

 ネロのじぃじが呼び止めると、とと様は笑顔でこちらへ歩いてくる。

 

「無事で何よりじゃ。積もる話はあるが、それより先にこの子達の話を聞いてくれんか」

 

 そう言って私達の背中を押し出すホセのじぃじ。

 

 緊張でおぼつかなくなった足を動かして、私達はとと様の前に立つ。

 

「君達はあのサイコガンダムに乗っていた……こんなに小さかったのか」

 

 私達の身体の幼さに目を丸くするとと様。

 

「あ…ぅ……」

 

「……うぅ」

 

 私達の方は何を言っていいのかわからず、口から出るのはよくわからないか細い声だけだ。

 

 そんな様子に見下ろされていては話しづらいのだと思ったのだろう、とと様はしゃがんでくれた。    

 

 そうして互いの目線があった瞬間だった。

 

「あ……」 

 

「……あぅ」

 

「これは……」

 

 私達の心が繋がったような気がした。

 

 永遠とも思える一瞬が過ぎたあと、とと様は目に涙を浮かべて私達を抱きしめてくれた。

 

「今まで本当にごめんよ。君達は俺の娘なんだね。そしてありがとう、君達が助けてくれたから俺はここにいられる」

 

「……ととさま」

 

「パパ」

 

 受け入れてくれた。

 

 そう確信した私達は、万感の思いを込めて初めてとと様を父親と呼んだ。

 

 その瞬間、少し垣間見えたとと様が宇宙の心理を得たネコみたいな顔になっていたんだけど、どうしてだろう?

 

 それからお互いをギュッと抱きしめ合っていたのだけど、そんな私達に何かの資料を手にした兜甲児と流竜馬がやってきた。

 

「よかった。上手くいったみたいだな」

 

「アムロ。盛り上がっているところ悪いが、ちょっと話がある」

 

 声を掛けられたとと様は竜馬に目を向けると、こんな事を言い出した。

 

「竜馬、お前は小宇宙を感じた事があるか!!」

 

「はぁ?」

 

 突然の意味不明な発言に首をかしげる竜馬。

 

 まあ、当然と言えば当然である。

 

 それから何やら兜甲児達と話をしているとと様。

 

 私達は邪魔にならない様にエルドラ・チームのじぃじ達のところへ行かされていたので、内容は聞こえないけどとと様が読んでいる資料を見れば察しが付く。

 

 間違いなく私達の今までに関する事だろう。

 

 そうしてしばらくすると、とと様は竜馬に資料を返すとこちらへやってきた。

 

「二人とも、サイコガンダムを貸してもらっていいかな?」

 

「えっと…どうして?」

 

「ちょっとパパはやらないといけないことができたんだ。それに使わせてほしいんだよ」

 

 ミウの問いかけに終始笑顔で応えるとと様。

 

 けれど、その張り付けたような笑みが妙に恐ろしい。

 

 逆らってはいけないような気がしてOKを出すと、とと様は格納庫の奥へと向かって行く。

 

 その途中でシャアとすれ違った瞬間だった。

 

「アムロブリーカァァァァァァッ! 死ねぇ!!」

 

「ぐわぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

 突然、とと様はシャアの胴体をベアハッグで締め上げた。

 

「ペガサスローリングクラッシュッッ!!」

 

「ウギャーーーーー!?」

 

 そしてフロントスープレックスでシャアを頭から床に叩きつけたではないか。

 

「アストナージ! アストナージはいるか!?」

 

 行き掛けの駄賃とばかりにシャアを抹殺したとと様はメカニックのアストナージを呼び出す。

 

「どうしました、アムロ大尉? ガンダムのメンテなら……」

 

「サイコガンダムMKⅡの改造を頼みたい。メガバズーカランチャーとハイメガキャノン、あとはフィンファンネルを付けてくれ」

 

「いやいやいや、何言ってるんですか! そんな無茶苦茶な改造……ぐへぇっ!?」

 

 当然の如く断ろうとしたアストナージだったけど、彼が言葉を言いきる前にとと様の拳が腹に突き刺さる。

 

「パイロットの要求に応えられないとは、それでよくメカニックが務まるな」

 

 そしてこの言い様である。

 

「ね…ねえしゃま……」

 

「あわわ……」

 

 なんかすごいパワハラを見た!!

 

「俺は邪悪な連邦を跡形もなく全滅させなくちゃならないんだ。早くビルドアップしてくれ」

 

 そう笑う父様の眼を見て、私は思いました。

 

 アカン、あれはマジや。

 

 その後、騒ぎを聞きつけたブライト艦長が『廬山修正ビンタ』で事態の鎮圧をはかろうとするも、邪魔されて怒り狂ったとと様との間にギャラクシアンウォーズが勃発。

 

 大人同士のガチな殴り合いの最中、不慮の事故でブライト艦長の心臓が止まりかけるというハプニングがあったものの、とと様渾身の『狼牙風風流星ナックルボンバー』を左胸に受けて事なきを得たそうな。




冒険王な鋼鉄の心を宿して小宇宙に目覚めた安室零

アムロ自身もたいがいだが、娘たちのブッチギリなNTパワーによって親子であることを察した人。

こんなかわいい娘がいて、さらにアクシズの時に我が身を顧みずに自分を救ってくれたと知って父性が天元突破。

その直後、愛娘がモルモットにされていた事を知って見事にブチキレた。

あのまま行くと本気で連邦議会へ娘のサイコMKⅡで突撃を掛けていた模様。

今後は人間不信でコミュ障な娘達を甘やかしながら、戦争の早期終結に向けて奮戦する。

シャアにかんしては娘のことが忙しすぎて構っていられない。

再会と同時に必殺技コンボを叩き込んだのも、ここで抹殺しておけば後腐れないと考えたから。      
『子供達、生みの親がいなくても大丈夫だ! 新しいママはちゃんといるからな!!』


恋人に子供がいると聞いてビビったチェーン

子供の存在を聞いた当初は情緒がグチャグチャになりそうだったが、双子の誕生経緯や第二次ネオジオン抗争でサイコフレームを通して自分を助けてくれたと知って好感度が上がる事に。

今後はコミュ障で人間不信な双子と善意100%で向き合っていく。

その関係で趣味が双子に可愛い服を着せる事と、謎の技術が生えてきているサイコMKⅡの調整になる模様。

あと広報で部隊内アイドルを結成する話が出た時は、双子を推しまくる予定。


お爺ちゃんなエルドラチーム

かつて世話した戦友で弟子の娘と言うだけでも気に掛ける理由が十分なのに、モルモットとして生きてきたと聞いて過保護まっしぐらとなった。

双子もエルドラチームが相手だと刺々しい態度が鳴りを潜めて、コミュ障ながらも頼ってくるので爺さん四人も可愛がっている

なので双子の身上書を読んだ時は連邦軍総司令部にカチ込みを掛けようとするほどブチキレた。

現状で双子が互いにミユ・ミウと名前を付けているのを知るのも、その名を呼ぶ許可を得ているのもエルドラチームだけである。

とばっちりな龍星座のブライト・ノア

戦友が生きていてよかったと思ったとたんに殴り合いに発展してしまった悲しい中間管理職。

双子の事はミツバ達から聞いていて戦友の忘れ形見と思っていたので気にかけていた。

しかし彼女達の境遇と人間不信全開な態度に手が出せないでいた。

なのでアムロが生きていたのは二重の意味で嬉しかったのだが、父性爆発からの大暴走は予測していなかった。

アムロと殴り合っていた時に背中に龍の入れ墨が浮かび上がったような気がしたが、きっと気のせいである。

余談・二周目だと双子と会った際にアムロのセリフに受け入れるか否かの選択肢が現れる。

その際に受け入れないを選択すると大導師ゲージが破格の50%アップを果たし、すべてに絶望した幼女たちはその後に起こる全てのイベントをネガティブにとらえるようになる。

結果、最速だと8ステージで大導師(幼女)へと覚醒、戦力が整わない中でリベル・レギスMKⅡと戦う事に。

幼女を倒すとガチキレしたナイアが待っているぞ。  
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