幼女が魔改造されたクマに乗って時獄と天獄を生き抜く話   作:アキ山

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現状におけるクソコテ様の怒りゲージ

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 怒り  激怒  魔神化


幼女とハッスルする大人たち

 ミユの居場所を探して、アムロたちは宇宙を駆けていた。

 

「……いませんね、ミユちゃん」 

 

「陰蜂といったか、あの巨大兵器は相当な速度で移動できるようだからな。最悪地球圏から出ているかもしれない」

 

 痕跡すら見つけられない事に焦燥を隠せないバナージと最悪の事態に顔を曇らせるアムロ。

 

 地球圏から出てしまっていては、いかにZ-BLUEでも捜索の手を伸ばすのは困難だ。

 

 そうあってほしくないが、職業柄か悪い考えを拭い去る事が出来ない。

 

「カミーユ、そっちはどうだ?」 

 

 暗い雰囲気を払拭すべく少し離れた場所を捜索するカミーユへと通信を繋ぐアムロ。

 

 しかし通信モニターに出た相手の顔から朗報は無い事を察してしまう。

 

「こっちも空振りです。なにか手がかりでもあれば……!」

 

 進展しない事態に苛立つカミーユだったが、舌打ちを漏らそうとした時に脳裏に閃く物があった。

 

 それは他者を重んじ尊重しようとする強き意思。

 

 人型のみならず宇宙に存在する全ての生命を祝福し、分かり合う事を望む清き願いだった。

 

「これは……ミユちゃんなのか?」

 

「そうだ。命は宇宙を支える力、だからそれが消えるのはとても悲しい事なんだ」

 

「これがお前の示すニュータイプ……いや、人類の可能性なのか」

 

 困惑するバナージに続いてカミーユは願いの本質を掴み、アムロは思念波の示す未来に息を呑む。

 

 そしてどれほどの時間が経っただろうか。

 

 思念波が途絶えると同時に、3人のニュータイプは肺に溜まった空気を吐き出した。

 

「アムロ大尉、今のは……」

 

「ああ。あの子があれだけの意志を示す事態が起こっているという事だろう」

 

 言葉に力が籠らないバナージの意志を定める為にアムロは言葉を返す。

 

 先ほどの体験に戸惑う3人のニュータイプだが、収穫が無かったわけではない。

 

 先ほどの強烈な思念波からミユのいる場所を割り出す事が出来たのだ。

 

「急ぎましょう、アムロさん。ミユの事が心配だ」

 

「分かっている。予想通り厄介事に巻き込まれているようだしな」

 

 気持ちを新たにした3人は再びスロットルを開くのだった。

 

 

 

 

 同じころ、宇宙を駆けていた黒鉄の魔神も巫女の放った思念波を感知していた。

 

 それはシンカへの目覚め。

 

 あの幼子が到達するであろう太極へ至る階だ。

 

 己が巫女がまた一つ階位を上げた事は大変喜ばしい。

 

 究極の存在たる我が身に仕えるなら、彼女もまた宇宙の真理を掴み極限に至るべきなのだから。

 

 しかし魔神には不満な点が一つだけあった。

 

 それは巫女の力が自分以外に作用している事だ。

 

 シンカへと手を掛けた太極の一片、それを受ける事ができればゲッター線を狙う寄生虫を相手にした時のように、光子力の極致へ達する事も可能だろう。

 

 それを他の者が掠め取ろうとは───

 

(……気に入らんな)

 

 故に魔神は決意した。

 

 己が権能の一端を示し、巫女が誰のものかを分からせねばならんと。

 

 幸い、巫女の周りには宇宙に沸くゴミ虫共が集まっているようだ。

 

 踏み台としては丁度いい。

 

(しかしこの程度の加速で音を上げるとはな。これでは我と共に戦うなど夢のまた夢ぞ)

 

 ちらりとパイルダーの中でのびている兜甲児を一瞥すると、魔神は世の因果を操作して自らの依り代を亜空間へ潜り込ませるのであった。

 

 

 

 

 そしてミユが放った覚醒の産声は地球圏から遠く離れたミカゲにも届いていた。

 

「我が君よ、目覚めたか」

 

 憎悪に染まり切っていた自分にすら手を差し伸べた純真無垢なあの少女なら、宇宙の理を解して太陽の輝きへと歩む事は予測できていた。

 

 しかし、彼もそこへ至るにはもう少し時間がかかると踏んでいたのだ。

 

「そうあれと造られたとはいえ、ここまでの才とは……逆螺旋の者や奴等に感づかれるのも時間の問題だな」

 

 全ての始まりであり、宇宙の特異点と言える地球が問答無用で吹き飛ばされる事はないだろう。

 

 しかし奴等が直接手を下せば、未だ未熟な彼等では抗う事は難しい。

 

「チッ! あのクズ男め、神話型アクエリオンをどこへ……む!」

 

 遅々として見つからない切り札に舌打ちを漏らしていたミカゲは、突然湧き上がった強大な波動にアステロイドベルトの奥へ目を向ける。

 

 するとそこには黄金色に輝くアクエリオンEVOLによく似たロボットの姿があった。

 

「そうか。お前も相応しい乗り手に歓喜が抑えきれなかったか!」

 

 ようやく目にすることができた目的の物に歓喜の声を上げるミカゲ。

 

 これで求める手札は全て揃った。

 

 このアクエリオンと自らの愛の翼、そして成長を続ける彼女の力があれば奴等が相手でも遅れは取るまい。

 

 だが、眼前に聳える黄金の巨神が十全に力を振るうには準備が必要だ。

 

「まずは掃除だな。彼女を迎えるのだ、あの『ピーッ!』の匂いを残すわけにはいかん」

 

 放送禁止用語を用いてかつての恋敵をディスったミカゲは、堕天翅族特製のファブリーズ(徳用)を手にするのだった。

 

 

 

 

 どうも、体調不良で頭がグワングワンする幼女です。

 

 女の子としてあるまじき失態を犯した私は、ひーちゃんにハロの操縦を任せてシャワーを浴びております。

 

 うん、戦闘中に不謹慎なのは重々承知だから石を投げないで。

 

 けど、自分が戻した物にまみれながらコクピットにいれるほど私は心が強くないのだ。

 

 ちなみにお気に入りのひーちゃんドレスは洗濯行きになりました。

 

 着替えはあるって言ってたけど、どんな服なんだろうか?

 

「……ひーちゃん」

 

『どうしたの、ミーちゃん』

 

 私が声を掛けるとシャワー室に設置されたモニターにひーちゃんの姿が現れる。

 

「……だいじょうぶ?」

 

『うん。漂流者達もかなりの腕だし、シン達も頑張ってるからね。ミーちゃんが休んでいても余裕だよ』

 

 それなら安心だ。

 

 桂さんはオズマ隊長に勝るとも劣らない凄腕で、にぃにはザフト最強のエースだ。

 

 直感全振りの私よりも役立ってくれるだろう。

 

 とはいえ、このまま大人しくヱクセリオンに引っ込むワケにはいかないんだよねぇ。

 

「……あのツノつきにかてそう?」

 

『あー……それはキツいかも』

 

 問題はボスみたいに群の奥でふんぞり返っている一角型宇宙怪獣なのだ。

 

 ハロが変形してジガバチになった時、ミドリムシやトンガリ宇宙怪獣からアイツのデータを掴む事が出来たんだけど、アイツの必殺技って全力全開で突っ込んできて角で一突きという豪快なものらしい。

 

 三キロなんて巨体のブチかましなんて、ロボットはもちろんヱクセリオンでも耐えられないと思う。

 

 でもって、問題はそのスピードがトンデモないという事だ。

 

 ぶっちゃけた話、トップスピードに乗られたら迎撃なんてできないんじゃないだろうか?

 

 まあ、その前に足を殺す事ができれば、スーパーロボット揃いの漂流者の皆が何とかしてくれるんだろうけど……

 

『やるとなったら、対宇宙怪獣用ステルスを施したクリアハロでアイツの尻に付いてる推進装置をフレイヤで壊すしかないね』

 

「……ん」

 

 歴戦の勇士であるにぃに達なら私が小細工しなくても大丈夫だと思うけど、楽に勝てるに越した事は無い。

 

 よし! 身体もキレイなってスッキリしたし、もうひと踏ん張りと行こう!

 

 そんなワケで私はひーちゃんが用意してくれたハチ型着ぐるみパジャマを着て、コクピットへと戻って来た。

 

 ちなみにこのハチさんパジャマ、くまスーツと同じく宇宙服にもなる優れものでカッチンだって付いている。

 

 ひーちゃん曰く『今はゆったりした服の方が楽だろうし、パジャマならそのまま寝ても大丈夫』だそうだ。

 

 友人の温かい心遣いに幼女は涙が止まりません。

 

 さて、私が身を清めている間にハロは杏奈お姉さんと一緒にヱクセリオンの近くまで退いていた。

 

『シュツルム! ウント! ドランクゥゥゥゥ!!』

 

『超絶熱線砲、くらえぇぇぇぇい!!』

 

『シロ、クロ! お前等に任せるぜ!』

 

『やれやれ……』

 

『ファミリア使いが荒いニャ』

 

『シン、害虫駆除のコツは元から断つ事だぜ』

 

『ああ! 後ろに控えた母艦を狙えば!!』

 

 前線に目をやれば漂流者の皆に交じってにぃにや桂さんも大暴れしている。

 

 というか、シュバルツさんが例のゲルマン忍法の奥義で宇宙に竜巻を引き起こしてるんだけど……弁慶さんのゲッター3といい、あれってどういう原理なのかな? 

 

『ミユちゃん、格納庫に入って。あとはゴオちん達に任せてお休みしててね』

 

 私が戻って来た事を知った杏奈お姉さんはこう勧めてきた。

 

 タシロ艦長の考えも同様なのか、すでにエクセリオンの格納庫は入り口が開いている。

 

 こちらを心配してくれるのはありがたいけど、そういう訳にはいかないのだ。

 

「……あんなおねえさん、じぃじ。てきのボス、はやい。ミユ、あしとめる」

 

 私がこう言うとひーちゃんが戦っている皆に一角宇宙怪獣のデータを送ってくれた。

 

『なにこれ!?』 

 

『クッ……奴か! ガンバスターがいないのが痛いな』

 

 驚く杏奈お姉さんと苦虫を噛み潰すタシロ艦長。

 

 他の皆も奴のトンデモ速度には驚いているようだ。

 

『ミユ、このデータはどうやって手に入れたんだ?』 

 

「……うちゅーかいじゅーから」

 

 当然の問いかけに答えると、にぃには分からないとばかりに首を傾げる。

 

 さすがにアレを説明するのは難しいなぁ。

 

 私自身も正直言ってよくわかってないしさ。

 

『先ほど君の機体が示した異様な状態か』

 

「……ん。うちゅーかいじゅーからビットうまれたとき、いっしょにデータもってきた」

 

 そう返すとタシロ艦長は少しだけ苦い顔をする。

 

 艦長は宇宙怪獣と戦ってきたらしいし、あのジガバチモードは受け入れるのは難しいかなぁ。

 

 みんな明るくていい子なんだけど……

 

 なんて事を火照った頭でポヤポヤ考えていると、シュバルツさんが通信を繋げてきた。

 

『ミユ、あの力はみだりに使ってはいかん』

 

「……ん?」

 

『アレは強力だが、使いこなすには強固な心が必要となる。精神的に未熟な者が扱えば闇に落ちるぞ』

 

 そうなのか……

 

 というか、あの状態って闇に傾いてたのかな?

 

 個人的にはイイ感じだと思ったんだけど。

 

「……だから、こころきたえる?」

 

『そうだ。邪念や周囲の雑音に惑わされる事なく物事を正しく捉える明鏡止水の心、お前もそれを身に着けねばならんのだ』

 

『明鏡止水か。幼子にはいささか酷な目標ではないか?』

 

『無理難題は百も承知。だが、それを成さねばあの子は自分の力に潰されかねん』

 

『高すぎるニュータイプ能力の所為で、ギレンの時みたいに周りからの悪意でダメになっちまうって事か。やれやれ、ままならないもんだねぇ』

 

 シュバルツさんとリシュウのお爺ちゃんの問答を聞いた桂さんがヤレヤレと肩をすくめる。

 

 私としても大変扱いに困るけど、この力で手助け出来た人達もいるのであって良かったと思うよ。

 

『あい分かった。ならば儂と共に座禅でも組んでみるか』

 

『なんや。あのチビ、リュウセイ達みたいなワケありかいな』

 

『みてーだな。ウエンディがいれば対精神防御用の術式の一つでも機体に組み込んでやれたんだがな』

 

『さすがにウエンディまでこっちに来てたら収拾がつかないニャ』

 

『まあ、当面は一緒に行動する事になりそうだし、マサキが気に掛けてやればいいニャ』 

 

『いや、あの子を戦場に出すべきじゃないと思うんだが……』

 

 みんな戦ってる割にはけっこう余裕だよね。

 

 というか、鳥型ロボのパイロットはいったい誰と一緒に乗っているんだろう?

 

 あとゴオちんさんだっけ? はその辺のことはツッコまないでもらえると幼女的に助かります。

 

 さて、そんな風に話していると戦況にも動きがあった。

 

 ミドリムシを生むトンガリの数が減った事で、例の一角が動き出したのだ。

 

「……ミユ、ボスのあしとめる。あとはおねがい」 

 

 私はそう言うと射出済みの見えないハロビットを動かす。

 

 ハロ本体に残っていた最後のフレイヤはビット用に改造してこの子に持たせている。

 

 本当はダインスレイブにしたかったんだけど、そこまでは間に合わなかったから普通のミサイルになってしまった。

 

 それでも当たればダメージは与えられるはずだ。

 

 そんな事を考えてビットを操作していると、一角は物凄いスピードで突っ込んでくる。

 

 ヤバッ!? データでは分かってたけど、こんなに速いなんて!

 

 これだと回り込ませるのは間に合わない。

 

 アイツが通り過ぎた後に後ろを取るしかない!

 

『マジか! なんちゅうスピードや!?』

 

『全員散開しろ! あの速度でブチかまされたら一たまりもないぞ!!』

 

 バンチョーさんが驚く中、ゴオちんさんの声で前線の皆が一角の道を空ける。

 

 それでも通り過ぎた余波でバンチョーロボやリシュウおじいちゃんのロボットが吹っ飛ばされるくらいだ。

 

『ミーちゃん、アイツはヱクセリオン狙ってるよ!』

 

「……とめる」

 

 私はハロを操作すると右手からバスターライフルを展開する。

 

 相手のスピードだと照準を合わせている暇はない。

 

 当たらなくてもいいから、なんとか進路を変えるんだ!

 

「……いって!」

 

 砲口から吐き出された黄金の光は宇宙の闇を切り裂いて一角へと迫る。

 

 けれど、紫色の甲殻に食らいつく寸前で奴は上へと急上昇してビームを躱してしまった。

 

『逃がすかよ! サイバスター・チェンジ! サイバード!!』

 

 その後を鳥型に変形したサイバスター……でいいのかな? が追いかける。

 

 サイバスターもすごいスピードだけど一角はそんな白銀の追跡者をグングン引き離していく。

 

『サイバスターが追い付けないだと!? なんて野郎だ!』

 

 そしてサイバスターを完全に振り切ると、奴は再び進路を変えてヱクセリオンへ迫ってくる。

 

『そうはさせん! 分身殺法! シュピーゲルシャドウ!!』

 

 そんな中、シュバルツさんの乗るガンダムが加速しながら十体に分かれて奴を包囲するように待ち構える。

 

 というか分身だ! ホントに分身してるんだ! すっげー!!

 

『まずはその厄介な足を潰す! メッサーグランツ、行けぃ!!』   

 

 向かってくる一角目掛けて分身たちと一斉に投げた無数の苦無、それは互いが互いにぶつかって弾き合いながらなんとお尻の推進装置へ食らいつく。

 

『爆散ッ!!』 

 

 そして一角のお尻の刺さると同時に大爆発を起こす苦無たち。

 

 シュバルツさんの攻撃は推進器官を一つ壊したものの、それでも一角は止まらない。

 

『いかん! ミチル、奴の正面へ行くぞ! 船を守るのだ!!』

 

『おもろいやんけ! このガチンコ、受けたるわ!!』

 

『タシロ艦長! 弾幕で奴の勢いを削いでくれ!! その間に俺達が奴へ取り付く!!』

 

『分かった! 副長、光子魚雷は?』

 

『まだ撃てません!』 

 

『ならば艦首回頭! 使用できる全砲門を奴へ向けろ!!』

 

 リシュウおじいちゃん達が一角の前に立ちはだかって、じぃじのお船も迎え撃つ形をとった。

 

 今の状況だとあれくらいしか一角を止める方法は無いかもだけど、いくらなんでも危なすぎる!

 

 こうなったら、みんなのところに行く前にフレイヤで狙撃するしかない!!

 

「……ひーちゃん、てつだって」

 

『けど難しいよ。私のセンサーをフルに使っても今のミーちゃんだと40%を切ると思う』

 

「……がんばる」

 

 それでもやらない訳にはいかない。

 

 誰かが犠牲になんて絶対に嫌だもの!

 

 私は深く深呼吸をしてビットに意識を集中させる。

 

 何時もなら鋭敏に感じる宇宙怪獣の殺気も火照った頭だとノイズが掛かったみたいに捉えにくい。

 

 でも泣き言は言ってられない。

 

 この一発に皆の安全が掛かっているんだ!

 

 残った推進器官から青白いエネルギーを吐いて加速する一角。

 

 まだだ……

 

 もう少し……

 

 でも……本当に私は当たるの? 

 

失敗する可能性に弱気になった瞬間、私の脳裏に閃くものがあった。

 

 それに背中を押された私は、クリアビットに念を送ってトリガーを引く! 

 

「……あたって!」

 

 機体から剝離したコロイド粒子をガラス片のように撒き散らし、ビットは開いた口から大型の弾道弾を放つ。

 

 宇宙を駆けながら急激に加速するフレイヤ弾だが、一角の速度はそれを上回る。

 

 乾坤一擲の奥の手は虚しく空を切る、私以外の皆はそう思っただろう。 

 

 しかしそれは宇宙の向こうから放たれた赤い光弾によって覆された。

 

 高出力ビームによる遠距離狙撃、その一撃を受けたフレイヤは桜色の光球となって飲み込んだ全てを消滅させる。

 

『あれはフレイヤか!?』

 

『おいおい……あんな物騒な物まで乗せてるのか、まん丸共は』

 

 にぃにや桂さんが驚いているけど、宇宙怪獣くらいにしか使わないから見逃してもらいたい!

 

 そしてフレイヤの余波が少しづつ縮小する中、今の攻撃の立役者が現れる。

 

『上手く行ったか。これを用意してくれたチェーンに感謝だな』

 

 それは傍らを漂っていた身の丈程の大きさがある砲台を背中にマウントするνガンダムだった。

 

『初めてでよく当てましたね、さすがはアムロ大尉』

 

『こいつはサイコミュで操る大型のビームランチャーのようなモノだからな。通常のファンネルのように複数操作する必要がない分、今回のような遠距離への砲撃に向いているのさ』

 

『今のはフレイヤか? あんな物まで積んでいたなんて……』

 

 更なる助っ人はアムロさん、カミーユさん、バナージさんという私が顔の合わせづらい面々だった。

 

 さっきフレイヤを撃つ瞬間、私が感じたのはアムロさんの『何かするならフォローする! 思い切り行け!!』という応援の思念だったのだ。

 

 しかし状況が分からないのに見事ミサイルを誘爆させてみせるとは……

 

「……さすが、きちくテンパりゅうマスター」

 

『ミユ、今のはどういう意味かな?』

 

「……なんでもない」

 

 幼女ボディがつぶやいた言葉で通信モニターに映ったのはアムロさんの黒々しい笑顔。

 

 コイツはやべぇ!

 

 ますます顔向けが出来なくなったぜ!!

 

 私の失言はともかくとして、問題はフレイヤが一角に効いているかどうかだ。

 

 気を取り直してモニターに目を凝らすと、桜色の光が消えた中から一角が現れる。

 

 けれどその姿は先ほどまでと違い、後方の三分の一がごっそりと削り取られている。

 

 もちろん厄介だった推進器官もさようならだ。

 

『ここが正念場じゃ! 奴を討つには今を措いて他には無いぞ!!』

 

 リシュウお爺ちゃんの発破で皆は動き出す。

 

『任せろ! 風の魔装機神をブッちぎった借りは万倍にして返してやるぜ!!』 

 

『よっしゃあ! 大物狩りといこうやないか!!』

 

『桂! 俺達も行くぞ!!』

 

『ああ。相手は未知の化け物、再生でもされたら厄介だ』

 

『杏奈、一気に決めるぞ! ツインドライブだ!!』

 

『ご…ゴオちん、ちょっと待って!』

 

 そんな中、私の隣にいる杏奈お姉さんは宇宙での操縦に慣れていないのだろう、バタバタと機体の手足を振り回している。

 

 うむ、くまさん初心者だった私に勝るとも劣らない動き。

 

 これは前線に行くのはちょっとばかり辛いだろう。

 

「……あんなおねえさん、これにのって」

 

 私がビットを一つ出してあげると、杏奈お姉さんはガッチリと球体の身体へしがみ付く。

 

『ありがとうね、ミユちゃん』

 

「……いい。きをつけて」

 

 そう声援を送って私はビットをゴオちんさんが操縦する男性型ロボットの方へ発進させる。

 

 チャンスを逃さないようにかなり速くしたけど、あの乗り方なら大丈夫だろう。

 

『一番手は貰ったぜ! アァァカシックバスタァァァッ!!』

 

 サイバードへ変形したサイバスターが魔法陣のような物から呼び出した火の鳥を身に纏って突撃する。

 

 その一撃は強烈で一角の身体に大穴を開けてしまった。

 

 それでもまだ奴を仕留めるには至らない。

 

 大技を放ち終えて背中を見せるサイバスターの方にツノを向けると、根元から光弾を吐き出したのだ。

 

『残念だけど、そうは問屋が卸さないってね!』  

、 

『全弾撃ち落とす!!』

 

 けれどそれはサイバスターに届くことは無かった。

 

 光弾の上方から突撃してきたデスティニーとオーガスが放つミサイルとヴェスバーによって全て相殺されたからだ。

 

 そして今度は一角の方が撃ち終わりを襲われる事になる。

 

『往生際が悪いんじゃぁぁぁっ!』

 

 助走を付けて飛び蹴りを叩き込んだのはバンチョーロボだ。

 

『オラァッ!!』

 

 一角の巨体が揺らぐ程の一撃を叩きこんだバンチョーは大きく凹んだ外殻を眼から放ったビームでさらに抉ると、背中から『ご意見無用』と書かれた大きな袋を取り出した。

 

『どついて! どついて! どついてぇ!! どついてどついてどついてどつき倒すッ!!』

 

 それをどうするのかと思ったら、なんと思い切り振り被った袋を一角の傷へ向けて振り下ろしまくったのだ。

 

 あれって何か入ってるんじゃないの!

 

 壊れたりしないのかな!?

 

『消え去らせ ボケェ!!』

 

 そして最後は全身の力が籠った蹴りで損傷個所を踏み抜いたのだ。

 

 うん、なんというか滅茶苦茶痛そう!

 

 そんな暴虐ぶりは宇宙怪獣にもツラかったのだろう。

 

 一角は角が付いた先端部分をブンブンと振り回して取り付いていたバンチョーを振り落としてしまう。

 

 そうして奴が晒した大きな隙、それを見逃さない人がいた。

 

『その角は何かと物騒じゃ』

 

『故にここで落とさせてもらう!!』

 

 それはリシュウのおじいちゃんとシュバルツさんだった。

 

 お爺ちゃんの操る星型君は例のトンデモ刀を大上段に構え、シュバルツさんのガンダムは両手首からブレードを展開して一角へと突貫する。

 

『零式斬艦刀! 牙壊!!』

 

『ハァァァァァッ!!』

 

 左右双方から放たれた斬撃は、見事に一角のトレードマークである角を切り落として見せた。

 

 その間にゴオちんさんの所に杏奈お姉さんが到着した。

 

『色々ツッコミたい事はあるが全部後回しだ! 合体するぞ!!』

 

『うん!!』

 

 え、合体?

 

 あのロボットって合体するの!?

 

『ダンナー・オン!!』

 

 私の驚きを置いてけぼりに、コンパクトに折り畳まれた杏奈お姉さんのロボットがゴオちんさんの男性ロボットの胴体に収まった。

 

 アレってどういう仕組みになってるのかな?

 

『リボルバー・オープン!!』

 

 そして杏奈さんのロボットを取り込んだ男性型ロボットの両手足が一段階伸び、装甲の色が蒼から赤へと変わる。

 

『ゴーダンナー、ツインドライブ!!』

 

 あぁ、あのロボットってゴーダンナーっていうんだ。

 

『あれって合体って言うより収納だよね』

 

「……ひーちゃん、めっ」

 

 そういうのはツッコまないのがお約束なんだよ、きっと。

 

 私達の感想はさておき、合体したゴーダンナーは角が折られて動きを止めた一角にものすごい勢いで突っ込んでいく。

 

『行くぞぉ! ハァァァァト! ブレイカァァァァッ!!』 

 

 そして腰溜めにしていた右拳を叩き込んだ。

 

『はぁぁぁぁぁっ!!』

 

 赤熱化した拳が紫色の外殻を突き破ると、杏奈お姉さんの気合と共に辺りに衝撃波が巻き起こる。

 

 するとゴーダンナーの右腕を起点にして、一角の甲殻がドンドン白く染まっていくじゃないか!

 

『あれは宇宙怪獣の組織を硬化させてるんだよ。腕に仕込まれていた硬化弾ってああいう使い方をするんだ』

 

「……おおー」

 

 すごいねぇ。

 

 宇宙怪獣にも効くって事は、似たような敵と戦ってたって事なのかな?

 

『よぉし、硬化弾が効いた! これなら行ける!!』

 

 ゴオちんさんがそう言うと、ゴーダンナーは中国拳法のような構えを取った。

 

 そして開いた右手でゆっくりと円を描くと大きく上へと飛び上がる!

 

『ソウル! ブレイカァァァァッ!!』

 

 そして大きくトンボを切ると、流星のような飛び蹴りを一角へ叩き込んだ。

 

 その一撃は外殻を白く固められた一角が耐えられるものじゃなく、ゴーダンナーに蹴り貫かれたあと奴の身体は白い粉になって崩壊した。

 

『艦長! 宇宙怪獣、撃破完了です!!』

 

『よし! 諸君、よくやってくれた!』 

 

 気が付けばザコ達も片付けられていた。

 

 あ、アムロ大尉達が相手してくれたのか。

 

 ダメだ……頭がグルグルしてきた。

 

 これ以上は本当に無理……

 

『ミーちゃん、これ飲んで! 熱が39℃まで上がってるよ!!』

 

「……ん」

 

 私はひーちゃんが出してくれたカプセル薬を紙コップに入った水で流し込んだ。

 

 39℃は大人でもヤバい上がり方だ、幼女ボディでは耐えられないんじゃなかろうか……

 

 一角が倒れた事で緊張の糸が切れたのか、私はそのままコクピットに用意されたシートへ身体を預ける。

 

 体重を掛けると背もたれが後ろに倒れてベッドになるのは本当にありがたい。

 

『薬が効いたら楽になるから、そのまま寝てて。後の事は私に任せてね』

 

「……あり…がと……」

 

 体力の限界もあって、横になると一気に目蓋が重くなっていく。

 

 これはダメだ、我慢なんてム……!!

 

 夢の世界へ旅立とうとした瞬間、私は背筋を貫く悪寒に思わず飛び起きてしまった。

 

『ミーちゃん、どうしたの?』

 

「……みんな、うちゅーかいじゅーくる!」

 

『なんだと!?』

 

『本当です、艦長! 宇宙怪獣の一団がこの宙域にワープアウトしてきます! 規模は……先ほどの二倍!!』

 

 副長さんの悲鳴のような声と共に宇宙怪獣の群れが私達の前に現れる。

 

 一角も、トンガリも、ミドリムシもさっきよりはるかに多い。

 

『タシロ艦長、船は動けるのか?』

 

『副長!』

 

 リシュウおじいさんの問いかけにじぃじは副長さんに問いかける。

 

 けれど返答は芳しくないものだった。

 

『オートパイロットシステム稼働確認、航行は可能です。ですが、こうも距離を詰められた状態では……』

 

『今から撤退しても奴等を振り切ることは出来んか……』

 

 苦々しく呟くじぃじにサイバスターのパイロットさんの不敵な声を返す。 

 

『暗くなってんじゃねえよ。要はもう一度アイツ等を叩き潰せばいいだけの話だ』 

 

『そうや。逃げんのは性に合わんし、ちょうどええわ』

 

『アムロ大尉、本隊へ連絡は?』

 

『すでに送ってある。じきにここへ来てくれるはずだ』

 

『て事は、時間さえ稼げば形勢はひっくり返せるわけね』

 

『ミユ、ヱクセリオンに戻るんだ。あとは俺達に任せろ』

 

 番長さんにカミーユさん、アムロ大尉と桂さんが話す中、にぃにが私に声をかけてくる。

 

 それに頷いてハロを動かそうとすると同時に、宇宙怪獣も新たに表れた一角を先頭に突撃を開始しようとする。

 

 けれど、奴がこちらへ突っ込んでくることは無かった。

 

 何故ならその紫の甲殻が砕ける程の力で鷲掴みにする鋼の剛腕が空間の歪みから生えていたからだ。

 

『な…なんだあれは!?』

 

「……かみさま」

 

 ゴオちんさんの驚きの声に私の呟きが重なる。

 

 そして現れたのは普段より二回りも大きくなったマジンガーZだった。

 

『あれは……マジンガーZなのか?』

 

 バナージさんが呆然と声を漏らす中、マジンガーは大きく天へと吼えると力任せに掴んでいた一角を振り回した。

 

 あの腕にはいったいどれほどの力が込められているのだろうか、マジンガーに振り回された一角はその勢いのままトンガリやミドリムシを次々と叩き潰していく。

 

 この一撃で一気に陣形が崩れる宇宙怪獣達。

 

 そこにマジンガーは容赦なく光子力ビームを叩き込んでいく。

 

 金色に光る目から放たれたそれはシャワーのように拡散すると、その一発一発が空間を削り取るような威力で宇宙怪獣達を爆散させた。

 

 その圧倒的な破壊の中へ飛び込んだマジンガーは猛烈な勢いのまま幾何学状の軌跡を描き、手にした一角を使って進路上の宇宙怪獣を潰し、轢き、粉砕する。

 

 そうして群れが完全に崩壊すると、マジンガーは手にしていた一角へ宇宙に赤い筋が出来るほどの強力なブレストファイヤーを浴びせかけた。

 

 遠く離れたこちらまで余波が来るほどの灼熱の一撃、それは一角の体半分を見事に溶かし去っていた。

 

 そして死に体になった獲物を無造作に上へ放り投げると、マジンガーは止めとばかりに大嵐と間違う程のルストハリケーンを叩き込む。

 

 強酸の竜巻に飲み込まれた一角の残骸はあっという間に消滅し、マジンガーは宇宙に響き渡る程の咆哮と共に右手を大きく突き上げる。

 

 その雄姿を見ながら私は再び体を横たえた。

 

 かみさまが来てくれた安心感で再び目蓋が重くなる。

 

 もう我慢の限界だけど、最後にちゃんと言っとかないと。

 

 かっこいいよ、かみさま。  

        




幼女:さすがに色々限界。クソコテの登場に安心しておねむ

蜂:幼女のクソコテへの信頼感に嫉妬。まだ力が足りない

漂流者組:なんやあれ、ヤバくね?

現地組:またマジンガーが暴走しておるぞ!?

某風の精霊:あれって世界を滅ぼす魔神じゃね?

クソコテ様:巫女へのアピールタイム『どうだい、我は逞しいだろう?』

宇宙怪獣追加組:キュン死(物理)

現状におけるクソコテ様の怒りゲージ

■■□□□□□□□□

 怒り  激怒  魔神化
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