幼女が魔改造されたクマに乗って時獄と天獄を生き抜く話 作:アキ山
A,マハール・ターマラ・フーランパ
最終にして原初の魔神にとっては時すらも可逆的なものである。
なのでミユを巫女と認めた際に時間を遡らせ、出会った瞬間に自分を認識させたのだ。
彼女がマジンガーを知ったのは、Zの中にゼウスではなく魔神を感じる為の基礎知識として彼が情報を植え付けたからである。
ミユが憶えていたマジンガーの姿が旧テレビ版の姿だったのは、魔神にとって最も印象深いZの姿だったから。
ではミユは何時初めて魔神を認識し、魔神が彼女を見初めたのか?
それを論ずることに意味は無い。
何故ならすでにミユが魔神を認識して巫女となる未来は確定しており、その議論はもはや『卵が先か鶏が先か』というものと同じになったからである。
数ある転生後の精神的ショックの中でも極上の一発で意識を失った私ことミウ。
スーパーコーディネーターを叩き台に戦闘特化に調整されたお陰か、数分で目を覚ます事が出来た私はすぐさま自分の部屋へ戻った。
その際に気分が優れない事を理由にした所為で、御大将ヤロウから『脆弱な事だ。コレも失敗か?』などと嫌味を貰う羽目に。
正直イラっと来たけど、シロッコ辺りに勘繰られないだけマシだと思おう。
そうして自室へ入った私は、ベッドルームの隠し扉からUGセルで増設した部屋へと足を進める。
姉さまには遠く及ばないけれど、私もマザーハーロット計画の落とし子。
ニュータイプ由来の感応能力も備わっているのだ。
具体的に言うとМAXでNTレベル5くらい。
───いまカツ並とか言った方、ブチ食らわせますわよ?
そんな益にもならない事をツラツラと考えながら進むと、機動兵器が一機入る程度の格納庫が見えてくる。
「どうした? この時間は訓練と聞いていたが……」
そこに足を踏み入れれば返って来たのは、知的で落ち着いたイケボである。
「緊急事態ですわ。最悪、地球が滅亡するレベルの」
私がそう言うと木製の椅子に座って本を読んでいた美丈夫の、紫の長い髪で隠した右目に鋭い光が宿る。
「この世界でも地球が危機的状況にあるのは承知しているが、穏やかではないな。何があった?」
「マジンガーZの中に宿っていた最終にして原初の魔神が目覚めたのです。アレが本気を出したなら、如何にZ-BLUEでも勝ち目はありません」
「マジンガーにそんな物が……君が観測した世界でソレが目覚めた事はあるのか?」
男性の言葉に私はゆっくりと頷く。
「二度ほど。ですがその際にはカウンター機構が存在したお陰で大事にはなっていません」
「カウンター?」
「兜甲児の駆るマジンカイザー、そして剣鉄也の乗るマジンエンペラーGです」
「マジンカイザーにマジンエンペラーG……俺の知らない機体だ。マジンガーと言えばZ、グレート、グレンダイザーだったはずだがな」
「その二機がどういった代物かは後ほど説明しますわ。問題はこの世界にはカウンター機構が無い事です」
「なに、どういうことだ?」
「カイザーはその前身たるプロトマジンガーが存在しません。代わりにアイアンZ、エネルガーZという機体があったそうですが、自我も自己進化も持たない以上はカイザーに至る事は無いでしょう。エンペラーGも前身たるグレートの存在は確認できましたが、操縦者である剣鉄也はすでに鬼籍に入っています。万が一兜剣造が製造していても搭乗者がいません」
「まってくれ。グレートは存在するのだろう? なら誰が乗っているんだ」
納得がいかないといった風情で眉根を寄せる彼に私は深々とため息を吐く。
「ドクター・ヘルです。彼が言うには兜剣造から設計図を奪ったそうですわ」
この答えに彼は盛大に顔を顰めているが、その気持ちは痛いほどわかる。
私だってあの爺さんが自慢げに見栄を切っている記録映像を見た時は、『なんでやねん!』って心の中でツッコミを入れたし。
おそらくZEROが目覚めたのは、ミケーネに敗北したZをグレートが助けに来るというシチュエーションが合致したからだろう。
まったく、余計な事をしてくれる。
「本来ならもう少し猶予が欲しいところですが、こうなってはそうも言っていられません」
「ここから脱出するという事だな」
彼の言葉に私は首肯する。
「約束通り、お力をお貸しくださいますか?」
「命を助けてもらった恩もある。あの時に語った想いを忘れない限り、俺は君に力を貸そう」
彼から色よい返事をもらった私は、格納庫にそびえ立つ漆黒の機体を見上げる。
「もう少し時間があればタイプRVに到達できたのですが……」
「構わんさ、МKⅡ改もいい機体だ」
そう言うと彼は腕時計型の遠隔操作装置で巨人のコクピットを開ける。
「ここのハッチ操作は大丈夫でして?」
「ああ。君こそ気を付けろよ、例のクマは奴等の虎の子なのだろう」
「分かっていますわ。けれど、アレをここに残せば道具として新たな妹が生み出されてしまいますもの。絶対に置いてはいけません」
そう言い残すと私は秘密格納庫を後にする。
ビーストを奪えば奴等も本気で追ってくるだろう。
本来ならもう少し用意を整えてから行いたかったけど、あんなのが現れては迷っている暇などない。
私一人では手に負えなくても姉さまと共にビーストの本領を発揮すれば、あの魔神から逃げる時間程度は稼げるだろう。
「今行きますわ、姉さま」
会えたらもう一度抱きしめてくださいますか?
◆
【第二の人生】過酷な世界を生きる転生者を応援するスレ【地獄変】
329 姉さま命
ただいま
330 名無しの転生者
おかえり、姉さま命!
331 名無しの転生者
世界は…お前の世界はまだ無事なのか!?
332 名無しの転生者
零に還ってないか?
333 姉さま命
心配してくれてありがとう
世界的にはまだ大丈夫だ
あと私も現場に行くことにした
334:名無しの転生者
335:名無しの転生者
336:名無しの転生者
337:名無しの転生者
待て待て待て!
338:名無しの転生者
早まるな! 死ぬぞ!!
339:姉さま命
世界が滅ぶならどこにいたって同じよ!
ならば生存の可能性がある方に賭けるべきだろう!!
340:名無しの転生者
生存の可能性って……何か手はあるのか?
341:姉さま命
姉さまと合流したら姉妹の絆とビーストの全力で迎撃する
こちとら腐っても対御使い兵器
勝つのは無理でも逃げる時間なら稼げるさ
342:名無しの転生者
逃げるってどこに逃げるんだ?
343:名無しの転生者
世界が滅んだら逃げ場所なんてないだろ
344:姉さま命
ビーストのエネルギーをオーバーロードさせれば次元振動が起こせるはず!
そこから別の並行世界へトンズラするんだ!!
345:名無しの転生者
なんという捨て身の戦法……
346:名無しの転生者
姉さま命…マジだな!
343:名無しの転生者
ビーストって二人乗りだったんだな
344:姉さま命
一人乗りだけど私が複座に変えた。
私が操縦、姉さまがサイコミュと索敵を担当って形にね
345:名無しの転生者
地球圏屈指のニュータイプと最強レベルの戦闘コーディネーターのコラボかよ!
346:名無しの転生者
それが超兵器を使うとなれば、クソコテ様相手でも一矢報いれるかもな!
347:名無しの転生者
地球圏屈指のニュータイプ? 最強レベルの戦闘コーディネーター??
姉さま命、お前等を造った計画ってどういうものなんだ?
348:姉さま命
私達を生み出した『マザーハーロット計画』は、月と地球のGシステムが関わってるせいか二つあるんだ
一つはGシステム・アースが提唱するもので、ニュータイプの共感能力とイノベイターの脳量子波を使って宇宙に住む他の生命と相互理解を深める。そうして正道シンカの果てに御使いを倒す力を得る計画
もう一つはGシステム・ルナの案で究極の兵器とパイロットを生み出して、その力で御使いを殲滅する計画
349:名無しの転生者
なるほど、アース計画が幼女でルナ計画が姉さま命ってわけか
350:姉さま命
便宜上はね
私は姉さまの戦闘能力がルナ計画に相応しくないから追加で作られた個体だし
351:名無しの転生者
けどお前の組織、よく行かせてくれたよな
やっぱ幼女も大事だったって事か?
352:姉さま命
何言ってんの?
脱走したんだよ
353:名無しの転生者
ファッ!?
354:名無しの転生者
なにやってんの、お前!?
355:名無しの転生者
ビーストもお前も計画の要なのに、そんなん逃げたら絶対に追手来るじゃん!
356:姉さま命
心配ご無用!
私には頼もしい味方が付いてるからね!
【宇宙を駆ける黒いゲシュペンストМKⅡ改と通信モニターに映る紫色の髪のイケメン】
357:名無しの転生者
358:名無しの転生者
359:名無しの転生者
360:名無しの転生者
ヘリォォォォスッ!
361:名無しの転生者
ア…アポロン総統!!
362:名無しの転生者
誰も本名言ってなくて草
363:名無しの転生者
え…なんでこの人いるの?
また因果の絡みで並行世界を流されてきた?
364:姉さま命
>>363
正解
狩人さん、パイスーで宇宙を漂ってたんだよね
訓練中に見つけた時は滅茶苦茶ビビった
あとGシステムの目を掻い潜って匿うのは本当に苦労したよ
366:名無しの転生者
それで脱走する時に手を借りたって訳か
366:名無しの転生者
そういえば新西暦だったら情報部所属だったな、その人
367:名無しの転生者
ところで狩人さんはどの世界の人間なんだ?
366:姉さま命
話しを聞く限りOGっぽい
ただ他の世界もそれなりに巡ってるみたい
363:名無しの転生者
ゲシュペンはどうしたんだ?
364:姉さま命
訓練の的代わりに使ってた旧式を雛形にUGセルで作った
だからガワはゲシュペンだけど中身はほぼМS
365:名無しの転生者
さすがにPTを再現するのは無理だったか
365:姉さま命
データが無いと流石にねぇ……
あ、一応武装の方はほぼ再現してあるよ
ジェットマグナムもばっちり
366:名無しの転生者
なんにせよ、心強い助っ人だな
367:名無しの転生者
ああ 上手く幼女と合流出来たらひょっとするかもだ!
◆
皆様、お久しぶりにございます。
Zパンツが妙に履き心地のいい幼女です。
突発的ながら必然を持って始まってしまった神様対Z―BLUE戦。
特等席過ぎる場所で見ている幼女としては、迫力満点すぎてまたチビってしまいそうだ。
とはいえ、私ものんべんだらりとパイルダーの補助席を占拠しているわけじゃない。
人間レーダー+光子力集積器の役目はしっかり果たしているのだ。
にぃに達と戦うお手伝いをするのは心苦しいけど、神様が手加減する代価なんだから仕方ない。
私がやらないと、高次予測とか因果律兵器とかヤバそうなものを使うって言ってたし。
あと、光子力の方は神様の言う通りにしたらエラいことになってしまった。
チビを通して、こことは違う並行世界のマジンガーに対する祈りや憧憬みたいなのにアクセスできるようになっちゃったんだよね。
でもって、それが光子力になって神様に注がれてるから、ぶっちゃけエネルギー切れがありません。
神様いわく『次元連結システムの原理を取り込んだ』そうなんだけど、これってすごくない?
『俺達を甘く見るんじゃねえ! 断空剣!!』
そんな事を考えている間にも、忍さんのダンクーガが剣を振り下ろしてくる。
速くてとっても痛そうなんだけど、その闘志はすごく読みやすいんだ。
機械道魔神空手・豪波刀割り!!
そして私の感覚を読み取った神様は剣の腹へ黒鉄の掌を叩き込む。
途端に二機の間に生じる轟音と衝撃波。
その結果、ダンクーガの剣は甲高い音を立てて半ばから砕けてしまった。
『な…断空剣がっ!?』
『へし折れた…だと?』
ごめんね、獣戦機隊のお兄さん達。
私だったら攻撃が来るのを分かっていてもズンバラリと開きにされていたんだけど、神様はそんなヘマをおこさないのだ。
【愚かな! それで神を騙るとは片腹痛いわ!!】
『うおおっ!?』
タダでさえ強固な超合金Zは光子力が循環する事でさらに固くなり、それを神様がトンデモないスピードとパワーで振るう。
そんな拳を食らえば、スーパーロボットと言えど容易く吹き飛ばされてしまう。
けれど相手は何度も世界を救った一騎当千の勇者たち、この程度で怯むわけがない。
横っ飛びに弾かれたダンクーガの後ろに控えていたのは、展開した全砲門へ剣呑な光を灯したダンクーガ・ノヴァだ。
『先輩の借り、万倍にして返してやるわ! 断空砲、発射ぁっ!!』
葵さんの啖呵と共に襲い掛かってくる莫大なエネルギー。
МSはおろかスーパー系の敵でも容易く蒸発する程の砲撃に対して、神様は胸元へ揃えるように両掌を前に構える。
機械道魔神空手・百烈受け!!
そして断空砲のエネルギーを光子力を宿した両手を高速で動かす事で払いのけてしまったのだ。
『嘘ぉっ!?』
『なんてインチキ!』
あまりの光景に思わず抗議の声を漏らす葵さんやエイーダさん。
私も仕方ないと思うけど、だからといって神様の前で隙を晒すのは悪手だ。
機械道魔神空手・連環掌!!
その所為で光子力と断空砲のエネルギーが残る掌底を胸元に食らって、ダンクーガ・ノヴァは後ろへ吹っ飛ぶことになる。
さて、ここで私は重大な事に気付いてしまった。
神様は戦う理由を私には説明したけれど、他の皆にはしていないのである。
その証拠に挑発でブチキレた忍さん達は兎も角として、他の皆はマジンガーの鎮圧を主目的にしているのがビンビン伝わってくる。
あ、にぃにとひーちゃんは私を助ける一択だけど。
さすがにこのままだと神様の評判は悪くなる一方だ。
一応巫女を任されている身としては、それを見過ごすわけにはいかないよね。
「……むんむぅ」
そんなワケで久々のテレパシートークである。
さあ唸れ! 私のニュータイプパワー!!
サイコフレームはないけれど必死になって思念を送ってみると、皆へ意識が繋がるのが分かった。
宇宙にはZ‐BLUEに匹敵するような強者がいくらでもいる。
さらには例外もいるけど今の皆は力に制限を加えられている状態だ。
それではこれからの戦いを勝ち抜いていけない!
だから神様道場で限界を突破してちょうだいな!
こんな感じでイメージ付きのメッセージを送ると皆は明らかに戸惑いを見せた。
『ミユ、今のイメージは本当なのか?』
「……ん。かみさま、そういってた」
アムロ大尉の問いかけにコクコクと頷く私。
対ジェミニアの情報をくれた神様は嘘をつかないのである。
『なるほどなぁ。だとしたら気が楽だぜ!』
『味方を倒すんじゃなくて、全力でぶつかればいいんだからよ!』
『俺達の力を抑えるモノが何なのか分からないけど、そんな物はすぐに跳ねのけてやるさ!!』
闘いの趣旨が分かってやる気が上がったのは、上から赤木さん・アルトさん・あとはにぃにである。
「……にぃにはだいじょうぶ」
『え?』
「……かみさまがもうはずれてるだって」
イメージを送る際に神様が視覚を同調してくれたみたいで、私にも皆の力を抑える枷のようなものが見えている。
未だに掛かっているのは、アムロ大尉、カミーユさん、アルトさん、赤木さん、正太郎君にワッ太くん。
あとは竜馬さんにタケルさん、シモンの兄貴などなどだ。
見ていると新世時空震動の後に仲間になった人には付いていないみたい。
ちなみに皆の能力は頭の上にアイコンとして見えているんだ。
例えば竜馬さんはゲッターの顔、アムロ大尉達ニュータイプはひらめきのイメージみたいな感じだ。
枷が外れて力が出せる人はカラーになっていて、封印されている人はモノクロになっている。
あと個人的な疑問としては、同じ能力っぽいキラさんとにぃにの違いだ。
キラさんは紫色の固そうな木の実なのに、どうしてにぃにはフライパンに掛けられた赤いポップコーンのタネなのかな?
これって発動条件がにぃにの方が甘いってことなの?
そんな事言ってる間にポンッて弾けちゃったし。
そんな風に首を傾げていると一団から飛び出した機体があった。
それはワッ太くんと正太郎君のスーパー小学生コンビだ。
『そういう事なら遠慮はしないぜ! 上手く合わせろよ、正太郎! トライダー・ビーム・キャノン』
「うん! 鉄人、ローリングアタックだ!!」
トライダーが放つ高出力ビーム砲を牽制に、空中から錐揉み回転しながら頭から突っ込んでくる鉄人。
ビームを躱そうとすれば鉄人の迎撃が間に合わず、鉄人を迎撃しようにもビームが邪魔になる。
自ら武器を封印している神様には上手い手だと思う。
けれど、神様は二人の上を行く。
轟音を立てて大地を蹴ると、飛んでくるビームキャノンを振り上げた脚で蹴り返したのだ。
『鉄人!?』
予想外の角度から飛んできたビームをお腹に食らって失速する鉄人は、続いて放たれた回し蹴りを横顔に受けて吹っ飛んでいく。
『ビームを蹴り飛ばすなんてどうなってんだ!? うわぁっ!』
さらに吹き飛ぶ鉄人の身体で三角跳びを行った神様は、戸惑うトライダーにも蹴りを叩き込む。
余裕綽綽で着地する神様とは対象に土煙を上げて地面へ沈む二体のスーパーロボット。
「……ワッたおにいさん、たけがのびるみたいに、もっといきおいよく。トライダーはちゃんとこたえてくれる。しょうたろうおにいさん、てつじんとたいようをしんじて。てつじんはがんじょう。たいようのちから、もっとだせる」
とりあえず、頭に過ったイメージを言葉にしてみる。
私みたいな幼女のアドバイスなんていらないだろうけど、猫の手くらいは役に立つと思うので参考にしてくれると幸いです。
次に現れるのは右手からドリルを生やして突っ込んでくるグレンラガン、そして神様を挟み込むように超スピードで回り込むゲッター2だ。
『シモン! 俺がスピードでかく乱する、お前は奴が隙を晒したところを抉り取れ!!』
『おう!!』
ゲッター2の超スピードは当然ながら私の目には追えず、隼人さんもフェイントに闘志を込める事で直観を掻き回してくる。
敏感過ぎる私の感覚を逆手に取った作戦は、さすが頭脳派と言うべきなのだろう。
けれど、私だって何時までも勘任せの幼女ではない。
皆が頑張って殻を破ろうとしているのだ、私だって成長しなければ!!
そう気合を入れ直すと私は呼吸を深くする。
隼人さんの動きに翻弄されるのは、私を主体として意識を広げているからだ。
なら視点を切り替える事ができればどうだろう?
例えば、天からこの場所全体を見下ろすように感じられれば……
そう考えた私は意識の糸を伸ばす。
今までのように自分を中心とするものではなく、天…すなわち宇宙を目指してそこから視野を広げる。
糸が地球を出ると宇宙へ出た時のように認識が広がっていく。
すると神様を中心として動き回るゲッター2と力を溜めているグレンラガンの姿を掴む事が出来た。
伝わる意識からするに、ゲッターチームは隼人さんを起点としてジェミニアに浴びせた変型連続攻撃を食らわせて、そこからグレンラガンがギガドリルブレイクに繋げるつもりなのだろう。
そうして戦場を俯瞰するようになった私の視点は様々なモノを捉え始める。
頭上から急襲しようと上空へ舞い上がるヴァルキリー隊や、隼人さんのソニックブームが巻き上げる砂埃を目隠しに近寄るATとアーム・スレイブ。
ステルスで姿を隠して不意打ちを狙うデスサイズ、シモンの兄貴を援護する為に砲門を開くヘビーアームズ、こちらの真上を取ってバスターライフルを固定するウイングゼロ等々。
【よくやった、巫女よ】
賞賛の言葉と共に神様は突進してくるゲッター2の顔面にカウンターの裏拳を叩き込む。
『ぐおおおおおっ!?』
【動きも覚悟も甘い。そんな様ではまた置いていかれるぞ】
縦に回転しながら吹っ飛ぶゲッター2だけど、百戦錬磨の彼等はその程度では参らない。
『舐めるなぁ! チェェェェェンジ! ゲッター1!!』
なんとあの状態から分離すると即座にゲッター1へと変型合体したのだ。
『おおりゃあああああっ!!』
肩口から巨大な斧を取り出すと大上段に斬りかかる竜馬さん。
けれどその刃が黒鉄の身体に食い込む事は無い。
間合いを詰めた神様はゲッター1の右手と首を掴むと、グルリと身体の位置を入れ替える。
すると赤い装甲に生えた蝙蝠の羽がサングラスを象ったブーメランによって切り裂かれる。
『ぐぅっ!? ヤロウ!』
『クソッ! ゲッターを盾にしやがった!!』
ゲッターの背後には胸のグラサンを投げた体勢で固まっているグレンラガンがいる。
そんな彼に神様は剛速球のようなスピードでゲッターの巨体を投げつける。
『うおおっ!?』
『ぐっ……大丈夫か、ゲッターチーム!』
『シモン、奴が来るぞ!!』
【ゲッター線に愛されし者よ、恐れるな! その力に身を任せ、そして食らい尽くしてみよ!! そして螺旋の戦士! 頭上に限界を造るな! 貴様の描く螺旋は天をも貫くものであろう!!】
機械道魔神空手・ ゲヘナドリル!!
『ぐああっ!?』
『うわああああああっ!?』
強烈な捻りを加えた貫手がゲッター1の背後を抉り、グレンラガンとゲッターは錐揉み回転しながら吹き飛んでいく。
そんな神様の行く手を阻むのは、全身を赤く光らせた刹那さんのダブルオー、そしてアレルヤさんのガンダムだ。
『アレルヤ、速度でかく乱してくれ! 奴が隙を見せた瞬間に俺が切り込む!!』
『わかった! 行くよ、マリー!!』
『ああ!』
アレルヤさんのガンダムは高速で神様の周りを飛びながら、両手のマシンガンを放つ
牽制というだけあって狙いは正確で、弾幕は神様の動きを封じるように手足へ集中している。
けれど、私と感覚が繋がった神様は滑るような足捌きでその弾丸を次々に躱していく。
『なっ!?』
『我々の狙いが読まれている!? 例の子供の仕業か!』
驚くアレルヤさんと私に当たりを付けるマリーさん。
というか、マリーさんは戦闘中だと口調が変わるのね。
そんな事を考えながらも、私は今までとは違う感覚に少し戸惑っていた。
ガンダムが放つ粒子が濃くなっていくにしたがって、刹那さん達の思考がニュータイプの感応の他にも頭から伝わる波のようなモノに乗って伝わってくるのだ。
『うっ! アレルヤ、この感じは……』
『うん、僕も感じた』
『ミユ、まさかお前は……!』
頭の中に直接伝わるアレルヤさんやマリーさん、刹那さんの戸惑い。
そして私の頭は二人の後ろでこちらを狙っている二機のガンダムの存在も捉えていた。
「……かみさま」
【分かっている】
言葉と共に腰を低く落とした神様が放つのは空手でよく見る正拳突きだ。
『バカな!? あの弾幕の中で、こちらに気付いたというのか!』
『あのおチビ、少しは手加減しやがれ! うおわぁっ!?』
それは強烈な衝撃波を生み出し、少し離れた場所でバズーカとライフルを構えたロックオンさんとティエリアさんのガンダムを吹き飛ばす。
『ロックオン! ティエリア! だがっ!!』
そしてこちらへ斬り込んできたダブルオーも、跳ね上がった神様の足刀で右腕ごとソードをもぎ取られ、アレルヤさんのガンダムを巻き込んで吹き飛んでしまった。
「……せつなさん、ダブルオーがおいついてない。のりかえどきかも」
【見事だ、巫女よ】
一難去って我知らずため息が零れる。
この時、自分では気づかなかったけど私の瞳は金色に染まっていた。
幼女:知らない間に計画Aに必要な能力に目覚める。
実はハロのトランザムの他にもGN粒子と触れ合う機会はあり、データ取りの為にアジトへ量子変換移動していた際に遺伝子レベルで粒子の影響を受けていたりする。
これで無生物や人外ともコンタクトが取りやすくなり、シンカの段階はさらに進む。
クソコテ様:我が世の春を満喫中。何だかんだといい様に理由を付けているが、実は最強を示す為に可能性の光と戦って勝てるかの実験も兼ねていたりする。