幼女が魔改造されたクマに乗って時獄と天獄を生き抜く話   作:アキ山

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遅れに遅れて大変申し訳ございません。

大導師を扱うプレッシャー故に筆が上手く動かなかったのでございまする。

けれど、それも何とか乗り切った。

秋になるまでに時獄編は終わらせるぞー!!


幼女と二つの特異点

 その人が現れた瞬間、明らかに宙域の空気が変わった。

 

 今までの少し緩んだそれが、肩へ重く圧し掛かる重圧と共に息苦しい物へと。

 

 それほどまでに、漆黒の巨神を引き連れて現れた美貌の魔導師の放つ覇気は凄かった。

 

『うほっ! いい男』

 

『待て! あれをよく見ろ!!』

 

『宇宙空間でロリを侍らせている……だと?』

 

『なんだ、総帥のお仲間か』

 

『イケメンでもロリコンはないわー』

 

『かぁぁぁぁぁっ……ぺぇっ!!』

 

 そんな中でもネオジオンのお姉さま達は、マスターテリオンの横にいる女の子を見て口々に文句を言いながら背を向ける。

 

 この状況でも本当にブレないなぁ。

 

『姉さま、下がってください!』

 

『お前がミユに悪い影響を与えた魔導師か!』

 

 そして私をマスターテリオンから庇うように、ミウの3ちゃんとにぃにのデスティニーがハロの前に出る。

 

「……だいじょぶ、ミユもたたかう」

 

 私はハロの手を3ちゃんの肩に置くと、ミウの前へ出た。

 

 歴戦の強者なにぃにはともかく、ミウからは怯えの感情が伝わってきたからね。

 

 姉としては妹の後ろに隠れるわけにはいかないのだ。

 

『マスターテリオン!!』

 

 そんな私達はともかく、彼の登場にいきり立ったのは、魔導探偵の大十字さんだ。

 

『息災のようでなによりだ、我が好敵手よ。だが、魔を断つ剣のほうは、そうではないようだな』

 

『よくもぬけぬけと……! 誰の所為でそうなったと思っている!?』

 

『もとより、我等の戦いとはそういうもの。責は敗北した方にある』

 

『主従共々命あるだけ儲けものと思いなさい、アル・アジフ』

 

 けれど、大十字さん達の声にマスターテリオンは楽しげに微笑みながら、隣の女の子は冷たい視線を向けて反論する。

 

 そんな彼等に大十字さんが向けたのは二丁拳銃の銃口だった。

 

『アル! やるぞ!!』

 

『ああ! 奴の目的は何であれ、好きにさせるわけにはいかん! 行け、九郎!!』

 

 アルお姉さんの声と共に銃口の前に青と赤の魔法陣が浮かび、そこへ強大なエネルギーが注ぎ込まれる。

 

「……フォーマルハウトよりきたれ。かぜにのりてあゆむものよ、きたれ」

 

『ミーちゃん?』

 

「……ん。なんかビビッときた」 

 

 この感じ、アブラハダブラを覚えた時と似てるんだけど、どうやら私にはあの魔術は使えないみたい。

 

 うーむ、残念。 

 

『イタクァ、クトゥグア―――神獣形態ッ!』

 

『イア、クトゥグア! イア、イタクァ!!』

 

 二つの銃口から放たれるのは赤と青の弾丸。

 

 赤は宇宙の闇に炎の尾を引いて、青は軌道を読ませないようにランダムに動きながらマスターテリオンへ突っ込んでいく。

 

『……ふっ』

 

 けれど、その弾丸は黒い機体へ食らいつく前に見えない壁にぶつかって砕けてしまった。

 

『くっ、やはりデモンベイン無しでは……!』

 

 苦虫を噛み潰すアルお姉さんとは裏腹に、マスターテリオンは余裕の笑みを崩さずにクォーターへ目を向ける。

 

『あの機械人形は貴公の手によるものか、ドクター・ウエスト』

 

『そのとーり。だが魔術障壁一つ貫けぬようでは、調整が足りなかったと言わざるを得ないのである』

 

『そう謙遜するモノではない。ただの機械人形で旧支配者の神獣形態を制御させたのだ、余は貴公の手腕を大いに評価するぞ』

 

『吾輩にはもう別のパトロンが付いているのでな、元雇い主に評価されても嬉しくないのであーる!』

 

 マスターテリオンを前にいつもと変わらぬ態度を取るウエスト博士。

 

 でも不敵に見える笑顔には冷や汗が一粒浮かんでいた。

 

 彼もあの大導師の危険性を分かっているのだろう。

 

『大十字九郎、そしてアル・アジフよ。貴公等との決闘は常に胸躍る催しだが、残念なことに現状では弱い者いじめにしかならんようだ。ここは一つ、脇へ退いていてもらおうか』

 

『なんだと! ──うわっ!?』

 

 マスターテリオンの言葉に大十字さんが怒りの声を上げたけど、大導師の後ろに立つ黒いロボットが手を向けた瞬間にデモンベインは見えない力に弾かれて後ろへ飛んで行ってしまう。

 

『さて、贄の少女達よ。その機体は大淫婦由来のモノではないようだな』

 

 背後の黒い巨人と共に私とミウに視線を向けるマスターテリオン。

 

 そのプレッシャーに私達は思わず身を固くする。

 

『どうやら機を逸したようですね、マスター』

 

『そのようだ』

 

 隣の女の子の言葉に小さく肩をすくめる大導師。

 

 どうやら、私達はハロや3ちゃんに乗っているのは都合が悪いらしい。

 

『とはいえ、このまま帰るのも芸がない。……ふむ、ここはジェミナイの戦士が持っていた無念を晴らすとするか』

 

 アクシズにめり込んだまま微動だにしないジェミニアを見た後、マスターテリオンと女の子は黒いロボットへ吸い込まれた。

 

 そしてロボットがアクシズへ手をかざすと、なんと小惑星が地球へ向けて加速を始めたじゃないか!

 

『彼の者は地球とそこに住まう人々に羨望と憎悪を抱いていた。己の星が滅びの道を辿ったのに、何故貴公等は平穏に暮らしているのか、とな。あの憎悪を思えば、彼の者もこうしたに違いあるまい』

 

『マスターテリオン! てめえっ!!』 

 

 ボロボロになったデモンベインで戻ってきた大十字さんの怒りの声が響く中、私はマスターテリオンの言葉にどこか納得していた。

 

 初めてガドライトの気配を感じた時のあのドロドロとした感じ、あれは彼の中で渦巻く地球への嫉妬と羨望だったのだ。

 

『アクシズ! 通常ならあり得ない速度で加速していきます!!』

 

『このままでは阻止限界点を突破まで30分も掛かりません!!』

 

『くっ!? 大統領府へ緊急連絡! 最悪のケースを想定して、市民をシェルターへの避難要請を出せ!!』

 

『うろたえるな! アクシズの落下は想定されていた事だ!! ジェフリー艦長! 我々は落下阻止に動きます!!』

 

『頼む、ブライト艦長!!』

 

 後方に位置していた母艦から混乱するクルーを纏め上げようとしている艦長達の声が響く。

 

 そんな中、マスターテリオンが戦域全ての者へ語り掛ける。

 

『貴公等は地球を守る正義の徒なのだろう? ならばこれは余からの試練である』

 

 その声も、言葉の内容も傲慢不遜としか言いようがない。

 

 けれど、そんな物言いが彼には酷く似合っている。

 

『見事、この滅びを覆してみせよ。それが出来た時、はじめて余は貴公等を敵と認めよう』

 

 つまり、今の私達は彼にとって敵ですらないということか。

 

『贄の少女達よ、次に相まみえる時は本来の乗機を駆っている事を期待するぞ。黙示録の獣を乗りこなせるか、それとも貴公等が食い殺されるか。答えはその時に出よう』

 

 そう言い残すと、マスターテリオンの乗る漆黒の機体は宇宙の闇に溶けるように消え去った。

 

『クソッ! あの野郎……』

 

『今のがミユが繋がったっていう最強最悪の魔導師なのか?』

 

『そうだ。魔術結社ブラッグロッジの大導師にして、魔導書「ナコト写本」を所有し、鬼械神「リベル・レギス」を使役する背徳の獣。奴こそが我等の怨敵だ』

 

 デモンベインに肩を貸すにぃにの問いかけに、アルお姉さんが苦い顔で答える。

 

 というか、大導師に構っている場合じゃないや!

 

『Z-BLUE各員に告ぐ! アクシズ落下を阻止を最優先とせよ!!』

 

 オットー艦長の激に私は移動を始めたアクシズへハロを加速させる。 

  

 その間にもネオジオンに繋げた通信機から彼等の戸惑う様子が聞えてくる。

 

『おいおい、やべぇぞ!!』

 

『たしかにアクシズを堕とすのが俺達の目的だけど、これは状況が悪すぎる!』

 

『変態の指示で婚活ついでに大虐殺とか、末代までの恥どころの騒ぎじゃねー!!』

 

『こんな事になるなんて……ワッタ君、こうなったら私達が新しいアダムとイブになるしかないわ!』

 

『ノルマは一人3人! これで18人は人が増えるわ!! 頑張れ、タケル君!!』

 

『雷太さん! あなたの漢らしい欲を受け入れる準備はできてますわ!! さぁ!!』

 

『生命の危機だからって盛ってんじゃねーよ、バカ女共!!』

 

『この土壇場で【「彼の法」集団】のように性愛信仰にでもハマったか!? これは拙僧が彼奴等のカルマを祓うほかあるまい!』

 

『というか、いい加減奴等を止めろ! とくにリリアナ!』

 

『お前はどう見てもイブよりリリスじゃねーか!!』

 

『禁断の果実(意味深)を子供に食わせるんじゃない!!』

 

『ウチの雌犬達がすみません!!』

 

 どうやら彼等も混乱しているようだ。

 

『というか、この戦いが始まってから混乱していないネオジオン兵を見た事が無いんだけど』 

 

「……ひーちゃん、め」

 

 そういうことは分かっていても言わないのが優しさだと幼女は考えます。

 

 ハロを全力で飛ばしてアクシズの先頭に辿り着くと、艦長達がアクシズを止める方法を模索しているのが聞えてきた。

 

『ブライト艦長、ラー・カイラムの核ミサイルはどのくらいありますか?』

 

『緊急で持ち出したモノが20発、それでアクシズを砕けるかどうか……』

 

『さすがに真ライガーでも、あれを完全にバラバラにするのは手間だね』

 

『では真ライガーでアクシズに大穴を開け、そこへトレミーとダナン、そしてラー・カイラムのミサイルを一点集中で叩き込むという方法はどうでしょう?』

 

『それでアクシズの解体に成功したら、あとはクォーターのマクロスキャノンやネェル・アーガマのハイメガ粒子砲で破片を破壊していくという事ね。それで行きましょう、テッサ艦長』

 

 私にも何か手伝える事がって、神様がアクシズを壊しちゃダメって言ってなかったっけ?

 

『待ってくれ、ブライト!』

 

『シャア! まだ生きていたのか!?』

 

 そんな事を考えていると、シャアから通信が来た。

 

 気になってモニターを見てみると、セイラお姉さんの3号機がまき散らすマイクロミサイルの群を、飛び込み選手みたいにキリモミ回転しながら躱し続ける二機の紅い機体があった。

 

 あんな動き、どうやったらできるんだろう?

 

 色んな意味で凄いや。

 

『新時空振動の原因となった大特異点はアクシズなのだ! アレを破壊しては時空修復が出来なくなってしまう!!』

 

『なんだとっ!?』 

 

『あの新時空振動は、どこかの世界で起こったアクシズ堕としによって引き起こされた! 故に私はキーとなる特異点となった!! だから殺さないでくれ、アルテイシア!?』

 

 元々青白かった顔を更に血色悪くして叫ぶシャア。

 

 そうか、パラダイムシティで見たアクシズが落ちた後の地球の光景。

 

 あれは多分新時空振動が起こった後の地球の光景だったんだ。

 

『つまり、クワトロ大尉がネオジオンを組織してアクシズを動かしたのは……!』

 

『アクシズ堕としに近い状況を作り出して、時空修復を行う為だったのか!』

 

 シャアの真意を知って驚きの声を上げるカミーユさんと赤木さん。

 

 でもこれって、私がもっと早くにシャアの考えを読もうとしたら知る事が出来たんじゃないだろうか。

 

「……ごめんね」

 

『む? なんだかよく分らんが、気にしなくていい』 

 

 私はシャアに通信を繋げて、ペコリと頭を下げた。

 

 正直、フロンタルの一件がトラウマになっていた所為でシャアの思念を深く読もうとしなかったんだよね。

 

 シャアの方も多分特異点とか重要な部分は隠していたから分からなかったんだ。

 

 この手の看破も私の仕事なのに……すまねえ、みんな。

 

『だったら、フロンタルは撃墜していいって事ですよね!』 

 

『いや、それもダメだ。私の影武者のぉっ!? 役目を担っていたせいか…なんとぉ! フロンタルはアクシズが落ちた世界のシャア・アズナブルの…まだだ! まだ終わらんよ!! 記憶や思考を受け継いでてしまっている! その所為で…チィッ! 奴もまた特異点になってしまっているのだ!!』

 

 セイラお姉さんが撃ちまくっているバズーカとビームライフルを回避しながら必死に説明をするシャア。

 

 逃げの姿勢全開なのに後ろも見ないでよく躱し続けられるモノである。

 

 ……ん? ちょっとまって。

 

『そう、つまり貴方と私は同じ存在という事だ、シャア・アズナブル。だからこそ、時空修復などさせるわけにはいかん!』

 

 セイラお姉さんの猛攻を躱しながら、フロンタルはファンネルを展開する。

 

『アクシズは地球に落ち、荒廃した青い星に代わってサイド共栄圏を築いたスペースノイドが人類を支配する! その正しい歴史へ人々を導くためにも協力してもらうぞ、赤い彗──ぬふぅ!?』

 

『ふざけるな! 私は断じて貴様などではない!! 男色幼女趣味の男が──うわっ!?』

 

 そんなフロンタルを迎撃しようと意識を向けるシャア。

 

 しかし、それが彼等にとって命取りとなった。

 

 その隙を突いて、爆発的な加速をした試作3号機がシャア達をコンテナの左右から生えた鉤爪でガッチリ掴んでしまったのだ。

 

「……ザリガニロボのおてて、にてる」

 

『あんなのオーキスに着いてたっけ?』

 

 ひーちゃんの反応的に妙な改造っぽいけど、幼女的にその辺は分かりませぬ。

 

『────なるほど、理解しました』

 

 そして通信用ウインドウに浮かぶのはすごく綺麗なセイラお姉さんの笑顔。

 

 あ、これ前に見た事がある。

 

 完全にキレている時の顔だ。

 

『要はクズ二匹をアクシズに埋葬すればいいんですね』

 

『違う! 間違っているぞ、アルテイシア!!』

 

 ブンブンと首を横に振るシャアをガン無視してアクシズへ突っ込む試作3号機。

 

『新しいネタを聞き逃してないですね、ゾルたん!』

 

『もちろんだ! しっかりと録音ずみだぜ!!』

 

『ならば今こそ【シャア・アズナブル】を社会的に抹殺する時です! 二度と英雄視などされないようにしなさい!!』

 

『まかせな! リスナー諸君! 次元振動ってのは毎度のこと妙な事態を引き起こすんだが、今回は特別だ! なんとド変態であるフル・フロンタルには別次元のシャア・アズナブルの記憶と人格が取り憑いているらしいことが分かった! つまり、幼女に欲情するのも男と掘りあうのも、全部シャアの嗜好から来ているって訳だ! こんなケダモノが息子だってんだからジオン・ダイクンだって裏で何をやらかしていたのか、わかったもんじゃない! 不細工と美人の嫁さんを二人娶っていたらしいから、倒錯的な夜を過ごしていたのかもな!!』

 

 セイラお姉さんの発破を受けて、ノリノリで叫ぶゾルたん。

 

 瞳孔が開いているッぽい眼からは、ジオンが死ぬほど嫌いって想いがガンガン伝わってくる。

 

『うおおおおおおおおおっ!?』

 

『ぶわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?』

 

 そんな二人の男の悲鳴とシャアとフロンタルの秘密を垂れ流す流星は勢いのままアクシズへ突き刺さった。

 

「……うわぁ」

 

 ハロの望遠カメラをアップすると、セイラお姉さんの言葉通りに二人は巨体の前に突き出したアームによってアクシズの岩盤にめり込んでいる。

 

『ずらかりますよ、ゾルたん!』

 

『あいよ、お嬢!』

 

 そしてガンダムと小型戦闘機が分離すると、制御を失ったデッカいコンテナはシャア達を封印するかのように二人の上へと圧し掛かる。

 

 えげつない事この上ないけど、今はそれに構っている暇はない。

 

『ブライト艦長! 私達でアクシズを止めます! その間に対応策を考えてください!!』 

 

『ノリコ、止めると言ってもどうするつもりだ? 破壊することはできないんだぞ!』

 

『それは……こうするんです!!』

 

 ブライト艦長の問いかけにノリコお姉さんが示した手は意外なモノだった。

 

 地球へ向かうアクシズの先端に取り付くと、ガンバスターのスラスターを全開にして押し返そうとし始めたのだ。

 

『機動兵器でアクシズを支えようというの!?』

 

『無茶だ!』

 

『無茶でも何でも地球を守る為にはやるしかない! 奇跡は起きます! 起こしてみせます!!』

 

 コクピットでのノリコお姉さんの動きがガンバスターと連動しているのだろう、必死に手を突き出しながら歯を食いしばるノリコさん。

 

 そんな彼女をそのまま見ている人はZ-BLUEには一人もいない。

 

『ええ根性してるやんけ! その重荷、ワシにも分けろや!』

 

 アクシズにタックルするような形でガンバスターの隣に取り付いたのは、ミチルさんの操るバンカランだ。

 

『竜馬! 俺と変われ!』

 

『弁慶!』

 

『こういう仕事はゲッター3の舞台だろう!』

 

『鉄人! 皆と一緒にアクシズを支えるんだ! ワッ太も!』

 

『ああ! お姉さん、俺はアクシズに行くから離れて!!』

 

『大丈夫! 私も手伝うから!!』

 

『行くぞ、青山! 桃井さん!!』

 

『こういう仕事はたしかにダイガード向きだな!!』

 

『熱くなって無茶しないでよ! さすがにアレは一機じゃ支えきれないわよ!』

 

『分かってますって! でも皆と一緒なら!!』

 

『シモン!』

 

『ああ! 地球にはみんながいるんだ! あの石ころを堕とす訳にはいかない!!』

 

『行くぞ、マジンガー!』

 

 次々とアクシズに取り付いていくスーパーロボットたち。

 

 これは私も見ている場合じゃない。

 

「……ひーちゃん、いんばち」

 

『OK! ドッキングシーケンス開始!!』

 

 異次元から現れた陰蜂にハロが飲み込まれると、カッチンから更なる力が巡るのを感じる。

 

 これならみんなのお手伝いも捗るはず!!

 

『ミユ! 時空修復には例の方法も使う! 支えながら準備はできるか?』 

 

「……だいじょうぶ」

 

『よし! MS各機! アクシズを押し返すぞ!! サイコミュを搭載している機体はシャア達の近くへ行け!!』

 

『『『『『了解!!』』』』』』

 

 そうして次々とアクシズへ取り付いていくモビルスーツたち。

 

 陰蜂がとってもおっきいから、邪魔にならないかと心配だったが大丈夫みたい。

 

 

『おいおい、アイツ等マジか……』

 

『さすがは地球最強って言われる部隊だ、頭がおかしいわ』

 

 私達の行動を見て、ネオジオンの人達は戸惑いを隠せないみたい。

 

 まあ、普通に考えたら無茶以外の何者でもないし、仕方ないよね。

 

 気を取り直した私がアクシズを支えるべく、スロットルを加速させようとした時だった。

 

「……ッ!」

 

 背筋を虫が這いまわるような嫌な予感。

 

 これは……私達に向けられた敵意だ。

 

『ミーちゃん?』

 

「……わるいひと、じゃましにきた」

 

 こちらの意識に連動して拡大されたモニターに映るのは、ジオン系の機体とダカールで見たザフトのMSがこちらへ迫ってくる光景だった。

 

『RFザクにゲルググ、ギャンにドム。ザフト側はグフ・イグナイテッドとザク・ウォーリアー、あとはゲイツRだね』

 

 いや、それだけじゃない。

 

 宇宙の向こうからは、インベーダーと宇宙怪獣まで寄ってきている。

 

 他にもニアお姉さんが引き連れていたブロックが合体したみたいな変な敵もいるぞ。

 

『くっ! このタイミングで一斉攻撃が来るとは!』

 

『旧ジオン残党のテロリストだけでも面倒だって言うのに!』

 

『それよりも、ザフトの機体がどうしてこんな所に来ているんだ!?』

 

「……あのひとたち、ダカールのときとおなじ」

 

『開戦派の奴等か!』 

 

『機械人形はともかくとして、他から現れた怪異からは奴の…マスターテリオンの魔力を感じる! 我等を邪魔する為に奴が送り込んだに違いない!!』 

 

 アルお姉さんの声を聴きながら、私は迷いを感じていた。

 

 迎撃か、それともアクシズを支えるのか。

 

 きっと他の人達も判断が付かない中、誰よりも先に指示を出したのはにっぽ……ゼロだ。

 

『アクシズに取り付いている者は、そのまま支え続けろ! 奴等は我々で押さえる!!』

 

『私達の機体サイズだとそっちに付いても、あんまり役に立たないからね』

 

『だったら皆を護って戦う方がいい!』

 

『無茶だ! あまりにも数が多すぎる!! ナイトメアとATだけでは!!』

 

『心配するな。一機たりとも奴等を通しはしない』

 

 カミーユさんの声に冷静に答えると、キリコさんはスコープドッグのバーニアに火を入れる。

 

 そしてゼロの蜃気楼を筆頭に迎撃に向かおうとしたその時だった。

  

『いいや、君達もアクシズへ向かってくれ』

 

 聞き覚えのある声と共に、地球の方角から高出力のビームが飛んで来たのだ。

 

『なっ!? この距離から狙撃だと!』

 

『か…かい……ぐわぁぁぁぁぁっ!?』

 

 その一射は旧ジオンの機体を数体を吹き飛ばして宇宙の彼方へ消える。

 

 けれど、さっきの声の人達の攻撃はこれだけじゃなかった。

 

『彼等は数多の次元を跨いで地球を救おうとしているのだ。余計な邪魔は遠慮してもらおう』

 

『なっ!? はや……』

 

『げいげ…まにあわっ!?』

 

 ビームを追いかけるように飛ぶ白い影はザフト側の部隊へ飛び込むと手にした槍で瞬く間に三体に大穴を開けたのだ。

 

 一撃離脱でこちらへ戻ってきた機体は、ゼクスさんの乗るトールギスによく似た機体。

 

 その大きな特徴は右手に持った大型ランスと背中に付けたウイングゼロのような羽を模したバックパックだ。

 

『ミスター。ソルブレイブス、展開完了しました』

 

 報告と共にトールギスもどきの横に現れたのはウイングゼロにどこか似た機体。 

 

 その後ろでトライオン3と共に並ぶ部隊を見て、私は思わず息を呑んだ。

 

『あれは……ヱクセリオン!』

 

 巨大な蒼い船にノリコお姉さんが上げた驚きの声の通り、ソルブレイブスの母艦はあの時に回収されたヱクセリオンだったのだ。

 

『タシロ艦長! ガンバスターです!』

 

『うむ、あれが我々の世界の物か他の次元の物かは分からん。だが、あの決戦兵器が味方であるのなら、これほど頼もしい事は無い!』

 

「……じぃじ」

 

『久しぶりだな、ミユ君。あの時に助けられた命、地球と君達を護るために使わせてもらおう!』

 

 そしてブレイブやジンクスⅣに混じって部隊の中にいるのは、ブリュッセルでよく見たサーペントという機体。

 

『気合を入れろよ、お前等! あの方に拾われたんだ、無様は見せられねえぞ!!』 

 

『おうよ! 地球を背にしたこの状況、ホワイトファングとの最終決戦を思い出すぜ!!』

 

『Z-BLUEってことはあのおチビちゃんもいるんだろ? 相手はネオジオンだし、赤い変態から護ってやんないとな!!』

 

 それに乗っているのは、元マリーメイア軍で兵士をしていた人たちだ。

 

『Z-BLUEの諸君! 君達の背中は我々ソルブレイブスが護る! だから地球を無粋な檻から解放してやってくれ!!』

 

 トサカが蒼いトールギスが槍を掲げると同時に沸き上がる鬨の声。

 

 この声に応える為に頑張ろう!!

 

 

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