僕の飼い主はティリス民!   作:c.m.

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 生き武器レベリング、ハーブ畑、収穫リレー……一つが動くと他も動き出しますが、諸々のリセマラが面倒なので小説に逃げてきました(惰弱)
 この作業が続くと、遺伝子引継ぎを悪用したヴァリアント渡り歩きが脳裏をよぎるなぁ……(邪道)

※2024/12/16誤字修正。
※sk005499さま、たまごんさま、赤頭巾さま、誤字報告ありがとうございました!


07 ここにサンドバッグがあるじゃろ?(死刑宣告)

「いやー、予想通りだったけど、地球の環境はマジでイルヴァの住人にはきついわ……つーか死ぬ、マジ死ぬ。流石の私も毎秒大ダメージとかシャレにならんっしょこれ」

 

 イルヴァの者たちは自分の生命力(HP)マナ(MP)を、ゲームのように数値化して視認することが可能なのだが、すくつの到達階層が一〇〇〇を超え、『廃人』の称号を得て久しい飼い主にしてから、地球というメシェーラの存在しない環境は過酷であった。

 具体的には毎秒九九九九ものダメージを受けており、ヤバくなったらその都度回復魔法をかけて生にしがみついていたのである。

 これがどれだけやべーダメージかを例に挙げると、ノースティリスの王都とかを一瞬にして灰燼に帰す核爆弾『Cat's Cradle』のダメージが九九九で固定だと言えば分かりやすいだろうか?

 まぁ、一般的な冒険者でもレベル三〇を超えだせば一発は核に堪えられるだけの生命力になるし、なんなら至近距離からの核の爆風すら躱して見せてしまうのがノースティリスの人外魔境っぷりなのだが。

 

 ちなみに先程から「きついきつい」と連呼していた、この飼い主のレベルは圧巻の三九八七。生命力(HP)に至っては一四九〇万四九八〇とかいうキチっぷりなので、回復魔法をサボるか、魔法のストックを切らさない限りは全く問題なかったりする。

 なので、そんな怪物が裸足で逃げ出すような飼い主を殺すには。

 

 ・単独行動中に餅をのどに詰まらせる。

 ・餓死させる。

 ・幸運の神(エヘカトル)様に神の怒り(うみみゃあ!)(九九九九万九九九九ダメージの全体攻撃)を発動して貰う。

 ・抱えきれない荷物で圧し潰す。

 

 といった手段を講じる必要がある。

 廃人の称号を得た冒険者相手に、正攻法で挑むのはまず無理ゲーにして糞ゲーの極みだとはクミロミ様のお言葉である。

 まぁ、同じくクミロミ様からは、廃人の称号を得られるレベルの冒険者は一つの世界につき一人だけだそうなので──具体的には、数ある並行世界の中でレシマスを攻略する運命にある冒険者だけがこの領域に至れるのだとか──飼い主と勝負になる冒険者が現れることはおそらくないだろう。

(仮に居たら、飼い主なら「エンドコンテンツボスとか最高やん!」と、喜んで突貫して死んでも大喜びすると思われる)

 

 余談が過ぎたが、兎にも角にもハリーという移動手段が居ても、現状では飼い主以外が地球に来るのは不可能だということだ。

 その飼い主にしたって、回復手段が無ければ三〇分と持たないのだからメシェーラのない世界がどれだけイルヴァの住人にとってやばいかが嫌でも分かる。

 

 スネイプとの会話以前、実験として飼い主の腕や足だけをこちらに()()()()()上で時間を計ったが、崩壊の度合いはメシェーラに汚染された時のハリーの比ではなかったのは記憶に新しい。

 放射能とか化学兵器の類が子供の玩具レベルに思えるぐらいの速度で手足がぐずぐずになり、最終的には骨まで溶けて粘性の高い赤色のバターになった。グロいし腐臭も凄い。

 で。その有様をハリーから聞いた飼い主はと言えばだ。

 

「一気に内側から弾け飛んだとか、消滅したとかじゃないんでしょ?

 だったら行ける行ける。溶かされたりとかは初心者の頃なら冒険者は誰もが通る道よ。回復魔法多めに準備しとくし、いざとなったらハリーに復活の書で生き返らせて貰うからへーきへーき」

 

 とまぁ、実にキワモノ冒険者らしい発言と楽観主義で乗り切った訳だが、イルヴァの人間でもないスネイプにしてみれば、ひと月は肉が食えなくなる光景だったことだろう。

 いきなり目が四つで手から猛毒を撒き散らすグロテスクな顔面の化け物がハローしてきたこともそうだが、会話の最中ずっと全身がボロボロになって筋肉やら神経が剥き出しになってたし、関節から手足が腐り落ちたり眼球がポロりする寸前で復元されてを繰り返していたのだ。

 ホグワーツには首なしだったり、殆ど首なしの──処刑人が上手く首を切れず、薄皮一枚残して死んだらしい──幽霊がいる訳で、そういう意味ではホグワーツの人間はスプラッタにも一定の耐性が出来る筈だが、流石にあれは堪えたらしい。

 会話が終わり、シェルターから出たスネイプは少しばかり顔を青くしていたし、夕食のローストビーフを恨めし気に見ていたのをハリーは覚えている。ハリー自身は、何度も自分の半死半生の姿や死ぬ間際に弾ける内臓を見ているので慣れたものだったが。

 

 

     ◇

 

 

 さて。そんなスプラッタ映画が温く感じるような濃密かつ、ヴォルデモートなんぞクソ雑魚カタツムリ程度にしか感じられない脅威度な飼い主と、スネイプにギルティ判定が下った場合、メシェーラ汚染されたシェルター内に永久サンドバッグの刑で封印してやろうかと画策していたハリーという、二つのメガトンどころかテラトン爆弾級の危機を知らず知らずのうちに乗り切ったスネイプは、前話のラストで紹介した通り、劇的なビフォーアフターを遂げた。

 

 廊下を道行けばナイスミドルが好みな女生徒や女教師達は思わず振り向き、本人も今までの陰鬱さは何処へやら、爽やかスマイルで物腰柔らかに対応したものだから、ホグワーツは揺れに揺れた。具体的には、ヴォルデモートが復活した際には、再び二重スパイとして戻って貰わないと困るダンブルドアがキレた。

 

「おめー自分の立場分かってんの!? 一体何処にそんな爽やかな悪の組織の構成員がいるんだよ舐めてんのかこの仕事!? S.H.I.E.L.D.に入り込んでやがったヒドラじゃねーんだぞ逆だぞ!? 爽やか教師なんぞ求めてねーんだよ糞が!

 やる気ねーならアズカバン送るぞマジで!!」

 

 口調とか色々と違うが、ぶっちゃけるとこれぐらいの勢いでキレられたとは、スネイプ本人が笑いながらハリーに話したことである。なお、肝心のスネイプはといえばだ。

 

「いや、正直もう我が輩そういう黒歴史なスタイルとか良いかなって。

 ポッター君からも似合わないし、こっちの方が素敵だって言ってくれたし。取り敢えずポッター君可愛いパパって呼ばれたいジェームズとか脳内デリートしてくんねーかなぁマジで」

 

「思いっきしリリーの息子に懐柔されてんじゃねーか! 隠せよ! ていうか過去を隠して陰ながら見守るって言ってたよなオープンじゃねえか目尻ダラッダラにさげてんじゃねーか!! 儂、正直お前が最も美しい部分を隠してたことに内心感動してたんだぞ返せよ涙!

 それから今のお前が陰でなんて言われてんのか分かってんのか!?

 ハリー・ポッターに好かれてアレしたいがために言われるがままイメチェンしたって思われてんだぞ! 『もしもし闇祓い局(ポリスメン)?』案件で性欲抑えきれなくなるまえにアズカバンぶち込むべきか本気で魔法省に打診すんぞ振りじゃねーからなマジで!」

 

 念を押して言うが、発言した内容は徹底的におふざけに走っただけであって、マジでダンブルドアはこれぐらいの事を言った。言ったのだが、流石にキャラ崩壊が激しいので、最後ぐらいは真面目なものに修正……もとい、原文ママで記載する。

 

「のう、セブルスよ、ヴォルデモートは隠れただけじゃ……あ奴はいずれ、君が大切に思う女性の子を、今度こそハリー・ポッターをその手にかけようとするじゃろう」

 

 今は、あの幼く無垢な子に対して父親のように接したいという気持ちは分かる。しかし、それでも物事には優先すべきことがある。

 

「大局を見誤るでない。そのような状態では、守れるものも守れんぞ?」

「守れるものも、ですか」

 

 言われれば皮肉だな、とスネイプは思う。ハリーがダーズリー家に虐待されている事さえ気づかず、他の手に委ねてしまった時点で、スネイプにはハリーを守り通して見せると口にする資格など、初めからなかったのに。それでも。

 

「ダンブルドア。ハリーは、知っておりました」

 

 スネイプがヴォルデモートの手先だったということも。それ故にスネイプに近づき、最後は開心術で過去を覗き見たことも。そして。

 

「全てを知った上で、あの子は我が輩を受け入れてくれました。こんな、醜く罪深い我が輩をです」

 

 ならば、もう隠す意味は何処にもない。セブルス・スネイプは陰からでなく、正面からハリー・ポッターを脅かす存在から守ろう。尤も。

 

「果たして、我が輩が出る幕があるかは怪しいものですが」

「例の『良い魔法使い』の事かね?」

 

 会ったのか? だとすればどうやってとダンブルドアは訊ねたかったし、直接見極めたいとも思っていた。しかし、スネイプの表情から全てを聞き出すのは無理だろうと諦めた。

 最早、スネイプはダンブルドアには縋らない。スネイプはこの正義という名の処刑刀に相応しい偉大な魔法使い(ダンブルドア)以上に、頼る存在を見つけてしまったのだと理解した。ならば。

 

「これだけは聞かせておくれ。ハリー・ポッターがハグリッドに語ったことは、何処までが真実なのじゃ?」

「全てです、校長。あれが病を克服すれば、間違いなくヴォルデモートにとっての、最大級の脅威となるでしょうな」

 

 だからこそ、肩の荷が下りたようにスネイプは笑う。好きな物を好きだと言える、そんな当たり前の幸福を得ることを許された男に対して、ダンブルドアは肩を竦めた。

 

 

     ◇

 

 

 かくしてスネイプは盛大にはっちゃけた。ジメジメっとして黴臭くてじっとり気味だった中年から、爽やかナイスミドルにビフォーアフターしてからは、傲慢で確信犯の規則破りまくりでいじめっ子で、正直今でも万回はブチ殺してやりたくなるジェームズと違い、リリーに似て可憐で努力家で真面目なポッターを──他の生徒や教諭に問題視されない範囲で──存分に甘やかし、敢えて周囲に見せていた嫌われ者の偏屈教師から、グリフィンドールの寮監であるマクゴナガルのように、穏やかで落ち着きがありつつも、親しまれ、頼られる先生のようになろうとシフトチェンジをかまし過ぎて断崖絶壁にダイブしそうな感じにギアを切り替えた。

 

 結果、スネイプは独身な女性教師とか女生徒からラブレターとかひっきりなしに受け取ったり、休日のお食事に誘われたり、これまで近づかれなかった生徒から次々と授業で質問が殺到しては丁寧に答えたりと、リア充生活を全力エンジョイして我が世の春を謳歌していた。

 

 ハリーからすれば、つくづくこれを振った母親の男の趣味を疑う。

 いっそジェームズとは自分を生んだ後に離婚して、スネイプと再婚してくれたらなーと、亡き父親が聞けば草葉の陰でガン泣きしそうな事を心中で考えていたが、それは無理だったろうなと早々に諦めた。

 

 何しろ、ハリーもリリー同様に男の趣味が最悪だという自覚があったからだ。きっとスネイプが幼少期から今の爽やかさで接しても、リリーはダメンズ好きを拗らせて、「セブルス君は良い人だけど……」みたいな感じでジェームズの方に行っただろう。

 

 それと同時に、ハリーは心底自分がリリーに似たことに感謝した。

 スネイプの記憶を見るに、クソ親父(ジェームズ)は控えめに言ってもガチのクズである。

 リリーの前でスネイプのズボンどころかパンツまで下ろし、股間に『グリフィンドールの剣(笑)』とか書いちゃうのは誰がどう見ても畜生中の畜生行為だ。

 そりゃあ、スネイプじゃなくても好きな女の子の前でそんなことされたらキレるし取り乱す。記憶を見たハリーからしても、正直あれは居たたまれなかった。

 

 他にもスネイプがリリーに陰ながらプレゼントしようとしていた羽ペンをぬめっとしたヒルとナメクジの詰め合わせに変えた上でリリーの鞄に忍び込ませたり(当然中にはスネイプが書いたは良いが渡せなかったメッセージカードがあった)、長々花火をスネイプのケツに差し込もうとしたりと、とにかく酷い。

 どうして退学にならなかったんだテメーと言いたくなるぐらい酷い。

 ぶっちゃけ、あれが後々真面目に更正されたからと言って付き合うことを決めたリリーには、我が親ながら「おまん正気か!?」と叫んだ程である。

 

 そして、一通りの記憶を見た後でのハリーはといえば。

 

「僕、ジェームズ(あいつ)に似なくて本当に良かったです」

 

 と、可愛い子ぶってスネイプに漏らした。

 ただし、客観視すればハリーは明らかにジェームズ似である。校則だって今はまだ学校生活がエンジョイできるから破っていないだけだ。いずれ破る。

 悪戯だって周囲へのハリーのイメージを盤石にしてから、バレない範囲で全力でやりたいから手を付けていないだけだ。いずれやる。

 

 だというのにハリーは自分の事は絶賛全力で棚上げしつつ、盛大に実の父親をディスってスネイプへの友好度をガン上げ中であった。実の親だろうが利用できるなら利用する。そんなハリー・ポッターは紛うことなき畜生で、立派にジェームズの遺伝子を引き継いだ糞息子であった。

 

 

     ◇

 

 

 そんな畜生極まるハリーの学校生活は、新鮮かつ快適なものだった。

 

 集団生活と言うもの自体は飼い主の我が家(小城)で経験していたが、あちらは初めの半年こそ新参故にお客様のような居心地だったものの、飼い主との結婚を機に正式なペット兼妻として同じペットや直接契約している店主たち全員から家族として受け入れられたし、ハリーもすぐにここが実家なのだと意識を切り替えることができた。

 余人からはティリスの楽園とまで称された小城にしても、初めはその広大さ故に落ち着かなかったものであるが、人間と言うものの適応能力は侮りがたいもので、すぐに慣れてしまったものである。

 

 何が言いたいというと、どれだけ目新しい物であっても人間と言うものは順応するし、お上りさん気分も慣れれば無くなるのである。つまり。

 

“ちょっと日常がマンネリ気味なんですけど?”

 

 ハリー・ポッターとかいう核爆弾よりデンジャーな糞ガキは、そろそろ冒険者(ならずもの)らしい行動をしてみたかった。

 ついさっきまで、自分は父親と違って真面目だと豪語しておきながらこの様である。

 

 取り敢えず入学時には、『四階右側の廊下』と『禁じられた森』に行くなと釘を刺されたので、どちらにも行ってみたい。

 ただ、森の方は危険動物がうろついているとの事で、そこはトム君の記憶から知っていたことと同じだったので、ハリー的には余り興味がない。

 危険といっても『すくつ』のモンスターほどではないだろうし──というかそんなのが居たら、トム君は裏で色々する前に確実に死んでいる──虫刺されも極力避けたい。

(お前の皮膚を通る虫はそんな多くねーだろというツッコミはNG)

 

 なので、取り敢えず「痛い死に方をしたくなかったら行くな」と言われた廊下に行きたい。痛い死に方なんぞとっくの昔に経験済みのハリーとしては、ホグワーツがどの程度の危険度なのかが知りたかった。

 なんだったら斥候として、ドラコ辺りをけしかけて苦しめてもいいかもしれない(やはりこいつはジェームズの息子である)。

 

 とはいえ、ホグワーツの監視網がどの程度のレベルなのか分からないまま動くのも得策とは言えない。

 中年ハゲな管理人のフィルチやボケ老人の如く好き勝手に校内を徘徊する幽霊の行動パターンは大体頭に叩き込んでいるし、学生時代に陰でこそこそトム君が動けていたところを見るに、そこまで監視体制が厳しいとは思えないが、トム君とかいう大戦犯のせいで、監視カメラめいたものがあちこちにある可能性も否定できないのだ。

 

 はてさて、自分が仕方なく、本当に仕方なーく四階右側の廊下に行っちゃうような、不可抗力めいた事態が発生してもおかしくない、それでいていざ露見しても罪を全力で着せられるような都合のいいスケープゴート的な存在は居ねーかなー? とターゲットを捜索。

 見れば、上級生のローブの中を覗こうとしていやがる変態ポルターガイストの姿があるではないか! なんと好都ご……もとい、けしからんゴーストも居たものだ!

 悪行には報いとか必要だと思うな! 主にハリー・ポッターの下僕になることで!

 

「先輩、ピーブズの奴が下に!」

「きゃあ! ありがとう、ポッター! それにしても、ピーブズ、このっ!!」

 

 女生徒は手にした鞄をブンブン振って追い払おうとするが、生憎とピーブズはポルターガイストなので無意味である。向こうは触れられるというのにだ。スカートがめくり放題なのにだ!

 そして、そんなピーブズはお楽しみを邪魔された腹いせか、それともホグワーツに来て日の浅い新入生を相手にした方が面白いと考えたのか、標的をハリーに切り替えた。

 

「おやおや皆が噂している良い子のハリー! 可愛い可愛いハリー・ポッターじゃないか!」

 

 そんな煽りとしては程度の低い発言をしながら近づく小男を無視し、ハリーは上級生たちにこの場を離れるよう目配せ。

 こうして我が身を挺して女性を守るナイトなハリー君の評価はまたアップするだろう。

 グリフィンドールにでなく、ハリーに一〇〇点は与えるべき功績だ。繰り返し言う。グリフィンドールにでなく、ハリー個人に一〇〇点与えるのだ! 具体的には一〇〇点分の価値のある金目の物を寄越せ。

 

「おんやぁ? ハリー・ポッターもお年頃なのかなぁ? 女の子の前で格好つけたいだなんて、普通過ぎだなぁ? スネイプ先生にお尻を貸してグリフィンドールの点数を稼いだんじゃないのかい?」

 

 失敬な。ハリーは飼い主や同じペットないし家族(店主やメイド)達としか相手をしたことはないというのに、クソビッチ扱いとはなんという風評被害であろう。

 ちょっと飼い主が店番専門の妹ちゃんのお店で一晩過ごしていた時、我が家(小城)でお留守番中のペットや店主さんたちとぐっちゅぐっちゅに気持ちいいことした程度じゃないか。

 ハリー以外の唯一のショタっ子な防衛者君と楽しく受けプレイした程度でビッチ扱いとは実に心外だ。こっそりやってきた(クミロミ)様だってお楽しみで、顔を真っ赤にしつつも神の名の下に汝ら罪無しと太鼓判を貰ったのだから免罪符も確保済みで全く問題ないではないかQED。

 よってここに、謝罪と賠償を要求する。具体的には今日からこのハリー・ポッターのための奴隷となるのだ拒否権はない。

 

 何より、スネイプは良い人過ぎてハリーの好みではないのだ。純粋に父性というものが恋しいだけで──飼い主は夫でありご主人様なので父ではない──そういう感情は欠片も抱けないし、スネイプもハリーのパパになりたいだけだ。

 

 うん、字面にするとかなりヤベーのは認める。

 

 ハリーがスネイプに甘ったるい猫撫でボイスで「パパぁ♡ お小遣いちょうだーい♪」などと言っちゃった日にはスネイプは問答無用で日刊預言者新聞(イエローゴシップ)の第一面を飾った後にアズカバン送りだろうが、それは置いておこう。ハリーもスネイプ相手にそんな真似をする気はない。

 

 重ねて言うが、スネイプは良い人だが好みではないのだ。

 ジェームズとかいうクソ親父のようになれとは言わないが、飼い主のような軽さは欲しい。まぁ、飼い主のようになってもスネイプ相手では無理だが。

 

「そ・れ・と・も? ひょっとしてひょっとしちゃうと、可愛いポッター君は保護者から手を出されちゃったのかなぁ?」

 

 すげーなピーブズ、大当たりだよ。ここがノースティリスだったら全力カミングアウトして、オメーは好みじゃねーしお呼びじゃねーんだよ小男と罵る程度で済んだが、その後がいただけなかった。

 

「皆に言ってやろうかなぁ? ハリー・ポッターの次の里親は、マグルの連中以下の碌でな、」

「破ぁ!!」

 

 ハリーは気合を込めて悪霊(ピーブズ)を吹き飛ばした。イルヴァでは亡霊だろうが怨霊だろうが触れるし殴れるしぶっ殺せる。呪いの言葉だって気合で吹っ飛ばせる。

 死んだら基本的に痛い目には遭わないなどいう、アホみたいに生温い地球とは違うのだ。攻撃を完全無効化したいなら、カオスシェイプになるか遺伝子複合機で複数本腕を生やし、ダメージを稀に無効化する盾を複数装備して出直してこい。

 

「げっぷぁ……!?」

 

 吹き飛ぶピーブズ。中身がないのにモツとか口から溢れて半透明な血液とかまき散らしちゃうピーブズ。なんか手足があらぬ方向に曲がっているが、ハリーには全く気にもされていないピーブズ。

 このままだとポルターガイストなのに出血多量でショック死しそうなピーブズ。

 だが死なない。ハリーの力加減は、ブチ切れて本当にぎりぎりのラインだったが手加減に成功した。よって、死ぬ手前だがまだ一応は死んでいない。死んでいないからピーブズに軽傷治癒のポーションを頭に叩きつけて癒す。

 ポーション瓶の破片が頭に刺さっているが、傷は死なない程度に癒えたから問題ない。死ななければそれでいいのだ。

 イルヴァのポーションや回復魔法は種族を問わない。バイクだろうが亡霊だろうがゾンビだろうが関係なしだ。自分の意思で動ける奴なら何でも癒す。

 

 そして、虎の尾を踏むどころか、ドラゴンの逆鱗をやすりでゴリゴリ削っちまったピーブズは、これからハリーの素敵な拷問に処される運命が確定した。

 

 究極拷問、サンドバッグの刑である。取り敢えずやり方を変えて二桁ぐらい致死ダメージを受けて貰おう。

 

 

     ◇

 

 

「ハリー様! 何なりとこのピーブズめにお命じ下さい! 死ねと言われれば死んで見せます! ……というか死なせてくださいお願いします……ぐずっ」

 

 サンドバッグから解かれた途端、マジ泣きしつつ渾身の服従ポーズである。

 たかが数十回全身丸焼きにされたりマナの反動で精神を蝕まれたり氷漬けにされた後で粉々になったり感電死したり地獄に引き摺り込まれそうになったり毒で溶かされたり大槌でミンチになったり短剣でなます切りにされたり眼とか口に矢を射られたり機関銃で蜂の巣にされた程度で埋まる(終わる)ことをご所望とは、ゴーストの分際でガッツの足りねー存在である。

 もっと生き汚く生にしがみつけよポルターガイスト。ノースティリスのその辺の老人だってもっと粘れるぞソースはぶっ殺しまくったハリーだ。

 

 ちなみにハリーはそんなピーブズに対し、無言で両ひざを拳銃で撃ち抜いて跪かせた後、地面に擦り続けて慈悲を乞うピーブズの頭に後頭部が陥没する勢いで踵を落とした。

 無言である。ガチギレ故の圧倒的無言タイムである。眼は養豚場の豚を見る以上に冷たいし、こめかみには青筋が浮いている。

 友好度が*Love*でMAXで、おまけに結婚している飼い主を侮辱されたのだから、これはペットとして当然の措置である。

 ペットの中でも最も慈悲深い、癒しの女神(ジュア)様から賜った防衛者君でも、ハリー以上にキレるだろう。ハリーだってここがホグワーツで、何かと制限があるからこの程度で済ませているだけだ。

 そうじゃなかったら同性であるだけにマブダチの防衛者君と、ありとあらゆる責め具を考えて実験する。飼い主への侮辱に対する代償は「助けて」から「死なせて」に慈悲を乞う言葉がチェンジしてからがスタートラインだ。

 ちなみに飼い主がハリーを含むペットや結婚相手を侮辱されたときはもっとヤバい。生まれてきたことを後悔するとか、直視に堪えないとかそんなレベルじゃない目に遭う。

 どれくらいヤベーかってーと、カタツムリ冒険者達に長年吊るされて、面白半分で周りの冒険者から日々実験道具にされていた、拷問とか慣れっこな清掃員ですら「俺でも埋まる」と顔を青くするぐらいヤバい目に遭う。

 

 それはさておき、今最も重要なのはピーブズだ。こいつはハリーの前でハリーの飼い主を侮辱した。知らなかったでは済まさない。正直ハリーは、ここがノースティリスであれば間違いなく八つ当たりで核を起爆した。

 とにかく溜まった怒りを吐き出したい一心なのだが、それが出来ないので余計にストレスがたまる。取り敢えず今晩だけはノースティリスに戻る。

 ★召喚石とムーンゲートの移動先はハリーの自室にも設定されているから、ダーズリー家を経由する必要は既にない。

 とにかく今日の夜は飼い主に抱き着いて泣いて甘えまくろうと決めつつ、ピーブズの頭に唾を吐き捨てた。

 ポルターガイストの筈だが、べっちゃりと唾がかかる。ピーブズもそれを甘んじて受け入れた。理屈とかは抜きに、『兎に角絶対に逆らってはいけない奴』というピーブズの脳内リストのトップにハリー・ポッターが加わった瞬間である。

 ちなみにこのリストに載っているのは、同じゴーストの『血みどろ男爵』と校長の『ダンブルドア』だけである。あとは幽霊なので大体乗り切れるが、とにかくこいつらはハリーと同じく絶対に逆らえない。ただしハリーの命令なら逆らわざるを得ない。

 幽霊なのに死が救いになるとは今日という日まで夢にも思わなかったが、受け入れるしかない。

 

 この世には、ヴォルデモートよりヤベー糞餓鬼がいるのだと……!

 

「……おい」

 

 じっくり一〇秒、怒りを抑えつつ吐き出したハリーの言葉に、「へい、なんでありましょう!?」と地面に頭を擦りつけたままピーブズが問う。

 

「取り敢えず、僕の言う通りにして貰おうか?」

 

 答えは聞いてない、聞かなくても決めているからだ。

 決まっているのではない、このハリー・ポッターが決めるのだ!!

 

 当然だが、ピーブズはマジ泣きした。

 

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