「いや!? はなして! はなしてよぉ!」
「い・や・だ・ね! 他人の嫌がることをしちゃったんだから、ポッター君も嫌がることをされなくっちゃ! 良い子良い子に可愛がられたポッター君も、これで校則破りの現行犯! グリフィンドールはポッター君のせいで何点減点かなぁ?」
台詞だけなら完全に被害者と悪人の図であるが、
対して涙目の
「誰かが来るまで入ってな! まぁ、呼ばれたら困るのはポッター君だろうけどねぇ!」
あー! たのし! とケタケタ笑うピーブズは、ドアを閉めた瞬間に大量の汗を噴出した。
乗り切った……! 自分は今、とてつもなく困難な
「自由って、素晴らしい……! 苦しみのない世界って美しい!!」
「先生! ピーブズの奴が、私たちを庇ってくれたポッター君を四階に強引に引っ張っていました!」
「…………」
『分かってると思うが、用が済むまで誰も近づけんじゃねーぞ? 任務に失敗した手駒がどうなるか、お約束だから分かるよな? ん?』
「なんで、世界は俺に優しくねぇんだよぉぉぉぉ…………!?」
ピーブズ、現世というものがどれだけ世知辛いかを嫌というほど学ぶ。
「ほう……? 我が輩の大事な生徒にそのような真似をするとは、覚悟できておろうな?」
元
ピーブズの『兎に角絶対に逆らってはいけない奴』リストに、また一人加わった。
◇
難易度ルナティックでミッションが自動失敗なピーブズに対して、ポッターはとことん余裕であった。というか拍子抜け過ぎであった。
「大事な場所を守るのが、ケルベロス程度の雑魚とかセキュリティガバガバすぎて草も生えないんですけど」
ていうか、なんでこいつ火炎のブレス吐かないんだろうとハリーは首を傾げる。ケルベロスはノースティリスでも駆け出しを過ぎた冒険者が
同レベル帯のモンスターの中ではそこそこの速度と耐久を持っており、駆け出しから一歩前進した冒険者は火炎耐性エンチャントが付与された装備や耐火コーティングを怠ると、装備やアイテムを燃やされて大惨事の憂き目に遭う──とはいえ大抵の冒険者はこいつに出会う前にファイアハウンドなるモンスターの群れに遭遇し、耐性装備の重要性を教えられるのだが──いやらしいモンスターだ。
いやまぁ、こと鬱陶しさでは南瓜系というこれ以上なくウザい透明型のモンスターが居るので、耐性装備さえ怠らなければ属性攻撃モンスターなんぞ可愛いものなのだが。
『カボチャといつの間にか逃げる緑の妖精は見つけ次第殺せ!!』は、ノースティリス冒険者の合言葉だ。
但し、後者は未だに誰も殺せていない。飼い主ですら「いつの間にか居なくなってたし出会えなくなった。いつかオナホ妖精にしてやる」と毒づいていたから、初心者冒険者たちは今日もあの初心者の善良なガイドを自称する、緑の被害に遭っている事だろう。
それはさておき、今は目の前のケルベロスだ。火炎ブレスを吐かないのは、ここが学校の中だからということで片付く。ハリーに対して攻撃が甘いのも、ホグワーツの制服を着用しているからだとも考えられる。
それにしたって一匹。たかが一匹だ。しかもようやく半人前を卒業した程度の冒険者が相手にする類の、変異種でもボスでもないモンスターが番人とあっては、そこまで重要なもんは置いてないだろうなと思った。
但しチェックは怠らない。
「ちょいと失礼」
「バウ!?」
おいマジかよどんな力してんだこのガキ!? と、扉を抑えていた前足ごと上体を片手で持ち上げられたケルベロスは驚愕する。噛み付いたところでダメージもかすり傷だし、全くこれぽっちも痛痒を感じていない。
手足とか捥ぐ勢いだったのに、コンクリの柱に嚙り付いたみたいに──とはいえコンクリぐらいなら、ケルベロスは余裕で噛み砕けるのだが──ビクともしてねぇのである。
というかケルベロスは自分の歯茎から血が出だしたので、ちょっと泣きそうになった。
いやこんな化け物相手にするとか聞いてねーんですけど!? 危険手当とか出せよハグリッド! つか応援プリーズ!
我、窮地にあり! 繰り返す、我、窮地にあり!
撤退という名の逃亡を要求する!!(なお応援は絶対に来ない)
「え? なに、お前ハグリッドに飼われてんの?」
「
何こいつ、言葉分かんの? と驚愕に目を見開くケルベロス。しかし、ハリーに限らずイルヴァの連中は羊だろうがモンスターだろうがカタツムリだろうが会話できる。むしろ向こうからナチュラルに話す。
なので、魔法界ではサラザール・スリザリンが蛇と話すことが出来たから、シンボルが蛇なのだという事をトム君の知識から知っていても「それの何が凄いん?」と首を傾げるばかりだった。
話せたところでコミュニケーションが楽という程度で、別に大したことないじゃんという認識だったのもある。どうせ最後は暴力というボディランゲージで上下関係が決まるのだ。それが弱肉強食自然の摂理。そして勝ったらミンチなのでラストは焼肉定食で決まり!
「まって!? 焼肉定食って言った!? 自分、食っても美味くないっすから!? 韓国製の食用犬とかジャパンの赤犬とは違うんすよマジで!?」
バウワウ! と必死に吠えながら抵抗を続けるが、流石にハリーもケルベロスは食べない。火炎樹やハウンド系のように食べて属性耐性が付くなら喜んで食べるが、ケルベロスの肉にそんな便利な食事効果はないし、食事効果で得られる耐性は全て得ている。
それより耐久が上昇する馬とか、魅力が上昇するプチ(イルヴァにおける最弱モンスター)の肉の方が嬉しい。
良いから足元見せろようっせーなーと思いつつ、ハリーは足元の扉に手をかけて……。
「まぁ、そこまで甘くはないか」
一応鍵はかかっていた。かかっていたが、この程度ならロックピックを使えば余裕である。飼い主から貰った★スケルトンキーもあるので、間違いなく楽勝だ。
破壊も解錠も不可能な、正しい手順を踏まないと絶対に開けられない行く手を阻むタイプの扉じゃないとか、もうこれガバとかそういうレベルじゃあない。
ちなみにこの★スケルトンキーという固定アーティファクトは、鍵開けの難易度を格段に下げてくれる冒険者垂涎のアイテムなのだが、これを手にしてしまったが最後、持ち主は確実に他の冒険者から狙われ、★スケルトンキーを強奪される。
飼い主も意味もなく三名程殺して★スケルトンキーを回収した。ダブりはコレクション程度の意味しかないが、レアなので特に理由もなく狩った。
固定アーティファクトを持つと、自分より強い冒険者が強奪しに来るのはノースティリスの風物詩なので誰も何も言わない。
奪われる前にとっとと四次元ポケットに隠さない間抜けが悪いのだ。
だからこうして、ハリーにも予備という名の観賞用が行き渡る。それはさておき。
「うーん。でもこの程度の番犬に守らせる程度の入り口じゃなぁ……何より下見に来ただけだし」
「いや帰って。是非帰ってくださいお願いします! 自分一応
マジでお願いしますと平身低頭なケルベロスだが、流石にハリーがかなりヤバいということぐらいは分かる。実力行使で追い出せない以上、穏便にお引き取り頂く以外ないのだ。
「一応聞きたいんだけど、この中って何かあんの?」
「いや、それが本当に何にも知らないんですよ。嘘とかじゃなくマジで。ただ、ハグリッドは校長と話してました。『例のあの人』関連だそうで……」
「ほぉーう?」
つまりあれである。ここはトム君が復活した際に使用する一大決戦用の武器庫とか、或いはトム君のあれこれにかかわる何かがあるという事だ。
一番確率として高そうなのは、やはり分霊箱だろう。トム君は主にホグワーツの創設者の遺品を分霊箱にしていた──当然だがどれも国宝とか重要文化財クラスの品だ──ので、学校側も壊すには壊せず、かといって人目についても困るので、仕方なーく格納していると。そう考えれば非常に納得がいく。
“ホグワーツにある分霊箱は、『ロウェナ・レイブンクローの髪飾り』……スリザリンが自身の継承者の為に遺した『秘密の部屋』と対を成す、『必要の部屋』にあった筈だけど、ダンブルドアがこっちに移したのかな?”
必要の部屋は、本当に必要とする者に開かれるので、例えば真面目で前途有望な生徒が扉を開けた瞬間、その部屋に繋がってしまう可能性は大いにある。
ハリーはまだ『必要の部屋』に出会っていないが、もしも他の生徒が必要の部屋に入って、トム君の分霊箱に操られてしまうリスクを鑑みれば、こちらに移したのは英断だ。
……セキュリティがガバすぎる点に目を瞑れば。
「そいじゃ、今日の所はここいらでお暇するよ」
「ありがとうございます! ありがとうございます!」
ケルベロスも全力で尻尾を振った。何としても、この明らかにヤベー糞餓鬼の気が変わらない内に、ここを離れて貰わなくては……!
「坊ちゃん、そういえば、この学校って特別な魔法具が結構ありましてね? こっからそう離れてない所に特殊な鏡があるらしいっすよ?」
とりあえず、自分の職務に関わりのない情報を全力で売ることにした。たまたまホグワーツの敷地に入っていた時に、フィルチとかいう管理人の飼い猫であるミセス・ノリスから聞いた情報だが、構わず売り飛ばす。
問題が起きたときに、責任を追及されるのが自分以外なら痛くも痒くもねーのだ。
「マジ? ちょっとそれ詳しく」
当然、糞餓鬼なハリーは食いついた。嘘なら後で戻ってからぶっ飛ばせばいいのだ。
何の問題もない。
◇
今日は不愉快な下僕が誕生し、職務怠慢なワンコ(本名フラッフィー)から情報も得られるとは、実にツいている一日である。これも日頃の行いの賜物だと、一体どの口がほざきやがるのかと問いたくなる
ただ、廊下に出ようとした瞬間に扉が吹っ飛び、半死半生のピーブズの半透明な返り血を浴びながらハリーを抱きしめたスネイプには驚いた。
ハリウッド映画宜しく、機関銃の弾帯のように魔法薬が封入された試験管を留めた革帯を袈裟に巻き付け、利き腕に杖を構えてハリーの救出にきたスネイプは、本当に心配したとハリーに告げ「今回は
当然ハリーはピーブズを見捨てた。奴が何を言おうと、絶対に信用されないし助けてやる義理もないからだ。
「……しまった」
なので、ハリーが後悔したことは一つ。スネイプにあの部屋について聞き出すのを忘れてしまったという事だ。
フラッフィーも、ハリーが足元の通路に近づかなければ噛み付きはしなかったと嘘をつき、怪我らしい怪我も──少し歯形が付いた程度だが──事前に軽傷治癒のポーションで癒してしまっていたので裏目に出てしまった。嘘が上手いのも困りものである。
まぁ、あそこに何があるのかを詮索する事は何時でもできる。それより今は面白そうな『鏡』とやらの方が優先順位は上だ。
隠密スキルは上げているので、スニーキングミッションはお手の物──とはいえ、対トム君用に直接的な戦闘スキルを重点的に鍛えているハリーの隠密スキルなど高が知れているのだが──なのに加えて、持ち前の速度で一気に突っ切る。
管理人のフィルチも目の前のハリーには気づけず素通りを許したが、これは致し方ないし職務怠慢とは言い難い。
しめしめ、とドアを開けたハリーは、机と椅子が黒い影のように壁際に積み上げられた、如何にも空き教室ですと言わんばかりの一室にはそぐわない、天井まで届く程の金枠の鏡を品定め。
金枠に彫られているのは、アルファベットを逆にした鏡文字で『私は貴方の顔ではなく、貴方の心の溝を映す』とあった。
*鑑定*の結果も★みぞの鏡とあり、説明文にも『それは使用する事が出来る』『それは見た者の奥底の願いを映す鏡だ』とある。
フラッフィーは嘘を吐いていなかったし、鏡は別に呪われていたり危険物だという訳でもない。ハリーは畜生で最低だが、決して外道という訳ではないのでハリーが飼い主に焼いて貰った、四次元ポケットの中の駄馬のステーキを一枚やろうと決めた。
「はてさて、なーにが映るかなぁ?」
ハリーは鏡の端から覗き込み、それでは意味がないのか普通の鏡だったので、中心に立つことにした。
すると、鏡にはハリーの知った顔が映り出した。スネイプの記憶で見た母リリーに、父のジェームズ。一度として触れ合えなかった両親がハリーを後ろから抱きしめ、微笑んでいる。
「……悪趣味な鏡だ」
そう漏らしながらも、ハリーは目を離せない。ああ、心の溝とはよく言ったものだ。
叶わない願いを見せられれば、誰だとて目を離せなくなるだろう。
ハリーは、ここを去ることにした。これ以上見つめてはいけないと。
ノースティリスで磨いた危険信号が、そう叫んで止まなかったのだ。
◇
だというのにハリーは毎晩ここに通い、★みぞの鏡を見た。鏡の周りには家族が居る。クソ親父扱いしていた実の父さえ、鏡の中ではたくましく、頼りになり、温かで、何よりハリーを
現実の自分には、決して触れてくれない。声もかけてくれない。そうと分かっていても、ハリーはその鏡から目を離せずにいた。
いっそ、ホグワーツを卒業するときには盗んでしまおうか?
そんな邪な……けれど、ノースティリスの人間としては当然の感情が鎌首をもたげ……。
「ハリー、また来たのかい?」
その言葉に、ハリーは勢いよく振り向いた。
壁際の机に腰掛ける校長……アルバス・ダンブルドアが、もの悲しげな……哀れみや同情の視線をハリーに向けていて……。
「校則を破ってしまい、申し訳、ありませんでした」
不機嫌さを、隠しきれない謝罪をした。
普段のハリーならば、間違いなくこんな失敗はしない。驚いた風を装い、誠心誠意の謝罪を演じて見せて全てを丸く収める様に動けただろうに、どうしてもダンブルドアの視線が気に入らなかった。
「ふむ……、そういうところはジェームズに似た様じゃの」
頑固で、意地っ張りで、譲りたくないものは譲れない。正しく母と父の間の子だと言うような、見通した声がハリーには一層気に入らない。
「この鏡が何をしてくれるのかは、気がついたかの?」
「叶わない願いを、見せる鏡なのでしょう?」
苛立ちを隠しきれないハリーに、ダンブルドアは頭を振る。
「例えばじゃが、この世で一番幸せな人には、この鏡は普通の鏡になる」
それはそうだろう、どんな望みも叶う人間がいたのなら、欲しいものに手を伸ばそうとは思わない。けれど、その言葉には続きがある。
ハリーが、絶対に看過できない『真実』が。
「鏡が見せてくれるのはな、ハリー。心の一番奥底にある一番強い『のぞみ』なのじゃ」
「嘘だ…………!!」
ハリーは喉が裂けんばかりに叫んだ。廊下の外にまで響いただろうし、巡回中の教師たちも気付いたろうが、知った事ではなかった。
今、この老人は、ハリー・ポッターの半生を否定した!
ハリー・ポッターが縁とする、唯一無二の誇りを汚した!
「取り消せ、今すぐに訂正しろ! アルバス・ダンブルドア!! たとえ貴方が校長だろうと、どれだけ偉大な魔法使いだろうとそれだけは
一番の望みだと? それが最も強い思いだと? 冗談ではない! いいや、冗談であっても許されない!
「僕が、僕のパパとママが、一番だって!? ああ、確かに二人を愛しているともさ! ヴォルデモートだって憎いとも! けど、二人は僕にとっての一番なんかじゃない!!」
薄情者と謗られようと、不孝者だと罵られようと、それだけは決して認められない。何故ならば。
「僕は……!!」
ハリー・ポッターはペットだ! ノースティス最強、最高の冒険者たる飼い主の……と、そこまで叫ぼうとして、ハリーの喉に閊えた言葉が消え、怒りの熱が急速に冷えていく。口にしようとしたその瞬間に、どうしようもない現実に気付かされる。
そうだ。ハリーはあくまで、ペットの『一人』でしかない。
飼い主の側で誰より長く同じ時間を過ごした少女でもなければ、実力一つとっても、側に侍る他のペット達の影さえ踏めない。
ハリー自身、そんなことは分かっていた。だが、それでも認められなかった理由は別。
飼い主は、ノースティリスの最高の冒険者にとっては、ハリーは決して『特別』でも『一番』でもない。
飼い主がハリーに目をかけるのは、ハリーが新しい世界を与えてくれる無二の存在だからだ。他の誰にも、どのペットにもできない、飼い主が信仰する神様にだって不可能なこと。
それを成せるのは、ハリー・ポッターただ一人だというだけ。
“……この鏡を、
きっと、鏡にハリーは映ってくれない。仮に映ったとしても、それは飼い主の一番近い場所ではない。
ダンブルドアは正しかった。ハリー・ポッターを
他ならぬ、ハリー自身がそれを諦めているから。
ハリーは理解している。自分にとって一番大切な飼い主が、一番求めているものを。
イルヴァのどんな冒険者だって、『それ』を求めて生きている。
未知の道具を、景色を、文明を、世界を……新しいものへの出会いこそを、『冒険者』は求めている。富も、名声も、力も、全ては出会いのための手段であって目的ではない。
そうしたものを求める職業としての冒険者も勿論多いが、本当の意味での冒険者や、飼い主は違う。ノースティリスという大地から、あらゆる未知を既知に置き換えてしまった飼い主は、『ハリー』よりも『地球』に重きを置く。
きっと、どちらか片方を選べと言われれば、飼い主は未知を求めてハリーを手放してしまうだろう。
そんなことは、分かっていた。認めないとは、分かっていたという事の裏返しなのだから。この世界に来る前から、ずっとずっと分かっていた筈なのに……。
「ぅ、ぁ……」
それを思えば、瞳から雫が零れた。痛いことなど、苦しいことなど慣れっこなノースティリスの住人が、胸の痛みに耐えられない。
「この鏡に囚われた者は多い。君だけでなく、何百もの者がそうだったのじゃ……これは、違う場所に移す。もう、この鏡を探してはいけないよ」
そう告げると、ダンブルドアはハリーに退室を促した。巡回中のマクゴナガルはハリーの叫びに何事かと踏み込んだが、みぞの鏡とダンブルドアを見て、厳しい言葉をハリーにかけようとはしなかった。
ダンブルドアが、ハリーは両親に会いたかったのだと説明して、彼女は全てを悟ったのだ。
「今日は、もうお休みなさい」
グリフィンドールへの減点も、叱責もない。だが、その眼はハリーを労わりつつも罰を忘れなかった。
「ハリー、人の心はままならないものです。けれど、どれだけ求めても、これは与えてはくれないのですよ?」
ハリーは何も言い返さなかった。そんなことは、誰よりもハリーが分かっていた事だったのだ。分かっていたことを言う事で、ハリーを夢から目覚めさせたのだ。
決して逃げられない……真実と言う現実に。
おかしい……前作はギャグとシリアスの割り振りを1:9にしていたから、今作は逆にしようとしていた筈なのに、どうしてこうなった……?