お姉さんを拾いました   作:へたくそ

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6月の雨

雨が降る。空気は冷たく冷やされ、吐く息は白くなる。

3日前から降り続けるこの雨の中、彼女は虚な目をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今年から高校2年生に上がり、担任も進路の事には煩くなるこの頃。

教室の窓側で、雨を眺める上野(かみの) (まもる)の姿があった。

 

 

 

「なぁ、何外ばっかり見てるんだよ護」

 

「ん?今日の雨もいいなって思って」

 

「そうか?俺は正直あまり好きじゃないな〜。濡れるし荷物多くなるし、遊びに行けなくなるし」

 

「まぁそこは人それぞれだから。それより祐樹(ゆうき)、この後はどうする?またウチに来るの?」

 

 

 

護に話しかけてきたのは斉藤(さいとう) 祐樹(ゆうき)

去年、護と同じクラスになってからよく一緒に居る親友みたいなモノだ。

 

 

 

「いや、今日はバイトがあってな。明日は行ってもいいか?」

 

「うん、構わないよ」

 

「いやぁ、護の家ってエアコンあるからほんとに助かるわ。俺んち除湿出来ないからこの時期は地獄なんだよ…」

 

「それは大変だね。あ、それじゃ俺は買い物しなくちゃいけないからここで」

 

「そうか。それじゃまた明日な〜」 

 

 

 

 

護は先に教室を出る。護は今一人暮らしをしているので、買い出しは自分でしなくてはいけない。

護の両親は世界中を飛び回る考古学者で、世界的にもかなり有名らしい。

そこそこお金を貰っていると言うが、仕送りの額が半端ないのでそこそこの額でないのは確かだ。

 

 

 

「確か、食料が少なくなってきてたし、トイレットペーパーも切れかけてたな。ちょっと荷物が多くなりそう」

 

 

 

護は必要な食品と日用品を買い、大きな袋を持って自宅に向かう。

雨が傘に当たる心地良い音を聞きながら歩いていると、住んでいるマンションの前にしゃがむ人影が見えた。

 

 

 

「何してるんだろう…」

 

 

 

護はその人影に近づくと、しゃがむ人は女性だと言うことが分かった。

ここから察するに何か嫌なことでもあったのだろうか。

もしかして家族や恋人と喧嘩でもしたのだろうか。それとも恋人に振られた?

とにかく何かショックを受けたのかもしれない。

護が歩いて近づくが、彼女は傘も差さずにしゃがんだままだ。

 

 

 

「あの…風邪、引きますよ」

 

 

 

護は彼女に傘をさす。すると彼女は護を虚な目で見上げる。

その顔を見て護は、彼女が隣に住む女性だと言うことが分かった。

挨拶もした事はないが、何度か見かけた事はある。

 

 

 

「………」

 

「あの…」

 

「……ヘクシュッ」

 

 

 

女性はくしゃみをする。ずいぶん可愛らしいくしゃみだ。

 

 

 

「風邪、引きますよ?」

 

「……」

 

 

 

そして今度は悲しそうな顔をして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ぐぅ〜』

 

 

 

「お腹空いた…」

 

 

 

護はなんだか気が抜けた。何か訳ありの様な感じがしたので気を使っていたのだが、お腹が空いてただけとは。

 

 

 

「あ…、えっと…部屋に入らないんですか?」

 

「鍵無くしちゃって」

 

「オーナーには連絡したんですか?」

 

「してみたんだけど、電話に出なくて」

 

「知り合いの家に上がらせてもらうとかは?」

 

「それは、できないの…」

 

 

 

今度は訳ありらしい。ここでその理由を聞くのも失礼だろう。

それにしてもここで彼女を置いていく訳にもいかない。

 

 

 

「そうですか。あの、嫌ではなければ僕の部屋にきますか?このままだと風邪ひいちゃいますし」

 

「そんな、嫌なんて事ないわ。ありがとう、お言葉に甘えさせてもらうわ」

 

「はい。それじゃ入りましょうか」

 

「ええ、それよりも、君の名前はなんて言うの?」

 

「上野 護と言います。貴女は?」

 

「私は天野(あまの) 陽奈乃(ひなの)。よろしくね、上野くん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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