雨が降る。空気は冷たく冷やされ、吐く息は白くなる。
3日前から降り続けるこの雨の中、彼女は虚な目をしていた。
今年から高校2年生に上がり、担任も進路の事には煩くなるこの頃。
教室の窓側で、雨を眺める
「なぁ、何外ばっかり見てるんだよ護」
「ん?今日の雨もいいなって思って」
「そうか?俺は正直あまり好きじゃないな〜。濡れるし荷物多くなるし、遊びに行けなくなるし」
「まぁそこは人それぞれだから。それより
護に話しかけてきたのは
去年、護と同じクラスになってからよく一緒に居る親友みたいなモノだ。
「いや、今日はバイトがあってな。明日は行ってもいいか?」
「うん、構わないよ」
「いやぁ、護の家ってエアコンあるからほんとに助かるわ。俺んち除湿出来ないからこの時期は地獄なんだよ…」
「それは大変だね。あ、それじゃ俺は買い物しなくちゃいけないからここで」
「そうか。それじゃまた明日な〜」
護は先に教室を出る。護は今一人暮らしをしているので、買い出しは自分でしなくてはいけない。
護の両親は世界中を飛び回る考古学者で、世界的にもかなり有名らしい。
そこそこお金を貰っていると言うが、仕送りの額が半端ないのでそこそこの額でないのは確かだ。
「確か、食料が少なくなってきてたし、トイレットペーパーも切れかけてたな。ちょっと荷物が多くなりそう」
護は必要な食品と日用品を買い、大きな袋を持って自宅に向かう。
雨が傘に当たる心地良い音を聞きながら歩いていると、住んでいるマンションの前にしゃがむ人影が見えた。
「何してるんだろう…」
護はその人影に近づくと、しゃがむ人は女性だと言うことが分かった。
ここから察するに何か嫌なことでもあったのだろうか。
もしかして家族や恋人と喧嘩でもしたのだろうか。それとも恋人に振られた?
とにかく何かショックを受けたのかもしれない。
護が歩いて近づくが、彼女は傘も差さずにしゃがんだままだ。
「あの…風邪、引きますよ」
護は彼女に傘をさす。すると彼女は護を虚な目で見上げる。
その顔を見て護は、彼女が隣に住む女性だと言うことが分かった。
挨拶もした事はないが、何度か見かけた事はある。
「………」
「あの…」
「……ヘクシュッ」
女性はくしゃみをする。ずいぶん可愛らしいくしゃみだ。
「風邪、引きますよ?」
「……」
そして今度は悲しそうな顔をして
『ぐぅ〜』
「お腹空いた…」
護はなんだか気が抜けた。何か訳ありの様な感じがしたので気を使っていたのだが、お腹が空いてただけとは。
「あ…、えっと…部屋に入らないんですか?」
「鍵無くしちゃって」
「オーナーには連絡したんですか?」
「してみたんだけど、電話に出なくて」
「知り合いの家に上がらせてもらうとかは?」
「それは、できないの…」
今度は訳ありらしい。ここでその理由を聞くのも失礼だろう。
それにしてもここで彼女を置いていく訳にもいかない。
「そうですか。あの、嫌ではなければ僕の部屋にきますか?このままだと風邪ひいちゃいますし」
「そんな、嫌なんて事ないわ。ありがとう、お言葉に甘えさせてもらうわ」
「はい。それじゃ入りましょうか」
「ええ、それよりも、君の名前はなんて言うの?」
「上野 護と言います。貴女は?」
「私は