買い物から帰ってきた二人は買ってき物を袋から出す。
陽菜乃は護の黒いエプロンを借りていた。
「護くんってどこまで料理ができないの?もしかしてキッチン爆発させちゃったりする?」
「爆発って、何言ってるんですか。人並みには出来ますよ。最初の頃は自炊してましたし」
「なんで今はしてないの?節約にだってなるのに」
「特に理由はありませんけど、一緒に食べる人がないって言うのがありますね」
「そっか、それじゃ護くんにも少し手伝ってもらおうかな」
護は陽菜乃の言われた通りに、野菜屋や肉を切る。
味付けや炒める方は陽菜乃に任せっきりである。
「上野くんって、意外と料理手馴れてるわね。野菜の切り方も上手いし」
「まぁ、別に料理自体は嫌いじゃないですから。自分の作った物を食べて貰えるのは嬉しいですから」
「そっか。それじゃ今度護くんにも作ってもらおうかな」
「機会があれば」
「それじゃその機会を楽しみにしてるわ。あ、護くん、味付けはこれで大丈夫?」
陽菜乃がコンソメスープを注いだ味見皿を、護の口の前に差し出す。
そのまま陽菜乃は護に飲ませる。
「んっ。美味しいですよ」
「そう?それなら良かった」
陽菜乃はそのまま護から目を離そうとはしなかった。
隣でそれに気づいた護は、「なんですか?」と尋ねる。
「こうしてると新婚みたいだなぁ〜って」
「はぁ、天野さんは俺のことを年下の学生って軽く見てる様ですけど、そう言うのはあまり良くないですよ。これでも俺は男なんですから」
「あら、それは困ったわね。これからは気をつけるわ」
「そうしてください。あ、そろそろ皿出してきますね」
護は少し気まずくなったので、逃げる様に食器棚に向かい皿を手に取る。
それを見て陽菜乃は少し可笑しくなり、くすりと笑う。
「すごい、この食卓にこんな豪華になるなんて…」
「本当に今までどんな生活してきたのよ」
そんな事を言いながら二人は向かい合わせに座る。
「それじゃ、いただきます」
「ええ、召し上がれ」
護は最初に唐揚げを口に入れる。
すると市販にはない柔らかくジューシーな食感にほっこりする。
自分以外の手作り料理を食べるのは中学生以来だろう。
「これはすごいですね、染み渡ります。カロリーメ○トなんて目じゃないですね」
「何と比べているの?これでも一応一人暮らしの女なのよ?料理ができなくちゃもらってくれる人はいないわ」
「陽菜乃さんなら、料理できなくても大丈夫な気はしますけど」
「あら?それは私を口説いているのかしら?」
「だから、そう言う事はあまり言わないでくださいって」
護はため息をつきながら、また唐揚げに手を付ける。
すると、陽菜乃がニコニコしながら見てくと
「美味しい?」
「はい」
「そう、良かった」
自分の理性に少し自信を無くしける護だったが、今は目の前にあるご馳走に集中する事にした。
ご飯を食べ終えた。なんだかんだ言って作ったほとんどを食べてしまった。
いつもはカロリーメ○トだけで満足しているが、これを食べてしまうと満足できなくなってしまいそうだ。
食器を二人で洗い、ソファに座ってテレビを見ていると時計は20時半を指していた。
「天野さん、もう一度オーナーにで電話をかけてたらどうですか?今度は出てくれるかもしれませんよ」
「そうね、それじゃ少しかけてくるわ」
陽菜乃はリビングを出て廊下に出る。すると陽菜乃の話し声が聞こえていた。
どうやら連絡がついたみたいだ。流石にこのままウチに泊まるのは倫理的に、て言うか護の理性の関係でダメだ。
そうこう考えていると陽菜乃が戻ってくる。
「連絡ついたみたいですね。すぐ来てくれそうですか?」
「それが、今海外旅行に言ってるみたいで、帰ってくるのが明後日みたいなの」
「ま、まじですか」
「うん。それで、申し訳ないんだけど、それまでここに泊めてくれないかしら?」
その一言に護は一瞬固まった。1日だけと言うならまだ分かる。
しかし明後日となると、陽菜乃を2泊させるという事だ。
「それは、流石にまずいんじゃ…、他に泊させて貰えそうな人はいないんですか?」
「そうよね、やっぱり迷惑よね」
あからさまに落ち込む陽菜乃、それを見て護は
「いや、迷惑では…。ただ、初対面の男の家に泊まるのは陽菜乃さん的にはどうなのかなって」
「他の男の人なら分からないけど、上野くんなら大丈夫よ?」
「流石にそれは無防備すぎませんか?俺が襲うかもしれないんですよ?」
「あら、上野くんはそんなひどい事するの?」
「しませんけど、もしもって事があったらそうするんですか」
「私は上野くんを信じてるから」
そんな事を言う陽菜乃を見て、ここに泊まる事は決定事項だと悟った護は諦める事にした。
まぁそれこそ、ここで追い出して他の男に襲われでもしたらこっち後味が悪い。
「はぁ、分かりました。天野さんがそれで良いと言うなら、どうぞウチに泊まってください」
「ありがとう、ごめんね?無理やりな形になっちゃって」
「気にしないでください。ここで追い出して天野さんの身に何かあったら、それこそ嫌ですからね」
「やっぱり、上野くんは優しいのね」
「そうですか?割りと普通だと思いますよ」
「そう。それじゃ上野くんはそのまま、大人になって頂戴ね?そうしたら私が貰ってあげる」
「色々突っ込みたいですけど、まぁこの際スルーします」
「あら残念」
陽菜乃はそう言いながら満足そうな顔して、照れている護を見つめていた。