お姉さんを拾いました   作:へたくそ

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二人の心配事

陽菜乃と送り、祐樹と一緒に登校している護は、途中で昼食を買いにコンビニに寄る。

いつもなら一番安い菓子パンを買うのだが、昨日陽菜乃に食生活を注意されたばかりなので、小さいカップに入っているサラダと、栄養がありそうな弁当を買う。

 

 

 

 

「ん?護がそんな弁当とサラダを買うなんて珍しいな。いつもなら菓子パンだろ?」

 

「まぁな。ちょっと思うところがあってね」

 

「そうか?今は自炊してないんだろ?前はしてたみたいな話はしてたけどよ」

 

 

 

流石ちょくちょく家に来てるだけあって俺の事をよく分かっているな。

そういえば今日まな板を買いに行かなきゃ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人は学校に着き、自分たちの席に座る。

1時間目の授業の準備をしながら話を続ける。

 

 

 

 

 

 

「なぁ護、今日家に行っていいんだよな?」

 

 

 

護はすっかり忘れていた。昨日勇気と約束したのだった。

しかし陽菜乃が帰ってくるのは20時、祐樹はいつも18時半には帰って行くため、問題ないだろう。

 

 

 

「うん、いいよ。けど少し買い物したいから寄り道していい?」

 

「あぁ、構わないぜ。何を買うんだ?」

 

「まな板だよ。今の家にはないからね」

 

「ん?それじゃ前はどうやって料理してたんだ?」

 

「実は中学の時から一人暮らしをしてたんだ。高校に上がる時に近くに引っ越して、その時に捨てちゃったんだよ」

 

 

 

 

そう、護は中学の2年の後半から一人暮らしをしている。

その時は中学校の近くだったが、高校とは少し遠いため、引っ越したのだ。

まな板はその時に、必要ないと感じしててしまった。

 

 

 

 

「お前、ホントによく今まで生きてこれたよな」

 

「人間は意外に丈夫って事だね」

 

「そう言う事ではないと思うんだが」

 

 

 

護は基本的に頭は良いのだが、まぁまぁな頻度で的外れなことを言う。

そんな世間話をしていると担任の先生が入ってきた。

それとほど同時にHRのチャイムが鳴る。

 

 

 

「おーい席に着け〜。HR始めるぞ〜」

 

 

 

その言葉で、今まで喋っていたクラスメイト達は席に座る。

外は昨日に引き続き雨が降っている。

夕方までには止むと言っていたが、今もかなり降っているので心配になってきた。

やっぱり、陽菜乃にも傘を買うべきだと思った。

 

 

 

「やっぱり、連絡先教えてもらうべきだったな」

 

 

 

今更どうしようもないが、もし止まなかったら迎えに行こう。

 

 

 

「護〜、プリント早く回してくれよ」

 

 

 

護はどうやら陽菜乃の事を考えるのに夢中だった様で、回されてきたプリントに気がつかなかった。

 

 

 

「ごめん、少し考え事してて」

 

「護が考え事なんて珍しいな」

 

「俺にだってそんな時もあるさ」

 

「それもそうか」

 

 

 

護は再び外に目を向ける。いつも通り、好きな雨と曇り空を見上げて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

陽菜乃と真理は無事に営業先との取引も終えて、今は行きつけの喫茶店で昼休憩をしていた。

 

 

 

「ねえ陽菜、なんか今日はいつもと違うけど、何かいい事でもあった?」

 

「さっきも言ってたわね、本当に何もないわよ?」

 

「そう?あ、そう言えば昨日家のが鍵無くしたって言ってたけど、どこに避難してたの?」

 

「隣の人が助けてくれたの。とても優しい人だったから」

 

 

 

陽菜乃は喫茶店に来るまでに昨日の出来事を、話せる範囲で真理に話した。

流石に泊まった家が、高校生とは言え男の家に泊まったとは言えなかった。

 

 

 

「そうなの。それで今日はどうするの?うちに来る?」

 

「ううん、大丈夫。オーナーさんが帰って来るまで居ていいって言ってくれたから。それに、もしかしたらオーナーさんが早く帰って来るかもしれないし」

 

「そっか。もし何かあったら遠慮なく言ってね?」

 

「ありがとう、真理」

 

 

 

そんな事を話していると、陽菜乃は護のことを思い出していた。

そう言えば朝食は自分が作ったから良いものの、昼の事を考えて無かった。

いつもみたいな食事をしてはいないか心配だ。

昼ご飯も作れば良かったと思ったが、それよりも

 

 

 

「連絡先教えてもらっとけば良かったかな」

 

「ん?なんか言った?」

 

「あ、ううん。何でもないよ」

 

 

 

護の事が心配しながら、陽菜乃の昼が過ぎていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼休みを終えた護達は、午後の授業のために体育館に向かう。

本当は外でサッカーの予定だったらしいが、雨なのでバスケに変更になったと言う。

 

 

 

「良かったな護。今日バスケだってよ!」

 

「別に俺はサッカーとバスケ、どっちでも良いよ」

 

「そうか?俺は断然バスケだな!」

 

「それは祐樹がバスケ部だからでしょ。俺は帰宅部なの」

 

 

 

祐樹はなんでも小学校の時からバスケをしているらしく、去年は祐樹のおかげでインターハイにまでに上り詰めたと言う話を聞いた。

バスケの事はあまり分からないが、俺の好きな漫画にもバスケ物があるので、インターハイ出場がどれほど凄いのかは分かっていたので聞いた時はかなり驚いた。

 

 

 

「護も一緒にバスケやろうぜ?楽しいぞ?」

 

「俺はパスだって言っただろ?」

 

「それじゃ授業始めるぞー。早く並べー」

 

 

 

体育教師が生徒達を整列させる。その列に護と祐樹も混ざる。

チーム分けをする様だが、今もまだ止みそうにない雨を、天井近くにある窓から見ていた。

 

 

 

「(何だか、さっきより強くなってる?本当に止むのかな。やっぱり傘渡しておくんだった)」

 

「おーい護!俺たち同じチームだってよ!」

 

「そっか。それじゃボールは全部祐樹にパスするね」

 

「おお!任せとけ!」

 

 

 

流石バスケばか。まぁ俺としてもそっちの方が有り難いんだけど。

これでこの時間は楽できるな。授業が終わったらお礼にジュースでも奢るか。

 

 

 

「よっし!張り切って行くか!!」

 

 

 

 

そんな気合い十分な祐樹は、案の定一人で無双し一試合に50点と取るなんて言う意味の分からない結果を残した。

体育の授業が終わった。クタクタになりながら受けた最後の授業の英語は、半数以上が寝ていた。

そんな英語も終わり、護と祐樹は教室を後にし一階の購買にジュースを買いにきた。

 

 

 

「相変わらず凄いね。はい、これジュース」

 

「お、サンキュー。まぁ俺はバスケしか取りえないしな〜。勉強はからっきしだし」

 

「それでも成績は悪くないでしょ?クラス順位でいつも16位前後でしょ?」

 

「それでも護には敵わないって。お前学年5位とかじゃん」

 

「まぁ、勉強は苦手ではないからね」

 

「苦手では無いなんてレベルじゃ無いだろう」

 

 

護は家ではそんなに勉強はしないが、要領が良いため授業さえ受けていれば平均点は取る事が出来る。

理数系は元から得意であり、歴史なども両親からの影響もありそれなりに強い。

 

祐樹はもらったジュースを一気に飲み干しゴミ箱に入れる。

そしてそのまま上靴から外履に履き替え、帰る前にまな板を買いにホームセンタに向かう。

 

 

 

「護は進学希望だっけ?」

 

「一応ね。特にやりたい事もないし、大卒の方が給料も多くなるかもしれないしね」

 

「そっか。俺はまだ決め兼ねてるんだよな。俺も特にやりたい事も無いけど、勉強もそんなにしたく無いしな」

 

「バスケは高校までしかやらないの?」

 

 

 

祐樹はバスケの能力はかなり高い。スポーツはなんでも好きな方だが、バスケは群を抜いて情熱を注いでる。

そこまでしているのだから、出会った最初の頃は推薦を狙っているのかと思っていたのだが

 

 

 

「う〜ん、やりたいけど趣味でいいかなって感じ。選手になる気は今は無いや」

 

「そっか、まぁそこは祐樹の決める事だから、俺がどうこう言えないか」

 

「そう言ってくれんのは護だけだぜ。他の皆は、バスケを続けないなんて勿体無いの一点張りだからな」

 

 

 

そう、護は今までバスケ一筋だっと言うのに選手になる気は無いのだ。

これを聞いた時は耳を疑った。しかし、分からなくもなかった。

好きな事で食べていけなくても、やり続けれればそれで良い。そんな人は沢山いる。

 

それこそ草野球だってそうだ。

それにスポーツじゃなくても音楽や漫画、小説などなど。上げていてはキリがない。

だからこそ俺は祐樹の考えにあれこれ言う気はないのだ。

 

 

 

「祐樹は自分のやりたい様にやれば良いと思うよ」

 

「そう言うってくれると助かる」

 

「どういたしまして」

 

 

 

そんなこんなを話しながら買い物を済ませ、二人は護宅に到着した。

朝出て行く前に、除湿をかけて行ったので湿度は60%いかないくらいとなっている。

外は雨が降っているが、ジメジメしていたのでこの部屋の爽快感が気持ちいい。

 

 

 

「あぁ!!やっぱり最高だな除湿!!うちにも欲しい!」

 

「はいはい、それで?何するの?」

 

「ん?そりゃゲームに決まってるだろ!やろうぜ!」

 

「はいはい、それじゃいつものやつでいい?」

 

「おお!今日こそ負かしてやる!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダァあああああああ!勝てねえ!」

 

「祐樹は分かりやすい動きするからね。それでもギリギリだけど」

 

 

 

二人がやっているのはシューティングゲームで、対戦プレイをしている。

いつもこのゲームをしているが、祐樹が勝ち越した事はまだ無い。

そもそも歴が違うのだから仕方ない。祐樹が始めたのは去年で、護はこのシリーズを最初からやっている。

ちなみに二人がしているのは、シリーズは4。元々はコアなプレイヤーばかりだったが、最近ようやく人気の出てきたゲームだ。

 

 

 

 

「今日は6勝2敗で俺の負けかぁ」

 

「それでもかなり上達してるよ。俺も負けないか冷や冷やしながらやってるんだから」

 

「今度こそは勝ってやるからな!…っと、それじゃもういい時間だし、俺はもう帰るわ」

 

「分かった。それじゃまた明日ね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「真理、今日はもう上がっていいわよ」

 

「大丈夫よ。量だってそんなに多く無いし、二人でやった方が効率がいいでしょ?」

 

「そう?それじゃお願いしようかな」

 

 

 

現在6時半、他の社員は定時通り5時に退社した。陽菜乃のモットーは『定時絶対』である。

社員には余程の理由がない限りは、残業はさせないと決めている。

その代わり、陽菜乃と真理は退社した後でも仕事を持ち帰りしている。

 

しかし二人はかなり優秀なので、普通の人よりも仕事は早い。

なので、1時間程度あれば大体の仕事を終わらせる事ができる。

現に陽菜乃と真理は、一般社員が二人でやっても2時間はかかるであろう残業を1時間半も経たずに終わらせた。

 

 

 

「よし!これで終わりっと。真理はどう?」

 

「私はもう終わってるよ」

 

「あら、待たせちゃってた?ごめんなさい」

 

「大丈夫よ。それじゃ帰ろうか」

 

 

 

 

二人は会社の出口で別れる。家の方向が真逆なので仕方ない。

外に出て気づいたのだが、まだ雨は止んでいない。

ここから駅まではすぐ近くなので走っていけば大丈夫だが、問題は電車を降りた後だ。

アパートまでは30分かかる。流石にこの雨で30分も歩くのは体に良くない。

それに今日着ている服は、護から借りている物。濡らすの申し訳ない。

 

 

 

「タクシー使うしかないわね」

 

 

 

陽菜乃はお金には困っていない。これでも社長をしているのだ。

貯金だって同年代は勿論、そこらへんのサラリーマンやOLよりはある自信がある。

だが金銭感覚は極めて一般的で、できる限り無駄遣いはしないと決めている。

それを言うなら傘を買うのも考えたが、帰りが遅くなると護が心配して迎えに来るかもしれないと考えれば、早く帰るに越した事はない。

 

 

 

電車に揺られながらそんな事を考える事20分、最寄りの駅に着いた。ここでタクシーを拾おうと思っていると、改札の近くにある柱に寄りかかっている護の姿が見えた。

護は携帯をいじっていたが、こっちに気づいた様で手を振ってくる。陽菜乃も手を振り返してすぐに護の側に行く。

 

 

 

「上野くんどうしたの?こんな時間に」

 

「どうしたって、天野さん傘持ってないじゃないですか。迎えに来たんですよ」

 

「迎えにって、帰ってくるの8時過ぎちゃうかもって言わなかったっけ?まだ7時半回ってないわよ?」

 

「まぁ、特にする事無かったので。早く迎えに来るのに、損は無いでしょう」

 

「なんか気を遣わせちゃったみたいでごめんね」

 

「大丈夫ですよ、それじゃ帰りましょうか。あ、その前に傘買わなきゃですね」

 

「そうね。それじゃそのついでに今日の晩ご飯の材料も買って行ってもいいかしら?」

 

「はい、大丈夫ですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人は新しい傘を買うまで、一つの傘の下で歩いた。

そして新しい傘を買った後、二人並んで昨日と同じスーパーに買い物に向かい帰路に着く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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