実力=握力=花山最強   作:たーなひ

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さてさて!今回は……皆さんお待ちかね!あの人が登場致します!!


十の拳

「「かんぱーい!!」」

 

キン!とグラス同士がぶつかる音が花山の部屋に響く。

 

「いやー、赤点を取らなくて良かったですね!花山さん!」

 

「…お前らのお陰だ。助かった」

 

「いえいえ、気にしないで下さい。困った時はお互い様です」

 

中間テストを終え、テスト結果の発表を終えた花山一行は打ち上げを行っていた。

先ほど石崎が言った通り、花山は赤点を回避することができた。それ以外のクラスメイトも誰一人退学することなく、この中間テストを乗り越えられたのだ。

 

その結果は努力の賜物もあるだろうが、それ以上に大きな要因があった。

 

「それにしても、まさか2年前の問題とそっくりそのまま一緒だったのは驚いたな……」

 

そう、龍園が手に入れていた過去問と今年のテストの内容が全く一緒だったのだ。

 

「龍園くんが言っていた通りでしたね」

 

「あん時は半信半疑だったけどな」

 

「そうですか?私は結構信じてましたよ?」

 

「え?マジで?」

 

「マジです」

 

石崎にとっては驚きである。

龍園が“良い奴”では無いことは一目瞭然だし、聞いた話だとこのテスト期間の間もBクラスにも何かを仕掛けていたらしい。

そんな龍園は石崎にとってはあまり信頼出来るような人間では無かったのだ。

 

「よくアイツの言うことを信じてたな?」

 

「いえ、龍園くんの言うことを信じたというよりも、自分で考えた結果同じ結論に辿りついたって感じですかね」

 

龍園の言ったことをそのまま信じたというわけでは無く、自分で考えて同じ結論に辿り着いたのだと椎名は言う。

 

「……つまりどういうことだ?」

 

「私も改めて考えて見ましたが、龍園くんと同じように“中間テストは去年、一昨年と同一の問題がでる”という結論に達したということです」

 

「はぁ…?……なんでそうなるんだ?」

 

全く分かっていない様子の石崎が気の抜けた声で椎名に問いかける。

 

「えっとですねーーーー」

 

 

石崎に噛み砕きながら一つずつ説明していく椎名。

 

その説明は、奇しくも龍園が小宮に説明したのと全く同じものだった。

 

説明を聞き終えた石崎が感心したように口を開く。

 

「はえ〜……もしかして椎名って結構頭良いのか?」

 

「どうでしょう……テストなんかは今回もクラスでは二位ですけど……」

 

「そんなに頭良かったのか……」

 

「まぁ、はい」

 

「って事はそれに気付いた龍園も同じぐらい頭良いのか?」

 

「テストの点数はそれほど良くなかったとは思いますけど、勉強が出来る事と頭が良い事は別ですからね」

 

「それもそうか………あれ?でも椎名も気付いてたんなら、過去問やるだけで良いんだし態々あんなに勉強する必要無かったんじゃねえか?」

 

「本当に問題がそのままだとは限らないですから、念のための備えは必要でしょう?」

 

「まぁ、そうだな」

 

「それに今までの勉強は絶対に無駄になんてなりません。これから先もテストは続いていく訳ですし、勉強の習慣だってキチンと付けられましたからね」

 

「……椎名って意外と色々考えてたんだな」

 

「なんだか少し言い方が気になりますね……あ、花山くん、楽しんでますか?」

 

「あぁ」

 

「お酒って美味しいんですか?」

 

「…飲むか?ひより」

 

そう言ってグラスを差し出す花山。

 

「飲みませんよ。堂々と未成年にお酒を勧めないで下さい」

 

「そうか……」

 

心なしか残念そうな花山であった。

 

 

「思ったんだけどよ。椎名ってなんでも割とキチンとしてるのに、なんで花山さんがお酒を飲むのには何も言わねえんだ?」

 

と言うのも、別に正義の味方を気取ってる訳でも無いだろうが、椎名はダメな事はダメだと注意出来る人間だ。

事実石崎が危ないことをしようとすれば注意してきた事は幾度もあるし、未成年の飲酒だって椎名は注意するはずだ。

しかしこれまでに椎名が花山に飲酒自体を注意した事はない。テスト勉強に集中する為に没収しはしたが、今もこうして返却している。

それを石崎は不思議に思ったのだ。

 

「そう言えば……なんででしょうか?」

 

「自分でわかんねえのかよ……」

 

「うーん……高校生っぽくないからでしょうか?」

 

その言葉を聞いた花山は、若干の焦りのような感情を見せながら椎名に問いかける。

 

「…なんでだ」

 

「え?」

 

「なんでそう思った」

 

「なんでか………うーん、体が大きいから……ですかね?」

 

「……そうか」

 

花山は少なからず落胆の気持ちを滲ませる。

 

花山は普通の高校生として過ごしたいと思い、これまで生活して来た。

既に高校生とは思えないような行動は何度かやってきたが、全て上手く誤魔化し切り抜けてきた(本人はそう思ってる)のだ。

そんな花山に『高校生らしくない』という言葉はグサリと刺さったのだった。

しかもその理由がガタイなどと言われてしまえば、もうどうしようもないだろう。

 

 

 

(ガタイとかじゃなくて、顔の傷とか振舞いとか、背中の刺青の方が高校生っぽく無いと思うんだけどなぁ……)

 

そんな風に思った石崎であった。

 

 


 

 

「……良かった」

 

書類の山を整理しながら、坂上はひとりごちる。

 

そして目を向けるのは一枚の紙。

 

花山 薫

 

国語 84点

数学 79点

英語 76点

理科 73点

社会 81点

 

学年でも最下位を争う程に入試の点数は低かった花山だが、今回のテストでは無事赤点を回避……それどころか、クラスでも中位以上にも入っている。

その原因の一つはまず花山の人柄だろう。彼の周りに人が集まり、彼の退学を防がんと一丸となって花山に勉強を教え、その努力が実ったのだ。

さらにもう一つ挙げるとすれば、龍園の働きも大きいだろう。彼が学校側の思惑に気付き、早い段階から花山へ協力的な態度を取っていた。先月末の喧嘩もあったから、二人の関係性は十分に注意していたのだが、杞憂に終わったようで何よりだ。

 

 

(龍園翔、そして花山薫……か……)

 

龍園は花山のように人徳で人を集めるような力は無いものの、頭の回転がずば抜けて早く、人を導くカリスマ性を備えている。暴力的な側面もありはするがそれ以上に冷静さを備えており、良く言えばずる賢いと言える。

 

花山は入学当初は全教師が交代で花山の動向を観察し続ける程に警戒していたが、二週間が経つ頃には監視カメラでの動向監視のみに収まっている。当初懸念されていたような人間性において特に問題は無く、むしろ好感が持てるほどで、それは彼に友人がいることからも証明されている。

身体能力、戦闘能力ではこの学校に対抗出来るような者はおらず、人の輪の中心になる事が出来る生徒だ。

 

龍園と花山、この二人はAクラスにも対抗出来るだけの力を持っている。

彼らなら………Aクラスに上がる事も………容易かも知れない。

 

 


 

 

東京 新宿

 

 

路地裏で立ちションをしている酔っ払いの男が居た。

 

 

ーー人間(ヒト)を斬る……………って

 

ーーただ斬るってだけじゃアンタ………

 

ーーつまらんでしょう

 

ーーそんなもん

 

ーー斬るんじゃないんだ…

 

ーー真っ二つに割るんです

 

 

その男はブツをしまい、ふらつきながら歩き出す。

 

 

ーーこれがなかなかに難しい

 

ーー人間(ヒト)って物質はアンタ…

 

ーーアレでなかなか頑丈に出来てなさる

 

 

ふらつきながら歩く男の前に空き缶が一つ置かれている。

 

 

ーーそう……

 

ーー見てくれのキレイな…

 

ーー細身の刃物じゃダメだ

 

 

男は空き缶を蹴飛ばしながらフラフラと路地裏を歩く。

 

 

ーー重く……身幅の広い

 

ーー肉厚が良い……

 

 

酔っ払った男が蹴飛ばした空き缶の脇の路地にはまた別の影があった。

だがその影は酔っ払いの男と違い丸腰では無く、真剣を構えている。

 

 

ーー空き缶からの距離は4.7メートル…)

 

ーー酔った一踏みは約47センチ

 

 

酔っ払った男は歩く。その脇道には真剣を構えた影が待ち構えている。

 

 

ーー5歩…

 

ーー6歩…

 

ーー7歩…

 

ーー8歩…ホラ…

 

ーー9歩…

 

 

真剣を構えた影が大きくのけぞり背筋を張って真剣を構える。

 

 

そして酔っ払った男が10歩目を踏み出した瞬間……

 

 

ーー今……ッッッ

 

 

真剣を真っ直ぐ振り下ろした。

 

 

ーーそう…左右にではなく……前後に

 

ーーそうカンタンに

 

ーーやれることじゃあない

 

 

前後で真っ二つに斬られた男の死体がどちゃりと音を立てて崩れ落ちると、刀に付いた血を払って鞘に仕舞う。

 

 

ーーいやァ……

 

ーー笑っちゃあイケないんだけどさ…

 

ーーイケないんだけどさ……毎回(いつも)笑っちゃうんだなァ………

 

 

その影ーーしわがれた老人のような男はくつくつと笑いを溢しその場を後にする。

 

ーー人間(ヒト)の顔って…

 

ーー前後に切り分けた人間(ヒト)の顔って……どうしてあんなに可笑しいんだろうね♡

 

 

 

場所は移り、その男の暮らす部屋。

 

「上がり………と」

 

そう言いながらマジックでノートに書かれた名前に縦線を入れる。

依頼完了の印だ。

 

 

「次は…………」

 

一つ依頼が終われば、当然次の依頼がある。

 

その次に書かれたターゲットの名前を目にして……。

 

「おっほ♡」

 

 

そこに書かれていた名は『花山薫』。

 

 

「こりゃ大物だ…」

 

嬉しそうに笑みを浮かべながらバサリとノートを投げる男。

 

 

その男は、裏社会ではこう呼ばれていた。

 

 

『ハーフカットの仙吉』

 

 

と。

 

 


 

 

高度育成高等学校学生データベース

 

 

氏名:花山 薫  はなやま かおる

 

クラス:1年C組

 

部活動:無所属

 

評価

 学力:E -

 知性:C +

 判断力:B -

 身体能力:A +

 協調性:C +

 

面接官からのコメント

 ずば抜けた身体能力を持っているが、テストの成績は学年ワースト2位を記録している。調査において面接や生活態度自体に問題は無く、彼の教師からは好意的な意見も多かった。学力を補って余りある身体能力を考慮すればAクラスもしくはBクラスへの配属が妥当かと思われるが、彼の事情(別途参照)を考慮し、Cクラスへの配属とする。

 

担任メモ

 当初危惧されていたような凶暴性は皆無であり、クラスメイト達との良好な関係を築けています。椎名や石崎と一緒に居る事が多いようです。

 




キャァァァ!!仙吉ぃぃぃぃぃ!!!(ハイテンション)


椎名ちゃんは原作通りぼっちっちなら自力で気付いてたけど、花山の為にリソースを割いたせいで気付かなかったって感じ。

龍園くんはテスト2日前ぐらいに「今回のテストは過去問丸々出るからこれだけやっといたらええんやで〜」って言ったけど何の理由の説明もしてないから石崎は何でか知らなかったって感じ。

テストの教科主要5教科ぐらいしか書いてないけど大丈夫かね?ま、ええか。
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