書きかけのまとめ   作:一般的な犬

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そもそも独自設定入れすぎて爆発しそう。もはや原作あっての二次創作を超えて人形遊びの域に達してる。でもやっぱり地の文は気に入ってる。


SAO (紺野木綿季)

 

 

 

 

 

「おっはよー! カズ兄起きてる!? あと一時間だよ!」

 

聞き慣れた声によって意識が少しづつはっきりとしてくる。悪夢を見ていたはずだが、内容は覚えていない。 

 

……何かを忘れている気がするが、まあいいか。このまま二度寝してしまおう。

 

「あれ? カズ兄? おーい」

 

ウトウトと二度寝モードに入った俺を起こそうと、声の主は俺に馬乗りになって頬をペちペち叩いてくる。

 

「むー……カ!ズ!に!い!」

「うるさいぞ、木綿季……」

 

遂には耳元で叫ばれた。ここまでされては起きざるを得ないため、馬乗りになって耳元で叫ぶ黒髪の少女の肩を押し戻しながら起き上がる。

 

「やっと起きた! おはようカズ兄!」

「おはよう木綿季……本当ならあと一時間は寝たいんだがな」

 

絹糸のような艶やかで背中辺りまである黒髪に、道行く男の殆どは振り返りそうな可愛らしくとも美人な顔立ち──これで小学六年生だから驚きだ──。この少女の名は紺野木綿季。俺の再従妹で、大切な家族だ。

 

「ほら、いい加減膝の上からどけ。起きようにも起きれないから」

「えー。あっそうだ! じゃあギューッとしてくれたらどいてあげる!」

 

木綿季は両手を広げてwelcomeと言わんばかりのポーズをとるが、俺は無言で脇の下に手を入れて木綿季を浮かせ、無理矢理ベットから脱出する。

 

「カズ兄のケチー」

 

コイツは小さい頃から甘えん坊だが、ココ最近俺に対してスキンシップの要求が少々多い。

とっくにに俺は思春期へと突入し、木綿季も第二次性徴期に入って既に胸は膨らみかけている。

 

家族とはいえ男に対していい加減慎みを持って欲しいものだが、そうと言って聞いたら今日まで苦労はしていない。いや、別に木綿季の行動が迷惑という訳では無いし、俺は小学生に恋するようなロリコンではないが。

 

 

抱きつこうとする木綿季をあしらいながらふと、木綿季が閉め忘れたであろう部屋の扉の横を見ると、カレンダーの真っ赤な印が目に入る。

 

[11/6 13:00~ SAO正式サービス開始]

 

続いて、カレンダーの下の棚を見る。

 

そこには[2022/11/6 12:11]を表示するデジタル時計

そして艶消しされた黒色の頭全体を覆う流線型のヘッドギア、正式名称ナーヴギアがそこに置かれていた。

 

何を忘れていたか、それで思い出した。

 

今日は待ちに待ったSword Art Online(ソードアート・オンライン) 通称SAOの正式サービス開始日だった。

 

SAOとは、開発者である天才量子物理学者の茅場晶彦が作り上げた世界初のVRMMORPGであり、完全なる仮想世界を形成するナーヴギアの性能を十全に使った、今世界で話題の中心になるようなゲームである。

 

「今まで発売されたVRゲームが子供の玩具に見えるような完成度」とはこのゲームのβテスター談である。

 

MMOと言えば参加数に限りがあるが、今回用意された正式版のアカウント第一陣枠は一万人、βテストの優先権を差し引いても9000人分の狭き門。この応募枠を見事勝ち取った俺は、この時のために仮眠を取っていたのだ。

 

「あーあ。どうせ寝坊するだろうと思ってカズ兄を起こしに来たのになぁ。しくしく」

 

下手な泣き真似をする木綿季だが、確かに木綿季がいなければ確実に正式サービスには出遅れていた。

 

「あー、その。なんだ、起こしてくれてありがとうな」

 

それの感謝とさっきのお願いを無下にした謝罪を込めて、ベットの上で下手な泣き真似をする木綿季にそう言う。

 

「しくしく、しくしく」

 

しかし、ベットの上の泣き真似木綿季はチラチラこちらを見つつも泣き真似を止めない。たまにこうなる木綿季は無駄に強情だ。こうなってしまってはこちらが折れざるをえない。

 

「はぁ……ほら」

 

木綿季に対し甘い俺自身にため息を吐きつつも、先程木綿季がしていたように両手を広げて構える。

 

「うわぁーい!」

 

それに気が付いた木綿季はベットの上からカタパルトのように飛びたし、体当たりの如く飛びついてくる。まあ所詮は小学六年生、来年で高校生にもなる俺はその程度ではビクともしない。

 

小動物のマーキングが如く頭を胸板に擦り付けてくる木綿季を、どこか吹っ切れた気持ちで撫で回していると、部屋の外からこんな声が聞こえた。

 

「おや、木綿季ちゃんと和真は仲がいいな」

 

開けっ放しの扉の向こうにはダンディなおじさんが立っていた。もちろん知らない人などではなく、俺の義理の父親であり、木綿季と木綿季の双子の姉の保護者である、小田木康太郎その人である。

 

「父さん。俺はただ家族とスキンシップを取っているだけだよ」

 

別にやましいことをしている訳では無いが、どこかむず痒い気持ちになりつつも後で()()()勘違いされないように先手を打っておく。

 

「くっくっくっ。昼飯が出来たからと藍子の代わりに呼びに来たら、てっきり男女の情事に出くわしたのかとな。別にそういう関係になっても文句はない、というかくっついてくれた方が親としても安心だが、さすがにその歳の子に手を出すのはダメだぞ?」

「前提から間違ってるぞ……木綿季と俺はそんな関係じゃない」

 

どうだか、と父のニヤけた顔が言っている気がした。

 

この父親は色々とハイスペックな人だが……ちょっと、ほんのちょっと人をからかうのが好きな人でもあるのだ。それが無ければいい父親なんだがな。

 

「ねえ叔父さん、ジョウジって何?」

「ん、情事ってのは──「木綿季、昼飯食いに行こうか。多分藍子も待ってるから」───ッチ。さっさとくっついてしまえばいいものを」

 

父の言葉を遮って、サッサと部屋を後にする。最後になにか息子として聞きたくもないようなことが聞こえた気がするが、極めて都合の良い耳がシャットアウトしてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 ─────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ〜。このおうどん美味しいね」

「美味いな。もしかして藍子が作ったのか?」

「うん、でも叔母さんに手伝ってもらいながらだけどね」

 

一般家庭からすれば一回り以上は大きい居間は、この家の持ち主が十分裕福だと察することは簡単だろう。

 

六人掛けのテーブルには俺を含めて三人の少年少女が座っており、それぞれ思い思いにかけうどんを食していた。

 

一人は紺野木綿季。小学六年生の男勝りな元気を持つ天真爛漫な黒髪少女。

 

一人は俺、小田木和真、中学三年生。長過ぎず短過ぎない程度に切りそろえられた黒髪に、160後半の平均的な身長。ルックスも……自分で言うのもなんだが普通位。

 

最後の一人は紺野藍子。黒髪のショートで、木綿季とは違って美人を前に押し出した可愛らしさがある。木綿季の双子の姉で、妹とは対照的に物静かな小学六年生。二卵性双生児であるせいか、双子であるのに二人の性格はあまり似ていない。

 

居間に掛けていたアナログ時計の長針は、もうすぐ8の文字盤へと至りそうだ。

 

どうせだったらサービス開始と同時に入りたいので、残っている麺をそそくさと片付けて深皿をキッチンへと持って行く。

 

 

 

「はぁ、羨ましいなあ」

 

同じように、空のコップを持って一緒にキッチンへと来た藍子が思い出したかのようにため息をつく。

 

実はSAOの正式サービス、俺の他にもう一枠勝ち取った者がいる。

 

「こればっかりはしょうがないだろ。心配しなくても後で木綿季がちゃんと貸してくれるさ。な?木綿季」

「もちろん!……でも姉ちゃんと冒険するのはしばらくお預けかぁ」

 

そう、木綿季も正式版の狭き門を潜り抜けたのだ。

 

もともと、枠にはβテスト優先枠、店頭販売枠、公式抽選枠と三つあったのだが、中学生と小学生が徹夜して並ぶ訳にも行かないため、公式抽選枠に三人で応募したのだ。もちろん、誰があたっても恨みっこなしという条件の元、俺と両親の三人分の名義で応募した。(一応ナーヴギアには13歳未満の使用を遠慮して云々があったため、大人の名義で送らざるを得なかった)

 

結果、当たったのは俺と木綿季代理の父親分。藍子は表面上平気そうであったが、かなり拗ねていたし、機嫌を治してもらうのに苦労したのだ。

 

それに、俺のナーヴギアとアカウントを貸しても良かったのだが、前に別のVRアクションゲームをした時、細かな所有者登録と詳細的なキャリブレーションをしてしまい、俺以外が使うとフルダイブ不適合(FNC)が出てしまい、まともに遊べないのだ。

 

最後にはナーヴギアを初期化するなり、俺が貯めた小遣いで新しいナーヴギアを買うなりと案を出したが、「そこまでしなくても第二陣を待つ」という藍子により断念された。

 

まあ、そんなこともあって今日に至るのだが。

 

 

「そろそろいい時間だし部屋に戻って準備したら?」

 

自分の気持ちを吹っ切るためか、藍子が気を使ってそう言う。

公式抽選枠が発表されたのは三ヶ月前、いくら藍子が木綿季と違って大人っぽいとはいえ、そう簡単に気持ちは吹っ切れないだろう。……いや、木綿季の性格と容姿のせいで殊更子供っぽく見えているだけかもしれないが。

 

「わかった! カズ兄、姉ちゃん、先行くね!」

 

木綿季は自分の分の深皿を流しに置くと、走って行ってしまった。相変わらずそそっかしいというか、元気いっぱいというか。

 

「木綿季は何時も変わらず元気だね」

「今日は特にな……チャチャッと洗い物片付けてしまうか」

 

俺も藍子も、顔に浮かべるのは同じく苦笑だ。

本当に正反対な二人だな。

 

 

 

 

 

 

 ─────────────────────

 

 

 

 

 

 

「カズ兄さん、あとは私がやっておくから。もう、時間ないよ?」

「あっ……そうか、すまないな。埋め合わせはまたするから」

 

家のルールとして、食器洗浄機は皿の量が多い時にしか使わないというモノがある。それに従い三人分の食器を雑談しながら手洗いしていると、サービス開始5分前になってしまった。

 

「ううん、これぐらいはね。それより、カズ兄さんはちゃんと木綿季の事を見ていて上げてね。あの子、そそっかしいから。それと、6時には一度やめてね。晩御飯の時間だし」

「わかった。……じゃあ、楽しんでくる」

「うん、私の分まで楽しんできてね」

 

 

 

 

 

 

 

キッチンを後にし自分の部屋のドアを開けると、本来ならそこにいるべきではない人がいた。

 

「あ、カズ兄! もう時間が無いよ! ほら、はやくはやく!」

「ちょっと待て、何故木綿季は俺の部屋にいる」

 

当たり前だが俺と木綿季の部屋は別々だし、その性質上ベットの上で仰向けになりながら使用するナーヴギア用の端子や機材は、木綿季の部屋にも当然ある。

 

「まーまー、細かいことは気にしなーい。ほら、カズ兄の分もセットしといたから!」

「はぁ……お前ってやつは……」

 

木綿季はベットの壁側に寝っ転がり、隣をポンポンと叩く。

 

俺の分までセッティングは既に済ませて、ご丁寧に自分の枕と俺の枕をベットに並べている。

つまり、俺は木綿季の隣に寝っ転がるということか。

 

もしこんなものを父親相手に見られようものなら晩飯の時にからかわれるのは確実だろうし、そもそも木綿季とはいえ同じベットに入るのは少々気恥しいものがある。

 

しかしながら、開始までもう時間が無く、セッティングも既に済まされてしまった。さらに、この期待の目を向ける木綿季を拒否する術を俺は持たない。

 

諦めて木綿季の横に倒れ込み、せめてもの抵抗として壁とは反対側にベットのギリギリに寝ようとするが、どうせ木綿季が詰めてきて終わりと気がついて止めた。

 

 

ナーヴギアを被り、目を閉じる。

 

「ねえ、カズ兄」

「ん?」

 

あと一分程で始まるだろう時に、木綿季が腕と指を絡めてくる。声は何処か不安そうだ。

 

「……痛くないよね?」

 

ああ、そう言えば初期設定やキャリブレーションはやったけど、本格的なフルダイブは初めてだったか。 

 

「ああ、痛みなんて全くない。そうだな、ウトウトとしてる時にふっと意識が無くなっていつの間にか寝てることがあるだろ?あんな感じだ」

 

子供の頃、よく手を繋いでいたことを思い出し、その時のように手をにぎにぎとしてやると、ギュッと木綿季が密着してくる。いつもならあしらうなり咎めるなりしただろうが、今回ばかりは大目に見ておこう。

 

「そっか。……うん!そう考えたら全然大丈夫!」

「それは良かった。そうだ、フルダイブする時の合言葉は覚えているか?」

「もちろん!」

 

 

ゲーム開始まで、あと数秒

 

 

「せーので行くぞ?」

「わかった!」

 

 

「「リンク スタート!!」」

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