「………」
「………」
「そ、そういえば、最近あったかくなってきたね……」
「あ、ああ。そうだな……」
「………」
「………」
「………えっと、比企谷くん。す、すきな食べ物ってなんですか……?」
「ぶぶっ!」
「っ!ちょ、ちょっと笑わないでよ!」
「く、くく。いやだってさ、船見がはじめて会って話した第一声と同じこと言ってるんだぜ?笑わせてくれよ。そ、それにしても……くっ、ふふふ」
「は、恥ずかしい……だって、やっばり緊張してるんだもん、改めて考えると」
「まあ、俺もそうだよ。そりゃ異性の部屋なんてはじめてだからな」
「え、そうなの?」
「当たり前だろ?まあまあ長い付き合いなんだし、わかってると思っていたが。まあ、性別問わずともだちの家にいままで行ったことなかったけどな!」
「ふふ、それ堂々と言うこと?」
「それもそうか……悲しくなってくるな。——それで、質問には答えないといけないな」
「?」
「さっき言ったじゃないか、すきな食べ物はなにかって」
「緊張でそう尋ねちゃったけど、比企谷くんはマックスコーヒーに一筋でしょ?」
「まあ、マックスコーヒーもいまだに大好物だけど——そ、その、いまは、船見の作ってくれたミラノ風ドリアも同じくらいすきでし……だ……よ………」
「………」
「………」
「ぶ、ぶぶっ!」
「あ!笑ったな!俺の勇気出したセリフを!」
「だ、だって最後に噛むから………ふ、ふふふっ。笑わせてくれたっていいでしょ?」
「さっきの意趣返しか……」
「そのとおり——ねぇ、『
「えっ……?」
「ふふっ、難聴系ではないでしょ?八幡くん。いままで結構長いあいだちょこちょこ会ってきたし、こうして君はうちにも来てくれたわけだから、下の名前で呼び合うのもどうかなぁってね。もちろん下で呼び合うのが絶対的に仲の良い証拠ではないけど、それでも証にはなると思うんだ。わたしが呼びたいだけのエゴだけど、どうかな?そして、で、できればわたしのことも……だけど」
「……わかったよ、『
「……照れるね」
「まあな……そのさ、結衣。俺には異性の知り合いがいて、実はそいつの下の名前とふな——結衣が一緒なんだ。だからなんだって話だが、それでも俺は結衣と呼ぶのは一人だけだ。いいか?」
「うん、ありがとう。でもわざわざ厳格にわけなくてもいいんだよ?さっきの話と矛盾するかもだけど、呼び方なんて自由だし」
「まあ、一種のこだわりだな——これからもよろしく、ゆ、結衣」
「………」
「あ、ニヤニヤするな!」
「さっきの仕返しの仕返し」
「む……で、でも結衣の方が一回多くないか?……まあ、いいか——そういえば結衣にどうしても言いたいことがあったんだが」
「なになに?仕返しはもうダメだよ?」
「いやいや、マジメな話」
「そ、そうなんだ。……わかった」
「そ、そのだな……うん——さっき、結衣が『ちょこちょこ会ってきた』って言ったときの『ちょこちょこ』の口調に萌えた』
「………」
「………」
「さてっ、八幡くんが自爆したところで、次の話題に移ろうっ!」
「ま、待て!仕返しの仕返しの仕返しするつもりが逆に仕返されたぞ!ん?いや違う、待ってくれ結衣、恥ずか死させないでくれっ!——」