「——それにしても、今まで会話してきてわかってきたけど、結衣もあまり友人がいないんだな……あっ!失礼なこと言ってすまん!」
「いや、合ってるから大丈夫だよ。ごらく部のみんなとその共通のともだちぐらいしかいないからね」
「でも、結衣ならつくろうと思えばもっとできると思うんだが……」
「ふふっ、ありがとう——でもね、前にも言ったと思うけど、わたしは神経質で、他人に自分を想像されるのがあまり得意じゃないんだ。気の許したともだちなら問題ないけど、仲良くないひとに自分のことを良くも悪くもわたしの想像つかないところでイメージされるのが、どうしてもモヤモヤするんだ」
「なるほどなぁ——でもさ、人間生活している限り、他人に想像されるのはどうしても避けられないとは思うぜ。いやっ、結衣を否定してるわけではないんだが……」
「ありがと、八幡くん。八幡くんの言うとおりなんだ。自分勝手な考えなのはわかってるの。わたしだって他人に対してあれこれ想像しちゃうのに、これじゃエゴだね」
「エゴでいいじゃないか。さっきの話と矛盾するかもしれないけど、そもそも矛盾するのが人間だとも思う。俺だって『ぼっち』を自称して強がって生きてきたけど、俺には小町がいた。高校に入って知り合いもできた——そして、目の前にいる人と『はじめてのともだち』なった。一人ぼっちをモットーにしながらいつも俺の周りには誰かがいたんだ。かと言って、友人をたくさんつくるのはしんどい。孤独はいやでも群衆もいや。そんなものじゃ、ない、の……か?」
「ふふっ、なんで最後疑問なの?」
「なんか自信なくなってきた……」
「ううん、やっぱり八幡くんの言うとおりだね。もっと曖昧で矛盾してていいのかも」
「うん、絶対的な正解なんてないからな」
「わたしの依頼を解決してくれたね」
「えっ……?こ、これって奉仕部の仕事だったのか?」
「冗談だよ冗談。でもさ、八幡くんと話してたら自然と悩みを打ち明けて、八幡くんが解決してくれた。ありがとう」
「お、おう。まあ、なによりだ」
「あれ、もう外こんなに暗い……」
「ん……もうこんな時間か。すまん結衣、きょうは帰らせてもらうわ」
「うん、また来てくれたらうれしいな」
「……ああ。またかならず来る」
* * *
「映画、いっしょに観られてたのしかった。ミラノ風ドリアとコーヒーもうまかったよ。ほんとにありがとう」
「こちらこそ、すっごくたのしかったよ——送らなくていい?」
「大丈夫。帰り結衣が一人になるからな」
「……うん。次いつ会うかはまたメールで決めよ。……きょうもありがと。また、ね」
「ああ。また、な」