「——特に趣味ってのはないかもなぁ。もちろんゲームもすきだし、ほかにもすきなことはあるっちゃあるけど、それが趣味かって言われたら難しいところだな。……しいて言うなら読書が趣味だと思う」
「比企谷くん、本すきだもんね」
「ん?そんなこと船見に言ったことあったか?」
「この前ね、ここで比企谷くんがわたし待ってくれていたときに、真剣な顔で本を読んでたのを外から見たから、本がすきなのかなぁって。それに……雰囲気、かな。……あ、別に悪い意味ではないんだけどね——比企谷くん、友達と外で遊ぶよりかは、おうちで本を読んで過ごしてそうだから」
「なるほどな……いや、その通りだよ。俺がともだちと遊ぶとか、天地がひっくり返っても考えられんことだ」
「……でも、いまは?」
「ん?」
「いま、わたしとこうして話をしているのは、『ともだち』と遊んでることって捉えることができない……かな?」
「んんっ。……まあ、うん……そう、なのか?」
「その、わたしは比企谷くんのこと……良き友人だと思ってるよ」
「……なんか照れるな。——こういうのは、あんまりなれてないんだわ」
「えへへ、実はわたしもちょっと恥ずかしい……面と向かってともだち宣言するのって、勇気がいるんだよ?」
「そ、そうか……——まぁ、なんだ。その、ありがとな」
「どういたしましてっ。……でも、比企谷くん。嫌だったら言ってよ」
「ん?なにをだ?」
「その……わたしとこうして遊ぶのが嫌だったら……」
「……そんなことはないから安心しろ。たしかに、俺は船見の言ったとおりインドア少年ではあるが、信頼できるやつとこうして話すのも……や、やぶさかではないから」
「っ!……そっか、ありがとう。照れちゃうな。——比企谷くん。これからもよろしくね」
「……おう」
* * *
「比企谷くんはどういう本を読むの?」
「俺か?ふむ……けっこういろんなのを読むぞ。日本文学も海外文学も、エッセイとかライトノベルとかも」
「へぇ、たくさん読むんだね。……わたしは文学は有名どころしか読まないかなぁ。夏目漱石とか」
「おぉ。俺も夏目漱石はわりと読むぞ」
「どの作品が好き?」
「俺は、無難だけど『こころ』かなぁ……」
「あ、良いよね、『こころ』。私でも読みやすいし、少し暗いお話だけど、わたしもすきな作品だな」
「そう、そうなんだよ……あの根底にながれる退廃的な雰囲気があの作品の魅力なんだよな。そんで『先生』が語ることばは人間の本質をよくとらえてあると思う」
「もう一回読んでみようかなぁ」
「いいな、俺も読み返すか……しかし、その年で夏目漱石を読むのはすごいと思うぞ」
「そうかな?でも、文学は本当に有名どころだけで、後はミステリーとかライトノベルとかかな」
「えっ……ライトノベル、読むのか?」
「?うん」
「それは意外だった……」
「そ、そう?学園もの好きだけど、異世界転生ものとかもよく読むよ」
「おぉ……なかなかディープだな……これは語り合えそうだ——」