「——いやぁ、ひさしぶりに八幡が熱弁してる姿を見たかもしれない。ふふっ」
「恥ずかしい……」
「マックスコーヒーをアピールする八幡を思い出したよ」
「更に恥ずかしい……」
「ミラノ風ドリアを力説する八幡と重なって見えたよ」
「なおのこと恥ずかしい……ってなにかお互いこの会話たのしんでないか」
「わたしはいつでも八幡との会話をたのしんでるよ」
「俺もだけどさ」
「んんっ!……そこは『かてて加えて恥ずかしい……』と言うところだよ」
「難しいことば知ってるなぁ……結衣はえらい」
「恥ずかしい……」
「つーかその歳でおいしいコーヒーを淹れられて映画も詳しいとか才女なのか?」
「層一層恥ずかしい……」
「その上勤勉で知識も豊富ときた。才色兼備の権化なのか?」
「なおなお恥ずか………え?」
「ん?」
「………」
「………あっ………」
「………」
「………嘘は言ってない」
「………八幡顔真っ赤」
「結衣もな………」
「………こ、ここ暑いしそろそろ外出よっか」
「おう………」
* * *
「朝に映画観たからまだまだ外は明るいね」
「そうだな、むしろ店内の方が涼しかったかもしれん」
「でもさっきそこを暑くさせたのは誰だったかな……?」
「なんのことだろうか、さっぱりわからん……——さ、さて、この後どうする?」
「とぼけ方がうまくなったね八幡……んー、そこまで考えてなかったや、ごめんね」
「腹は減ってるか?」
「いや、そんなにかな。朝いっぱい食べたし。八幡は?」
「俺もそこまでは。……じゃあ、そのだな………——服、買いに行くの付き合ってくれないか?」
「え?」
「そんなに意外だったか……小町にいろいろコーディネートやなんやらを教えてもらっているんだが、どうにもまず服が足りなくてな……一着なら買えそうだから、トップスだけでも結衣に見繕ってもらえないかと思って」
「わ、わたしでいいの?それこそ小町ちゃんに見てもらった方が……」
「それも手だが、そもそも結衣と遊ぶためのコーディネートなんだから、結衣に服を選んでもらうのが順当だと思ってな」
「………へへっ、こそばゆいですな」
「………そこはまた『恥ずかしい……』で始まるループでは?」
「は、八幡っ!」
「す、すまん!ちょい魔が差してからかってしまった!」
「もう………ちょっと怒ってしまったので、罰として八幡にもわたしの服を見繕ってもらおうかな」
「え?」
「わたしと同じ反応とは……わたしも八幡と遊ぶためにコーディネートしたいから、一着選んでほしいな。………ダメ?」
「ダ、ダメではないんだが……俺、センスないぞ?」
「センスは関係ないよ。だって八幡といるための服だから、八幡が良いと思うものがわたしたちの『正解』でしょ?」
「……わかった。自信はないけど頑張るわ。……しかしなぁ」
「?」
「ぜんぜん罰ではないんだが、これ……むしろ結衣の服を選べるとかめちゃくちゃうれしいけど………」
「………」
「結衣?」
「………は」
「は?」
「恥ずかしいぃ……」
「えっ!……結局このループに陥る運命だったのか……?ゆ、結衣が本気で照れるタイミングがわからない………——」