比企谷八幡と船見結衣の会話   作:風吹18号

7 / 40


「——ごめん!待たせちゃったよね。貴重な休日なのに、遅れちゃってほんとにごめん」

 

「気にするな、俺も遅れてきたから。たまたま先に着いただけだ」

 

「それでもごめんね。もう比企谷くんはなにか頼んだ?」

 

「いや、まだだ。それよりさ、えっと……そのだな……」

 

「?」

 

「あの、その——服、似合ってるな。いつも制服姿だから、新鮮だ」

 

「えっ……ど、どうしたの突然?」

 

「すまん、気持ち悪かったよな、忘れてくれ。いや、忘れてください」

 

「いやいや、そんなことないよ。ただ、えっと、突然だったから——ありがとう。たしかに、お互い私服で会うのはめったにないもんね。えへへ、うれしいな」

 

「その、もちろん私服は似合ってるんだが、理由があってだな——出かける前、妹の小町に『今日は休日に結衣さんに会うんだから、私服、褒めないとダメだよ』って言われてな——いや、そう言われはしたけど、ほんとに似合ってるんだぞ」

 

「ありがとっ。比企谷くんも、私服姿、かっこいいよ」

 

「お世辞は良してくれ」

 

「お世辞じゃないよ、ほんとに似合ってるよ」

 

「……ありがとう。実は小町にコーディネートしてもらったんだ。『小町が結衣さんに相応しい服装を選んであげる』ってな」

 

「そうなんだ。本当に比企谷くんは妹さんと仲が良いんだね。羨ましいな」

 

「まあ、世界一かわいい妹だからな。ただ、小町には『お兄ちゃんと血がつながってなかったら、学校が同じでも一度も話さないただの他人だったと思う』って言われてるよ」

 

「結構キツい言葉だね……」

 

「それでも、そのとおりなんだ。俺が小町と血がつながっていない赤の他人だったら、きっと小町に告白して玉砕して、それからは金輪際話さない仲だったと思う」

 

「玉砕しちゃうんだ……」

 

「でもさ、他人だとしたら話さない仲でも、『兄妹』だから話せるって、なんだか不思議なことだと思うんだ——『兄妹』だから見捨てないでいられる。『兄妹』だから一緒にいられる——血が繋がっているだけで、結びつかないものが結びつき合う。不思議なことだ」

 

「不思議で、そしてすてきなことだよね、『兄妹』でいられるって——ああ、ますます羨ましいな」

 

「もちろん、一長一短だけどな。船見は兄弟姉妹がほしかったのか?」

 

「うん、わたしは比企谷くんと同じで妹が欲しかったかな。親戚にちっちゃい女の子がいるんだけど、それがかわいくってかわいくって。たまにうちにくるんだけど、懐いてくれていてね」

 

「気持ちはとてもわかるぞ。妹はかわいくて仕方がない——ちなみに小町はやらないぞ」

 

「あはは、わかってるよ。比企谷くん、妹のことになるとアグレッシブになるよね」

 

「妹が嫁に出る日には多分号泣すると思うぞ」

 

「本当に妹さん想いだね」

 

「そう思ってくれることがどれだけありがたいことか——他のやつらは異口同音で言うからな、『シスコン』って」

 

「シスコンも、良い意味で捉えれば妹想いだよ」

 

「船見のやさしさがこころに染みる………」

 

* * *

 

「それにしても、今日は休日だけど良かったの?比企谷くん、休日はゆっくりしたいんでしょ?」

 

「そうだけど、平日だとお互いなかなか予定が合わないからな。それに、この前公園で会った時はひさびさすぎたから、今回は間隔狭めて会おうって決めてたしな」

 

「ありがとね。公園で会ってから、二週間ぶりくらいだっけ?」

 

「それくらいだな。今後は休日に会うのも良いな。いや、船見が良ければなんだがな」

 

「わたしも休日に会うの、良いと思うよ。休日は、たまに友達と遊ぶかゲームするか、ぐらいだから、空いてる日が多いし」

 

「サンキューな——おっと、話しすぎた。そろそろオーダーしないと」

 

「そうだったね。なににしようか——」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。