IS~インフィニット・ストラトス~  電子の妖精   作:ポコ

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 1日でお気に入りが50くらい増えてるんですけどぉぉぉぉぉ!本当に何があった。
 活動報告のアンケートでは、4:11で圧倒的に2が多いですね。もう締め切ってもいいんじゃないかってくらいに。
 コメに『この箒の態度はないわー』的なのが多いんですけど、子供にも嫉妬する以外は原作通りの箒なつもりなんだけどな…それが致命的なのかしら。

 感想で『ルリは割と大食い』との意見を頂きました。そう言えばブロスさんのラーメンとかめっちゃ食べてたなぁ…。束さんの治療のおかげでナノマシンは低燃費になったから普段は小食で大丈夫だけど、食べようと思えばかなり食べれるので好物はめっちゃ食べるという設定でひとつ。


第13話 こじれたのを元に戻すのは大変です

 ルリです。お兄さんの模擬戦の為にする事は全部終わっちゃったんですけど、まだ模擬戦は始まりません。オルコットさんはもう少しウズウズしてて下さい。

 今回は簪さんや本音さんと仲良くなる上で、避けては通れないあの人の登場です。どうなるやら?

 じゃ、本編をどうぞ。

 

 

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---side 更識 楯無---

 

「いくら調べても情報は無し、かぁ……」

 

 私は生徒会室で【更識】が調べ上げた、一人の女の子の調査結果を眺めていた。と言っても、彼女についての情報で得られたのは顔写真のみ。戸籍は一見普通だけど、実際に調べてみれば全くの出鱈目。名前すら本名かどうか怪しい。そもそもあの容姿で15歳とか有り得ないでしょ…誰よこんな無茶苦茶な戸籍を受領したの。

 

「見た感じは本当に普通の可愛い女の子なんだけどねぇ」

 

 けど、この子が見た目通りの一般的な女の子である可能性は極めて低い。何せ自己紹介での第一声が『自分は篠ノ之束の義理の娘です』だったらしいし、そもそもただの女の子(・・・・・・)が編入できるわけがない。

 本音ちゃんからの報告では素直な良い子って事だけど…う~ん。本音ちゃんの直感は結構当たるんだけど、こればっかりは私が自分で確かめなきゃいけないわね。私は【IS学園生徒会長】としてこの学園を護る責務があるんだから…不安要素は早めに取り除かないと。まぁあの(・・)簪ちゃんが信頼してるみたいだから杞憂だとは思うけどね。

 

 考えすぎは視野を狭めるし、取り敢えずは一回接触してみましょうか。個人的にどうやって簪ちゃんと仲よくなったのか聞いてみたいし。もしかしたら、私と簪ちゃんの仲を修繕する切欠になってくれるかもしれないしね!

 

「ふふ…待っててね。【ホシノ・ルリ】ちゃん♪」

 

 

---side ルリ---

 

「…っ?」

「ん~?どーしたのるーるー」

「何だかよく分からない悪寒が…」

「悪寒?」

「こう…好奇心旺盛なライオンに狙われたような気がします」

「何で微妙に具体的なの…?」

 

 自分でもよく分からないけど、妙な確信があります。何ででしょう。

 

「それにしてもるーるーがISと話せるなんて、びっくりだよ~」

「本音はびっくりで済んじゃうんだ…」

「オモイカネ以外とはなんとなく意思が伝わるくらいですけど」

 

 本音さんに私が試験管ベビーである事とオモイカネと話せる事を伝えましたけど、あっさり受け入れてくれました。あっさりしすぎてこっちが驚いちゃいました。

 今は約束通り、私と簪さんと本音さんの3人で、屋上で昼食中です。

 お兄さんも付いて来ようとしてたけど、簪さんがお兄さんに良い感情を持ってないので遠慮してもらいました。空気の読めないお兄さんは中々引き下がらなかったので、癒子さんとさゆかさんに連行してもらいました。持つべきものは友達です。

 

『あのデリカシーの無ささえどうにかすれば、もっとモテるだろうにねぇ』

『お母さんが言うには、今までも充分すぎるくらいモテたらしいです』

『マジで!?』

『マジです。鈍感すぎて本人は気付いてないらしいけど』

『あれがモテるんだ…世も末だね』

 

 オモイカネはお兄さんがモテるのが信じられないみたいです。私は…そういうのよく分かりません。まだ少女ですから。

 

「るーるーもしかして今オーちゃんと話してた~?」

「そうですけど…オーちゃん?」

「オモイカネだからオーちゃん~」

 

 お母さんと同じ呼び方ですね。

 

「カーちゃんの方が良かった~?」

『断固拒否!』

「止めてって言ってます」

「え~可愛いのに~」

「本音、それは流石に…。そう言えばオモイカネって女の子なの?」

「ISは皆女の子らしいですよ」

「打鉄弐式も?」

「みたいです」

「いーな~。私もオーちゃんと話してみたーい!」

「オモイカネを展開してPCに接続すればチャット出来ますよ」

「ほんと~?じゃ~今度整備室でお話してもいい~?」

「あ、私も話してみたい…」

『大丈夫だ、問題ない』

「大丈夫だって言ってます」

「やた~!」

「ありがとうルリちゃん、オモイカネ」

 

 昼休みが終わるまで、私たちはご飯を食べながらお話してました。少し前までお母さんとオモイカネとしか話した事なかったのに…何だか不思議な感じです。

 

 

--------

 

 放課後、簪さん達と別れて部屋に戻ってる時でした。

 

『ルリ。誰かこっちを見てるよ』

『え?』

 

 オモイカネに言われて振り向いたけど、誰も居ません。

 

『誰もいないけど』

『ううん、ルリが振り向く寸前に隠れたよ。そこの柱の陰に…ってルリ!!』

『っ!?』

 

 突然のオモイカネの大声に慌てて振り向くと、目の前に何かが付きつけられていました。

 私は何が起こったのかすぐには分からず、尻餅をついてしまいました。痛いです…。

 呆然としながらも私を襲った(?)相手の方を見ると、相手も驚いてるみたいです。何で襲ってきた方が驚いてるんだろう。それにこの人、何だか簪さんに似てるような?

 

 

---side 楯無---

 

「(…………どうしよう…!)」

 

 放課後、生徒会の仕事を終わらせて(後ろから虚ちゃんの怒鳴り声が聞こえたけど、きっと気のせいね!)ルリちゃんを捜してると、丁度部屋に戻ろうとしてるルリちゃんを見つけたところまでは良かった。

 篠ノ之博士の娘だから大丈夫だろうと思って、挨拶がてらに驚かしてみたんだけど…まさか驚いて尻餅をついてこけちゃうなんて、完全に予想外だわ…これ、どう見ても私が悪者よね?あぁルリちゃんの呆然とこっちを見つめる視線が痛い…!深く考えずに驚かした数秒前の私をぶん殴ってあげたいわって、本当にどうすればいいのこの状況!

 

「えっと、大丈夫かしらルリちゃん?」

「……なんで私の名前を知ってるんですか」

 

 しまったー!!うっかり名前を呼んじゃったわ!余計に警戒させちゃったじゃない!あぁでも何だか子猫が警戒してるみたいで可愛いわね…って違う!

 

「お姉さんは怪しい者じゃないから安心して良いのよ?」

「…貴女が怪しくなかったら、この学園に怪しい人はいません」

「お願いだから弁明させて!」

 

 第一印象が最悪すぎるわ…自業自得なんだけど。まずはどうにかして話を聞いてもらわないと…そうだ!

 

「お姉さんの名前は【更識 楯無】っていうの。聞き覚えない?」

「更識?……もしかして簪さんの」

「そう!私は貴女の友達である簪ちゃんのお姉さんなのよー」

 

 友達の姉だって分かれば多少なりとも警戒心は薄れる筈。私と簪ちゃんは結構似てるから信じてくれるだろうし………あれ、なんだか余計に睨まれてない?

 

「そうですか…貴女があの(・・)お姉さんですか」

「あ、あれ?ルリちゃん?」

「貴女の事は簪さんからよく(・・)聞いてます」

「何でかなー。よく(・・)の部分に色々と込められてる気がするんだけどー?」

「…『無能』」

「はぐっ!?」

 

 なんでルリちゃんがその事を…まさか簪ちゃん、そこまで話したの!?

 

「簪さんはとても気にしてました。『私はお姉ちゃんのお荷物じゃない。無能なんかじゃない』と」

「うぅ……!」

「………何で」

「……っ」

「何で簪さんに『無能でいなさい』なんて言ったんですか?」

 

 ルリちゃんは真っ直ぐ私を見つめてきた。…これは変に言い訳しない方が良いわね。

 

「……簪ちゃんからどこまで聞いたの?」

「貴女が【更識】を継いだ時に、簪さんを無能扱いした事。それから常に簪さんの上を行っていた事。ISを一人で完成させた事くらいです」

「殆ど全部じゃないの…」

 

 簪ちゃん。本当にルリちゃんの事を信頼してるのね。少し妬けちゃうかも。

 

「まずは最後のヤツからね。篠ノ之博士の娘であるルリちゃんなら予想してるかもしれないけど、私は一人だけでISを完成させたわけじゃないわ」

「やっぱりですか」

「ええ。いくらなんでもたった一人で短期間でISを完成出来るわけ無いじゃない。私がしたのは設計と基礎のプログラムを組んだことくらいよ」

「どうしてそれを簪さんに教えてあげないんですか?」

「……だって、簪ちゃんに逃げられるんだもん」

「ヘタレですか」

「うぅ…!」

 

 ルリちゃんったら意外と辛辣!その通りだから言い返せない自分が悲しいわ…!

 

「ゴホン!それで2つ目なんだけど。ずっと簪ちゃんの上を行ってたっていうのは…その、【更識】の当主として恥じないようにと思って我武者羅に頑張った結果であって…」

「上ばかり見て足元が見えてなかったと」

「……そうです」

 

 何なのこれ…異端審問?ルリちゃんが私を見る目が、最初は怒り10割だったのが今は憐み8割くらいになってる気が。

 

「それで、肝心の1つ目はどういう理由で?」

「…言わなきゃダメ?」

「ダメです」

「……【更識】が暗部の家系だって事は聞いてる?」

「聞いてます」

「うん。ほら、暗部って危ない仕事が明らかに多いでしょう?だから、その…簪ちゃんには出来るだけ暗部に関わって欲しくなくて…」

「それで?」

「能力が高い人材がいたらそれが実の妹と言えど…いえ、実の妹だからこそ、使える人材は使わないとダメなの。更識の当主として。でも姉としては簪ちゃんに危ない事はして欲しくない。そう色々考えてたら頭がこんがらがっちゃって…つい口に出ちゃったのが」

「『無能でいなさい』ですか」

「………その通りでございます」

「バカですね」

「し、仕方ないじゃない!つい口から出ちゃったんだもの!」

「その一言でどれだけ簪さんが傷ついたと思ってるんですか。すぐに謝れば良いじゃないですか本当にバカですね」

「止めて!もうお姉さんの心の耐久力は0よ!」

「うるさいですこのヘタレ」

「ごめんなさいぃ!」

 

 ルリちゃんが!ルリちゃんの視線が痛い!

 

「それで、これからどうするんですか?」

「それは勿論、簪ちゃんと仲直りがしたいんだけど」

「どうやってですか?」

「……贈り物とか」

「何で直接謝らないんですか」

「だって嫌われたら怖いし…」

「…じゃあ私が手伝ってあげます」

「ホント!?」

 

 私は思わずルリちゃんの両手を握りしめていた。貴女が神ね!?

 

「ええ。今すぐにでも」

「へ?」

「後ろ。見た方が早いですよ」

「………後ろ?」

 

 そう言われて振り向いた先にいたのは、苦笑いしている本音ちゃんと………

 

 今まさに話題になっていた簪ちゃんだった。

 

---side 簪---

 

「…………」

「あ、あはは~…」

「か、簪ちゃん…何でここに?」

「…ルリちゃんを夕食に誘いに来たんだけど」

「そっか~もうそんな時間になっちゃってたか~これはお姉さんうっかり!」

 

 お姉ちゃんは引き攣った笑いを浮かべながら、『やっちゃった』って書かれた扇子を広げた。

 

「あっはっはー……流せない?」

「流せない」

「お嬢様~観念した方が良いよ~」

「…どこから聞いてた?」

「私に『無能』って言った理由を必死にルリちゃんに説明してるとこから」

「一番情けないとこからじゃない!」

 

 お姉ちゃんは頭を抱えて地面にへたり込んじゃった…どうすれば良いのこれ。お姉ちゃんに持ってた色々な感情がどこか行っちゃいそうなんだけど…嫉妬とか尊敬とか全部纏めて。

 

「どうします?簪さん」

「ルリちゃん…どうすれば良いかなこの人……」

「この人扱い!?折角久しぶりに簪ちゃんと話せたのにこの人扱いって…!」

「お嬢様よしよし~」

 

 お姉ちゃんが本音に頭を撫でられてるのを見てたら、色々と馬鹿馬鹿しくなってきちゃった…。

 今ならお姉ちゃんに言えなかったことを言えそうな気がする。

 

「ルリちゃん…手を握っててくれる?」

「いいですよ」

 

 ルリちゃんは何も聞かずに私の手を握ってくれた。

 

「お姉ちゃん聞いて」

「か、簪ちゃん…?」

「私、私を無能扱いしたお姉ちゃんの事がずっと大嫌いだったの」

「……」

「…ううん。大嫌いだと思ってた」

「え?」

 

 お姉ちゃんが顔を上げて私を見つめてくる。

 

「ルリちゃんと本音に溜めてた事を全部吐き出して…それで気付いたの。私はお姉ちゃんを見返したかったんじゃなくて、お姉ちゃんに追い付きたかったんだって」

「私に…?」

「うん。私は小さいころからお姉ちゃんに頼ってばかりで、自分からは何もしようとしなかった。そしたらお姉ちゃんが【更識】を継いで、私を無能扱いした」

「それは……」

「それから私はお姉ちゃんから逃げた。お姉ちゃんの事が嫌いで顔も見たくないからだって思ってたけど…本当はお姉ちゃんに<いらない>って言われるのが怖かったから……!」

「そんな…」

「だから私は…何か一つでもお姉ちゃんに追い付ければ、お姉ちゃんに認めて…認めて貰えると思って…!私が大事だって…いらなくなんかないって…言って欲しくて……!」

「簪さん…」

「かんちゃん…」

 

 私はいつの間にか、涙を流してた。

 

「私…凄く頑張ったんだよ。日本の代表候補生にまでなったんだから…その間にお姉ちゃんは…ロシア代表になっちゃったけど……私は…私は…!」

「簪ちゃん!」

 

 もう大声を上げて泣いてしまいそうな時、お姉ちゃんが私を抱きしめてきた。

 

「ごめん簪ちゃん…!ダメなお姉ちゃんで、本当にゴメンね……!」

「お…姉ちゃん……」

「簪ちゃんはいらない子なんかじゃない!私にとって大切なたった一人の自慢の妹よ!」

「…本当……?」

「本当よ!信じられないなら校内放送で簪ちゃん大好きって叫ぶわよ!」

「………お姉ちゃん…ありがとう…ごめんなさい……ッ!」

「うぅ……簪ちゃーん!!」

 

 私とお姉ちゃんはそのまま二人で抱き合ってずっと泣いていた。今まですれ違ってたのが嘘みたいに。

 これからはまた昔みたいに仲よくできるといいな。




過去最長の長さになってしまった。楯無さんを書くのが超楽しかったんです。
ちょっと無理やりだったけど、楯無さんと簪は無事に仲直り出来ました。
次回は仲直りの後始末と、運が良ければセシリアとの模擬戦開始前までかな?

次回投稿は多分明後日になります。
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