こんな稚拙な小説をこんなに読んでくれる人達がいるなんて、感無量であります!
ルリです。お母さんと楯無さんが意気投合しすぎて憂鬱でしたけど、楯無さんの方にはストッパーが沢山あるみたいで一安心です。 お母さんの方ですか?止まるわけないし、止めるつもりもないです。
次回はようやく模擬戦当日になります。ここまで本当に長かったですね…17話もやって一回も戦闘が無いなんて、原作沿いの話では珍しい方なのかな? って、どうでもいいですね。じゃ、本編です。
――――――――
―――side 楯無―――
えー…私、更識楯無は只今すっごい窮地に立たされてます。絶賛土下座中です。
「…………」
「…………」
誰に土下座してるかって?そんなの愛しの簪ちゃんに決まってるじゃない!
「……あの、簪ちゃん?」
「…………」
何で土下座してるかって?それはその…少しはっちゃけすぎたというかね?
ちょっと束さん!お腹抱えて笑わないでよ!本音ちゃんも無理に笑うの我慢しないで!ルリちゃんはそのジト目をお願いだから止めて頂戴!
「簪ちゃーん?お姉ちゃんの声は聞こえてるわよねー?」
「……なんですか
「ぐふっ…!」
ふ、ふふ…楯無さん、か…まさか避けられるよりキツい仕打ちがあるとは思わなかったわ…!
「簪ちゃん~!調子に乗ったお姉ちゃんが悪かったから!束さんにお願いしようと思ってた簪ちゃんの厳選写真集作成とかPV作成とかも止めとくから!」
「……そんな事考えてたんですか楯無さん」
「…はっ!なんて自然な誘導尋問…!」
「お嬢様~…」
「……バカ」
止めて!本音ちゃんもルリちゃんも、そんな可哀想なものを見る目でお姉さんを見ないで!うぅ…束さんも同じくらいはっちゃけてたのに、何で私だけこんな目に…。
『それはねーたっちゃん。束さんとるーちゃんが原子よりも固い絆で結ばれてるからだよ!』
「止めても無駄だって分かってるだけです」
『まったまたー。るーちゃんは本気で嫌な時は束さんが引くくらい怒っちゃう事を、お母さんはお見通しだよー。怒らないって事はるーちゃんが嫌がってない証拠なのだー!』
「…………そんな事ないです」
『ふっふ~ん。顔を赤くしながら言っても説得力の欠片もないよるーちゃん!あぁ可愛いよるーちゃん!今すぐ抱きしめて頭を撫でまわしてあげたい!でも悲しいかなお母さんは今は遠い空の下…なので本音ちゃん!』
「ふぇ?」
『キミに束さんの代わりにるーちゃんの頭を撫でる任務を与えようー!今なら大サービスで頬ずりも許可!』
「え、お母さん何を「りょーかいであります博士~!」わぷっ!?ちょ、本音さんくすぐった…」
「ふっふっふ~これは任務だから仕方ないんだよるーるー~うりうり~♪」
「楽しそうね貴女達!おねーさん本気で泣くわよ!」
「楯無さん煩い」
「ゴメンなさい!」
こうして私は、簪ちゃんの怒りが収まるまで謝り通したのでした…今日1日だけで簪ちゃんの私に対する評価がヤバい事になってる気がするんだけど、きっと気のせいよね!…気のせい…よね?
それと束さんの技術提供は受ける事にしたわ。断っても意味ないだろうし、それなら最初から受け入れた方が色々とやりやすいもの…後でルリちゃんに束さんの連絡先を聞けないかしら。
―――side 千冬―――
「というわけで、お母さんがIS学園の警備システムを強化してくれます」
「はぁ……またアイツはいきなりだな」
事のあらましをルリから聞いた私は、思わず溜息をついてしまった。束が協力してくれるのは素直に有難いが、その動機が自分の娘を堂々と見たいからでは溜息の1つも出るというものだ…気持ちは分からなくもないが。
「しかし束が楯無を気に入るとはな。正直、楯無は束の嫌いなタイプと思っていた」
「何でですか?」
「束は自分
前々から疑問に思っていた事をルリに訊いてみたが、少し意地の悪い質問だったか?相手が自分のどこが気に入ったかなぞ、自分ではまず分からんだろうしな。
そう思っていたのだが、ルリは悩む素振りもなくあっさりと答えを言ってきた。
「私がISと話せるとこです」
「………ちょっと待て」
「はい?」
「すまないなルリ。疲れが溜まってるのか、聞き間違えたようだ…束がルリの何を気に入ったか、もう一回言ってくれるか?」
「私がISと話せるとこです」
「…………そうか」
た・ば・ねぇぇぇぇ………!!
あの阿呆は何でこんな重要な事を一番に言わんのだッ!!
「…もしかして休み時間に考え事をしてるように見えたのは、ルリの専用機と話していたりするの…か?」
「多分そうです。それと専用機じゃなくって、ちゃんとオモイカネって名前で呼んであげて下さい。拗ねちゃいます」
「……オモイカネ以外のISとも話せるのか?」
「なんとなく意識が伝わるくらいですね。私、未完成だったみたいなんで」
「未完成?」
「私、試験管ベビーですから。実験途中でお母さんが助けてくれたんです」
「なっ…!」
試験管ベビーだと…?ならルリは、ドイツで私が面倒を見た
「そんな難しい顔をしないで下さいお姉さん。私は気にしてませんから」
「気にしてない…?」
「はい。産まれがどうあれ、私は私です。束お母さんの娘の【ホシノ・ルリ】ですから」
「っ!」
ルリは真っ直ぐに私を見て、そう言った。その瞳には、一片の迷いすらも見当たらなかった。そうか…ルリはちゃんと自分を見つけているんだな。
これも束の教育のおかげか?楯無を気に入った事と言い、アイツも以前より大分丸くなっているようだ。束とルリはお互いを成長させたという事だろうか…少し羨ましいな。私と一夏も、いつかはルリ達のような関係になれるだろうか。
「ルリは強いな。流石私の妹だ!」
「わっ。…お姉さん、急に撫でないで下さい」
「ははは。すまんすまん」
ルリがジト目で私を見上げてくるが、可愛いとしか思えん。一夏やルリのような弟妹を持てた私は果報者だな!
「それでお姉さん。お兄さんの事なんですけど」
「一夏がどうかしたか?」
「模擬戦の事です。取りあえず対戦相手であるオルコットさんの機体データは渡したんですけど、訓練機の使用許可が下りなくてISの訓練が出来ないんです」
ルリが思案顔で私に相談してきた。
確かに、訓練機の使用予約は大分先まで埋まっていたな。
「ふむ……何とか訓練機を使わせてやりたいが、男性装者に良い感情を持たない教師や生徒も少なくないからな…無理に許可を出せば、そういう輩の矛先が益々一夏に向かってしまうかもしれん」
「それは仕方ないですから」
「それで、一夏はどうしているんだ?」
「放課後、箒さんに剣道場で絞られてるみたいです」
「篠ノ之が?」
篠ノ之は束の妹だが、ISに関しては素人よりマシ程度の知識と技術しか持ってなかった筈…妙なクセを教えなければ良いが。
「無理にISの知識を詰め込むよりは、体を動かしてた方がお兄さんには合ってると思いますよ。授業ではいっつも頭から煙噴いてますし」
「…愚弟がスマンな」
私は思わず額を押さえてしまった。年下のルリに頭の出来の心配をされているとは…一度休日に特別授業をさせた方がいいな。山田君にも手伝ってもらうとするか。
「それでですね。流石にそれだけじゃ多分負けちゃうから、お兄さんに作戦を立ててあげようかと思ったんですけど、構いませんか?」
「何故私に許可を取る?作戦くらい好きに立てたら良いだろう」
「流石にそこまでしたら、オルコットさんに悪いかなと思って」
確かに。いくら一夏が素人とは言え束謹製の専用機があるし、自画自賛になるが私の弟なのだからISのセンスも並ではないだろう…それに加えて作戦まで立てれば、オルコットが不利かもしれん。
「ふむ……ルリは一夏の専用機について束から聞いてるのか?」
「お姉さんが昔使ってた【暮桜】を改修した機体らしいですから、近接戦オンリーだと思います」
「【暮桜】を? 確かにそれなら、装備は
「はい。オルコットさんの【ブルー・ティアーズ】は中遠距離戦用ですから、多分すっごい相性悪いです」
「そうか……なら綿密な作戦でなく、重要な点だけ教えておいてやってくれ。綿密な作戦を立ててもどうせ一夏は覚えきれんだろうしな」
「分かりました」
「色々気を遣わせてすまないなルリ。今度お姉ちゃんが何か奢ってやろう」
「期待しないで待ってます」
ルリは軽く首を傾げながら席を立った。
子供らしくないがどこかルリらしい物言いに、私は思わず笑ってしまった。
「こういう時は世辞でも期待してると言うものだ」
「そういうものですか?…じゃあ、期待してます」
「あぁ、期待しておけ」
軽く微笑みながら、ルリは部屋を出て行った。
さて、ルリばかりに任せてないで私も模擬戦に向けて色々と準備をせんとな。
―――side ルリ―――
お姉さんの部屋を出た私は、真っ直ぐお兄さんの部屋に向かってます。今の時間なら、箒さんとの特訓も多分終わってますよね。
「お兄さんいますか?」
部屋の扉をノックすると、少ししてから扉が開きました…お兄さん、何だかやつれてません?
「おぉ、ルリか…どうした?」
「少しお話があったんですけど…お兄さん大丈夫ですか?」
「正直大丈夫じゃない…まぁ話くらいは出来るからあがってくれよ。箒はシャワー浴びてるし」
「…ここで良いです。すぐに済みますから」
「そうか?遠慮しなくてもいいのに」
お兄さんの申し出を、少し悩んでからお断りしました。
箒さんが出てきたときに部屋にいたりなんかしたら、またメンドくさい事になっちゃいそうですから…お兄さんも少しは考えてから誘ってほしいです。
「模擬戦の事なんですけど、お兄さんは箒さんとの特訓以外はしてませんよね」
「あれが特訓かどうかは疑問だけどな…」
お兄さんが遠い目をしてしまいました。どうやら予想以上に過酷みたいです。
「それは後で箒さんに言って下さい。それで、今のままだと勝算はすっごい低いです」
「また直球だな…その通りだろうけど」
「だから少し重要な点をアドバイスしてあげます。以前渡したデータは見てくれましたか?」
「あぁ、あのオルコットの専用機のデータな。ビットとかどこの漫画の武器だよって思ったけど、マジで使ってくるのか?」
「マジで使ってきます。オルコットさんの主武装は4機のレーザービットと、高出力のライフルです。後は2機のミサイルビットもあるみたいですけど、これはよっぽど追い詰められないと出さないと思います」
「何でだ?」
「オルコットさんはイギリス代表候補生の中でも、特に狙撃がトップクラスみたいです。ですから自分の力を生かしにくいミサイルは、接近されるまで撃たないかと」
「なるほど…」
お兄さんは神妙な顔で何度も頷いてます…ホントに分かってるのかな。
「それに対してお兄さんの専用機ですけど、多分近接戦オンリーです」
「へ?何でルリが俺の専用機を…って、束さん情報か」
「そういう事です。で、近接戦用機という事はどういう事か分かってます?」
「うーん…動きが速そう?」
「はぁ…」
「ジト目は止めてくれ…!」
何も考えてなさそうな答えです。溜息もつきたくなります。
「中遠距離が得意なオルコットさんと相性が最悪って事です。素人のISなんか一方的に狙い撃ちされて試合終了、です」
「んなっ!?そんなんどうやって戦えば良いんだよ!」
「それを伝えに来たんです。黙って聞いて下さい」
「…頼む」
お兄さんの目つきが真剣なものに変わりましたね。やっと状況のマズさに気づいたみたいです。
「と言っても単純ですけどね。相手の攻撃を躱して、隙を見て一気に近づいて斬る。これだけです。というか、それ以外に戦法が無いです」
「そんな簡単で良いのか?」
「単純だけど簡単じゃないです。オルコットさんの狙撃を躱せる事が最低条件ですから。だから始まってしばらくは、攻撃を躱すことに専念して下さい」
「その心は?」
「オルコットさんを焦らせる事と、目を慣れさせる事です。焦ってくれたら攻撃も雑になりますし、運が良ければ弾切れも狙えます」
「あー…オルコットは予想外の事に弱そうだしな」
鈍そうなお兄さんにまで性格を見抜かれるなんて…オルコットさんの未来が本気で心配になってきました。
「後は動きが雑になったビットを落としつつ、隙を見て特攻です。ミサイルにだけ気を付けて下さい」
「これだけ教えてくれたら充分だ!サンキューなルリ!」
お兄さんは私の頭を乱雑に撫でてきました…髪がくしゃくしゃです。少しは本音さんを見習って欲しいです。
「お礼を言うより勝って下さい。私に出来るのはここまでです」
「任せとけ!妹にここまでされて負けたら兄貴失格だからな!」
お姉さんもだったけど、お兄さんも完全に私を妹にしてますね…まぁいっか。
「じゃあ私はこれで。おやすみなさいお兄さん」
「おう。気を付けて戻れよー」
お兄さんと別れて部屋に戻ります。後は模擬戦を待つばかり、です。
残念!模擬戦まで行けなかった!次回はマジで模擬戦開始から始まります。申し訳ない。
楯無さんは結局弄られ役。だって楯無さんだもの。
織斑姉弟はルリを完全に妹認定。千冬さんは束さんとこれまで以上に旨い酒が飲めそうだね!
明日は夜勤なんで、次回更新は明後日の21時~23時くらいかと。
次は本気で初戦闘かぁ…上手く書けるかね。男なら、やってやれだ!