IS~インフィニット・ストラトス~  電子の妖精   作:ポコ

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 初の戦闘回なので超難産でした。投稿が予定時間より遅れてしまいすいません。

 お気に入りが遂に500突破。皆さんありがとうございます!


第16話 いざ模擬戦、です

 ルリです。長い前フリや戦う戦う詐欺も終わって、ようやく初戦闘ですね。

 色々と模擬戦について話そうと思いましたけど、それは本編の私に任せときましょう。

 じゃ、今回はさっさと本編にいっちゃいます。

 

 

――――――――

 

 

―――side 一夏―――

 

「ちふ…織斑先生。俺の専用機はまだ届かないのか?」

「まだだ。良いからお前は集中していろ」

 

 今日はいよいよオルコットとの模擬戦の日だ。

 俺は今、アリーナのピットで専用機が来るのを今か今かと待ってるんだけど…。

 

「開始10分前になっても届かなかったら流石に不安になるんだけど」

「大丈夫だ。束が時間に間に合わないなんてミスをするとは思えんからな。大方ギリギリの方が面白そうだとかの理由だろう」

「あー…」

 

 束さんなら有り得そうだなぁ。

 そう納得していたら、一緒にピットに来ていた箒が不思議そうな顔をしていた。ルリにもピットに来てほしいって言ったんだけど、友達と一緒に観客席から見るらしい。

 

「織斑先生。どうしてその…姉の名前が出るんですか?」

「織斑の専用機を造ったのが束だからだ。名義は倉持技研になってるがな」

「なっ!? …………そうですか」

 

 箒は一瞬驚いたけど、すぐに微妙な顔で納得した。束さんなら俺の専用機を造ってもおかしくないって思ったんだろうな。

 

「お、織斑君織斑君織斑君ッ!」

 

 いよいよ開始まで5分となった時、山田先生が凄い焦った様子でピットに駆け込んできた。そんなに名前を呼ばなくても聞こえますって…ちょっと落ち着いてもらおう。

 

「ほら落ち着いて下さい山田先生。深呼吸深呼吸。ほら息を吸ってー」

「すぅぅぅ――――――…」

「吸ってー」

「すぅぅぅぅ―――――…」

「もっと吸ってー」

「コォォォォォォ――――――――――……ッッッ!」

「波紋の呼吸ッ!?」

 

 ちょっとからかって落ち着いてもらおうと思ったのに、何で波紋の呼吸法が出るんだよ!?

 

「山田先生は学生時代水泳部だったからな」

「それ関係あるのか!?」

「教師にため口とはいい度胸だ織斑。それと教師をからかおうとするな」

「ひでぶっ!」

 

 千冬姉に普通に話したら、また出席簿の一撃を食らった。いつも思うけど、あの出席簿ってどこから出してるんだ…もしかして態々ISに収納してるのか?

 

「それで山田先生。そんなに焦ってどうしたんですか?」

「あ、そうでした!織斑君の専用機が届いたんですよ!」

「本当ですか!?」

 

 ようやく来たか!本当に間に合わないんじゃないかと思って焦ったぞ。

 

「はい!あれが織斑君の専用機。その名も【白式】です!」

 

 そう言って山田先生が指した先では、まさに俺の専用機がピットに搬入されているところだった。

 あれが俺の専用機なのか…【白式】って言う割にはなんか色がくすんでるな。けど、どこか荘厳な雰囲気を感じるというか、初めて見た気がしないというか…なんだこの感覚?

 

「なんというか、シンプルな外装ですね」

「当然だろう。まだそれは一次移行(ファースト・シフト)すら出来てないんだからな」

「一次移行?」

 

 俺が疑問の声を上げると、3人とも呆れたような顔で俺を見てきた。はは…IS学園に来てから何回こういう目で見られたか分かんねぇや。もう慣れたよ!

 

「授業ではしてない範囲とは言えお前に専用機が与えられることは早いうちから分かっていたのだから、専用機について少しくらい予習をしておけ馬鹿者」

「いや、この1週間はそんな暇なくて…」

「言い訳はいらん。一次移行とは要するに、専用機を搭乗者に最適化する作業の事だ。それが済まないうちは本来のスペックを出せん」

「へー…その一次移行ってすぐ終わるのか…ですか?」

 

 これから初めての戦いだって言うのに、流石に制限がついたままでなんか戦いたくないぞ。

 

「30分だ」

「はい?」

「一次移行にかかる時間は多少の誤差はあるが、大体30分前後だ」

 

 そっか。一次移行まで30分もかかるのか。で、今は試合開始直前で…あれ?

 

「えっと、織斑先生…【白式】の一次移行が終わるまで、開始時間は延ばして貰えるんですよね?」

「無理だ」

「何故に!?」

「アリーナの使用時間が押してるからだ。延ばす余裕なぞ無い」

 

 その千冬姉の死刑宣告に、俺は絶句した…要するに戦いながら30分持たせろって事か?

 そ、そうだ山田先生!山田先生なら…!そう期待を込めて山田先生を見つめるが、山田先生は首を横に振るだけだった………畜生!やればいいんだろやれば!ルリにも最初は躱すことに専念しろって言われてたし、こうなったら30分避け続けてやる!

 

「ようやく覚悟を決めたか。だったらさっさと【白式】に乗れ」

「分かりました」

 

 俺が白式に触れると、驚くくらい自然に俺の体に装着された。前に乗った【打鉄】とは全然違う…なんか、ISが身体の一部になったみたいだ。これが俺の専用機(・・・・・)って事なのか?

 

「調子はどうだ?」

「…あぁ、これならいけそうだ。これで最適化されてないなんて思えないくらいだ」

「よし、ならさっさと行ってこい。オルコットは既にアリーナで待機しているぞ」

「ああ!」

 

 俺が気合を入れてアリーナへ行こうとすると、箒が声を掛けてきた。

 

「い、一夏!」 

「ん?なんだよ箒」

「……勝ってこい!」

「……あぁ!やるからには勝ってくるさ!」

「頑張って下さい織斑君!」

「油断だけはするなよ」

「了解!織斑一夏、白式、出ます!」

 

 箒達の激励を受けて、俺はオルコットの待つアリーナへと飛び出した。この試合、負けられねえ!

 

 

―――side ルリ―――

 

「あ~やっとおりむーが出てきた~」

「時間ぴったしですね」

 

 開始時間になって、ようやくお兄さんがアリーナに出てきました。多分専用機がギリギリまで届かなかったんだろうな…お母さんのことだし、その方が面白そうとか思ったんだろうけど。これだと一次移行は試合中にするしかないけど、大丈夫かな。

 私は観客席で本音さんと簪さんと一緒に試合を見る事にしました。お兄さんからはピットに来ないかって誘われたけど、箒さんがいるみたいだったので遠慮しました。試合前に空気を悪くして、お兄さんに気を遣わせたくないですし。

 

「ルリちゃんはどっちが勝つと思う?」

「私はお兄さんに勝って欲しいですね。色々とサポートしましたし。簪さんはどう思いますか?」

「私はオルコットさんが勝つと思う。いくら織斑君がブリュンヒルデの弟でも、代表候補生は才能だけでなんとかなる相手じゃない…」

「本当ならそうなんですけど、オルコットさんは完全にお兄さんを格下だと思って油断してますからね。お兄さんが作戦通りに動ければ、勝つのも夢じゃないですよ」

「作戦…?」

「見てれば分かりますよ」

 

 そう言って私はアリーナの方に目を向けます。オルコットさんがお兄さんに何か言ってますね…どうせ『今謝ったら手加減してあげましょう』とかでしょうけど。

 

「るーるーはおりむーが勝つって信じてるの~?」

「いえ、あんまり。勝てたらラッキーくらいです」

「うーん…やっぱりおりむーがセッシーに勝つのは難しいんだね~」

「はい。でも…」

「でも~?」

「お兄さんなら、何かやってくれそうな気がします」

 

 そう言って私は少し笑いました。頑張ってくださいね、お兄さん。

 …あ、いきなりレーザーが掠りました。やっぱし気のせいかな。

 

 

―――side 一夏―――

 

「くっそ!」

「逃げる事だけは一人前ですわね!」

 

 俺は作戦通り、避ける事に専念していた。開始早々の狙撃をなんとか掠る程度で済ませたまでは良かったけど、それがオルコットのプライドを刺激したのかいきなりビットを出してきやがった。

 オルコットは4機のレーザービットを使って俺を追い詰めてくる。ルリは隙を見てビットを落とせって言ってたけど、レーザーだけじゃなくてビット自体の動きも半端じゃない…!

 

「ですが、いつまでも私のブルー・ティアーズを避けれるとは思わないで下さいまし!」

「ぐぁっ!?」

 

 目の前から迫るレーザーを避けた瞬間、背中に衝撃を受けた。くそっ…こんなの実質5対1じゃないか!オルコットが焦る様子も無いし、どうすりゃ良いんだ!

 

「(時間はどれくらい経った?一次移行が出来ればまだ望みも…)」

「考え事をしてる暇はなくてよ!」

「くそっ!」

 

 オルコットは今度はデカいライフルで狙撃してきた。なんとか躱せたけど、多分あれをまともに食らったら一気にSEが削られるだろうな。ビットと同時に撃たれたら一溜りも…ん?

 

「(そう言えばなんでオルコットは同時に攻撃をしてこないんだ?)」

 

 さっきは5対1だとか思ったけど、よくよく考えたらセシリアはビットを動かしている間はあのライフルを撃ってきてない。もしかして…よし、一か八か!

 俺の動きが止まったのを見て、オルコットはトドメを刺そうとライフルを構えた。

 

「代表候補生相手に素人がよく頑張ったと褒めて差し上げますが…これで終わりですわ!」

 

 そう叫んでセシリアが撃ってきたレーザーは、今までの物より数倍威力がありそうな攻撃だった。けど、終わりだと思って気が抜けたのか狙いが荒いぜ!

 

「終わらねえよッ!」

「なっ!?」

 

 ライフルでの攻撃を避けた俺は、そのまま1機のビットへ向かって加速して一気に叩き斬った。

 オルコットは何が起きたのか分からないのか、唖然とした表情で俺を見ていた。

 

「よっし、狙い通り!」

「あ、貴方!まさかこれを狙って…!」

「あぁ。オルコットはそのライフルを撃つ時はビットを動かせないみたいだからな。違ったらどうしようかと思ったけど、当たってて助かったぜ」

 

 俺がそう言うと、オルコットは肩を震わせながら俺を真っ直ぐ見つめてきた。

 

「……認識を改めますわ」

「ん?」

「貴方はそこらにいる情けない男とは違うようです。ここからは…本気で行きますわ!」

「へっ…上等だ!」

 

 もうオルコットは油断なんかしてくれそうにないな。これじゃ攻撃が荒くなるのは期待できそうにないけど…この調子ならいける!

 俺は自分が無意識のうちに左手を閉じたり開いたりしている事に気づかなかった。

 

 

―――side ルリ―――

 

「ほぁ~…」

「凄い…」

 

 本音さんと簪さんが、試合を見て驚いてます。専用機を貰えたとは言え、素人が代表候補生相手にここまで善戦したら無理もないです。

 

「ルリちゃん。作戦ってこれの事?」

「しばらくは躱すことに専念して、攻撃が荒くなってきたらビットを落として下さいとは伝えましたけど…オルコットさんがビットとライフルの同時攻撃が出来ないのを見抜いたのは、純粋にお兄さんの力です」

「そうなんだ…」

 

 HPの情報だけじゃ分かりませんでしたけど、オルコットさんはまだ完全に【ブルー・ティアーズ】を乗りこなせてないみたいですね。稼働率が高ければビットとライフルの同時攻撃は勿論、レーザーを曲げる【偏向射撃】も出来る筈ですから。

 もっとよく調べといた方が良かったかな?でもあまり詳しく調べてたらイギリスから怪しまれてメンドくさい事になっちゃうし…まぁいっか。

 

「これが才能の差なのかな…」

「簪さん?」

「だって2回目のIS起動でこんなに戦えるなんて…才能としか思えない」

「かんちゃん~…」

 

 簪さんは悔しそうに唇を噛みしめてました。

 楯無さんと和解は出来ましたけど、まだ色々とわだかまりはあるみたいです。長い間自分は無能だって思いこんでたら無理もないですけど…もっと自信を持ってほしいです。

 

「簪さん。お兄さんは確かにIS戦闘の才能はあります」

「うん…」

「けど、実際はただのバカですよ」

「…バカ?」

「はい。バカだしデリカシーは無いし朴念仁だし空気読めないしで散々です。女の敵ですね」

「そこまで言わなくても…」

「るーるー言うね~」

 

 一息でお兄さんの悪いところを上げていくと、簪さんも本音さんも驚いてました。

 

「楯無さんだってそうです。簪さんもこないだの事で、楯無さんが天才なだけじゃないって分かったでしょう?」

「うん」

「お嬢様のアレは凄かったね~」

 

 お兄さんの時とは違って、2人とも迷いなく同意しました。楯無さんに同情しちゃいます。

 

「才能なんてそんなもんです。誰だって凄いとことダメなとこがあります。お母さんなんて普段は凄いですよ。ダメっぷりが」

「あ……」

「だから、簪さんがお兄さんや楯無さんを羨ましいと思う事なんか無いです。その…私はあの2人より簪さんや本音さんの方が好きですよ」

 

 私のキャラじゃない事を言っちゃいました。でも、これが私の正直な気持ちです。

 赤くなってると簪さんと本音さんが私の手を握って、笑いかけてくれました。

 

「私もおりむーよりるーるーの方が好きだよ~」

「私も…!」

「……ありがとう、ございます」

 

 試合の話をしてたのに、なんでこんな話になったんでしょう…嬉しいですけど。

 

 気を取り直して試合を見ると、お兄さんが必死にビットのレーザーを避けてました。お兄さんに弱点を見抜かれたせいか、ライフルの使用頻度が凄く減ってますね。

 でもお兄さんも目が慣れてきたのか、ビットの攻撃が全然直撃してません。これなら…あれ、なんでお兄さんは左手を閉じたり開いたりしてるんでしょう?何だか嫌な予感が。

 

 

―――side 一夏―――

 

「(よし、大分目が慣れてきた…)」

 

 俺はビットの攻撃を避けながら、オルコットがライフルを撃つ瞬間を待っていた。オルコットが本気を出すと言ってからライフルを全然撃ってこないけど、これだけ避けたらいい加減撃ってきても…!

 

「ええいちょこまかと…!」

「(来た!)」

 

 オルコットがライフルを構えた瞬間、俺はビットに向かって加速した…オルコットがニヤリと嗤った事に気づかずに。

 

「かかりましたわね!」

「なっ…!?」

 

 ビットを叩き斬ろうとした俺の攻撃は、あっさりとビットに躱された。そんな。ライフルを撃つ時はビットを動かせないんじゃなかったのか!?

 思わずオルコットの方を振り向いた時、俺はようやく自分が嵌められた事に気づいた。あのライフルは構えただけの引っ掛けだったのか…くそっ、調子に乗りすぎた!

 気づいた時には遅く、俺は至近距離から3機のビットに囲まれていた。これじゃあ逃げ場所が無い…!

 

「貴方はよく頑張りました…この私相手にここまで戦えたのですから、誇っても良いですわ」

「…そりゃどーも」

「ですが、今回はこれで…お別れですわっ!」

 

 オルコットが左手を掲げると、3機のビットが一斉にレーザーを撃ってきた。くそっ…調子に乗って追い詰められて終わりなんて、情けないなぁ…。

 そう諦めかけていると、突然頭に音声が響いた。

 

『フォーマットとフィッティングが完了しました。一次移行を開始します』




キリが悪いけど、文字数が長くなったんで今回はここまで。続きは今日中には。

一夏が白式の武装が刀1本という事に突っ込まないのは、ルリから近接戦用機と聞いてたからです。普通はそれでも剣1本は変だと思うけど、一夏はそんなもんだろうなと納得。流石の一夏である。

ちょっとルリが大人すぎる気もするけど、まぁ束さんを反面教師にしたという事で。でも束さんの事は大好きなルリである。

照れる表現に///とか使おうとも考えたけど、それをしたら顔文字使ったり草生やしたりしちゃいそうなので却下。
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