IS~インフィニット・ストラトス~  電子の妖精   作:ポコ

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 シャル&ラウラを出そうと思ったけど、その前に箒の部屋替えイベントがあったのでした。あの2人を待ってた方は、次回以降をお楽しみにです。

 今回も前置きはルリ以外で。今回の内容があれなので、対一夏用最終兵器である本音さんにお願い致す。


第35話 第1回一夏さん鈍感矯正会議です

 やほ~布仏 本音だよ~。何だかすっごく久しぶりな気がするけど、ちゃんと本編にも出るからね~。サブタイトルから分かると思うけど、今回はおりむーの鈍感対策なのだ~! おりむー矯正の陰には私有り~! どうやったらおりむーの鈍感が直るか分かんないけど、私は叩いてれば直ると思うんだよね~。ほら、映りの悪いテレビとか叩いたら直るでしょ~?だからこう、ナナメ45度の角度でずびしっ! て感じで~。

 あ、そう言えばお嬢様が転校生がなんとか言ってたけど……なんだっけ、忘れちゃった。ん~……まぁ、忘れるって事はきっと忘れても平気な事だよね~。ではでは、本編へ行ってらっしゃ~い!

 

 

――――――――

 

 

――――side 鈴――――

 

 

 束母さんから編入してくる男装スパイの話を聞いた翌日の放課後。

 部屋でルリと2人でのんびりしてたら、控えめなノックの音がした。誰だろうと思ってドアを開けると、そこにいたのは簪と本音だった。

 

「あれ、どうしたのよ2人とも。遊びに来たの?」

「そのとおり~!」

「違うでしょ本音。えっとね、お姉ちゃんが2人に大事な話があるって言ってたんだけど……」

「楯無さんが?」

 

 確認したら簪は頷いたけど、肝心の本人がどこにもいない。

 

「もしかして、生徒会室まで来て欲しいって伝言?」

「ううん。何でか知らないけど、私達だけで先に行っておいてって……」

「ふーん……生徒会の仕事でも残ってんのかしら」

「違うよ~。生徒会のお仕事はお姉ちゃんが頑張って終わらせてたもん~」

「あれ、そうなの?」

 

 本音のお姉さん……確か(うつほ)さんだったっけ。楯無さんに振り回されてる苦労人っていう印象しか無いけど、事務に関しては相当優秀なんでしょうねー……後、忍耐力も凄いと思う。もしくはスルースキルが。

 

「って、本音も生徒会なんでしょ。少しは手伝ったの?」

「お菓子食べながらお姉ちゃんの応援してた~」

「安定の本音ねぇ……」

「虚さん……」

 

 生徒会って虚さん1人で回ってるんじゃないの?

 また時間があったら少しは手伝ってあげようかしら……許可があったらだけど。流石に可哀想になってきたわ。

 

「でも、それじゃあ楯無さんは何やってんのかしら」

「さあ……?」

「なんだろね~?」

 

 3人で頭を悩ませても、理由は分からなかった。きっとどうでもいい用事だと思うけどね。

 

「まぁ良いや。2人とも部屋に入んなさいよ。待ってたらそのうち来るでしょ」

「う~い」

「あ……じゃ、じゃあお邪魔します……」

 

 簪と本音を部屋に招いて、後ろを振り向くと――――。

 

「はぁい♪」

「…………はぁ」

「「「…………え?」」」

 

 ルリを膝に乗せてベッドに座ってる楯無さんがいた。

 ついでに言うと、すっごい笑顔で手を振ってた。

 ……更に言うと、広げた扇子に【ドッキリ大成功!】とか書いてた。

 

「あはははっ! 見た? ルリちゃん! あの3人の何とも言えない顔!」

「私には楯無さんの悲惨な未来しか見えません。ていうか離して下さい」

「「「……………」」」

「何言ってるのよルリちゃん。おねーさんが何で悲惨な……あれ?」

 

 楯無さんはようやく今の状況に気付いたみたい。

 ふふ……やってくれるじゃない楯無さん。ルリじゃなくてあたしが簪達を出迎えるのも、少し話し込むのも計算通りだったってわけ? 凄いわねー流石は学園最強の生徒会長だわー。

 

「あ、あの鈴ちゃん? 簪ちゃんも本音ちゃんも、何で目が濁ってるのかなー?」

「気のせいよ。それより楯無さん……ちょっとあたし達と“OHANASHI”しない?」

「うん。私もお姉ちゃんと“OHANASHI”したいな」

「私も~」

 

 あたし達が楯無さんに1歩近づく度に、楯無さんはルリを抱えたまま少しずつ後ずさっていった。ふふ、何を怖がってるのかしらねー。ちょっとお話(物理)をするだけなのに。

 

「お、おねーさんはちょっと遠慮したいかな~? ほ、ほら! 今日はちょっと真面目な話があるのよ!」

「へぇ、奇遇ね。あたし達もちょ~っと大事な話があるのよ。例えば……IS学園生徒会長の素行不良についてとか」

「職務放棄とかストーカー行為とかも」

「ぎるてぃ~……」

「あ、あわわわわ……」

「……いい加減離してください」

 

 壁際まで追い詰められた楯無さんは、顔色が青を通り越して白くなってきた。ふふ、もう逃げ場は無いわよ。さっさとルリを離して観念しなさい!

 

「ちょ、ちょっと待ってー! これは訓練というか、忠告のつもりだったの!」 

「「「「忠告?」」」」

「そう! そうなの! だからちょっとおねーさんの話を聞いてー! あと調子に乗ってごめんなさい!」

「はぁ……」

「……バカ」

 

 なんだか毒気が抜かれちゃったわね。楯無さんがここまで計算してたんだったら凄いけど、まぁ流石に無いか。ルリを抱えたまま震えてるし。って、だから早くルリを離しなさいよ!

 

「それで、忠告って何の話よ」

「お姉ちゃん。どういう事? 鈴ちゃんやルリちゃんに何かあるの?」

「んー……忠告っていうか、ちょっと2人には警戒心を高めて欲しかったのよ」

「「警戒心?」」

 

 警戒心って、何であたしとルリが? ……あ、もしかして。

 

「実は明日、ルリちゃんや本音ちゃんのいるクラスに編入生が2人来るんだけど……その内の1人が曲者でね。フランスの代表候補生なんだけど、実は――――」

「ひょっとして、そいつが男のフリした女だって話?」

「あぁ。あの男装スパイさんの事ですか」

「男……あれ?」

 

 神妙な顔で話し出した楯無さんだけど、あたし達の言葉を聞いた途端にきょとんとした表情に変わった。予想通りの話だったみたいだけど、何で楯無さんがその事を知ってんのかしら。生徒会長権限とか?

 

「……何で鈴ちゃん達がその事を知ってるのかしら?」

「何でって言われても……」

「この間お母さんが気をつけろって教えてくれました」

「あぁ、束さん情報かぁ……」

 

 あたし達が何でそんな事を知ってるかを訝しげな顔で聞いてきた楯無さんだけど、束母さん情報だと知った途端に気が抜けたみたいに肩を落としてしまった。

 

「フランスからの編入生がスパイかもしれないから注意してって言いに来たんだけどねー。束さん情報ならもう男装で間違いないわね」

「あれ、確定情報じゃ無かったの?」

「決定的証拠はまだ無いわね」

 

 楯無さんが微妙な表情で広げた扇子には【ほぼ確定】って書いてあった。実害が無いうちはそうそう無茶な捜査は出来ないって事かしら。こうやって不審な生徒を調べるのも生徒会長の仕事なんだろうけど、大変そうね……虚さんに比べたら大したこと無い気がするけど。

 楯無さんと話してると、今まで黙ってた簪が焦った様子で話に入ってきた。本音は……いつも通りか。

 

「お、お姉ちゃん。男装スパイが来るって、どういう事なの……?」

「どういうって言われても、そのままの意味よ簪ちゃん。フランスが男装スパイを送り込んでくるって話。多分国じゃなくてデュノア社の独断だと思うけどねー。国主体だったらこんな馬鹿な真似はしないだろうし」

「……何でわざわざ男装するの? 無駄に注目されるだけだと思うけど……」

「んー……多分一夏君に近づきやすくする為だと思うんだけど、どう考えてもデメリットの方が多いわよねえ。その辺りはまた調べとくわ」

「目的は織斑君って事……?」

「十中八九そうでしょうね。ルリちゃんに手を出す馬鹿はいないでしょうし」

「一夏も無駄に人気ねえ……色々な意味で」

 

 ファンの女子からスパイにまで追いかけられるんだから、堪ったもんじゃないわね。一夏の事だから気づかないだろうけど、あたしだったら数日でキレてるわねきっと。

 

「それで、結局そのスパイはどうするの?」

「ボロが出るまでは手を出せないわね。だから織斑先生の案で、望み通りに一夏君の部屋に入れる事にしたわ。そしたら向こうの方が勝手にボロを出すでしょ」

「そ、それって大丈夫なの……? スパイと一緒の部屋なんて、織斑君が危ないんじゃ……」

「ちゃんと対策はしとくから大丈夫よ。スパイの力量次第では別の対策もするけど」

 

 ふぅん。ちゃんと一夏の安全対策もしてるのね。なら安心かしら……ん? 一夏と同室にするんなら、今一夏と同室の箒って子は引っ越しって事よね。ルリの話だと色々と面倒くさい子みたいだけど……そう言えばあたしって、箒にちゃんと会った事無いわね。1組に行く時に顔くらいは見てると思うんだけど、全然記憶に無いや。

 

 箒について考えてると、廊下の方から大きな騒ぎ声が聞こえてきた。なんかあったのかしら。皆も不思議に思ったみたいで、少しだけドアを開けて覗く事にした。

 騒いでるのは……あれって一夏よね。割と近くの部屋だったんだ。知らなかったわ。自分の部屋の前で誰かと話してるけど、誰だっけ? 見覚えはあるんだけど。

 

「ねえルリ。あれって誰? どっかで見た気がするんだけど」

「お姉ちゃん知らないの? あれが箒さんです」

「あれが? あぁ、じゃあ1組で見たことがあったのね」

「うん。でも、どうして部屋の前で騒いでるんでしょう」

 

 そうよね。ルームメイトなんだから、部屋で話せばいいのに。

 

「部屋の引っ越しでしょうね。山田先生も居るし、間違いないわよ。通達されて駄々をこねてるんじゃないかしら?」

「駄々って……」

「しののんはおりむーが大好きだからね~」

 

 理由を考えてると、頭の上から楯無さん達の声がした。そういう事ねーって、人の頭の上から覗かないでよ!

 

「仕方ないじゃない。こうやって隙間から覗いてるんだから、どうしても身長順になっちゃうんだもん」

「ルリの上にいるあたしはチビだって言いたいわけ?」

「り、鈴ちゃん落ち着いて……」

「あ、しののんがおりむーに何か言うみたいだよ~」

「「え?」」

 

 楯無さんに文句を言おうとしたあたしを簪が諌めてると、本音がそんな事を言ったから慌てて2人の観察に戻った。確かに箒が顔を真っ赤にして何か言おうとしてるわね……なんか見覚えがある光景なんだけど。あたしが告白する時もあんな感じだったのかしら……じゃあ箒は一夏に告白する気?

 あたしがその結論に達した直後、箒は意を決して一夏に言い放った。

 

『ら、来月のトーナメントで私が優勝したら…………付き合ってもらう!!』

『へ?』

「「「「「あー………………」」」」」

 

 箒はそう言うと、顔を真っ赤にしたまま逃げるように去って行った。山田先生が『まだ部屋を教えてませんよー!』って言いながら追いかけて行ったけど……これってあたしの時と同じパターンじゃない? 言われた一夏は首を傾げながら部屋に戻ったし、あれは間違いなく伝わってないわね。

 

 あたし達は顔を見合わせて頷くと、急いで部屋の中に戻って円陣を組んだ。

 

「第1回、一夏君対策会議ー!!」

 

 そう言った楯無さんが広げた扇子には『惨劇回避』とか書いてた。確かにあのまま放っておいたら、来月には血の雨が降るかもしれないわねー。

 

「今回の議長は私こと更識楯無。副議長には凰鈴音さんで始めたいと思います」

「え、あたし副議長?」

「ノリノリだね~お嬢様」

「こういうのは形から入るものなのよ」

 

 その熱意は仕事に使いなさいよ……言っても無駄だと思うから言わないけど。

 

「さて、第1回からいきなり重い議題になりそうなんだけど。さっきのあれって告白よね? 告白だと思う人は挙手!」

 

 バッ!

 

 楯無さんが言うと、すぐに全員の手が上がった。

 

「やっぱしそう思うわよね。では次に……告白に一夏君が気付いてないと思う人は挙手!」

 

 バッ!

 

 言った瞬間、さっきよりも早く全員の手が上がった。あの普段のんびりしてる本音まであんなに早く手を上げるとか……どんだけ一夏の鈍感が知れ渡ってるんだって話よね。

 全員が同じ気持ちなのを確認すると、楯無さんは深く溜息を吐きながら、片手を前に出した。

 

「これから私達が取れる方針は全部で3つ。

 1つ目は“一夏君に告白された事実を伝える”」

 

 そう言いいながら、楯無さんは指を1本立てた。

 

「……私はそれは止めた方が良いと思う。篠ノ之さんの知らないうちに代理告白なんてしても、織斑君には伝わらないと思うし……」

「私もかんちゃんに賛成~。それに、もし伝わったらもっとマズいと思うよ~?」

「どうしてですか?」

「おりむーの事だから、しののんに直接聞きに行っちゃいそう~」

「「「「あ~…………」」」」

 

 確かに、あのバカだったらやりかねないわね。もしそんな事をしたら、箒が照れ隠しで全力で襲ってくるかも……うん、止めた方が良いわね。一夏の命のために。

 

「えー……じゃあ1つ目は却下という事で。

 2つ目の案は“箒ちゃんに告白が伝わってない事を教える”」

 

 楯無さんはそう言って、2本目の指を立てた。箒に告白失敗を教える……ねえ。

 

「その場合、誰が教えるの? あたしは面識無いも同然だから無理よ」

「私も無理です。箒さんに嫌われてるから、言っても信じてくれないと思います」

「私も無理……話したこと無いし」

「ふむ……私が言うのも微妙よね。生徒会長だから顔くらいは知ってると思うけど、直接の面識は無いし。となると……」

「私なら大丈夫だと思うよ~。何回かお話した事あるし~」

 

 そう言って自信ありげに胸を張る本音。この子って、意外と胸が大きいのよねぇ……べ、別に羨ましくなんてないんだから! あんなのただの脂肪よ脂肪!!

 

「んー……皆、箒ちゃんに教える事に異議は無い?」

「教えるだけなら良いんじゃない? そこからどうするかは箒次第だし」

「私もそう思います」

「わ、私も……」

「私も別に良いと思うよ~」

「よし。それじゃあ本音ちゃん。明日箒ちゃんに接触して、真実を伝えてあげて」

「あいさ~!」

「よし。じゃあ第1回会議はこれで終了します!」

 

 楯無さんは【議題終了】と書かれた扇子を広げると、会議の終わりを宣言した。

 箒に教えたらどうなるだろ。ちゃんとはっきりした言葉で告白し直す? ……無理ね。失敗した告白をやり直すなんて、あたしだったら恥ずかしくて絶対に出来ないわ。

 まぁ気にしても仕方ないし、後は本音に任せましょうか。

 

「そう言えば楯無さん。3つ目の案は何だったの?」

「3つ目? それは勿論“見なかったことにする”よ」

「あっそ……」




 実は鈴と箒って未だに出会ってないという事実。まぁ箒は一方的に鈴の事を知ってるけど。教室での告白騒ぎのおかげで。
 さて、箒に告白が伝わってない事を教えたらどうなるやら。
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