IS~インフィニット・ストラトス~  電子の妖精   作:ポコ

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 2週間ぶりくらいに第三次Zを再開。27話が終わったところ。ジンが仲間になってすぐ逝ってしまって意気消沈。フラグ立てたら生き残るか生き返るかしてくれたんだろうか。攻略サイトを見たいが、1周目から負けた気分になるから我慢である。

 最近ネギまのSSが書きたくなって困る。息抜きに書いちゃおうかな……あくまで息抜きに。


第37話 ラウラさんと私

 はぁい。皆のおねーさん、更識 楯無よ。前回は本音ちゃんと箒ちゃんが凄い事になってたわねぇ……普段はのんびりしてる子なんだけど、ああいう容赦無い論破を見てたらやっぱし虚ちゃんの妹なんだなーって思っちゃうわ。……べ、別に私がしょっちゅう虚ちゃんに怒られてるからそう思う訳じゃないからね? 虚ちゃんの背中に鬼が見えるとかこれっぽっちも思ってないから!

 ……コホン。それと、遂に……いえ、ようやくかしらね。ルリちゃんと一夏君のクラスに編入生がやって来たわね。シャルルちゃんの男装があまりにもお粗末すぎて、流石のおねーさんもびっくりだわー。バレるのが前提としか思えないんだけど……それともやっぱしデュノア社がお馬鹿さんすぎるだけなのかしら? まぁ、その辺りは一夏君がそのうち聞き出してくれるでしょ。

 一番気になるのがドイツ代表候補生のラウラちゃんね。ルリちゃんとどことなく似てる気がするんだけど、何か関係があるのかしら? ま、その辺りは本編でね。それじゃ、行ってらっしゃーい♪

 

 

――――――――

 

 

――――side ラウラ・ボーデヴィッヒ――――

 

 

 

 私がIS学園などという、ISを玩具やスポーツとしか思っていないような輩しかいない場所にやって来た理由は2つ。

 

 1つは尊敬する織斑教官をドイツ軍へと連れ戻す為。【越界の瞳】が上手く適応出来ず、落ちこぼれや欠陥品の烙印を押された私は生きる希望を無くし、いずれ処分されるのを待つばかりの生きた屍だった。

 そんな私を救って下さったのが、1年間の契約で教官として軍に配属された織斑教官だった。教官は素晴らしい方だ。私をどん底から救い上げてくれるどころか、僅か1年の間に最強部隊の隊長にまでしてくれた。それだけでは無く、戦う事しか知らなかった私に、人の温かさという物を教えて下さった。

 1年の契約が過ぎると教官は日本へ帰ってしまわれたが、教官は私にとっても軍にとっても必要な御方だ。このような極東の小さな島国で埋もれていい人材ではない! 教官をドイツへ連れ帰る為なら、私はどんな事でもしてみせる!

 

 そして2つ目の理由は――――教官の実の弟である【織斑 一夏】を見定めるためだ。

 織斑一夏。軍で教官の教えを受けていた時、幾度となく耳にした名前。教官の口からその名前が出る度に、私は軽い嫉妬を覚えた。だが、教官がここまで誇らしげに語る人物なのだから、さぞや教官の弟に相応しい、素晴らしい人物なのだろうと思うと、その嫉妬も無くなった。

 ――――だが、教官が軍に来られた理由を聞いた時。私の織斑一夏に抱いていた尊敬の念は、一瞬で殺意に変わった。教官が第2回モンド・グロッソ決勝戦をやむを得ない理由で棄権したとは聞いていたが、その理由が“間抜けにも一人で観戦に来て誘拐された弟を救うため”だと言うのだ。

 ふざけるなよ織斑一夏ッ!! 多数に無勢で来られては、抵抗できなかったのも当然だろう。だが、教官の立場も考えずに護衛の1つも付けず、呑気に一人でのこのこと来た事はどうしようもない愚行だ! たとえ一般人だとしても、少し頭を使えば優勝候補筆頭である教官の身内が狙われる可能性がある事なぞ、容易に推測出来た筈だッ!織斑一夏はその当然の事を怠り、間抜けにも攫われ、教官が助けにくるまで何も行動しなかった。そのような愚者を、私は決して教官の弟だとは認めない! 認めてなるものか!! ――――そう思っていた。

 

 その織斑一夏がISを動かし、あろう事か起動2回目でイギリス代表候補生と引き分けたと聞いた時、腐っても教官の弟なのかと、ほんの僅かだけ織斑一夏に対する評価を見直した。

 しかし、その時よりも経験を積んだ筈の中国代表候補生との試合では、手も足も出ずに敗北したらしい。その両極端な戦績に、私は奴がどれ程の力量なのか分からなくなった。イギリスの候補生が弱すぎるのか、中国の候補生が強すぎたのか、機体や戦術の相性の問題なのか、それとも――――何か先の試合には有り、後の試合には無かった何らかの要因があるのか。

 

 とにかく不明瞭な織斑一夏という男の実態を見極めるためにも、私はここに来た。実際に見た織斑一夏の顔は、多少顔が良いだけの優男という印象だった。教官の常に凛とした雰囲気なぞ、欠片も受け継いでいない。しかし、外見だけで相手の力量を判断するのは、軍人としてあるまじき行為。そう思い、少し試して反応を見ようかと行動に移ろうとした私の視界に入ったのは――――私と似た銀の髪に、金色の両目(・・)を持った、私よりも小柄な幼い少女だった。

 その瞳を見た瞬間、私はあまりの衝撃に織斑一夏を試すことも忘れ、その少女の元へと駆け寄った。少女の名は【ホシノ・ルリ】。学園に出向する前の情報収集で、篠ノ之博士の義娘を名乗る女がそのような名前だったと記憶していたが、名前以外の情報は全く入手できなかった謎の女。一応戸籍は容易されていたが、あのような出鱈目の戸籍は何の情報にもならん。その女が、まさかこのような少女だったとは……いや、それよりも――――こいつはどこで生まれた? 金色の瞳なぞ、生体ナノマシンを抽入されない限りは有り得ない。という事は、ホシノ・ルリは私と同じ【遺伝子強化素体】である事は間違いないだろう。だが、両目とも金色という事は、私よりも多量のナノマシンを抽入されているという事。もしや、私の後継機と言うべき存在なのだろうか? 疑問が尽きない私は、ホシノ・ルリに話を聞く約束を取り付けた。貴様が一体いつ、どこで生まれた存在なのか。全て聞かせてもらうぞホシノ・ルリ……!

 

 

――――side ルリ――――

 

 

「なぁルリ。俺達と一緒に飯を食いに行かないか? シャルルに自己紹介するついでにさ」

「……はぁ」

 

 昼休みに入ってすぐ、一夏さんがデュノアさんを連れてやってきました。もう名前呼びですか……男同士と思ってるから、積極的に打ち解けたんでしょうね。デュノアさんの自己紹介の時、女子の方々に混じってすっごい喜んでましたし。

 

「えと、初めまして。シャルル・デュノアです。貴女がホシノさんだよね? 篠ノ之博士の娘だっていう……」

「……そうですけど。お母さんとの間を取り持ったりはしませんよ」

「そ、そんな事考えてないよ!」

 

 デュノアさんが挨拶にかこつけて探りを入れてきたので、ジト目で睨んであげました。慌てて否定してますけど、全く説得力が無いです。適当な男装に加えて、ポーカーフェイスも苦手ですか……呆れちゃいますね。もういっそのこと自白した方が良いんじゃないですか?

 

「なら良いですけど。昼食はお姉ちゃん達と食堂で食べる約束をしてるので、遠慮しときます」

「鈴達と食べるのか? なら丁度いいじゃんか。皆でシャルルに自己紹介しようぜ!」

 

 相変わらずの空気を読まない一夏さんです。スパイとはいえ、別にそこまで露骨に拒否する必要も無いとは思いますけど…… どうした方が良いかな?

 

「……本音さん。どうします?」

「ん~……かんちゃん達が良ければ、別に良いんじゃないかな~」

「そうですか。じゃあお姉ちゃんに連絡して聞いて……」

「もう来てるわよ」

「わっ!?」

 

 お姉ちゃんに連絡しようとしたら、いつの間にかすぐ傍にお姉ちゃんと簪さんが来てました。いつの間にきたんだろ。急に声をかけるからビックリしちゃったじゃないですか。

 

「お、鈴に簪さんも丁度良い所に! シャルルに紹介したいからさ。一緒に昼飯にしようぜ!」

「シャルル? 誰よそれ」

「今日編入してきた2人目の男子だよ。いやーまさか俺以外にもISを動かせる男がいるとは思わなかった。これでもう男一人で肩身の狭い思いをしなくて済むと思うと……!」

 

 一夏さん本当に嬉しそうですね。これで本当にデュノアさんが男性だったら良かったんだけど。

 

「あはは……そこまで喜ばれると困っちゃうな。初めまして。2人目の男性IS装者の“シャルル・デュノア”です。一応フランスの代表候補生をやってます」

「ふぅん……あたしは中国代表候補生の“凰 鈴音”よ。宜しくね」

「……私は日本代表候補生の更識 簪。宜しく」

「わ。2人とも代表候補生なんだ……こちらこそ宜しくね!」

 

 3人は代表候補生同士、互いに挨拶を交わしました。お姉ちゃんと簪さんは微妙に顔が引きつってるけど。

 それにしても、貴重な男性装者が他国に何の説明も無く、自国の代表候補生に抜擢ですか。同じ男性装者の一夏さんは3ヶ月経ってもどこにも所属すらしてないのに、変な話だと思わないんでしょうか。ちょっとカマをかけてみようかな。

 

「デュノアさんは代表候補生なんですか?」

「うん、そうだよ」

「2人しかいない男性装者なのに、よくそんなにすぐ代表候補生になれましたね。搭乗時間もまだ短いと思いますけど。もしかして、随分前からISに乗れるって分かってました?」

「え? あ、う、うん! ボクは大分前からISに乗ってたんだよ!」

「そうなんですか。じゃあ、何で一夏さんが発表されてすぐに名乗り出なかったんですか?」

「う、あ……その……」

 

 ……自分で問い詰めといてあれですけど、狼狽えすぎです。スパイの自覚あるのかな。

 今これ以上追い込んでも意味ないし、さっさとお昼ご飯に行きましょうか。

 

「すいませんデュノアさん。国の機密とか色々と言えない事がありますよね。変な事を聞いてごめんなさい」

「ふぇっ!? え、あ……き、気にしないでよホシノさん!」

「……はぁ。それじゃあ食堂に行きましょうか。あまり話してたら食べる時間が無くなっちゃいます」

「ん? おお、もうこんな時間か! じゃあ早く行こうぜシャルル! 鈴達も早く来いよー!」

「わ! き、急に引っ張らないでよ一夏!!」

 

 時間が押している事を伝えると、一夏さんはデュノアさんの手を引いてさっさと行っちゃいました。私たちは置いてけぼりです……追いかけなきゃダメ?

 

「……鈴ちゃん」

「何? 簪」

「デュノアさんって、隠す気あるのかな?」

「……慌ててたし、一応は隠してるつもりなんでしょ」

「デュッチーの変装、バレバレだよね~」

「ですね。お姉ちゃん、どうすればいいかな」

「……ほっといたら勝手に自滅するんじゃない?」

「「「…………」」」

 

 お姉ちゃんのぶっちゃけた発言に、私達は顔を見合わせて深く頷きました。もう満場一致で見てみぬフリです。後は楯無さんと一夏さんに任せておけば、大事にはならないと思うし。

 私的には正直、デュノアさんよりもボーデヴィッヒさんが気になります。放課後の話って何だろ?

 

 

――――――――

 

 

 6時間目終了のチャイムが鳴ると同時に、隣の席のボーデヴィッヒさんに呼ばれました。せっかちですね。

 

「ホシノ・ルリ。私の部屋まで来てもらえるか。要らぬ邪魔が入らないようにしたい」

「別に良いですけど。ボーデヴィッヒさんのルームメイトはいないんですか?」

「私は一人部屋だ。では行くぞ、ホシノ・ルリ」

「なら良いですけど。ていうか、いちいちフルネームで呼ばないで下さい。ルリで良いです」

「む……了解したルリ。なら私の事もラウラで構わない」

「了解です、ラウラさん」

「うむ!」

 

 ちょっとラウラさんの真似で了解ですって言ったら、得意げに頷かれました。怖い人かなって思ったけど、案外そうでもないのかな?

 どこか上機嫌なラウラさんの後を追いかけてると、すぐに部屋に着きました。

 

「ここが私に宛がわれた部屋だ。入ってくれ」

「お邪魔します」

 

 言われてお邪魔したのは良いですけど、見事に何も無いですね。まぁ、私の部屋もお姉ちゃんが来るまでは似たようなものでしたけど。

 

「まだ必要最低限の物資しか搬入していなくてな。ベッドにでも座ってくれ」

「良いんですか?」

「ああ」

 

 許可をくれたので、早速ベッドに座らせてもらいました。ベッドに座るのって、何だか寝るのとは違った温かさがありますよね。そう思うのは私だけかな。

 

「さて。では早速だが本題に入らせてもらう」

 

 ラウラさんは私の向かいに椅子を置くと、私の目を見つめながら問いかけてきました。

 

「ルリ。お前はドイツの者か?」

「え?」

 

 どんな事を聞かれるのかと身構えてたら、何故か出身国の事を聞かれました。何でドイツ? というか、出身国を聞かれても……。

 

「すいませんラウラさん。分からないです」

「分からない?」

「はい。ラウラさんは、私が篠ノ之博士の義娘って知ってます?」

「ああ。編入前に軍の調べた資料で知った。事実なのか?」

「本当ですよ。それで、お母さんに娘にしてもらう前の記憶って、ぼんやりとしか覚えてないんですよ。だから自分がどこの生まれかも知りません」

「そうだったのか……失礼な事を聞いた。謝罪する」

「気にしないで下さい。けど、どうして私がドイツ出身だって思ったんですか?」

「…………」

 

 そう尋ねると、ラウラさんはどう答えるかを悩んでいるのか、腕を組んで目を閉じました。こんなに悩むって事は、もしかして軍の機密に関わってたりする?

 数分程経ったでしょうか。ラウラさんは閉じていた目を開き、話し出しました。

 

「……その瞳だ」

「瞳?」

 

 瞳って……私の瞳? それがどうしてドイツと繋がるんだろう。

 不思議に思っていると、ラウラさんは付けていた眼帯を外しだしました。その下にあったのは――――。

 

「金色の瞳?」

「ああ。ルリと違って左目だけだがな」

「……それはドイツが?」

「ああ。私はドイツ軍の実験で産まれた試験管ベビー……遺伝子強化素体だ」

 

 自虐するように吐き捨てられた言葉は、私を驚かせるには十分すぎる言葉でした。

 ラウラさんは私と同じ? じゃあ、私はドイツ軍にいたの?

 でも、何だろう。ラウラさんの瞳は、私とはどこか違う気がします。

 

「ラウラさん。金色の瞳は、生体ナノマシンのせいですよね」

「ああ。ルリもそうなのだろう?」

「そうです。けど、ラウラさんとは種類が違うと思うんです」

「……種類が違う?」

「はい。ラウラさんは、何で眼帯をしてるんですか?」

 

 言うかどうか少し悩んだみたいですけど、そこまでの秘匿ではないのか教えてくれました。

 

「常にこの瞳……【越界の瞳】(ヴォーダン・ヴォージェ)を使用していては、脳にかかる負担が尋常ではないからだ」

「やっぱし。じゃあ、私とラウラさんの瞳は種類が違います」

「そうなのか? 私はお前が私の後継……完成形なのかと思ったのだが。両眼共が金色なのは、完全に制御している証ではないのか?」

「違います。私の眼は生体ナノマシンの影響ではありますけど、ラウラさんのように瞳自体に特殊な力があるわけじゃなくて、ただの副作用です」

「……つまり、私とは違う場所での実験体という事か」

「未完成らしいですけど」

「チッ……どこの国でも研究者共は屑の集まりだな」

 

 私がそう言うと、ラウラさんは苛立たしそうに顔を顰めました。研究者にあまり良い印象はないみたいですね。まぁ、私もお母さん以外の研究者は大嫌いだけど。

 

「これくらいで良いですか?」

「ああ。軍人として言えば、どのような実験を受けていたかを聞き出さなければならないところだがな。似たような境遇の一個人としては、古傷を抉るような真似はしたくない……軍からの命令があれば別だが」

「ありがとうございます。でも別に私は気にしてないので、そこまで気を遣わなくても良いですよ。無理やり聞き出されるのは嫌ですけど」

「そうか? では、必要になれば聞かせてもらう」

「はい。いつでも聞いて下さい。それ以外でも、普通に話してくれたら嬉しいです」

「む……き、機会があればな」

 

 私が笑ってそう言うと、ラウラさんは頬を染めながらそっぽを向いちゃいました。もしかしなくても照れてます? ……なんか可愛いですねラウラさん。撫でたくなっちゃいます。お姉ちゃん達が私を撫でてくれる時も、こんな感じなのかな?

 会った当日に頭を撫でるのも失礼だし、なんとか我慢してラウラさんの部屋を後にしました。……そう言えば、一夏さんには会ってすぐに頭を撫でられたような。あの時はビックリしました。うん、自分がされて嫌な事はしない方がいいですね。

 

 そう言えば、一夏さんの方は大丈夫かな。今日からデュノアさんと同室の筈だけど……まぁ、デュノアさんが相手なら大丈夫でしょう。色々な意味で。




 ラウラとの初開合は、無難な結果に終わりました。これから少しずつ仲を深めていきます。
 シャルはもうほんと……会社もだけど本人も隠す気ないよね。シャルの方は自暴自棄になってたのかもしれないけど。
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