ルリsideの地の文は、完全に敬語止めます。以前は敬語が入ったり入らなかったりで書いてたけど、ルリのボイスCDをニコ動で聞いてみたら、全く敬語を使ってなかったので。敬語なしだとルリっぽさを出すのが大変だけど、出来るだけ頑張ります。
ルリです。お久しぶりですって言った方が良いのかな。
前回から随分間が空いちゃいましたけど、一夏さんとシャルロットさんが決意してくれたから、後は問題解決するだけなんですけど……解決する力を持った2人が自由すぎるのがちょっと心配です。大丈夫かな。
――――side 楯無――――
よしよし。ようやくシャルロットちゃん本人から言質が取れたわね。いくら私や一夏君が助けようとしても、本人が協力してくれなきゃどうしようもないものねー。さて、それじゃ今まで厳しい事ばかり言った分、早く2人を安心させてあげましょっか。
「オッケー。おねーさんに任せときなさい2人とも! さくっと解決してあげるわ!」
……あれ? 何で2人ともそんな胡散臭いものを見る目で見てくるのかしら?
特にシャルロットちゃん。貴女ついさっきまで泣いてたわよね?
「……いや、さくっと解決って……そんなに簡単な問題じゃないだろ」
「うん……会長さん、証拠が無いからボクを使わない限りどうしようもないって、言ってましたよね?」
ああ、そういう事。流石にちょっと不安感を煽りすぎちゃったみたいね。
「それなら大丈夫よ。流石にデュノア社を潰せる程じゃないけど、シャルロットちゃんに手出しできないようにさせるくらいの情報は集めてるから!」
「「……はい?」」
「シャルロットちゃんへの杜撰すぎる対応を見てもしかしてって思ったけど、デュノア社って色々と隙だらけだったからね。これくらいの情報集めはすぐだったのよ」
「「…………」」
「後はシャルロットちゃんが在学中に、卒業しても問題無いようにするくらいだけど、まぁこの調子なら今年中になんとか出来ると思うわ。だから心配は……あれ?」
この事を教えたら2人とも安心してくれると思ったんだけど、何で2人して俯いて肩を震わせてるのかしら? あ、安心のあまり涙が出ちゃって、それを私たちに見せたくないのね! もう、別にそんな事気にしなくても、誰もバカにしたりしないのに。
「……楯無さん。今絶対見当違いの事考えてると思うわ」
「え? 何、鈴ちゃん」
「命を賭けるくらいの覚悟を決めた直後にあんなあっさり解決したって言われたら、そりゃああなるわよ」
「へ?」
鈴ちゃんに促されてみた先には、生気の無い表情で渇いた笑いを浮かべる2人が……って、もしかして……私、またやっちゃった?
「り、鈴ちゃん! 何とかフォローしてくれない!?」
「無理。取りあえず、楯無さんは早くデュノア社に対して手を打った方が良いんじゃない? まだ情報を集めただけなんでしょ? 問題を本当に解決してあげたら、2人も落ち着くでしょ……多分」
「そんな呆れた目で言わないで!?」
ええい、鈴ちゃんじゃダメだわ! ここはルリちゃんの癒し効果に望みを託すしか!
……あれ? ルリちゃんどうかしたのかしら。元々あまり話す子じゃないから気づかなかったけど、何か考え込んじゃってるわね。シャルロットちゃんの話で、何か気になる事でもあったのかしら……?
――――side ルリ――――
「皆お願いします! ボクを……助けて下さい!!」
デュノアさんが涙で顔をくしゃくしゃにしながらも私達にそう言った時、私は何とも言えない不思議な気持ちになった。
何だろう、この気持ち……怒ってる? ううん。さっきまでならそうかもしれないけど、今のデュノアさんには怒るところは無い……と思う。
じゃあ、嬉しい? ……うん、それはあると思う。一夏さんや楯無さんの気持ちがやっと通じたから。でも、多分それだけじゃないと思う。
これ以外だと……悲しい? ――――ちょっと違うけど、近い気がする。けど、何で悲しいんだろう。
デュノアさんが助かりそうだから? ……違う。
一夏さんを取られたから? ……違う。というか私のじゃないから。
うーん……やっぱり、悲しいとは違うみたい。でも、じゃあ何だろう? このもやもやした感じ。
「……リ! ルリってば!」
「え?」
私を呼ぶ声がして振り向いたら、心配そうな顔をしたお姉ちゃんに肩を叩かれてた。楯無さん達も不思議そうに私を見て……何かあったのかな?
「ちょっとどうしたのよルリ。さっきから何回も呼んだのに、全然聞こえてないみたいだから心配しちゃったじゃない!」
「……そんなに呼んでた?」
「うん。ルリちゃんの携帯が鳴ってるのに全然反応しないから、鈴ちゃんが呼んでたんだけど……どうかしたの? ルリちゃん」
「……いえ、何でもないです楯無さん。心配かけてすいません」
ちょっと考えすぎてたみたい。携帯が鳴っても、お姉ちゃんが呼んでも気付かなかったなんて、反省しないと…………携帯?
言われて確認してみると、確かに私の携帯から着信音が鳴ってた……けど、何? この着信音。ウサウサミンウサミン言っててバカっぽいんだけど。初期設定から変えてないから、後でお姉ちゃんか本音さんにお願いしたら変えれるかな?
『束からの着信はその着信音で固定されてるよ』
『何で?』
『「束さんは兎さんだから、これが一番分っかりやすいよね!」って凄い楽しそうに言ってた』
『……バカっぽいからイヤなんだけど』
『私に言われても。イヤなら早く取ればいいんじゃない?』
『…………ハァ』
お母さんの思いつきで変な事をする癖は何とかならないかな。お母さんとオモイカネの3人で暮らしてた時は別に良かったけど、友達に見られるのは……ちょっと恥ずかしい、かも。
ここで言っても仕方ないし、取り敢えず電話に出ないと。
「もしもし? お母さ――――」
『るーちゃん出るのおっそーい!!! 束さんはウサギさんだから、構ってくれないと寂しくて死んじゃうんだよ!? ぴょんぴょん!!』
「ウサギが寂しいと死んじゃうのは迷信です」
『束さんはそうなの! ただでさえ生るーちゃんに会えないまま1ヶ月も経つのに、電話でも蔑ろにされちゃったらもうるーちゃん分不足で餓死しちゃうよ!』
「電話にすぐ出なかったのはごめんなさい……ちょっと、考え込んじゃって……」
『ぬな! 束さんからの電話も聞き逃しちゃうくらいの悩み事なのるーちゃん!? これは直接会わないと安心できないよ! 待っててるーちゃん! 今愛しのお母さんが会いに行くからねー!』
「え? ちょっと待って――――」
ブツッ!
「「「「………………」」」」
……結局、何の用事だったんだろう。というか、本当に来る気なのかな? ……多分本気だよね。
「え、今の電話って……もしかしなくても束さんか!?」
「束さんって……今の声が篠ノ之博士なの? 人間不信って聞いてたんだけど」
「えーと、ルリちゃん。束さん本当に来るの?」
「…………多分、来ると思います」
「いや、流石に束さんでも無理でしょ。今どこにいるのか知らないけど、そんなすぐ来れるとこに居たらとっくに政府に居場所がバレてるだろうし」
「そ、そうよね! いくら束さんでも流石に……ねえ?」
「「あははははは!!」」
『あれ!? 部屋にるーちゃんがいない! るーちゃんどこー!? はっ、そうだ! るーちゃんに渡した携帯の座標を調べれば万事おっけー! ウサミミセンサー起動!』
「「「「……………」」」」
『お! 早速るーちゃんの座標をキャッチしたね! どれどれ、るーちゃんはどこに……い、いっくんの部屋――――っ!? だ、ダメだよるーちゃん! 嫁入り前の女の子が、男の人の部屋に入ったらぺろっと美味しく食べられちゃう! 束さんなら絶対食べちゃうもん! これはるーちゃんの一大事! いっくん覚悟――――ッ!!』
「え、俺何されるの!?」
「お、落ち着いて一夏! 気にするのはそこじゃないから!」
「今の声ってやっぱり……」
「いやいや、気のせいだって楯無さん。うん、来るかもって思いこんでるから幻聴が聞こえちゃっただけだから!」
「5人全員が聞こえる幻聴なんてないと思うけど」
「止めて! 最後の希望を否定しないでルリ!」
「束さんのるーちゃんに手を出すふてえ野郎はここか――――ッッ!!!」
「「うわぁぁぁ!?」」
「「本当に来たよ……」」
「…………はぁ」
まさか本当に来るなんて、びっくり。それだけ私を心配してくれたんだろうけど、これくらいでここまでされたら、これから先が不安かも。
「むむ! るーちゃん発見! 確保ー!!」
「わっ!?」
小さくついた溜息を耳ざとく聞きつけたのか、速攻で確保されちゃった。
うーん……ここは怒るところなのかな。それとも喜ぶところ?
「お母さん。私は何ともないですから、取り敢えず降ろして下さい」
「んふふふふふー。久々の生るーちゃんだぁー!」
「聞いて下さい」
「聞いてるよー。でもやだー。生るーちゃんはやっぱり格別だね!」
「はぁ……」
これはダメかも。お母さんが甘えたがりモードに入っちゃったら、満足するまで絶対に離してくれないから……嫌じゃないし、むしろ嬉しいけど。でも、少しは周りを気にして欲しい。
「あの、束さん?」
「ちょっと束さん。さっきまで大事な話をしてたんだから、後にして欲しいんだけど……」
「ん? おー! たっちゃんにりっちゃん! 実際に会うのは初めてだね! りっちゃんも確保ー!」
「んぎゃー!?」
「ぷっぷー。またりっちゃん変な声出てるー! 初めて話した時も『ぐぬぅ』とか言ってたよねー。あ、ちゃんと端末にあの時の顔と声は保存してるけど、見るー?」
「誰が見るかぁー!! 何でそんなもん保存してんのよ!?」
「面白かったから!」
「さっさと消せぇー!」
流石お母さん。お姉ちゃんを振り回し放題。さっきから一夏さんとデュノアさんが唖然としてるけど、大丈夫かな?
「束さん。今はちょっとシャルロットちゃんの大事な話をしてるから、後にして欲しいんだけど……」
「シャルロット? あぁ、そこの男装スパイの事ね。オーちゃんが生中継してくれてたから、だいたいの話は知ってるよん。いっくんがそいつを助けたがってるのもね。あ、いっくんお久ー!」
「あ、はい。お久しぶりです束さん……って、どういう状況だよこれ!?」
「何がさ?」
「何で行方不明の束さんがいきなり来るんだ!? オーちゃんって誰だよ! 何で楯無さんや鈴とそんなに仲良いんだ!? 昔の束さんって俺と箒と千冬姉以外とは話をするどころか、見向きもしなかっただろ!? なんで――――へぶっ!」
あ、お母さんが投げたごみ箱が一夏さんの鼻に。あれは痛そう……。
「い、一夏――――!?」
「いっくんうるさーい! 久々の生るーちゃんと初めての生りっちゃんを堪能してるんだから邪魔すんなー!」
「生とか言うな!」
「はぁ……流石束さんって言うべきかしら。映像じゃなくて直接来ただけで、ここまでとか……いや、そもそもどうやって来たのよ」
あ、それは私も気になる。お母さんの事だから、非常識な方法だと思うけど。
「ん? ロケットでアリーナに直接来ただけだよ? ちーちゃんにバレないように、音は立てないようにしたけどね!」
「IS学園の警備網に引っかからないでどうやって……」
「束さんにかかれば、あんなセンサー無いも同然だよ!」
「……そうねー。束さんだものねー」
……やっぱし非常識。
「はぁ……もう良いわ。それで束さん。わざわざ来たのは、ルリちゃんが心配ってだけじゃないでしょ?」
「ん? や、9割そうだけど」
「……残りの1割は?」
「どこまでやっても良いのか、たっちゃんといっくんに聞こうと思って」
「どこまでって……何をやる気なのよ束さん」
「そりゃ勿論――――――――デュノア社をどこまで潰すかだよ?」
「「「「へ?」」」」
「……お母さん?」
何を当たり前の事を聞いてるんだって顔してるけど、何でお母さんが態々デュノア社を? デュノアさんが気に入ったのかな。それとも、デュノア社がお母さんに何かした?
「……あの、何で束さんがデュノア社を?」
「だってほっといたら、そのうちるーちゃんにまで手をだしそうじゃん! こんなあからさまな男装スパイを送ってくるくらい馬鹿だからね。馬鹿は追い詰めたら何をやらかすか束さんでも分かんないから、やられる前にやっちゃうんだよ!」
「あぁ。結局ルリちゃんの為なのね……」
あ。楯無さんが疲れ切った表情に。さっきまで主導権を握ってたのに……お母さんが活躍の場を取っちゃってゴメンなさい楯無さん。
「で、たっちゃん。どうする? 物理的に潰しちゃう? それとも社会的に潰しちゃう?」
「あー……どっちも確実にデュノア社は無くなるのよね?」
「もち! 束さんがやるからね!」
「……シャルロットちゃん」
「――――っ!?」
話に付いていけなかったデュノアさんが、急に声を掛けられて驚いて楯無さんとお母さんの方を見た。
「今年中にはって言ったけど、束さんのお蔭で今すぐ解決出来そうなんだけど……シャルロットちゃんはどうしたい? ……ちょっと違うわね。どうなって欲しい?」
楯無さんはそう言うと、デュノアさんを真剣な表情で見つめた。逃げる事は許さないって言ってるみたいに。
嫌いとはいっても自分の家の事なんだから、デュノアさんが決めないとダメ……だよね。デュノアさんはどうするんだろう。
……私がお母さんに助けられる時に研究所をどうしたいか訊かれてたら、私はなんて答えたのかな?
なんか書いてる間に訳わかんなくなってきた……2ヶ月は大きいなぁ。
今回で終わらせるつもりだったけど、束さんが大暴れしたせいでまた伸びました。次回でマジでシャル編は終わります。明日はネギまを更新予定なので、次はいつになるやら。