IS~インフィニット・ストラトス~  電子の妖精   作:ポコ

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 久々の更新。最近はネギまの方にかかりきりでした。
 今回でシャルロット編は終了。やったねラウラ! 次回から出番が増えるよ!


第46話 嫌いな人でも家族は家族・・・らしいです

 最近、全く出番が無いラウラ・ボーデヴィッヒだ。今回でデュノアの話が終了なので、次回からはまた更識妹や布仏と共に出番が増えるらしいが、怪しいものだな。

 前回は篠ノ之博士と更識楯無がデュノアに親への制裁をどうするか委ねたのだったな。親と言うものはよく分からんが、不利益しか与えない存在なら容赦など不要だと思うのだが、違うのだろうか?

 ……何? 何故、母ではなく篠ノ之博士と呼んでいるかだと? うむ、私はそう呼ぼうとしたのだが。鈴にExtraの設定は楽屋裏でも本編では持ち込むなと言われてしまってな。これがクラリッサの言っていた、大人の事情というものか。

 

 

―――――――

 

 

――――side シャル――――

 

 

「――――シャルロットちゃん。貴女はデュノア社にどうなって欲しい?」

 

 会長さんにそう聞かれたけど、ボクは何を言われているかすぐには理解できなかった。

 だって、いくら嫌いな場所で、大嫌いな人達がいるところだからって……。

 

「ちょ、ちょっと楯無さん! 何言ってるか分かってんの!?」

「あら、私はちゃんと分かってるつもりよ?」

「んなっ……! 分かってんなら、何でそんな事が訊けるのよ! 楯無さん、今デュノアに“自分の親をどこまで酷い目に合わせるか決めろ”って言ってんのよ!? いくら酷い親だからって、そんなの決めれるわけないでしょうが!」

 

 頭が真っ白になっている時、凰さんがボクの代わりに言いたい事を言ってくれた。

 そうだよ。いくら嫌いだからって、そんなの決めれるわけがないよ……。

 

「あら。じゃあ鈴ちゃんは、シャルロットちゃんの親がどんな目に遭ってもどうでも良いって事かしら?」

「そんな事言ってないでしょ!? 楯無さんがデュノアの代わりに決めてあげたら良い話じゃないって言ってんのよ!」

「ふーん……じゃあ私が死刑にすべきって言ったら?」

 

 し、死刑!? そんな、そこまでしなくても!

 思わず会長さんを止めようと立ち上がろうとしたけど、次の凰さんの言葉で止められた。

 

「はぁ……楯無さんがそんな事言う訳ないでしょ」

「そーね。鈴ちゃんは私の事をよく分かってくれてるからそう思ってくれるけど、シャルロットちゃんと一夏君はそうでもないみたいよ?」

「え……?」

 

 ふと隣を見ると、一夏が強張った表情で、ボクと同じように立ち上がろうとしていた。凰さんの言葉を聞いて、所在無さげに座りなおしたけど……もしかして、からかわれたの?

 からかわれた事に気付いて会長さんを睨んだけど、当の本人は全然堪えてない様子で、逆にボクに問いただしてきた。

 

「シャルロットちゃん。貴女、自分にそんな事決めれるわけないって思ってたんだろうけど……私や束さんが決めちゃって、貴女や一夏君は本当に納得出来るのかしら?」

「それは……」

 

 会長さんの死刑にするっていう言葉に反応してしまった事を思うと、とても納得できるとは答えられなかった。でも、やっぱり親への罰を決めるなんて……。

 

「なぁ楯無さん。言いたい事は分かるけどさ……それってシャルロットが一人で決めなきゃいけないのか? 皆で一緒に考えたらいいだろ?」

「んー……普通だったらそれで良いんだけどね。今のシャルロットちゃんって、凄く後ろ向きになっちゃってるでしょ? 皆で決めても、間違いなく他の人の意見に引っ張られて、自分の意見なんて言えないわよ。

 そんな結論の出し方で、後からシャルロットちゃんが後悔しないと思う?」

「うっ……」

 

 一夏が庇ってくれたけど、あっという間に会長さんに正論で言い負かされてしまった。

 ……会長さんの言う通り、自分で決めなきゃきっと後悔すると思う。でも、それでも……。

 

「……デュノアさんは何で悩んでるんですか?」

「え……?」

 

 また同じ事ばかり考えそうになってると、篠ノ之博士に抱き抱えられていたルリちゃんが、いつの間にかボクの傍に来ていた。

 

「何で悩んでるって……だって、自分の親をどう罰するかなんて、決められないよ……」

「ですから、何で悩んでるですか?」

「いや、だから……!」

 

「罰したくないなら、罰さないじゃダメなんですか?」

 

「「「「…………え?」」」」

 

 …………罰さなければ良い?

 え、いやでも……ボクはお父さんもデュノア社も義母さんも大嫌いで、デュノア社はなんとかしないとボクは破滅するし、でも……いや…………え?

 困惑して周りを見ると、ボク以外の皆もどう反応すれば良いのか分からないみたいだった――――――篠ノ之博士だけは、何故かベッドの上で笑い転げてたけど。

 

「あ、あのねルリ。デュノア社を何とかしないと、デュノアが……ああもう分かりにくい! シャルロットの身が危ないの! だから、デュノア社を御咎め無しには出来ないのよ!」

「……じゃあ、必要な分だけで」

「必要な分って何よ!?」

「デュノアさんに手出しが出来なくなる、最低限のレベルで」

「う、いや、まぁ……それなら良い……のかしら? いやでも、そんな決め方で……」

 

 凰さんがホシノさんに説明しようとしてるけど、逆に言い負かされてボクの方をチラチラと見てきた。

 ホシノさんは本気でボク達が何を悩んでいるのか分からないみたいで、しきりに首を傾げている。うん、確かにホシノさんの言う通りにするのが手っ取り早いし、後悔もしない……というか、後悔のしようがないとは思うんだけど……それで良いのかなぁ。

 

「別に良いんじゃないか? ルリの言う通りでさ」

「一夏?」

「俺達、皆難しく考えすぎてたんだよ。もっと簡単にさ。“嫌いだけどやり過ぎたら寝覚めが悪いから、自分のいないとこで勝手にしろ!”くらいで良いんじゃないか?」

「…………」

「それでもまだ何かちょっかいかけてくるなら、今度こそ容赦しなかったら良いだろ。そんな事になったら、流石にシャルロットも庇わないだろ?」

「うん……そっか、そうだね。ちょっと極端に考えすぎてたみたい」

 

 うん。ボクや一夏、ホシノさんに迷惑さえかけなければ、それで良いんだよね。顔も見たくない親だけど、酷い目に遭って欲しいとまでは思えないし……何だかんだ言っても、たった一人の家族だから。……正直に言えば、義母さんは別だけど。

 

「あの……篠ノ之博士」

「あっはははははははは!! いやぁー……流石はるーちゃん。束さんの予想の斜め上の考え方で決めちゃうなんて、ビックリだよ! そんなお母さんに意地悪する悪い子はハグの刑だー!!」

「あの、お母さん。胸が当たってます……というか、埋まってます」

「ん~……埋めてんのよ?」

「窒息死させる気ですか」

「…………」

 

 一夏に後押しされて決めた事を、篠ノ之博士にお願いしようとしたんだけど……何だか力が抜けるなぁ。でも、少し羨ましいな。何だか母さんと暮らしてた頃の事を思い出しちゃうや……あ、ホシノさんと目があっちゃった。

 

「お母さん。デュノアさんがお話があるみたいです」

「ん~……束さん憩いのるーちゃんタイムを邪魔するなんて、空気を読まないなぁ」

「いいから話を聞いてあげて下さい……後でいくらでも抱きしめていいですから」

「さぁさぁシャルロットちゃん! この束さんに何でも言ってくれたまへ!!」

「あ、あはは……」

 

 あまりの変わり身の早さに、思わず苦笑いが出てしまった。

 前言撤回かな……ボクとお母さんも仲が良かったけど、この二人には敵いそうにないや。

 

「むむ。何を微笑ましいものを見る目で見てきてるのさ。さっさと結論を話してよ! そこを束さんがズバッと惨状ズバッと解決! そしてるーちゃんからご褒美を!」

「今、参上の字が違いませんでした?」

「合ってるよ?」

 

 また脱線してる!? は、早く話を戻さないと!

 

「す、すいません。えっとですね、デュノア社の事なんですけど」

「お、ようやく殺り方が決まったんだね! さぁさぁさぁ選びたまえよ! 刺殺、絞殺、撲殺、斬殺、圧殺、完殺、全殺、惨殺、狂殺、どれが良いかな?」

「選択肢が物騒なのしかないですよ!?」

「良いから良いから。さっさと好きなのを――――」

 

 スパーンッ!!

 

「何をトチ狂った事を言ってんのよこのド馬鹿ッ!!」

「馬鹿だけじゃ飽き足らず、ドまでつけて強調された!? 酷いよりっちゃん! 珍しく束さんが雰囲気を和ませようと小粋なジョークを挟んであげたっていうのにぃ!」

「束母さんが言ったら洒落になんないのよ!!」

「ていうか、何でりっちゃんはハリセンなんか持ってきてるのさ!」

「対楯無さんと一夏用よ!」

「「え」」

 

 た、助かったぁ……篠ノ之博士はああ言ってるけど、あの目は絶対に本気としか思えなかったもん。もし、ルリちゃんの事を調べようとしてたら……や、止めよう! これ以上考えたら、色々と大変な事になる!!

 

「ったく。さっさとシャルロットの話を――――あ、ゴメンねデュノア。なんか呼びづらかったから勝手に名前で呼んじゃってるけど」

「あ、い、良いよ別に。むしろそう呼んでくれた方が嬉しいし」

「そ? じゃあアタシの事も鈴で良いわよ……で、束母さん。そろそろちゃんとシャルロットの話を聞いたげなさいよ」

「ぶーぶー! りっちゃんもるーちゃんくらい、束さんに優しくしても良いと思いまーす!」

「さっさとする!」

「うぇ~い」

 

 ……何で鈴は篠ノ之博士の事を母さんって呼んでるんだろ?

 と、今はそれより博士に話を聞いてもらわないと……やる気の無い返事だけど、大丈夫かなぁ。

 

「で~? シャルロットちゃんはこの束さんに、どんなお願い事があるのかにゃー?」

「え、えっと、その……デュノア社の処遇の事なんですけど」

「ふんふん」

「……ボクや一夏、ホシノさんに二度と手出しできないようにして欲しいんです」

「おけおけ。んじゃ早速「でも!」…………でも?」

 

 言葉を途中で遮られた博士は、鬱陶しそうな目でボクを見てきた。

 正直、あの篠ノ之博士に懇願するなんて怖い。けど、何も言わなかったら博士は間違いなく、デュノア社を徹底的に叩き潰しちゃう。あんな人達だけど、それだけは止めないといけないから……!

 決意を込めて博士を見つめ返すと、さっきまでの鬱陶しそうな目つきとは一転。ボクの事をどこか観察するような目で見返してきた。

 

「……デュノア社に必要以上に手出しするのは、止めて欲しいんです」

「ふ~ん……束さんの話は聞いてたよね? デュノア社はるーちゃんにちょっかい出してきそうだから潰すって。そう言ったんだけど」

「はい。デュノア社を潰すのは構いません。ですが、父……社長や社員の皆さんの未来までは、奪わないで欲しいんです!」

「んー……別に束さんにかかれば、それくらいは朝御飯どころか寝起きのあくびついでに出来る事だけどさ。徹底的に潰した方が楽だし、安心できるんだよねー」

「そこを何とか……お願いします!」

 

 必死に頭を下げながら、何度も頼み込む。それ以外に、今のボクに出来る事は無いから。

 

「んー……何でそんなに助けたがるのさ。話半分で聞いてたけど、義母には酷い目に合わされて、父親には放置されてたんでしょー? そこまで庇う理由が、束さんにはさっぱりなんだけど」

「……だから」

「ん?」

「家族だから……どんな酷い人でも、ボクの家族には違いないから……! だから、不幸にはなって欲しくないんです!」

「…………」

「だから、どうか! どうかお願いします! 父を助けてあげてください!」

 

 そう叫び、もう何度目か分からないくらいに頭を下げる。もし拒絶されても、何度でも頭を下げるつもりで。

 ――――けど、いくら待っても、拒絶も承諾も無かった。

 どうしたのかと思い頭を上げると、篠ノ之博士が目を丸くしてボクを見ていた。

 

「……あ、あの…………博士?」

「…………」

「……お母さん?」

「――――っ! ……あ、ああめんごめんご! いやーシャルロットちゃんの気持ちはよ~く分かった! この束さんともあろうものが、感動して言葉が出なかったよ! いやはや、親子の愛情とは良いものですなぁ! よっし、後は束さんに任せなさい! 適当にやり過ぎない程度にデュノア社を倒産させとくからさっ! ……さぁさぁるーちゃん! 話は終わったから、束さん達も親愛のハグをー!」

「…………? まぁ、約束したし良いですけど……」

 

 ボクが呼んでも気付いてくれなかったけど、ホシノさんに呼ばれてようやく我に返ってくれた。けど……どうしたんだろう? 承諾はしてくれたみたいだけど、何だか慌ててたって言うか、狼狽えてたと言うか……? ホシノさんも不思議がってたみたいだけど、大丈夫かなぁ。

 

「やり過ぎない程度に倒産させるって……相変わらず束さんは出鱈目だなぁ。けど、これで問題は解決するんだろ? 良かったなシャルロット!」

「一夏……うん、そうだね。皆の……ううん、一夏のお蔭だよ」

「いや、殆ど束さんのお蔭だろ。俺なんか何もしてないぞ?」

「ううん。勿論篠ノ之博士が一番助けてくれたけど……一夏がボクの事を庇ってくれたから、博士も会長も、皆が助けてくれたんだよ。

 ボク一人だったら、絶対にこうはならなかった。だから、一番にお礼を言いたいのは一夏なんだ」

 

 ボクがはっきりとそう言うと、一夏は照れくさそうに頬を掻きながらそっぽを剥いちゃった。ふふっ……一夏も可愛いところもあるんだね。

 

 

――――side 束――――

 

 

「……はぁ…………」

「……お母さん、大丈夫ですか?」

「ん~? いやいや、別に何かあったわけじゃないから大丈夫だよるーちゃん」

 

 るーちゃんを抱きかかえながら、デュノア社を倒産させるデータを纏める。

 けど、いつものようにぱぱっとは済ませられない。いやいや、とは言っても束さんですから! かなりの速さでやっちゃってるんだけどね! ぶいぶい!

 

「……箒さんの事で悩んでるんですか?」

「ん~……? 何でそう思ったのかな?」

「シャルロットさんが家族の為って言ったのを、すっごく驚いてたみたいですから」

「ありゃりゃ……るーちゃんにはバレバレかぁー」

「……家族だから、当たり前です」

 

 家族、かぁ……。

 正直、るーちゃんと箒ちゃんしか家族はいないと思ってたんだけどなぁ……どんな相手でも家族は家族かぁ。

 

「……もしかして、箒さんの事じゃ無いんですか?」

「にゃはは……まぁね。束さんの親の事を考えてたんだよ」

「お母さんの親?」

「そ。シャルロットちゃんに言われて、ちょーっと思い出しちゃってねー」

「……元気なんですか?」

「ん。多分ね」

 

 思い出したのは良いけど、そう言えば今どうしてるかも知らないや。全然興味が無かったから、調べもしなかったからねー。箒ちゃんと一緒で、要人警護されてる筈だから元気ではあるんだろうけど……正直、顔どころかどんな人達だったかも覚えてないや。

 

「お母さんの両親なら、私から見たら祖父母ですね」

「ん? あ~……そだね。そうなるかも」

「また今度、会わせて貰えますか?」

「う……ま、まぁ……またいつかね!」

「?」

 

 うむむ……るーちゃんが興味を持っちゃったかぁ……。今思えば、私って相当親不孝? 徹底的に関わらなかったし……色々と話しかけてきてたような覚えはあるけど、全部無視してたし…………少しくらい、話してあげれば良かったかなぁ。

 ま、いいや! 悩むなんて束さんらしくないし、取り敢えず近況だけ確認しとこっ!

 ……また気が向いたら、るーちゃんを連れて会いに行ってあげよう……かな?




めっちゃ難産でした。ちょっと束さんの心境に変化を持たせようと、かなり四苦八苦。
次回からはようやくタッグマッチトーナメントに向けて動き出します。ラウラが一夏をボコるためにな!
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