震えるぞハート!ノミの心臓的な意味で! …よし、頑張ろ
ルリです。前回は出番が少なくて楽でしたけど、これからは色々と忙しくなりそうですね。メンドくさいです。お母さんのところでのんびりしたいです。ダメですか?ダメですね。…あ、本編です。
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---side 篠ノ之 箒---
私は今、頭が真っ白になっていた。
6年ぶりに再会した一夏にどう話しかけようかと悩んでいたら、千冬さん…いや、織斑先生が連れてきた編入生らしい少女が、とんでもない事を言い出したのだ。
『私は篠ノ之束博士の義理の娘です』
私は正直、姉さんの事が好きではない。大嫌いとまでは言わないが、好き嫌いで問われれば嫌いだと答えると思う。
だってそうだろう?あの人がISを開発したせいで、私は両親や一夏と離れる事になり、何をするにも政府の護衛という名の監視が付いてまわった。それなのに当の姉さんは世界中から追われているとは言え、好き放題に生きているんだ。これで姉さんの事を好きでいられる方がおかしい。
だからと言って、姉さんの事がどうでもいいと言うわけではない。たとえ苦手な相手とは言え、たった一人の血の繋がった姉なのだから。
そんな私の前にいきなり、姉の義娘を名乗る少女が現れた。私は一体どうすればいいのだ……。
---side ルリ---
篠ノ之箒さんが凄い神妙な顔で私を見つめて…というか睨んできてます。姉の娘がいきなり現れたら、当たり前の反応でしょうか。
「おいホシノ。いきなり問題発言をするな」
「織斑先生。でもいつかはバレちゃいますし、だったら最初からバラした方が分りやすいと思ったので」
「ふむ…それもそうか」
織斑先生は未だにフリーズしてる教室を見渡して言いました。
「今ホシノが言った通り、こいつは間違いなく篠ノ之束の義理の娘だ。だが、だからといってホシノを色眼鏡で見る事は許さん。こいつは見ての通りの子供で、お前らは未熟とは言えホシノに比べると大人だ。どちらが配慮すべきか、当然解っているな?くれぐれも常識外れの行動を取るなよ…」
そう言って一睨みすると、皆さん何度も頷いてました。流石のカリスマです。
---休み時間---
休み時間になると質問攻めになるかと思いましたが、織斑先生の言葉が効いたのか、誰も近寄って来ません。篠ノ之さんは来るかなと思ったんですけど、チラチラとこちらを見ながら難しい顔をしてます。
「なあ、ちょっと良いか?」
「はい?」
色々と考えてると、声をかけられました。振り向くと、唯一の男性装者である織斑一夏さんがいました。
「えっと、ホシノさん?」
「名前で良いですよ織斑さん。
「あぁ、流石に年上じゃないんだな。戸籍上とか言うから、まさかの年上かと…ん?多分?」
織斑さんが不思議そうに首を傾げます。
「はい、多分です。5年くらい前にお母さんの娘になったんですけど、それより前の事は殆ど覚えてないですから。多分10歳か11歳だと思いますよ」
「…………悪い」
「気にしないで下さい。別に私も気にしてないんで」
「そっか。偉いんだなルリは」
「…いきなり呼び捨てですか」
名前で良いとは言いましたけど、いきなり呼び捨てとは思いませんでした。
「あ、悪い。嫌だったか?」
「別に嫌じゃないです。ただ、初めて普通に名前を呼ばれたから、驚いちゃいました」
「初めてって、束さんは?」
「お母さんは初めて会った時から、ずっと『るーちゃん』って呼んでます。他に話をする人はいませんから。行き付けの店の店員さんくらいしか知り合いがいませんでしたし」
「地味に重たいな話が!」
織斑さんが頭を抱えてしまいました。別に重たい話をしたつもりは無いんですけど。オモイカネは名前で呼んでくれますけど、説明をするのがメンドくさいので黙っときましょう。
そんな事を考えてると、頭を抱えてた織斑さんが、いきなり私の両手を握ってきました。何ですかいきなり。
「えっと、織斑さん?」
「ルリ!これからは俺がいるからな!いくらでもルリの名前を呼ぶから、もう寂しくなんてないぞ!俺の事は本当のお兄さんだと思ってくれていいから!」
「…………はい?」
いきなり何を言ってるんですかこの人。
「いえ、お母さんだけで間に合ってるからいいです」
「遠慮なんかしなくていいぞ。ほら、兄さんでもお兄ちゃんでも好きに呼んでくれ!」
「いや、だから」
「ん?」
笑顔で威圧してくる織斑さん。ダメです。この人、お兄さん呼びするまで譲らない気です…!
『知らなかったのか?織斑一夏からは逃げられない』
『洒落にならない事を言わないで下さいオモイカネ…!』
はぁ。仕方ないです。
「…織斑お兄さん」
「名前で良いぞ?」
「………一夏お兄さん」
「おう!」
うわ、凄いニコニコしてます。どんだけ嬉しかったんですか…妹か弟に飢えてたんですかね。
「流石織斑君!私達に出来ないことを平然とやってのけるっ!」
「そこに痺れる憧れるぅ!」
「ホシノさん照れてない?」
「ホシノさん可愛い!」
「可愛いは正義!」
「宜しい。ならばファンクラブだ」
「どっちの?」
「どっちもよ!」
周りが凄い騒がしいです。後、私は照れてないですから。
「……少し良いか」
「ん?」
「はい?」
一夏お兄さんと私が振り向くと、そこには長い黒髪を後ろで一つにまとめた女性…篠ノ之箒さんが立ってました。私を見る目がさっきよりキツくなってるんですけど…私、何かしちゃいました?
「お前、箒か?」
「ああ。久しぶりだな一夏」
「何だよ。さっき自己紹介の時に目が合ったのに凄い勢いで逸らされたから、人違いかと思ったぞ」
「ぐっ、それは……(仕方ないだろう!お前が格好良くなってたから真っ直ぐ見れなかったんだ…なんて言えるか!)……気のせいだろう」
「そうか?なら良いけど。久しぶりだな~だいたい6年ぶりくらいか?」
「そうだな、だいたいそれくらいだろう。それより…」
そう言うと篠ノ之さんは私の方を向きました。
「その、ホシノでいいか?」
「別に名前でいいですよ」
「…いや、ホシノで良い。お前が姉さんの娘だというのは、本当の話なのか?」
名前呼びを断られてしまいました。やっぱり私を良くは思ってないみたいです。
「本当ですよ篠ノ之さん。私は束お母さんの娘です。義理ですけど」
「私の事は箒と呼んでくれ。名字で呼ばれるのは好きじゃないんだ。しかし…本当に娘なのか…」
箒さんは苦虫を噛み潰したような顔でうつむいてしまいました。…私がお母さんの娘なのが、そんなに気に入らないんでしょうか。それともお母さんが娘を持ったことが?
「おい箒。そんなルリが束さんの娘だと悪いみたいな言い方はないだろ」
「ッ! あ、ああ済まない。そんなつもりはなかったが、流石に頭が追い付かなくてな」
「……いえ、そういう事なら気にしません」
一夏お兄さんのお蔭でギスギスした空気は無くなりました。けど箒さん、一夏お兄さんに言われたから慌てて取り繕ったような?
「ホシノ。一夏を連れて行っても構わないか?」
「ん?何でだよ。別に話ならここですれば良いだろ」
「い、いいからさっさと付いて来い!」
箒さんは私が返事をする前に、一夏お兄さんを連れて行ってしまいました。お母さんの言うとおり、私とは相性が良くないみたいです。何でか一方的に嫌われてるみたいですし。
一夏お兄さんと箒さんが教室から出ていくと、今まで遠巻きに見ていたクラスメートの人達が一斉に私の方にやってきました。ちょ、頭を撫でないで下さい!別に飴も要りませ…!
……皆さんに揉みくちゃにされた私が解放されたのは、チャイムがなる寸前でした。これからもこんな調子が続くんでしょうか…憂鬱です。
いちか は シスコン が しんか した !
一夏ならこんくらい善意を押し付けてくるだろうなと思った結果がこれです。
ルリ→一夏:いい人なんだろうけどメンドくさい
一夏→ルリ:俺が守らねば誰が守る!
こんな人物関係。ラウラ転校くらいまでは関係は変わらない予定。